
「エターナル・サンシャイン」は2004年に公開されたアメリカ映画です。
ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレットといった豪華な俳優陣を迎え、監督はミシェル・ゴンドリーが務めました。
“記憶除去手術”を受けた男女の、記憶と恋愛をテーマにした、涙なしでは観られない感動作品となっています。
映画「エターナル・サンシャイン」より、作品のネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわるトリビアをご紹介していきたいと思います!!
エターナル・サンシャイン(2004年)
バレンタイン直前の季節。
ジョエル( ジム・キャリー)は恋人であるクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)と些細な事から喧嘩をしてしまう。
何とか仲直りをしようと考えたジョエルは、クレメンタインの働く本屋へとプレゼントを持って向かうのであった。
しかし、クレメンタインはジョエルの姿を見ても、まるで彼に初対面であるかのような態度をとる。
おまけに他の男性とキスをしたりとイチャつく始末であった。
その様子にジョエルはひどくショックを受けるが、ある日彼はクレメンタインが自分に関する記憶を消す手術を受けた事を知る。
ジョエルはその事に苦しみ、自らも同じ手術を受ける事を決意するが…。
エターナル・サンシャイン(ネタバレ・考察)
映画を撮るうえで、面白いトリビアや作品にまつわる小話は必ずといってもいい程存在します。
「エターナル・サンシャイン」にはどんな小話が存在するのでしょうか?
あの大物俳優が主演予定だった!!
この「エターナル・サンシャイン」という映画には、脚本が完成しない間から色々な人が興味を持ち、役を演じたがったという逸話があります。
それもそのはず、この作品の脚本を主に手掛けたのは「マルコヴィッチの穴」「コンフェッション」などで知られる人気脚本家・チャーリー・カウフマンだという所が大きいのでしょう。
彼が主軸となって脚本を手掛けた事、そしてその内容の斬新さから「ぜひ自分が!」と名乗りを上げる俳優達が殺到したのです。
当初の予定では、ジョエル役は何と!あの有名俳優ニコラス・ケイジだったのだそうです。
ニコラス・ケイジがジョエル役を引き受けていたら、どんな映画になっていたのでしょうか?
それも少し観てみたかった気もしますね!!


ジム・キャリーがジョエル役に大抜擢された理由とは!?
今作品では、主演のジム・キャリーのシリアスな演技が話題を集めました。
彼もジョエル役をやりたい!と自ら志願した大勢の俳優の中の一人なのです。
ゴンドリー監督は、ジョエルとは真逆のイメージがあるジム・キャリーを起用する事に最初は深く戸惑ったそうです。
しかし、キャリーの代表作である「ブルース・オールマイティ」のセットを訪ねた時、その戸惑いは一気に消える事となりました。
ショットの合間合間に見せる、キャリーの素顔の物憂げさや寂しさにゴンドリー監督は「これだ!」と閃いたそうです。
ジム・キャリーといえばコメディー色の強い俳優ですが、「エターナル・サンシャイン」で彼がみせた演技は「本当に同一人物?」と思うくらい素晴らしかったです!
この作品は今までの彼のイメージを覆し、演技の幅広さを見せつけたといっても過言ではない、ジム・キャリーの代表作となりました。


アドリブを禁止されたジム・キャリー!!
ジム・キャリーといえば、顔芸や下ネタなどコメディー的な要素を連想する人が多いかと思われます。
しかし、この映画ではそういった要素が一切封印されていました。
これは、ゴンドリー監督の演出によるもので、この映画はコメディではなくドラマだ、という事をキャリーに口酸っぱく言ったそうです。
反対にクレメンタインを演じたケイト・ウィンスレットには、この映画はコメディなので、好きに自由にやってほしいとの事をアドバイスしたのだとか。
お得意のアドリブも禁じられ、キャリーはこの映画の撮影中、かなりフラストレーションが溜まっていたそうですよ。
しかし、その甲斐あってこんなにも素晴らしい作品が誕生したわけです。
キャリーの切ない表情や涙するシーンも、監督の厳しい指導があったからこその賜物なのですね。


脇を固める実力派俳優にも注目!!
主演のジム・キャリーやケイト・ウィンスレットの他にも、この映画には輝きを放つ実力派俳優達が集結しています。
ラクーナ社(記憶除去手術をする会社)の受付嬢メアリーを演じたのは、「メランコリア」で第64回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞したキルスティン・ダンスト。
メアリーの恋人・スタンを演じたのは「アベンジャーズ」でアメコミのヒーローの一人・ハルクに大抜擢され、その演技力が絶賛されたマーク・ラファロ。
そしてクレメンタインの新しい恋人・スタンを演じたのは「ロード・オブ・ザ・リング」で国際的に知られる俳優となったイライジャ・ウッドです。
この3人が脇を固めている事で、豪華絢爛という言葉がぴったりなのはもうおわかりかと思われます。
この豪華な俳優達の共演という事で、もうそれだけでも観たくなる映画である事間違いなしです!!
ジョエルとクレメンタインが惹かれあう理由とは?
記憶除去手術でお互いの記憶を消しても、もう一度出会ったジョエルとクレメンタイン。
二人は何故こんなにも惹かれあうのでしょう?
そこを考察していきます。
正反対な二人
ジョエルとクレメンタインは全く正反対の性格の二人です。
ジョエルは内向的で自分の事をあまり話したがらない性格、一方のクレメンタインはとてもオープンで明るく、魅力的な女性といえます。
真逆の二人だったからこそ、自分に持っていないものを感じ、惹かれあったといってもいいでしょう。
ジョエルにないものをクレメンタインが補い、クレメンタインにないものをジョエルが補っていたのです。
二人は自分にないものを、無意識で探していたといえます。
パズルのピースのように、それがぴたっとハマり、二人は恋に落ちたのです。


