押井守特集

押井守は80年代から日本のアニメシーンを牽引してきた監督です。

「攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」「うる星やつら」といった数々の名作を手掛けており、巨匠といってもいいでしょう。

独特のセリフ回しや作家性が特徴的で、クセが強く観る人を選びますが、ハマる人はとことんハマる魅力を持っています。

実写もアニメも撮影する押井守監督ですが、今回はアニメ作品をピックアップしてご紹介するので、特集を読んでみて作品が気になった方はおうちシネマでご鑑賞ください。

うる星やつら オンリー・ユー(1983年)

あらすじ

ある日、あたるやラムのクラスメイトのところへ結婚式の招待状が送られ、あたるにはエルという婚約者がいることが判明するが、あたるに心当たりがない。だがエルが美人と聞いたあたるはいつもの浮気心を出して、結婚式の誘いに乗ってしまう…。

おすすめポイント

押井守の初監督作品になる、TVアニメ「うる星やつら」の劇場版1作めにあたります。

メインキャラと脚本だけが出来ていて、他の監督が降板したものを押井守が引き受け、お話が破綻しないように完成させたという壮絶な逸話が残っているのです。

結果的に押井守の作家性はあまり顔を出さず、原作のカラーが色濃く出ていたこともあり、監督本人は不満な出来だったとのこと。

この経験が次の監督作で押井ワールドを全開にしてしまうきっかけになっているので、押井守の歴史を紐解く意味で観ておくのもアリでしょう。

ラブコメの金字塔である「うる星やつら」を楽しむ意味でも、本作はオススメです。

キャラクターを事前知識で知っている必要があるので、本作と「ビューティフル・ドリーマー」は原作漫画を読んでから映画鑑賞したほうが良いでしょう。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT × 31日間 2,189円(税込)
Hulu × 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年)

あらすじ

文化祭の前日で永久に繰り返すループに陥った友引高校の生徒たちは、世界が誰かの夢の中にあることを突き止めるが、夢の主がラムであることに気づいたものは次々と世界から消去される事態に。あたるは永久に繰り返す夢を終わらせるべく、現実への帰還を目指す…。

おすすめポイント

押井守監督作品の原点であり、本当の意味でのデビュー作といえるのが本作です。

原作である「うる星やつら」の終わりがない日常をメタとして描き、壮大な夢オチとして映画を作り出してしまいました。

結果として原作者の高橋留美子を激怒させるに至ったのです。

ですがファンの間では名作として語り継がれ、多方面から支持され派生作品が現れました。

特に国内での小説家やアニメ監督は本作に強い影響を受けることになり、作品に本作のオマージュを含んだものが多く誕生したのです。

「涼宮ハルヒシリーズ」やハリウッドで映画化された「All You Need Is Kill」などが、その影響について言及しています。

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機動警察パトレイバー the Movie(1989年)

あらすじ

搭乗式ロボット”レイバー”が活躍する近未来。東京湾に浮かんだ”方舟”でとある技術者が自殺、それを機に都内でレイバーが暴走する事故が起こり始める。技術者が開発したレイバー用プログラムが怪しいと睨んだ特車二課のメンバーはプログラムを追いかけ始める…。

おすすめポイント

漫画家、デザイナー、脚本家などが集まって作られた集団”ヘッドギア”による警察用ロボット”パトレイバー”の物語が構築され、本作は劇場版の1作めになります。

80年代にコンピューターウィルスの存在に触れていたりと先進的な予言が多くなされており、それに加えて東京湾岸がまだ開発中なため発展してないところがリアルです。

また組織としての警察を描いたドラマは当時は非常に新鮮で、「踊る大捜査線」などはパトレイバーの影響を色濃く受けています。

この作品で押井守監督は再評価され、業界内での浮上のきっかけになりました。

押井守監督の先進性やこだわりと、エンターテインメントのバランスが取れており、非常に鑑賞しやすくなっています。

レイバー同士のバトルや戦闘シーンが多く、初めて観る人でもリアルなロボットものが好きなら楽しめる作品なのです。

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機動警察パトレイバー 2 the Movie(1993年)

あらすじ

「方舟」の一件から3年後の2002年冬、かつての特車二課第2小隊の面々は、隊長の後藤と山崎を除いて新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日、横浜ベイブリッジで爆破事件が起こる。自衛隊によるミサイル攻撃と思しきこの一撃から、東京に”戦争”が始まる…。

