
「レディ・プレイヤー1」は2018年にアメリカで公開されたVR世界を舞台にしたSFアクション映画です。
スティーブン・スピルバーグが監督を担当し、近未来を描きながら80年代のポップカルチャーを取り込み、さまざまなイースターエッグを仕込むことでファンを喜ばせました。
そのこだわりのためにスピルバーグ監督はライセンサーと熱心に交渉し、脚本に登場するキャラクターやモチーフの80%から承諾を取り付けたのです。
単体の映画としての楽しみ以外にも、イースターエッグ探しが楽しい本作の魅力をお伝えしていきましょう。
レディ・プレイヤー1(2018年)
2045年の世界では、世界は荒廃し、人々は厳しい生活を強いられていた。そんな中、若者たちを中心に心の拠り所となっていたのが VR空間「オアシス」だった。
誰もが理想の自分になり、好きに暮らすことができる世界は、人々にとってまさしくオアシスだったのだ。
だがある日、創設者のジェームズ・ハリデーが亡くなり、遺言を残した。
「全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界の全てを授けよう」
この宣告に世界中が沸き立ち、莫大な遺産を手に入れるべく争奪戦が始まった。
17歳のウェイド・ワッツは現実ではパッとしない生活を送っていたが、ハリデー年鑑の情報をもとに5年間クリアできなかった最初の謎を解き、一躍有名人になる。
このことから遺産を狙う大企業に目をつけられたウェイドは、オアシスの中で出会った友人たちと力を合わせて大企業に対抗し謎を解明すべく奮闘する…。
レディ・プレイヤー1(ネタバレ・考察)
「レディ・プレイヤー1」は隠し要素だけではなく、トリビアにも溢れています。
知っているとちょっとお得な気分になれるトリビアをご紹介していきますので、見ていってください。
アーティファクト「ゼメキス・キューブ」の由来
作中に登場する、60秒間時間を巻き戻せる「ゼメキス・キューブ」ですが、名前は映画監督のロバート・ゼメキスから取られています。
名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を監督し、本作でもウェイド/パーシヴァルの愛車としてデロリアンが登場するなど縁が深いです。
時間に関係するアイテムということで、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」由来で監督の名前がつけられています。
ガンダムの決めポーズが初代ではなかった理由とは
クライマックスのバトルで登場したメカゴジラに対抗すべくダイトウが変身するのは「機動戦士ガンダム」に登場するRX-78-2ガンダムですが、登場の決めポーズが違うことに気づいた人もいるのではないでしょうか。
これは続編に当たる「機動戦士ガンダムZZ」のポーズなのですが、原作者であり脚本も担当したアーネスト・クラインは「ZZのポーズがかっこいいからそっちにした」とコメントしています。
ポップ・カルチャーに明るいアーネストならではの発言で、細かいこだわりが随所に感じられます!
様々な理由で登場できなかったキャラクター
交渉の末に数多くのキャラクターを登場させ、ポップ・カルチャーの宝箱のような映画になった「レディ・プレイヤー1」ですが、やむを得ず登場できなかったキャラクターもいます。
その筆頭がウルトラマン。円谷プロは海外での著作権に関して係争中であり、クリアにできなかったため登場は見送られることになりました。
2020年にはすべての権利が円谷プロに戻ったので、続編があれば登場する可能性が高いそうです。
映画中ではガンダムが3分間しか変身できないことで、ウルトラマンの役割を担っています。
それ以外には東映版「スパイダーマン」に登場する巨大ロボット・レオパルドンも原作には登場していましたが、海外での知名度が全然なかったためオミットされているのです。
レディ・プレイヤー1で引用されている映画
制作のワーナー・ブラザーズが権利を持っているものに限らず、数多くの映画が引用されています。
ガッツリ写っているものからちょっとだけ登場しているものまでありますが、有名かつわかりやすく引用されているシーンを拾って言及していきましょう。
バック・トゥ・ザ・フューチャー
パーシヴァルがレースで運転するマシンは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するデロリアンで、ホバー機能もついています。
TVドラマ「ナイトライダー」に登場した人工知能KITTを搭載するなど、かなりカスタムされているのです。
またアルテミスのバイクを修理しているときに、パーシヴァルをマクフライと呼ぶのはBTTFの主人公の名前から来ています。

「バットマン」シリーズ
冒頭でオアシスを説明するときに山を登っているのはティム・バートン版のバットマンです。
またレースシーンではTVドラマ版のバットモービルも登場します。
ダンスクラブのシーンや最終決戦のシーンでジョーカーやハーレイ・クイン、デッドショット、デスストローク、バットガール、キャットウーマンなども登場するのです。
ロボコップ
ロボコップは映画序盤のオアシス内で歩く姿が確認できます。また、レースシーンではアルテミスがバイクでジャンプする背景に、映画に登場するデルタシティの看板があるのです。
さらに、エイチの作業場ではロボコップの敵になったロボット”ED-209”も飾られており、存在感をアピールしています。
スター・トレック
オアシスの創設者ハリデーの葬儀シーンは、「カーンの逆襲」で葬られたミスター・スポックの葬儀シーンと同じです。
またハリデーの葬儀シーンで飾られている花の形が、スター・トレックのマークとUSSエンタープライズ号をかたどっています。
シャイニング
第2の試練の舞台になっているのがスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」です。
双子の少女、血であふれる廊下、老婆になって襲ってくる美女など細かく再現されており、さらには当時の映写フィルムに合わせて画像を粗くするというこだわりが見えます。


