映画 シャザム

出典 : (C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

普通の子供が突然スーパーパワーを手にしたら一体どんな風に使ってしまうのか。

「シャザム!」は2019年に公開された見た目が大人で中身が子供という、今までにないヒーローを題材とした映画です。

アニメ作家から長編映画の世界へ飛び込み、「ライト/オフ」(2016年)などで成功したデヴィッド・F・サンドバーグが監督、本作で知名度を上げたザッカリー・リーヴァイとアッシャー・エンジェルが主演を務めました。

本作は「シャザム!」と唱えることでスーパーヒーロー“シャザム”に変身する力を手にした少年ビリーによる新たな家族と送る日常、そして力を狙うヴィランとの戦いを描いた物語です。

正義感は強いがいたずら好きな少年ビリーをアッシャー・エンジェル、彼が変身する大人の姿はザッカリー・リーヴァイが演じる特徴的な作品となっています。

また、本作はDCコミックスを原作とする映画作品群(DCEU)の持つダークな雰囲気を払拭した非常にコミカルな作品になっており、一味違った楽しみ方ができる映画です。

そんな映画に関係するスーパーヒーロー、シャザムの成り立ちや彼が魅せる面白さ、そして特別な能力についてなどを紹介していきます。

シャザム!(2019年)

見どころ
コドモからオトナになってしまったスーパーヒーロー・シャザムと最凶の宿敵・Dr.シヴァナのバトルシーンは大迫力。コミカルなシーンも満載で大人も子供も楽しめる。
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ストーリー
身寄りのない思春期ど真ん中の子供・ビリー。ある日突然、彼は魔術師によって「シャザム!」と唱えるとスーパーヒーローに変身できるように。ビリーがそのスーパーパワーをヒーローオタクのフレディと無駄遣いしていると、科学者のDr.シヴァナが現れ…。
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シャザム!(ネタバレ・考察)

本作で活躍するヒーローのシャザムですが、彼は非常に魅力あふれる人物だと言えます。

彼の人間性や考え方、面白い行動をとってしまう子供らしさなど…。

そんなシャザムについて誕生した経緯から彼の性格、そして強さの秘密などを紹介していきます。

シャザムが誕生した意外な理由とは

ヒーローの力を手に入れたのは、バスケス家の養子になった14歳の少年、ビリーでした。

本当の母親を探すため、いつも里親の元から逃げ出す問題児ですが、根は友人思いでとても優しい少年です。

ある日同じ家族になったフレディが学校で悪ガキに虐められているところを助けてあげます。

そして相手から逃げ出すため電車に乗り込みますが、逃げ込んだ電車の風景がどんどん変貌していき、扉が開きビリーが降りた場所は謎の遺跡だったのです。

そこで出会った魔術師に「私に残された時間がもうない、だから正義感の強いお前にシャザムの力を託そう」と言われます。

困惑しながらもビリーは、「シャザム」という名前を口にするよう言われたため流されながらもつぶやきました。

すると彼にシャザムの力が宿り、意図せず急にヒーローという強大な力を手にしてしまうのです。

ビリーと魔術師はなにか関わりがある訳でもなかったため、歴代のDCコミックスに登場する人物の中でもあっさりと能力を手にしたヒーローだと言えます。

それほどシャザムの魔術師に残された時間は少なかったのでしょう。

シャザムの魅せる奇行の数々

「シャザム!」で注目してほしいポイントは、シャザムに変身したビリーが友人であり家族でもあるフレディと共に面白おかしい行動をとるところです。

「ヒーローになってそんなことをする!?」と言いたくなる能力の使い方に、思わず笑いたくなってしまうでしょう。

そんなシャザムが取った行動からいくつか抜粋して紹介していきます。

シャザムの見せたおもしろ行動

  • シャザムの能力を動画で撮影し、ネットにアップロードする
  • 指先から電撃を放ち、他人の携帯電話を勝手に充電する
  • 街中で能力を見せびらかしておひねりを貰う
  • 大人の姿になったことをいいことにエッチなお店に入ってしまう
  • 悪そうな奴(Dr.シヴァナ)に対していきなり悪い奴だと認定して先制攻撃、ただし返り討ちに合う

ヒーローの力で悪いことをしてしまう!?

