
人気絶頂であったジム・キャリーがコメディ映画以外で初めて主演を飾った傑作映画です。
1998年に日本でも公開され大ヒットとなり、多くの賞も受賞したジム・キャリーの俳優人生においても1、2を争う人気作品となっています。
本作には様々なこだわりが詰まっており、現代においても全く霞む事ない極上のヒューマンドラマは必見です!
あらすじだけでなく、細かな設定や作品にまつわるトリビアなど、情報満載でお伝え致します。


トゥルーマンショー/1998年
美しい街並みを誇る離島シーヘブンに暮らすトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)はいつも明るく、誰からも愛される好青年。
平凡だけど幸せな日々を過ごしていたが、彼の人生は生まれた瞬間から24時間撮影され、リアリティー番組として全米に放送されていた。
真相に気付いたトゥルーマンは偽りの人生からの脱却を試みるのだが…。
トゥルーマンショー【ネタバレ・考察】
本作には様々なこだわりが詰まっているだけでなく、作品にまつわるトリビアなども満載です。
まだ視聴していない方も、観た事のある方もたのしめるトゥルーマンショーの魅力をたっぷりとご紹介していきます。


トゥルーマンが日常に違和感を感じた理由とは
30年近くにわたりなんの疑問も持たずシーヘブンを出る事なく生活をしていたトゥルーマン。
なぜ彼は突如自分の人生を根底から覆すような驚愕の事実に目を向けるのに至ったのでしょうか?
作中に登場した矛盾の数々を紹介していこうと思います。
飛来する照明!?
いつものようにご近所さんに元気に挨拶を済ませ、会社へと向かおうとしたトゥルーマンの目の前に突如「照明」のようなものが飛来します。
一歩間違えば主人公を殺しかねなかった物体が真っ青な空から降ってきた事で少し不思議な表情を見せます。
かつての想い人の言葉
番組の台本通りにトゥルーマンは結婚していますが、学生時代に想いを寄せている人物がいました。
彼女もまた彼を好きになり、トゥルーマンの置かれた状況を打破すべく動きますが呆気なくスタッフに捕まります。
しかしこの時の彼女の行動がトゥルーマンの根底にはあり、遠い世界への憧れを深めただけでなく、彼が初めて感じた「世界への疑問」だったのかもしれません。
死んだはずの父との再会
会社に出社する途中で、ホームレスの男性に出会います。
その人物はなんとかつて死んだはずの父親でした!
しかし会話をする間もなく突如現れたスタッフたちに連行され姿を消してしまいます。
死んだはずの父との再会こそトゥルーマンが世界の偽りに大きな疑念を持った最大のきっかけとなりました。
偽装結婚!?
疑念を持ち始めたトゥルーマンに外の世界への憧れを抱かせないよう、家族のアルバムなどを見ながらこの世界の素晴らしさを説く妻と母。
しかし!トゥルーマンが結婚式の写真を虫眼鏡でよーく観察すると、まさかの妻が結婚の誓いの際「クロスフィンガー」をしているのを発見してしまいます!
アメリカでは嘘をつく際、「神様どうかお許しを」という意味を込めて指をクロスさせるハンドジェスチャーがあるのです!
自分の結婚生活が全て偽りだったのかという確信に近い疑念を持ち、トゥルーマンは動き出します。
偽りの世界を解き明かすために行動を始める!
偶然見つけてしまった矛盾点などではなく、トゥルーマンが自ら行動を起こして見つけてしまった偽りの欠片を紹介していこうと思います。
全てに言及はしないので是非ご自身でもチェックしてみてください。
ビルも病院も偽物だらけ
疑いを持ったトゥルーマンはいつもしない行動を取るようになります。突発的に入ったビル内は大騒動!
エレベーターの扉が開くとなぜか舞台裏のような空間で休憩をするエキストラたち。咄嗟に封鎖しトゥルーマンを外に追い出しますが秘密はもうばれる寸前です。
疑いを深めて次は妻の職場である病院へと駆け込みます。
そこには手術を受けるはずの役者が思わぬ展開に飛び起きてしまったり、本物の医者じゃないためトゥルーマンの監視があると知ってめちゃくちゃぎこちない動きをしてしまいます。
30年守り続けてきたトゥルーマンショーの完全性にどんどん綻びが見えてきます。
行く手を阻む世界
妻を連れシーヘブンからの脱出を試みるトゥルーマン!車での爆走を開始しますが、いつも空いてるはずの道路は突如として超渋滞!
突破してみせるが今度は山火事!そして最終的には「原子炉の放射能漏れ」なんて緊急事態まで起きてしまいます。
初対面の警察官に名前を呼ばれ自分の知らない強大な力が働いている事に絶望し、島からの脱出は最早不可能であると失意のどん底へと落ちます。
死んだ父との感動の再会
リアリティー番組の体裁を保つ事が困難になってきた現状を打破するべく、プロデューサーであるクリストフは新たな策を講じます。
トゥルーマンを元の日常へと戻すべく!そしてシーヘブンに留めるための秘策として死んだはずの父との感動の再会を演出します。
しかし、これこそがトゥルーマンの疑念を確信へと変えてしまう最大の理由でもありました。
船に書かれた数字の秘密