スター・ウォーズ
パーシヴァルが腰に下げているホルスターはハン・ソロのものになります。
ソレントがパーシヴァルを勧誘するときに提示したミレニアム・ファルコンもハン・ソロの愛機ですね。
第一の試練でアノラックから「パダワン」と呼ばれるのは、スター・ウォーズに登場する修行中のジェダイの呼び名になります。
エイチ、ダイトウ、ショウが序盤で参加しているアーティファクト争奪戦にも、ストームトルーパーが参加するなど、登場シーンは多いです。
ジュラシックパーク、キングコング
どちらも第一の試練であるレースゲームに登場します。
「ジュラシックパーク」からはT-REXが登場し、車両を破壊して回るシーンは原作そのものです。
スピルバーグ監督作品からの登場ということで登場時間は短いですが、インパクトは十分にあります!
「キングコング」はピーター・ジャクソンが監督したバージョンに見えますが、ゴール前を守る絶対的守護神としてレーサーを阻みます。
アイアン・ジャイアント
エイチが工場で組み立てていたメカの中にアメリカアニメ映画の有名キャラ「アイアン・ジャイアント」がいます。
最終決戦ではメカゴジラに中破され、パーシヴァルたちを溶岩の裂け目を渡らせるために橋になり、アイロックの攻撃を受けて力尽きますが、溶岩の中でサムズ・アップします!
これは有名な「ターミネーター2」の最終シーンがモチーフです。
ゴジラ対メカゴジラ
ソレントが最終決戦で選んだ巨大ロボがメカゴジラで、登場シーンは伊福部昭のゴジラのテーマが流れるという嬉しい仕様です。
ガンダムやアイアン・ジャイアントとのバトルはこの映画の大きな見どころの1つになっています。
レディ・プレイヤー1で引用されているアニメやゲーム
数多くの映画の引用以外にも、年代を問わず多くのアニメやゲームキャラクターが登場しているのも「レディ・プレイヤー1」の特徴です。
数多くある中から、目立ったところについて言及していきましょう。
サンリオのキャラクター
オープニングでパーシヴァルが歩いている横にハローキティ、けろけろけろっぴ、バッドばつ丸の3人が並んで歩いているのが確認できます。
またハリデー年鑑のところや、アルテミスの金田バイクにもハローキティが見られるのです。
マッハGoGoGo
第一の試練であるカーレースのスタート時にマッハ号が並んでいるのが見えます。
海外では「スピード・レーサー」の名前で知られ、映画化もされているため知名度は高いのです。
カウボーイビバップ
サンライズが作成したSFハードボイルドアニメ「カウボーイビバップ」からは主人公スパイクが乗っている高速艇ソードフィッシュⅡが登場します。
エイチの倉庫内の奥の方で独特のフォルムが目立つように置かれているので、気づいた方も多いのではないでしょうか。
機動戦士ガンダム
世界中にファンを持つロボットアニメの革命的な作品に登場する主人公機ガンダム(RX-78-2)が最終決戦で登場します。
ダイトウの「俺はガンダムで行く!」とつぶやくところは屈指の名場面として知られているのです。
ストリートファイターⅡ
カプコンが世に放ち、対戦格闘ゲームブームに火を付けた名作からはリュウ、春麗、ブランカ、サガット、エドモンド本田らがスクリーンで登場します。
リュウはレース直前と、パーシヴァルとエイチの買い物シーンに登場する他、必殺技である波動拳をパーシヴァルがソレントに使うシーンも見られるのです。


HALO
XBOXを中心に世界中で愛される一人称視点のSFシューティングゲームは、独特のアーマーを着込んだスパルタンたちが最終決戦で登場するのです。
またアバターとして宗教国家コヴナントの一団も最終決戦で姿を確認できます。
パーシヴァルとエイチが買い物するシーンでは、買い物ブースにHALOのコーナーがあるなど、この時代でも人気は衰えていないようです。
モータル・コンバット
欧米で人気を誇り、映画化もされた格闘ゲームは「レディ・プレイヤー1」にたくさん出てきます。
随所で見られるオレンジバックに龍のマークが有るのはモータル・コンバットのロゴです。
第一の試練をクリアしたパーシヴァルがハリデー年鑑を訪れたときに助けてくれたキャラクターは「モータル・コンバット」の中ボスである、4本腕の怪人ゴローになります。
3つの試練を乗り越え、アノラックの玉座に入ったときは登場キャラクターの像が並んでおり、ハリデーがいかにこのゲームを愛していたかが分かるのです。
オーバーウォッチ
海外で特に人気を誇る三人称視点のシューティングゲームからはトレーサーとリーパーが登場します。
トレーサーは冒頭でポータルに飛び込む姿とダンスクラブ、最終決戦で突撃するシーンで目立つ姿を確認できます。
まとめ
これまで言及した以外にも多くのキャラクターや映画、音楽が引用されており、70年代~90年代まで幅広いポップカルチャーの小ネタにあふれている本作。
社会派な作品と娯楽作品を中心に撮影しているスピルバーグの作品の中でも思いっきり娯楽に力が入っており、往年の娯楽監督が帰ってきたとファンからの支持を受けました。
過去のカルチャーを知る人はもちろん、知らない人は興味を持つことで新しい扉を開くきっかけになる名作ですので、何度も観てネタ探しをするのがいいでしょう。
明確な善悪の対比と少年少女の活躍が楽しめるアドベンチャー大作として、ぜひ観てほしい1本です。