50回目のファーストキス

「50回目のファーストキス」はアダム・サンドラー&ドリュー・バリモアをメインキャストに据えた笑えて泣ける傑作ラブコメです。

2005年に上映された本作から13年の歳月を経て、2018年には日本でも山田孝之・長澤まさみ主演でリメイクされるなど、時代を超えて愛される作品となっています。

今回は映画「50回目のファーストキス」のネタバレから考察、あらすじや裏話などをご紹介していきたいと思います!!

日本でもリメイクされるなど時代を超えて愛される作品ですね。
本作を観ずしてラブコメを語ることはできない!と言えるほど世界中をキュンキュンさせてしまった作品なのだよ!

50回目のファーストキス(2005年)

ハワイに住む獣医師であるヘンリー(アダム・サンドラー)は観光にくる女性達を口説き落としては一夜の関係に徹する生粋のプレイボーイ。

ある日、朝食に立ち寄ったダイナーで素朴で美しい女性ルーシー(ドリュー・バリモア)と出会う。

ヘンリーは彼女に一瞬で心を奪われ、そしてルーシーも彼に対し小さな恋心を芽生えさせる。

二人は次の日もデートの約束をし別れるのだが、翌日ヘンリーが彼女に話しかけると、彼女は自分を知らないと言う。

実は事故によってルーシーの記憶は一日しか持たないのであった。

それでも彼女を諦めきれないヘンリーは毎日彼女を口説き落とすという作戦に出る。

果たしてヘンリーとルーシーは記憶障害という壁を越える事ができるのか…。

50回目のファーストキス(ネタバレ・考察)

映画の数だけその映画にまつわる面白い裏話や小話は必ずといっていいほど存在します。

「50回目のファーストキス」の隠れた裏話にはどんなものがあるのでしょうか?

そこに迫っていきたいと思います!!

超意外な出演者の存在

冒頭でヘンリーと関係を持った複数の女性が映し出されるシーンがあります。

その中の歯医者と、治療を受けている女性が会話をしている場面があるのですがそこで歯医者役をしているのがなんとアダム・サンドラーの奥様です!

そして患者役は監督であるピーター・シーガルの奥様との事!

思わぬ所にサプライズ出演しているふたりでした。

ルーシーの病気はフィクション

短期記憶障害を患うルーシーですが、劇中で描かれている「ゴールドフィールドシンドローム」とは全くの嘘なのです!

記憶低下などを起こす障害は実在しても、ルーシーのように「寝ると記憶が消える」というのは現実ではないとの事。

そのため、現実に短期記憶障害の患者さたちにはいつ自分の記憶が消えてしまうのかもわからない恐怖が付きまとうのだそうです。

実話を元にしているという噂の真偽

映画「50回目のファーストキス」にはモデルとなった実話があるという噂が上映当時流れました。

その真偽の程は怪しく、短期記憶障害を持つ女性との恋愛についてのニュースや著書は海外サイトでも見つける事ができませんでした。

しかしながら、ルーシーのベースとなった可能性のある女性が実在したそうです。

二度の交通事故にあい、年々彼女の記憶力は低下していき、ルーシーと同じく短い期間の記憶しか保てなくなったと事です。

原文はこちら(英語)

タイトルに込められた「50」という数字の意味とは

原題は「50 first dates」、そして邦題は「50回目のファーストキス」。

デートからキスという変更はあるものの、50という数字に変更はありません。

短期記憶障害という壁を乗り越えてふたりが結ばれたのが50回目だったのだろうと考える人が多いのですが、実はヘンリーとルーシーは50回もデートしていないのです!

邦題になっている「キス」も同様で、50回目のキスが特別大切に扱われている訳ではありません。むしろ50回もキスしているかどうかまったく言及がないのでわかりません。

ではなぜこのようなタイトルがつけられたのか考察していきます。

ふたりの未来を暗示する数字

ふたりが出会い、そして愛を育むまでの時間はそれほど長くありません。

邦題では「50回目」となっていますが原題では「50th」という風に区切られた数字ではないことがわかります。

つまり、これから先の100回目、1000回目のデートへと向かう途中経過の数字として「50」という数字が使われているという事です。

10では少なすぎるし100だと切りが良すぎる、なんとも半端な数字である事が大切!

