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「アルマゲドン」は1998年にアメリカで公開されたSF映画です。

監督は「バッドボーイズ」(1995年)、「トランスフォーマー」(2007年)などを手掛けたマイケル・ベイ、主演はブルース・ウィリスが務めています。

「アルマゲドン」は小惑星の衝突で滅亡してしまう地球を救うべく、宇宙へ飛び立ったならず者たちの奮闘を描いた物語です。

1998年の全世界年間興行収入1位を達成するほどの人気を持つ「アルマゲドン」は、2021年現在でも感動の名作として語り継がれる作品になっています。

本作の人気は海外だけでなく日本でも非常に高く、日本の歴代興行収入ランキングではなんと総合”15位”に入っているほどです。

そんな「アルマゲドン」の感動的な要素に力を入れた映画制作や登場人物の活躍などに触れていきながら、本作の魅力を紹介していきます。

ちなみに世界での興行収入は約600億円、日本での興行収入は約135億円と言われているよ。

アルマゲドン(1998年)

見どころ
ブルース・ウィリスが主演し、リヴ・タイラーが愛娘役を演じた本作。リヴの実父、スティーヴン・タイラーが所属するエアロ・スミスの主題歌が涙を誘う。
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ストーリー
テキサス州並みの大きさを誇る小惑星が18日後に地球と衝突することが発覚。NASAは小惑星を核爆弾で破壊する計画を打ち出し、石油発掘のプロであるハリーに白羽の矢を立てる。ハリーは娘の恋人で部下のA.J.をはじめ、信頼の置ける仲間たちを招集するが…。
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アルマゲドン(ネタバレ・考察)

2021年現在でも感動の名作として広く語り継がれる映画「アルマゲドン」。

そこで「アルマゲドン」が感動できる映画として親しまれる理由を、いくつかの要素に分けて考察していきます。

分かりやすく彩られた物語や演出

「アルマゲドン」のストーリー展開は非常に分かりやすく、初めてこの映画を観る人であっても楽しみやすい映画になっています。

登場人物の演技や映像、ストーリーに合わせた音楽などにより、今観ている場面がどんな状態なのか非常に理解しやすいです。

そして感動させたいと監督が意図している場面では、観客を感動させるために用意された演出がいくつも組み合わせて使われています。

そのため物語が盛り上がる場面が非常に分かりやすく、洋画の入門として非常に適した作品だといえるでしょう。

ここまで上手く映画を組み立てた監督の手腕に、思わず驚かされてしまいますね。

人間味あふれるならず者たちが地球を救う鍵!?

地球を救うために立ち上がったのは、映画の主人公にありがちな素晴らしい人格の”英雄”ではなくハリーが率いる石油採掘を生業としているならず者たちの集まりでした。

彼らは任務をこなすために必要な採掘の技術は素晴らしい腕ですが、非常に素行が悪くて人間性にも問題がある人たちです。

宇宙飛行士の適性検査は全員不合格、宇宙に行くため必要な対重力の訓練では弱音を吐き、自分の命がかかっている重要な座学すらまともに受けない彼らは正に”ならず者”であり、破天荒な連中だといえます。