“シャザム”という大人の姿に変身できるようになったビリーは、それを使って悪いことをしてしまいます。

ヒーローの力を悪事に使う様子は、正義の味方とは到底思えない行動です。

そんな変身して大人になったビリーがまず行った悪いこととは“お酒をコンビニで買って飲む”というとても小さな悪事でした。

しかも口には合わなかったのか、一緒に飲んだフレディと共にお酒を吹き出してしまうのです。

圧倒的な力を持つヒーローの力で行った悪事が年齢詐称と未成年の飲酒という点から、ビリーが大人に憧れている様子や、悪いことをするのに慣れていない可愛らしさを感じてしまいます。

他にもシャザムの力を見せびらかしておひねりを貰おうとするなど、とても子供らしい発想で小銭を稼いでいました。

大人になっても頭脳は子供、そんなギャップにあふれた姿がシャザムの魅力だといえます。

子供がお酒を飲んだら当然駄目ですけど、なぜ大人の姿になった時、お酒を飲んだのでしょうか?
”お酒が美味しく飲める”ことがビリーにとって理想の大人像だったのかもしれません。

シャザムの強さと名前の秘密

シャザムにはさまざまな力が備わっています。

賢者のように深い知識、岩もえぐり取る圧倒的なパワー、はるか上空から墜落しても傷一つ付かない頑丈さ、雷を落とす能力、強敵に立ち向かう勇気、高速で空を飛ぶ力など…。

これは「ソロモン(叡智)」「ヘラクレス(剛力)」「アトラース(体力)」「ゼウス(全能)」「アキレス(勇気)」「マーキュリー(神速)」という6人の神様の力が備わっているからこその強さです。

また、シャザムという名前もそれぞれの神様から頭文字を貰って「S.H.A.Z.A.M(シャザム)」と名付けられています。

シャザムが持つ能力の万能さや、圧倒的な力を秘めていることから“スーパーマンと並ぶ地上最強の男”という肩書きを付けられているほどです。

その圧倒的な能力を駆使したさまざまなアクションに注目してみてください!。

スーパーマンとの関係性、そしてどちらが強いのか

世界最強のヒーローとして呼び声高い“スーパーマン”。

そんなシャザムとスーパーマンにはいくつか関係しているものがありました。

見た目もピッチリした全身スーツ、それに似合った筋骨隆々な肉体、胸に輝くシンボルマークなどが共通しており、非常に似た者同士の2人です。

ここまで似ている理由は、シャザムがスーパーマンをリスペクトして生まれたヒーローという過去を持っているからでした。

そしてシャザムの肩書に「スーパーマンと並ぶ地上最強の男」があります。

そんな最強のヒーローであるスーパーマンと、彼に並ぶ強さと言われているシャザムという2人の力関係が気になってくる人は多いのではないでしょうか。

そこでDCEU映画の範囲で彼らの能力を比較していき、シャザムとスーパーマンのどちらが強いのか考察していきます。

スーパーマンの持つ圧倒的な強さとは?

DCEU最初の映画である「マン・オブ・スティール」でスーパーマンは登場しました。

彼は太陽の光を浴びると大幅にパワーアップするクリプトン人であり、大量に浴びることができる地球では圧倒的な力を発揮できるのです。

また、地球で育ったことでクリプトン人の能力が開花して高速で空を飛ぶ、目から熱線を放つといったさまざまな特殊能力を身に着けています。

そんなスーパーマンは本気を出してヴィランと戦った場合、地球を壊してしまうほどの力を秘めているのです。

シャザムと比べてもその戦闘力の高さは目を見張るものがあり、正に“最強という称号がふさわしい”ヒーローだと言えます。

完全無欠とも言えるスーパーマンですが、そんな彼にも弱点と言えるものがありました。

スーパーマンはメンタルが一般的な地球人に近いため精神的には最強でない点や、クリプトナイトと言われる希少な鉱石が放出する放射線が苦手です。

シャザムが戦う場合、数少ない弱点を突いて戦わないと厳しいかもしれません。

シャザムほどの多才さは無いけど、それを凌駕する圧倒的な強さがスーパーマンの特徴です。

シャザムとスーパーマン、どちらが最強なのか?