節目にするのではなく、ふたりがこの先何千回と積み重ねていく幸せな日々な序章である事を示す、非常に大切な数字なのでした。

ハワイは50番目の州

アメリカには50の州があり、愛国心の強いアメリカ人にとっては非常に身近で大切な数字でもあります。

そして本作の舞台となっているハワイは50番目の州である事もまた大きな要因なのかもしれません。

単に語呂がよかっただけと考える事もできますが、作者が意図しない偶然にも映画の魅力があるといえます。

ただの数字ではなく、意味のある数字だったんですね!
コメディー要素は強いが中々奥の深い作品だという事をわかっていただけたかな?

ヘンリー愛の口説き集(カフェ編)

毎日記憶を失ってしまうルーシーを毎日口説き落とすというなんとも無謀な考えに至るヘンリーですが、その口説きのテクニックは絶対真似するべき!?方法ばかりです。

一見バカげた行動にも見えますが、彼がいかにルーシーへの揺るがぬ想いをもっているかがよく分かるシーンでもあります。

初めてのデート

ワッフルで家を建てるルーシーがドアの構築に苦心している所にさりげなく近付き、蝶番としてこれを使ったら?とつまようじを持ってアドバイスします。

ルーシーの興味の対象にさりげなく踏み込み、プレイボーイならではの軽快なトークで彼女との距離を詰めます。

お昼まで話し込んでしまうほど意気投合する二人は翌日もデートの約束をし別れる事になります。

二度目のデート?

頭を打ったヘンリーは気を失いながら妄想の世界でルーシーとデートします。

妄想の中で彼女が「次の日も次の日も」という発言をするのが後の短期記憶障害への伏線となっています。

夢の中でも彼女を想い、他の女性とのデートも上の空。

プレイボーイだった男が真実の愛に目覚めます。

二度目のデート

翌朝ルーシーとの再会を果たすヘンリーでしたが、彼女はヘンリーの事を少しも覚えていません。

ふたりの2度目のデートはわずか数秒で終わりを告げ、このシーンでヘンリーは彼女が「短期記憶障害」である事を初めて知る事になります。

毎日彼女を口説き落とすと決意するヘンリーは、プレイボーイの行動とは思えない程突飛で悪ふざけにも見える行動で彼女を口説きます。

人が恋に落ちるとバカな行動をとってしまう様子は必見で、テクニックではなく純粋な想いが溢れる行動は必見です。

ヘンリー愛の口説き集(道路編)

毎日通り道で待ち伏せするなんて完全にストーカーですね!
そんな行動もユーモラスに描けている所がこの作品の魅力であり、俳優陣の演技力の高さの証明といえます。
  • 車のバッテリーが上がったフリ
  • 道路の整備をしてるフリ
  • ペンギンを道路に立たせる(気づかれず危うくペンギンが死にかける)
  • ボコボコにされてるフリをして助けを求める(ルーシーに協力者が鉄バットでボコボコにされる)
  • 車の荷台で縛られてるフリ(ルーシーの父兄が登場して失敗)