自分の置かれた異常な日常に気づいてしまったトゥルーマン。
水恐怖症を克服し、嘘偽りのない本当の世界へと旅立つ為、嵐の中を舟で突き進みます。
ドームの果てへと辿り着き、トゥルーマンが下船する際、帆に意味深な数字「139」が書かれていました。実はこんな所にまでトゥルーマンショーのこだわりが存在していたのです。
聖書の中に登場する「詩篇139 ダビデの詩」は全てを知る神へとあてた詩となっており、トゥルーマンの置かれた状況を示唆・暗示しているといわれています。
生まれた瞬間からの全てを知られ、そして虚をついて脱出を試みている事も全て知られている、抗おうと何をしても全てを知る全能な神と人間の関係を比喩していました。
トゥルーマンの笑顔に秘められたラストシーンの意味とは
30年24時間、全ての生活をアメリカ全土に公開されていた事を知った人間の精神は果たして普通でいられるのでしょうか。
しかしラストシーンのトゥルーマンは笑顔で舞台を後にします。その笑顔に秘められた本当の感情を考察していきたいと思います。
解き放たれた心
水恐怖症、クリストフによる妨害など、様々な障害を乗り越え見事に出口を発見したトゥルーマンは全てから開放され、新たな世界へと旅立ちました。
偽りの世界からの脱却、新たな世界への希望、トゥルーマンは偽りとはいえ30年間育ててくれたシーヘブンに晴々とした気持ちでお別れを告げるのでした。
ラストシーンを王道の考察でしめくくるならこんな感覚といえるでしょう。続いて少し角度を変えたラストシーンの考察をしていきます。
トゥルーマンショー【やらせ疑惑】
30歳を迎える少し前に起こった数奇な展開は、プロデューサーであったクリストフとの間で初めから決められていた終焉だったのかもしれないという事です。
このように考察してみるとラストシーンの笑顔やセリフも納得できるだけでなく、30年近く隠し通してきた秘密がなぜあーも呆気なく綻びを見せたのかも説明がつきます。
綻びをみせるきっかけとなった死んだはずの父や初恋の相手の存在も全てはトゥルーマンショーを盛り上げる為、そしてあの感動的なラストを演出するための伏線だったのです!
トゥルーマンショー【ドキュメンタリー映画化】