地球を何度も救ってきたスーパーマンとビリーの地元、フィラデルフィアでDr.シヴァナを倒したことが功績として挙げられるシャザム。

ヒーローとして成し遂げてきた偉業の多さや、シャザムも超える圧倒的な身体能力を発揮しており戦闘力は明らかにスーパーマンが高いと言えるでしょう。

しかし、シャザムにも秀でている点もあり、それはどんな知識人も凌駕するほどの圧倒的な知識を手にできる点です。

スーパーマンは今まで自分で学んできた知識が全てですが、シャザムは与えられた力の1つ「ソロモンの叡智」を使うと古今東西さまざまな知識を知ることができます。

そして過去の映画でスーパーマンと何度も戦いを繰り広げてきたヴィランであるレックス・ルーサーは、普通の人間でありながら知恵を巡らせることで何度も彼と善戦を繰り広げていました。

彼のように莫大な知識を活かして頭脳戦を仕掛けていくのであれば、シャザムにも勝ち目はあるかもしれません。

かつて孤児だった子供たちの物語

「シャザム!」はビリーを始めとする同じ里親に引き取られた6人の孤児が物語の鍵を握っていました。

そんな6人がどのようにシャザムへ関わっていき、どのような物語を築いていくのか紹介します。

ビリーとDr.シヴァナは似た者同士!?

実は主人公、ビリーとヴィランのDr.シヴァナは小さい頃、かなり似ている人生を送っています。

親から捨てられて、本物の親からの愛情を求め続けるビリーと、親は居るものの家族からはずっと厄介者として扱われてきたシヴァナ。

ビリーはバスケス家という新しい家族に恵まれたことで優しさを取り戻していきますが、シヴァナを取り巻く環境は変化せず、その心は歪められてしまいました。

どうして心が歪んでしまったのか、それはシヴァナが小さい頃にシャザムを継ぐ子供として選ばれながらも、魔術師から認められなかった過去があったためです。

魔術師に認められなかったことがきっかけで家族との関係も悪化し、全てが悪い方向に進んでしまいます。

彼は大人になってからもずっとシャザムの力を手にしようと執着し続け、研究所で魔術師に認められなかった人たちの支援を行う裏で、もう一度彼の元へたどり着く方法を何十年も模索していました。

そしてついにたどり着いたシヴァナは、シャザムの力ではなく7つの大罪の力を手にしてしまい、その力を使って愛を与えてくれなかった家族の命を奪うのです。

彼が力を手にした後も執拗にシャザムの力を狙うのは、魔物にそそのかれただけではなく、シヴァナが認められなかった力をビリーが持っていることに嫉妬したためかもしれません。

やがて本当の家族になっていく子どもたちの絆

ビリーは実の母親を探すため、何度も里親から逃げてきた経歴を持つ少年です。

新しく里親になったバスケス家にも馴染もうとせず、反抗的な態度ばかり取ってしまいます。

そんなビリーに対してもバスケス家のみんなは優しく接していき、仲良くなろうと試みていました。

そしてバスケス家の子供たちは彼が実の母親を探していることを知り、それに協力するためなんとFBIのデータベースにハッキングしてビリーの母親を発見するのです。

居場所を彼らから聞いたビリーは大喜びでその住所へ向かいました。

しかし、その家に居た実の母親からは家を追い出されて自分には育児ができないと思ってビリーを捨てたということを伝えられ、深く傷付いてしまいます。

そんな悲しみにくれるビリーの心を支えてくれたのは、自分に対して家族のように接してくれるバスケス家のみんなでした。

ビリーはまだ気づいていませんでしたが、彼らのことを大切な家族だと思うようになっていたのです。

絆の力はヴィランを打ち破るための奇跡を起こす!?