好きだからこそ、すれ違いもあった
長く一緒にいると、見たくなかった相手の欠点や些細な価値観のずれ、相手の嫌な部分が粗探しのように吹き出てくるものです。
ジョエルとクレメンタインも、記憶除去手術の時に録音したテープに、相手の悪口をこれでもか!というくらいに、吐き出していました。
永遠の愛などない、それは頭ではわかっている、好きだからこそ、変わってほしかった。
クレメンタインが最初に記憶を消したのは、何よりもジョエルの事が好きで好きで、大切だったからではないでしょうか。
この映画のキャッチコピーは“さよならの代わりに記憶を消した”です。
さよならというには辛すぎる。
それならもういっそ、記憶を消してしまおう。
それほどこの二人はお互いの事を大切に思っていたのです。


記憶が死んでも愛情は死なない
本当に縁のある二人なら、どんな形で別れようが、また巡りめぐって出会えるものなのではないでしょうか。
その証拠にジョエルとクレメンタインは、どんなに記憶を消してもまた惹かれあいました。
ジョエルの記憶除去手術の時に、クレメンタインが自分が消えそうだ、と取り乱し泣き出してしまうシーンがあります。
これこそ、ジョエルとクレメンタインが想い合っていた証拠なのです。
そして二人はまた一から出会って恋をするといえます。
たとえ記憶がなくなってしまっても、性格やその人の容姿が変わるわけではありません。
本当にその人が縁のある人であれば、その人に関する愛情は決して消えるものではないのです。
メアリーがテープを配った理由
ラクーナ社の受付嬢、メアリーは自分も愛する人の記憶を消した当事者でした。
上司のハワードとの不倫の記憶を自ら望んで消した事を知り、ショックを受けメアリーはラクーナ社を去ります。
メアリーが今まで記憶除去手術を望んだ人達に録音テープを送ったその理由とは何だったのでしょう?
自分と同じような後悔をしてほしくなかった
メアリーは自分がハワードとの関係を自ら断ち切った事を覚えていませんでした。
記憶除去手術を受けた人は、“記憶を消した”という事実までもが、頭の中から消えてしまうのです。
メアリーは記憶を消してもまたハワードに惹かれていました。
衝動的にハワードにキスをしてしまいますが、真実を知らされた時のメアリーの表情は何ともいえず切なすぎます。
メアリーはおそらく真実を知って、とても後悔したのでしょう。
ラクーナ社の受付嬢として何も知らないような顔をして、他人の記憶を消す事に関わっていた事にショックを受けたのです。
録音テープを配ったのは、メアリーなりの懺悔ともとれます。
そして自分と同じような経験や後悔をしてほしくないという、メアリーなりの配慮だったのです。


記憶を消す事が必ずしも幸せに繋がるとは思えなくなった
ハワードとの不倫の記憶を消したメアリー。
しかし、メアリーはまたハワードに惹かれていた事で、記憶を消すという行為が果たして本当に正しい事なのかわからなくなったのです。
たとえ記憶を消しても、人は同じ事を繰り返すのだと自分の身をもってメアリーは確信したのでしょう。
そして、記憶除去手術が必ずしも、その人のこれからの人生の幸せに繋がるものではないと悟ったのです。
メアリーのした事はお節介だったのかもしれません。
もしかしたら、会社を去る身として、ラクーナ社へのあてつけだったという可能性もあります。
メアリーは自分の仕事に誇りを持てなくなったのです。
そして記憶を消してきた多くの人への謝罪と、自分のしてきた事を恥じて録音テープを配る事を決意したのでしょう。
「エターナル・サンシャイン」おすすめポイント
この「エターナル・サンシャイン」という映画は時系列を整理するのが非常に難解な映画といえます。
そこで注目すべきは“クレメンタインの髪の色”です。
そして一番の驚きは、物語の始まりがジョエルとクレメンタインの“2度目の出会い”から始まるという脚本の斬新さにあります。
クレメンタインの髪色をヒントに、時系列を追っていくと一度目は「?」という感想でも二度目観た時それが「なるほど!」に変わるのです。
2004年度のアカデミー脚本賞をとった作品だけに、脚本と構成が素晴らしい映画といえます。
それに加えて豪華な俳優陣の演技が光っている、繰り返し観たいと思える仕上がりの映画です。
まとめ
以上、「エターナル・サンシャイン」から作品のネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわる小話を紹介してきましたが如何でしたでしょうか!?
この作品はコメディー色を封印したジム・キャリーが観られる貴重な作品です。
そして、ケイト・ウィンスレットがその確かな演技力と破壊力抜群の可愛さを発揮しています。
演者も素晴らしい、脚本も素晴らしい、こういった映画にはなかなか巡り会えないのではないでしょうか。
切ないと同時に、とても面白い作品なので一見する価値ありの映画です!!