最早秘密がばれるのも時間の問題だと感じたクリストフが、トゥルーマンと密会をした可能性も考えられます。
自宅から抜け出すトゥルーマンがカメラの位置を知っていた事や、船の中にカメラが仕込まれていた事、そしてクリストフが一時的に席を立っている事もこの説なら納得できます。
シーヘブンからの脱出やその後の生活の保障などを取引材料とし、脱出後のドキュメンタリー映画化などを打診したのかもしれません。
クリストフとトゥルーマンの間で何かしらの密約が交わされ、ラストだけは脚本通りにトゥルーマンが行動したのではないでしょうか。
つまりあの笑顔でのあいさつは「映画でまたお会いしましょう」のような意味が込められていたと考えられます。

トゥルーマンショーで大儲け!?
全米に放送されているトゥルーマンショーはシーヘブンという壮大なセットと毎日数百人のエキストラ、そしてクリストフを始めとする膨大な数のスタッフによって成立していました。
つまり死ぬほどお金がかかっているというわけです!!ではどのようにしてこれ程の莫大な資金を要する番組が30年近く放送されるだけの資源を入手できていたのでしょうか。
劇中にしっかりとトゥルーマンショーによる金儲けの手段が散りばめられていました。
テレビ界の基本!スポンサー収入!
番組放送中に飲まれているビールなどは、不自然ともいえる程アップで撮影されたり、ロゴや商品名などがゆっくりと放送されています。
トゥルーマンショーもまた、私たちがよく知るテレビの世界同様にスポンサーによる収入で成り立っている事がよくわかります。
トゥルーマン通販
番組の中に登場する洋服から家に至るまで、全てのものが通販で購入する事ができるのです!
テレビの前のおばあちゃんはしっかりと「トゥルーマンTシャツ」を着用して視聴しています!
世界一有名な男が着用している物や関連商品が買えるとあって通販が主な収入源になっている事はまず間違いないでしょう。
一人の男の一生をドキュメンタリーにするなんて人権を完全に無視した絶対ありえない話であるにも関わらず、こういう細かい所は変にリアリティーがありますね。
だからこそツッコミどころ満載なのに不思議と納得できる魅力のある映画に仕上がっている事が非常によくわかります。
トゥルーマンが住んでいた街は実在する!?


トゥルーマンが30年近く生活をしていた「シーヘブン」はまさに映画のセットのような美しい街でした。
劇中の世界観をしっかりと反映させたセットだと思っていた方も多いのですが、実は現実に存在するのです!
アメリカのフロリダ州に存在する「シーサイド」という街で、エキストラの多くもこの街の実際の住人という、トゥルーマンショーにとっては正に聖地のような場所とされています。
劇中でトゥルーマンが住んでいる家も実在しており、家主も映画で使われた時の状態を保持してくださっているそうです。
ジム・キャリーはトゥルーマンを演じる為に8億円を捨てた!?
当時人気の絶頂にあったジム・キャリーのギャラは一本20 million dollars!
1ドル=100円で簡単に換算すると20億円という想像を超えた高給取りでした。
しかしジム・キャリーはトゥルーマンショーの脚本に惚れ込み、8億円も少ない12 million dollars(12億円)で役を引き受けたそうです。
このジム・キャリーの判断は彼の俳優人生を大きく変えるものでもありました。
コメディー俳優だった彼が主演を飾った「トゥルーマンショー」は300億円近い興行収入を記録し、ジム・キャリーの代表作となりました。
また、彼をただのコメディ俳優ではなく、演技派俳優の地位へと引き揚げた作品でもあったのです。
まとめ
トゥルーマンショーという作品は本当に細かい所に注視すると新たな発見と驚きがたくさん散りばめられています。
今回ご紹介した内容以上にたくさんのこだわりが詰まっているのでぜひ何度も視聴して「シーヘブン」の秘密を解き明かしてみてはいかがでしょう!
ラストシーンの考察を3パターン考えてみましたが、ぜひご自身で納得のいくラストシーンの考察をみつけてみてください。
作品を観返しながらトゥルーマンの現実世界での生活を妄想してみるのもありです!!