こうして彼らが育んできた家族としての絆は、Dr.シヴァナとの最終決戦で花を咲かせます。

兄弟姉妹が全員Dr.シヴァナの人質にされてしまい絶体絶命のシャザム。

その時魔術師から最期に言われた「兄弟で力を合わせろ」という言葉を思い出し強く願います。

そしてDr.シヴァナの隙をついて兄弟姉妹を助け出し、杖を奪い取ってみんなで掴み一斉に「シャザム!」と叫びました。

するとシャザムの力は6つに分かれていき、兄弟たちがそれぞれの力に特化した6人のヒーローに変身するのです。

こうして力を分け合ったビリーたちは6人で協力してDr.シヴァナとの最終決戦に改めて挑みます。

ビリーが大切な家族を守りたいと思い願ったのでなければ、決して起こらなかった“奇跡”でしょう。

“シャザムVS7つの大罪” 激闘の行方

こうして6人になったシャザムとDr.シヴァナと七つの大罪を冠する怪物による最後の戦いが始まります。

今まで数的なアドバンテージと人質を取られており苦戦していたシャザムですが、6人になったことでそのハンデはなくなりました。

それぞれのシャザムが自身に与えられた力を活かして、街の人々を守りながら戦っていきます。

そして最後はビリーがDr.シヴァナの弱点を見抜いて、彼が一騎打ちの状況を作れるようにそれぞれの怪物を引き付けました。

こうして上手く一騎打ちに持ち込んだビリーは、Dr.シヴァナの右目に宿る嫉妬の怪物を言葉巧みに煽り、外へおびき出すことに成功します。

仲間の協力もあって罠にかかったDr.シヴァナをついに打ち破ったビリーは、その魔物の力を彼から抜き取って勝利しました。

こうしてシャザムは力を見せびらかすだけの偽りの英雄ではなく、悪を打ち破る本物のヒーローになるのです。

抜き取った魔物の力は一体どうしたのでしょうか?
もう一度封印するため、永遠の岩に持っていき自分たちで管理していましたよ。

シャザムはもう1人存在していた!?

シャザムの力を代々受け継いできた魔術師が集まり、7つの大罪を冠する怪物たちが封印された場所である“永遠の岩”。

そこにはシャザムの力を持つ者が座る7つの玉座が存在していました。

しかし映画でシャザムの力を受け継いだ人は“シャザム・ファミリー”と呼ばれる6人だけであり、席が1つだけ空いているのです。

本作では7という数字が重要なものとして扱われているため、シャザムの人数が一人足りないことに彼らは疑問を覚えます。

「シャザム!」の未公開シーンで7人目は誰なのかと疑問視されていますが、その椅子に座る人物は結局最後まで姿を見せませんでした。

そこで最後の席に座る人物とは一体誰なのか、2つの観点から考察していきます。

7人目は観ているあなた!

シャザムが思う7人目とは、この映画を観ている人ではないかという考え方です。

主人公のビリーは映画の冒頭でバスケス家に養子として迎え入れられます。

そこでバスケス家の子供たちと出会い交流を重ねていきますが、彼らが交流を重ねた時間は映画を観ている人がビリーと交流した時間と殆ど同じ位なのです。

よって「シャザム!」は新しい家族と同じ目線でビリーと絆を育んでいき、共感ができる映画だと考えられます。

このような構成になっていることで、観ている人はビリーたちに感情移入がしやすく、本当の仲間になった気分で応援できる映画なのです。

また、シャザムがDr.シヴァナを打ち破った後、彼らは“永遠の岩”を隠れ家にしないかと話し合っていました。

この永遠の岩について知っている人は、シャザム・ファミリーの6人だけですが、実は映画を観ている人も、隠れ家での秘密を彼らと共有していることになります。

つまり観客が映画を観ていることによって、いつの間にかシャザムとして認められていたのではないかと読み取れるのです。

もう1人は原作のヴィラン!?