ヘンリーとルーシーの変化

ヘンリーはルーシーを毎日口説きますが、ルーシーが前向性健忘であることを認識したときから、このままでは幸せになれないと思い立ち、行動を開始します。

この事によりルーシーにも変化が現れ、少しずつ二人の関係が進展していくのです。

どのように障害を乗り越えていったのかを明らかにしていきましょう。

ヘンリーの決意

毎日のようにルーシーを口説いてきたヘンリーでしたが、秘密がバレてしまった一日を目の当たりにし、このままではいけないと決心します。

美しいユリの花と共に、彼女が記憶障害である事、そしてたくさんの人々に愛されていることを伝えるビデオテープを渡すのです。

これによって記憶がない中でも二人の関係が進展していることを伝え、時間の針を進めようとしました。

記憶からヘンリーを完全に削除

ヘンリーには海洋学者として島を出て調査に行きたいという夢があることを、ルーシーは聞いてしまい、自身の存在がヘンリーを縛っていると考えるのです。

心からヘンリーを想うルーシーは彼との思い出を記した日記を改ざんし、ヘンリーとの思い出を全て削除し、彼を開放する決意をします。

諦めきれないヘンリーは彼女の説得を試みますが、ルーシーの愛の深さを理解し、お互いの為に別れを一度は決意するのです。

夢への出航

海洋学者としての夢を叶えるため、そしてルーシーへの想いを断ち切るべくハワイを旅立つ決意をします。

彼女との思い出の曲を流し、号泣しながら大海原を突き進むヘンリーでしたが、彼女の心に自分が残っていることに気付きルーシーに会いに病院へとかけつけます!

久しぶりの再会を果たす二人でしたが、やはりルーシーは彼を覚えてはいませんでした。

しかし、彼女のアトリエにはヘンリーの肖像画が所狭しと飾られ、彼女のどこか深い所にヘンリーが存在している事がわかります。

ルーシーの記憶の秘密

父とパイナップルを取りに行く道中で壮絶な交通事故にあい「短期記憶障害」を患ってしまったルーシー。

事故以前の記憶はあるものの、事故後は一日しか記憶が保てない症状が見られています。

ヘンリーと出会って変化していった、彼女の記憶を見ていきましょう。

一夜を共にした日の翌日…

23回目のファーストキスをした日、ヘンリーは関係の進展を求めます。

しかしルーシーにとってヘンリーは毎日他人なのです。

それでも徐々に愛を育む二人に進展が起こります。

本人もその時間を大切にしたいからまだ眠りたくないと発言し、ヘンリーもまだ寝ちゃだめだと言ってる事からやはり記憶喪失のトリガーは睡眠である事がわかるのです。

実在する病気ではないので、じゃあお昼寝は?とか一分ぐらいの睡眠でも記憶を失ってしまうのかなどの疑問は残りますがそこは二人の愛にめんじて目を瞑りましょう。

ルーシーは本当に記憶を喪失するのか

本作の中でも非常に重要な要素である彼女の記憶障害ですが、結論から言うとラストまでその症状が治る事はありません。

たしかに彼女が引き出させる記憶にヘンリーの存在はないのかもしれません。

しかしながら彼女の「脳」なのか「心」なのか定かではありませんが、ヘンリーとの記憶が深い所に刻まれているような描写があります。

無自覚ながらヘンリーの絵ばかりを描いてしまい、思い出の曲を口ずさむルーシー。

安っぽい言葉になってしまいますが、深い愛情が生んだ小さな奇跡だったのかもしれません。

障害を乗り越え幸せな生活を送る二人

重めのテーマで描かれた「50回目のファーストキス」でしたが、設定を汚すことなくハッピーエンドを迎えさせたことがなによりも素晴らしいポイントだと思います。

病気や障害を抱えながらの純愛というテーマの作品は洋画・邦画問わず多く存在します。

多くは悲しい結末だったり、奇跡的に病気が治癒するというような強引なラストです。

しかし本作はしっかりと二人が病気と向き合い、上手な付き合い方を模索し、そして子どもと共に旅をするというラストを迎えます。

近年の映画にありがちな”観客の想像におまかせする”ような手法は取らず、しっかりと二人の愛の結末を描いた事で、観てる者になんとも言えない後味の良さと高揚感を得られる作品になったのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

重いテーマの今作ですが、本当に楽しく観れるラブコメ映画のレジェンド的存在だと自信を持っておすすめします。

現在はアマゾンプライムビデオでのレンタルが最もお手軽な視聴方法となるので、気になった方はチェックしてください。

毎年夏になるとこの作品を視聴したくなる程、中毒性の高い作品です!

山田孝之、長澤まさみ主演、そしてムロツヨシの演技も光る日本リメイク版もあるので、ぜひ原作との違いなどをお楽しみください。

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