また、地球の危機という一大事であるのにもかかわらず、報酬をきっちりと要求するところなどもちゃっかりしていて人間味に溢れているのです。

「アルマゲドン」は彼らが活躍する映画であるため、人間らしく等身大の姿を見せてくれる登場人物たちにとても感情移入がしやすい映画だといえます。

ならず者なのにどこか親しみやすい人たちですよね!
そんな彼らが”英雄”に変わっていくのも、本作の見所だと言えますよ。

諦めずに困難に立ち向かうならず者たち

宇宙飛行士として最低限の訓練をなんとか終えて宇宙に飛び立ったハリーたちですが、彼にはさまざまなトラブルが襲いかかってきます。

老朽化した宇宙ステーションの爆発に始まりスペースシャトルの墜落、大統領の命令による核爆弾の起爆未遂、採掘装置の度重なる故障など…。

これらのトラブルによって採掘チームたちは一人ずつ命を落としていき、ハリーたちは次第に追い込まれていきます。

特にスペースシャトルが墜落した時は、その場に居合わせた全員が絶望してしまうほどの大きな衝撃が走りました。

そんな諦めても仕方がないと思えるほどの絶望的な状況であっても、決して諦めようとしないハリーたちの胆力に心を打たれることでしょう。

ハリーとA.Jの厚い信頼関係

ハリーは娘のグレースと隠れて付き合っていたA.Jとは、表面上強くいがみ合っていました。

しかし彼らは心の底でお互いに信頼し合っていることが見えており、血が繋がっていないのにもかかわらず、本当の親子のような関係に感じられます。

A.Jたちが乗っているスペースシャトルが墜落した時、ハリーは真っ先に彼を心配するもその後「アイツが勝手に死ぬ訳がない」とつぶやいており、A.Jに対する信頼が強く現れていました。

ハリーたちはA.Jが居ないまま採掘を進めていきますが、後少しで目標地点まで掘れるという時に、突然起きた地割れで採掘機が部下ごと奈落に飲み込まれてしまいます。

数多くの困難を乗り越えてきたハリーですら絶望してしまう状況でした。

そこに駆けつけてきたのが、小惑星に墜落したものの九死に一生を得ていたA.Jたちです。

その時ハリーが感じた気持ちはA.Jが生きていたという嬉しさと「やはりアイツは生きていた!」という彼に対する信頼でした。

彼らの不器用だけどお互いを思う心が、映画に感動をもたらす一要素となっています。

ハリーが最後に取った決断とは

穴を掘り終え後は小惑星から離れるだけだった採掘チームですが、地震の影響で遠隔起爆装置が壊れてしまい、一人だけ小惑星に残って爆弾の近くで起爆装置を押す必要ができてしまいます。

ここでは採掘チームのメンバー全員が、自分で起爆装置を押しに行くと言って譲らないなど、英雄になりたいという願望や自己犠牲の精神が見えてくる一場面です。

誰も譲ろうとしなかったためこの場に残る人はくじ引きで決めますが、A.Jがハズレを引いてしまって小惑星に1人残ることになります。

しかし下まで見送りに来たハリーが突然A.Jから起爆装置を奪い取ったあと、彼を宇宙船に無理やり押し戻し、代わりに一人で起爆に向かったのです。

なぜハリーがA.Jの代わりに残る選択を取ったのか、それは娘のグレースと、彼女と付き合うA.Jのことを思った行動ではと考えられます。

既に年を取っているハリーではグレースを見守り続けることができません。

更に彼は非常に不器用な性格であり、娘とのコミュニケーションを今まで上手く取れていませんでした。

そのため、グレースが最も信頼できて共に寄り添っていける相手のA.Jを地球に帰らせることこそが、グレースの幸せにつながるとハリーは考えたのでしょう。

ハリーは自分の命を犠牲にして英雄になりたかった訳ではなく、グレースとA.Jのこれからの未来を思ったからこそ、彼の代わりに残ることを決意したのです。

ハリーの取った行動に涙が止まりません…。
これぞ”究極の親子愛”だといえる、この映画で特に感動的な場面だといえます。

皆の命を救った”ロシア式”の修理方法とは?

映画の終盤でスペースシャトルが動かなくなってしまった際、レヴが「これがロシア式の修理だ!」と言いながらレンチで機械を殴ります。

するとどういう訳か宇宙船が再び動き出し、彼らはなんとか爆発寸前の小惑星を脱出することに成功しました。

そんな不思議が詰まっている”ロシア式の修理”について考察していきます。

”叩くと直る”は本当なのか?

レヴが行っていた”機械を叩くと直る”というものは、現実世界でも見ることのできた現象ですが、一体どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。

これは昔のテレビなどで見られる、画面が映らなくなった時にテレビの本体を叩いたりすると再び映る現象のことを指しています。

それだけ聞くと叩くだけでテレビが直っているように見えますが、不具合が叩いたことで一時的に解消されただけなのです。

叩いたことで起きるのはテレビの中の接触不良が一時的に改善したり、衝撃で中に積もったホコリが落ちて電気を再び通すだけであり、故障に対する根本的な解決はできていません。

そのため、”叩くと直る”という事実は正しくなく、機械の不具合に関しては専門家に任せることが一番重要だといえます。

時代が進んで”叩くと駄目”に!