もう1人の7人目候補は、原作コミックスでシャザムと敵対するヴィランとして活躍した“ブラックアダム”ではないかと考えられます。

ブラックアダムはシャザムと表裏一体の存在として描かれており、シャザムと同じ6神の力(ただしエジプト神話で活躍する神々の力)を魔術師から受け継いだ人物です。

そして映画では先代魔術師から、他の仲間を殺した“シャザムの力を持つ男”の存在が語られています。

更にその男を説明する際、後に「シャザム!」関連する映画でブラックアダム役を演じるドウェイン・ジョンソンと似たシルエットが映るのです。

シャザムと同じような力を持つことが明言されていて、彼を示唆するようなシルエットの存在などから当てはまる人物は原作を見ても1人しかいません。

つまりシャザムのライバルでありながら、同じ力を持つヴィランのブラックアダムが7人目となる可能性は非常に高いのではないでしょうか。

シャザムの続編・未来予想

「シャザム!」は2023年に続編が公開される予定です。

2021年時点では情報が殆ど公開されていませんが、続編に繋がる要素が映画内で描写されていました。

そんな映画内で読み取れる描写や一部公開されている情報などから、「シャザム!」の続編について考察していきます。

ヴィランになるのはイモムシ!?

「シャザム!」のエピローグで、“ミスター・マインド”というヴィランが投獄されたDr.シヴァナをそそのかす姿が描かれていました。

ミスター・マインドは映画本編で瓶の中に捕まっている状態で一瞬だけ登場した言葉を話すイモムシです。

もちろん普通のイモムシではなく、彼はシャザムがコミックスで活躍する1940年頃から宿敵として活躍している強大なヴィランでした。

更に“The Monster Society of Evil”と呼ばれるヴィランの連合軍を束ねており、非常に凶悪な存在なのがミスター・マインドなのです。

彼は持っている危険性からか魔術師によって永遠の岩に封印されていましたが、Dr.シヴァナが襲来して怪物たちを解放する騒ぎに乗じて脱走します。

そして牢獄で錯乱しているDr.シヴァナの元に現れ、彼を自分の部下にしようと甘言を投げかけたのでした。

この描写から読み取れる「シャザム!」の続編は、シャザムがミスター・マインドの率いる悪の軍団と戦うのではないかと考えられます。

もしそうなるのであればミスター・マインドがどうやってヴィランを集めて悪の軍団を立ち上げていくのか、とても気になりますね。

また、原作コミックスで彼の右腕として活躍する“クロコダイルマン”も実は本作でカメオ出演しており、続編で彼の活躍が見られるかもしれません。

真のヴィランは名俳優が演じるブラックアダム!?

「シャザム!」の続編におけるもう1つの可能性として、7人目のシャザム候補に上がっていたブラックアダムがメインヴィランかもしれません。

ブラックアダムを演じる俳優は、エンターテインメント界で活躍し、超一流俳優となったドウェイン・ジョンソンです。

彼はプロレスラーの“ザ・ロック”として圧倒的人気を誇っており、日本でもそのあだ名からあやかり“ロック様”という愛称で広く親しまれています。

最初はレスラーと兼業で俳優をしていましたが、輝く肉体美や驚異的な身体能力、見る人を魅了する演技などによって、出演作品で高い評価を集めていき超一流の俳優にまで上り詰めたのです。