おすすめポイント

前作とは一転してレイバー同士の戦いは極端に抑えられ、政治や警察機構の戦いなど人間ドラマに主眼が置かれているのが特徴です。

ロボットアニメと思ってみるとひどい目に合うので、ポリティカルな映画であると事前に理解して観賞しましょう。

逆にそこを飲み込めれば”虚構と現実”という押井守監督の得意な分野を思う存分堪能できるのです。

後藤隊長と南雲隊長という特車二課の「大人組」が繰り広げる恋愛模様と、戦争に際して日本はどう動くのかという”虚構の戦争”を思い切り描いています。

押井守監督の「戦争と平和論」をキャラクターが代弁していくさまは、監督の真骨頂といえる出来です。

何度か視聴してようやく理解できる難解さがありますが、それ故に何度も楽しめる作品ともいえるでしょう。

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GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995年)

あらすじ

義体と呼ばれるサイバネティックボディと、電脳と呼ばれる脳に直結したネットワーク接続が標準化した未来。”人形使い”と呼ばれるハッカーが政府御用達の義体メーカーにハックを仕掛け、義体を作り出して公安9課に亡命を表明するのだが…。

おすすめポイント

押井守監督の名声を世界的に決定づけた作品で、国外にも多くのファンやフォロワーを持つアニメーション映画です。

圧倒的な情報量を持つセル作画と、情報量の多い会話で構成されているため、1回の視聴だけでは理解しきれません。

「生命と存在の証明」をテーマにしつつ、原作が持つうんちくを押井守監督のフィルターで変化させ、サイバーパンク色を強めて仕上げられています。

人間と融合したいAIである人形使い、能力を拡張して可能性を追いたいと願う草薙素子、素子を支えたいバトーの三角関係のお話でもあるのです。

1回目は映像表現と大まかな物語のディティールを、2回目以降は会話の深みと描き込みを楽しみながら鑑賞するとより深く味わえるでしょう。

Windows95が発売される直前の公開で、すでにネットワークの広大さについて言及している押井守監督と原作の士郎正宗が持つ”未来を見通す目”は素晴らしいです。

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イノセンス(2004年)

あらすじ

草薙素子が消息を絶ってから3年、バトーとトグサは愛玩用ガイノイドの暴走事件を追っていた。持ち主を殺したあと自分のゴーストを焼き切って自害するガイノイドを作っているロクス・ソルス社を調べるべく、2人は択捉経済特区へ向かう…。

おすすめポイント

人形になりたくない人間と、人間になりたくない人形の差はどこにあるか?という深遠なテーマで描かれる、「攻殻機動隊」の後日譚です。

バトーとトグサがメインキャラクターとなり、素子は後半で少し登場するだけですが、「攻殻機動隊」を観た後に観賞するとかなり深く楽しめます。

セル画であった前作と違い、CGを多用している本作ではイメージカラーもオレンジになって雰囲気が変わっているのです。

祭りのようなシーンでは、押井守監督作品で常に音楽を担当している川井憲次の壮大なサウンドトラックが観るものを惹きつけてやみません。

トグサが電脳迷宮に閉じ込められるシーンは悪夢を観ているようで、この作品でなければ味わえない体験で、何回か観ているうちに癖になるでしょう。

第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されドリームワークスにより世界配給されるなど、監督のさらなる飛躍につながった作品です。

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スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年)

あらすじ

戦争がショーになり安全を確保されている時代。思春期以上の加齢が止まった”キルドレ”と呼ばれる人間は、空戦技術と自分がキルドレであることだけを覚えて生まれてくる。彼らにとっては、戦場だけが自分たちの存在を確認できる場所だった…。

おすすめポイント

ベストセラー作家である森博嗣の静謐なテキストをそのまま映像化したような、抑揚のない絵造りと会話シーンが、独特の雰囲気を漂わせています。

今まで雄弁だった押井節ではなく、情緒的で静かな時間を作り出しているのです。

その反面、キルドレたちが生を感じられる唯一の場面である空戦は画面いっぱいに踊る戦闘機が飛び交うシーンが感情の爆発のように感じられます。

キャラクターの特徴に応じて空戦シーンも個性が見えるので、そこに注目するとより楽しめるでしょう。

イタリアやスペインの映画祭で上映され、それぞれ賞を取るなど国際的な評価も高い本作。菊地凛子や加瀬亮、栗山千明といった豪華出演陣による声も注目ポイントになります。

ゲストでウルトラセブンのアンヌ隊員を務めたひし美ゆり子が参加しているのも年配の方には嬉しい要素ではないでしょうか。

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まとめ

押井節と呼ばれる、静かな演出の中に熱量を秘めた絵造りはこの監督ならではです。

哲学やメッセージを多分に含んでおり、観るたびに発見があり、知識欲を満たしてくれる作品ばかりになります。

まだ体験していない方はパトレイバー1と2を順番に観て、その変化を楽しんでみるのが分かりやすいのではないでしょうか。

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