叩くと一時的に直ることがあった昔の機械ですが、現在使われている機械は決して叩いて直そうと試みてはいけません。

2000年以降続々と登場してきた電子機器は、今までの機械と違ってほんの少し衝撃を与えるだけで不具合を起こしてしまいます。

これは今の機械が昔に比べてICチップのような精密な部品を使い始めたためです。

そのため「アルマゲドン」での一場面みたいに精密な機械を叩くのは絶対に止めましょう。

今でも昔からの癖で、電子機器の調子が悪い時に叩いて直そうと考えている方は注意が必要です。

立ち寄ったロシアの宇宙ステーションで事故が起きたのは、もしかしたら”ロシア式修理”が原因かもしれませんね。

小惑星を真っ二つにする爆弾の威力はどれほどなのか?

「アルマゲドン」で宇宙から飛来してきた小惑星は、テキサス州ほどの大きさ(約1000km)の小惑星です。

映画では一つの爆弾だけで小惑星を真っ二つにしていましたが、あの小さな爆弾で破壊できるとは到底考えられません。

そこで今回は実際に練られていた小惑星を破壊する計画についてや、どんな爆弾があれば小惑星を破壊できるのかを考察していきます。

アルマゲドン計画は実際に練られていた!?

”小惑星の衝突をどうやって防ぐのか”が「アルマゲドン」の物語ですが、実は映画の上映より数十年も前にこのことについて考察をした人たちが居たのです。

19年周期で地球に接近する小惑星の「イカルス」が地球に衝突することを想定した議題で、1967年にマサチューセッツ工科大学の教授と生徒たちによって議論されていました。

そんな彼らが出した結論は早期に小惑星を発見して、爆弾の衝撃で軌道をそらすというものです。

小惑星を爆弾で破壊するためには、直径が1kmという大きさの「イカルス」ですら約1000メガトンという途轍もない威力の爆弾が必要になります。

1000メガトンというのは当時開発されていた最強の核爆弾の20倍近い出力であり、そんな爆弾を用意した上で遥か彼方の小惑星にぶつけることは当時の技術ではまず不可能です。

つまり、「アルマゲドン」で登場する小惑星を破壊するためには、よほど破壊力の高い爆弾が無い限りできないということが分かります。

小惑星を破壊するにはどれほどの爆弾が必要なのか?

直径1kmの「イカルス」を破壊するのでさえ、非常に強力な爆弾が必要だと言われています。

それよりも遥かに大きい「アルマゲドン」の小惑星を破壊するにはどんな爆弾が必要なのでしょうか。

実は2012年に「アルマゲドン」で登場する小惑星を破壊するための作戦について考察した論文が、英レスター大学の研究チームによって書かれています。

ちなみに論文の題名は「Could Bruce Willis Save the World?(ブルース・ウィリスは世界を救えるか?)」であり、非常に格好良いタイトルです。

しかし、その論文では「現在の技術だと、地球をアルマゲドンからこのような手段で守ることはできない」という結論が出されました。

理由は非常に明確で、「アルマゲドン」で登場する小惑星を真っ二つに破壊するためには地球上で使われたことのある最強の核爆弾より”10億倍”の出力を持つ爆弾が必要だと計算されたためです。

そんな爆弾は当然地球に存在せず、映画のような爆破を試みるのは無謀としか言いようがありません。

もし衝突を防ぎたいのであれば小惑星に地球とは違う方向に向かう推進装置を設置して、進路を地球からずらすことが一番現実的な方法だとこの論文では考察されています。

「アルマゲドン」という映画の内容に対して夢もロマンもありませんが、これが現在の技術で映画の作戦を考察した人たちの見解です。

映画に対して論文で科学的考証に突っ込むなんて、彼らはロマンが分かっていませんね!
逆に考えるとこの映画は論文を書く題材として認められるほど、人々から愛されている映画だといえますよ。

「アルマゲドン」をより楽しむためのトリビアたち

ここまでは”感動的な映画”というポイントに焦点を当て、「アルマゲドン」という映画を紹介していきました。

しかしそれらの要素以外でも、映画の内容に直接関わらないものの、作品を彩るトリビアなどがいくつか存在しているのです。

そんな「アルマゲドン」に秘められた、映画をより楽しむための情報などを紹介していきます。

エアロスミスがアルマゲドンで主題歌を歌った理由とは?