そんなドウェイン・ジョンソンはアメリカでの人気があまりにも高すぎるため、制作陣は「シャザム!」だけで彼を使い切ってしまうのは勿体ないと考えたのでしょう。

そのため「シャザム!」では登場を匂わせるだけに留めておき、「ブラックアダム」(2022年)という彼が主人公として活躍する映画をスピンオフで作ることになりました。

そして「シャザム!」と「ブラックアダム」の2つは同じ世界観で描かれているため、続編で彼らが出会って戦いになる可能性も非常に高いと言えます。

また、ドウェイン・ジョンソンは「シャザム!」の制作側として作品に関わっているため、少なくとも何かしらの形でシャザムとブラックアダムが関わっていくのではないでしょうか。

シャザムを取り巻くトリビアについて

本作は映画撮影をするに当たっていくつかのトリビアが存在していました。

撮影する舞台をある国に選んだ理由、参考にした人などを紹介していきます。

フィラデルフィアが舞台になった理由とは?

DCEU映画では基本的に“スーパーマンのメトロポリス”や“バットマンのゴッサム・シティ”のような架空の街が舞台になっています。

しかし「シャザム!」はアメリカのペンシルバニア州に実在するフィラデルフィアが舞台です。

現実にある街を舞台にしていながら、DCEUで登場する架空の街が存在することも同時に示唆されているため、今までにない世界観の映画になっています。

そんなフィラデルフィアを撮影場所に選んだのは“ベンジャミン・フランクリン”という物理学者が関係していると監督の口から語られました。

フランクリンは政治家として活動しながらも、当時謎だった雷の実態を解明し、避雷針を開発するといった人々に大きく貢献してきた、雷研究の第一人者といえる人物です。

「シャザム!」のワーキング・タイトル(撮影中の仮称)が“フランクリン”だったこともあり、本作は明らかに彼を意識して制作されています。

他にもビリーがシャザムへと変身する際、自分に雷を落として変身するといった行動はまるで避雷針に見えるため、開発したフランクリンをリスペクトしている描写なのではと考察できるのです。

名作映画「ロッキー」からも強い影響を受けた!?

また、「シャザム!」は映画「ロッキー」(1976年)からも大きな影響を受けていると考えられます。

主人公のロッキーはフィラデルフィアでは英雄として語り継がれるほどの莫大な人気を誇っている人物です。

そんなロッキーが立ち寄ったフィラデルフィア博物館にある階段、通称“ロッキー・ステップ”でビリーはヒーローの能力で小銭稼ぎをしていました。

どうしてこの場所でシャザムに小銭稼ぎをさせたのか、なにか監督はシャザムがロッキーに繋がるメッセージを込めたのではないかと感じられます。

まるでシャザムを地元で活躍するヒーローのような存在として描いており、「シャザム!」がまるで「ロッキー」をモチーフにしているように感じられるのです。

そういえば小銭稼ぎの場面で使われたメロディーも「ロッキー3」(1982年)の主題歌「アイ・オブ・ザ・タイガー」でしたね!
さまざまな要素がオマージュとして取り入れられているため、もしかしたら監督は「ロッキー」の大ファンなのかもしれませんよ。

色々なヒーローとの関わりが見えてくる作品!

実は「シャザム!」にはDCコミックスで活躍するさまざまなヒーローが関わっているのです。

他のDCコミックスのヒーローが実際に存在しており、活躍していることを示しているものでもあります。

そんなシャザムとの関わり持っているヒーローたちの、本作で魅せた小さな活躍について見ていきましょう。

ゴッサムのダークヒーロー“バットマン”

DCEUでは「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」(2016年)にて登場したヒーロー、バットマンもシャザムと少しだけ関わりがあります。

ビリーの友人でありサイドキック(ヒーローの相棒)として活躍するヒーローオタクのフレディが、バットマンの使う武器の1つである“バットラングのレプリカ”を持っていました。

そしてバットラングはヴィランを倒すためのキーアイテムになるなど、道具として破格の待遇を受けているのです。

他にもビリーとDr.シヴァナが戦う場面で、なぜかバットマンとスーパーマンの人形を戦わせている子供が映りました。

本作でバットマンが直接登場した描写はされていませんが、彼は子供たちからも高い人気を集める有名なヒーローとして認知されていることが想像できます。

アトランティスの王者“アクアマン”

「シャザム!」のエンディング後に2つのエピローグが差し込まれています。

1つ目の映像ではDr.シヴァナや「シャザム!」原作で活躍していたヴィランのミスター・マインドが登場して続編の伏線になりそうな描写がされており、非常に重要な一幕です。

そして2つ目の映像は「アクアマン」(2018年)と関係があることを匂わせるもので、ビリーは水槽で泳ぐ金魚に向かって言葉を投げかけ、会話ができないか試みています。

これは「アクアマン」をリスペクトした行動であり海の生き物を思うがままに操るアトランティスのヒーロー、“アクアマン”の持つ能力がないか検証していたのでしょう。

残念ながらシャザムは水に関する能力を持っていませんでしたが、アクアマンの能力を持っていないかピンポイントで試していたため彼もこの世界で有名なヒーローであることが予想できます。

海の生物ではない金魚に話しかけても相手に声が届かないのでは?
きっとビリーとフレディは、水に棲む生き物だったら全てアクアマンの思うがままだと思っていたのでしょう。

色物集団!?“ウォッチメン”

「ウォッチメン」(2009年)とは、スーパーヒーローの誕生によって歴史が大きく変わり、私たちが住む地球とは大きく様変わりした世界の中で活躍するヒーローを描いた映画です。

ビリーがカウンセリングを受ける場面ではスマイリーフェイス(黄色でニコニコ顔のキャラクター)のマグカップやバッジが幾つも机の上に置かれていました。

世界的にメジャーなキャラクターであるスマイリーフェイスのグッズが机に置いてあることは、特におかしくありません。

しかし机の上に並べられたスマイリーフェイスグッズの中に、1つだけ血の付いたバッジが紛れ込んでいたのです。

血が付いたスマイリーフェイスのバッジはウォッチメンで活躍するヒーロー、コメディアンが身に付けている道具であり、それと同時に「ウォッチメン」のシンボルと言える物になっています。

つまり、このシンボルが「シャザム!」に登場したのはDCEU内にウォッチメンの存在を示唆するための、監督が仕込んだイースターエッグだと言えるのです。

2021年の時点で「ウォッチメン」はDCEUの枠組みに含まれていませんが、今後“ウォッチメンのヒーローたち”が登場してくるかもしれませんね。

元祖ヒーロー“スーパーマン”

スーパーマンは、もちろん本作に関わりを持っています。

しかも他のヒーローとは異なり、彼だけは実際に姿を表しているのです。

映画のエピローグでシャザムが友人として連れてきた相手こそが、クラーク・ケントことスーパーマンでした。

突然の登場に驚かされた観客も多かったのではないでしょうか。

ちなみにですが、スーパーマンを演じるヘンリー・カヴィルは、他映画の撮影スケジュールと被ってしまい出演することができませんでした。

しかしスタントマンがスーパーマンを代わりに演じ、首から上を映さず一切喋らないことで、カヴィル不在の中でもスーパーマンを表現できたのです。

他にもスーパーマンの体に当たって弾かれた銃弾が、ヒーローオタクのフレディによって保管されている話がありました。

その弾には鑑定書が付いており、約数万円の価値があると言われているため、彼の人気が異常なまでに高いことが分かります。

まとめ

映画「シャザム!」はDCEUとしてかなり挑戦的な作品に仕上がっています。

今までにない軽快なストーリー、コメディ要素に満ちた作風といった、今までのDCEUにはなかった要素が沢山取り込まれているからです。

また、子供だったビリーが立派なヒーローとして成長していく姿も見どころに溢れています。

そんなさまざまな要素によって、「シャザム!」はDCEUにありがちだったダークな雰囲気を払拭することに成功しました。

新しい風をDCEUに運んできたシャザム、シリーズファンの人にはぜひ観てほしい作品です。

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