アルマゲドンの主題歌は、世界的に有名なロックバンドグループのエアロスミスによって歌われた「ミス・ア・シング」です。

そんな世界的なロックバンドグループのメンバーが、「アルマゲドン」の主題歌を歌ったのには一つの理由がありました。

実はハリーの娘役、グレースを演じた女優のリヴ・タイラーはエアロスミスのボーカルであるスティーヴン・タイラーの娘だったのです。

スティーヴンはリヴに対してとても甘く、女優を目指す彼女の活動をエアロスミスのボーカルという立場を使いながら手助けしています。

「アルマゲドン」の主題歌を担当したのも、彼女の俳優業をサポートしてあげたかったためなのではないでしょうか。

余談ですが、グレースがハリーに泣きながら別れを告げる場面で、リヴの演技は父役であるブルース・ウィリスではなく実の父、スティーヴンの写真を見ながら演技していました。

彼女は実の父を見ながら別れの場面を演じることによって、よりリアルな感情表現ができたそうです。

親子の仲がとても良好であることが見えてくる、とても微笑ましいエピソードになっています。

最高と最低の賞に同時ノミネートされた!?

「アルマゲドン」がノミネートされた最高の賞とは、ほとんどの人が一度は耳にしたことがある”アカデミー賞”のことを指しています。

アカデミー会員からの支持が最も多かった映画がノミネートされ、これに選ばれるのは映画業界でとても名誉なことです。

一方最低な映画に与えられるのは”ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)”で、これはアカデミー賞を茶化したイベントで授与されます。

ラジー賞は一年を通して特に否定的な意見が多かった映画を選び表彰するイベントであり、映画業界では絶対に選ばれたくない不名誉な賞です。

「アルマゲドン」は興行的に大成功を収めますが、作品に対して賛否両論の意見が飛び交っていました。

その結果、「アルマゲドン」はアカデミー賞で4部門にノミネートされましたが、ラジー賞でも5部門にノミネートされ、2部門で受賞してしまいます。

つまり「アルマゲドン」は最高と最低の映画を表彰するイベントの両方で複数選ばれてしまったのです。

特に主題歌の「ミス・ア・シング」はアカデミー賞とラジー賞の両楽曲部門でノミネートされるという珍しい事態を引き起こしました。

他にも両方の賞でノミネートされた映画はあるのでしょうか?
「アルマゲドン」の他には2021年現在で5作品存在しており、その中でも「ウォール街」(1988年)という映画は両方の賞を獲得してしまった作品です。

日本の有名アイドルが映画に登場していた!?

実は「アルマゲドン」に日本の名アイドル、松田聖子がカメオ出演という形で登場していました。

カメオ出演とは、有名人を一瞬だけ登場させることで作品の話題性を高める効果を狙う、映画で広く使われる手法の一つとなっています。

実は監督のマイケル・ベイが松田聖子のミュージックビデオ制作に携わっており、その縁で彼女に映画出演の依頼がきたそうです。

名アイドルの松田聖子がハリウッド映画に出演したことは上映当時の日本で話題になりました。

ちなみに彼女は映画の序盤で流星群が降り注ぐ中、早く買い物がしたいと言い出すマイペースな観光客を演じています。

出番は一瞬だけですが、松田聖子がその後どうなったのか気になった人は、是非「アルマゲドン」を観てみましょう。

まとめ

「アルマゲドン」はならず者たちが地球の命運を背負い小惑星に挑む壮大な物語です。

ハリーたちが訓練や宇宙での試練を通じて、ならず者から”英雄”に変わっていくのは涙なしには観られません。

また、個性的な登場人物たちによって描かれる人間ドラマや、間に挟まれたクスリと笑えるコメディ要素にも注目です。

映画が上映されてから長い年月の経った今でも多くの人々に親しまれる映画「アルマゲドン」。

感動できる映画が好きな人には特におすすめの作品です。

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