
「ザ・ファブル」は2019年6月21日に公開されました。
主演は俳優、歌手、タレントとマルチに活躍する岡田准一で、映画監督兼、映像ディレクターの江口カンが務めた事で話題を集めた映画です。
原作は南勝久による漫画で、“今一番面白い漫画”として第41回講談社漫画賞で一般部門を受賞した華やかなエピソードを持ち合わせている作品となっています。
今作は、わずか6秒で標的を仕留める凄腕の殺し屋ファブルが、ボスから1年間の休業を命じられ、佐藤明という一般人として生きる事になる姿を描いたコミカル・アクションムービーです。
しかもその1年間の間に誰も人を殺してはならず、もし人を殺した場合はボスがファブルを殺すという条件付きの1年でもありました。
果たしてファブルは人を殺さず1年を乗り切れるのでしょうか!?
「ザ・ファブル」よりボスがファブルに休業を命じた理由や、何故インコを飼わせたのか?ファブルが一体どういう人間なのかを考察していきたいと思います!!
ザ・ファブル(2019年)
見どころ
主演は『図書館戦争』シリーズなどで高い身体能力を見せた岡田准一。さらに磨きをかけた俊敏なアクションと振り切れたコミカルな演技で二面性のある主人公を演じる。
出典 : video.unext.jp
あらすじ
どんな相手も6秒以内に殺す“ファブル(寓話)”と呼ばれる謎の殺し屋。そのファブルを育てたボスは彼に殺しを禁じ、一般人として1年間暮らすことを命じる。ファブルは“佐藤アキラ”という偽名を使い、相棒のヨウコとともに一般社会に溶け込もうとするが…。
出典 : video.unext.jp
ザ・ファブル(ネタバレ・考察)
アクションと、要所に散りばめられたクスッと笑えるギャグが特徴的な「ザ・ファブル」。
ここでは「ザ・ファブル」に登場する豪華な俳優陣やタイトルの意味、アクションシーンのエピソードをご紹介していきたいと思います!!
豪華すぎる俳優が集結!!
まずこの映画での一番の注目すべき箇所は、主役の佐藤明(ファブル)を演じた岡田准一を始めとし、俳優陣が豪華すぎる!というところにあります。
ファブルの相棒役として木村文乃、今作のヒロインに山本美月、ファブルの育ての親でありボスでもある佐藤浩市と、このキャストだけでも何だかワクワクしますよね!
そして、クリーンなイメージの強い福士蒼汰や向井理が悪役として出演しているのも見ものです。
演技派俳優として実力の高い柳楽優弥、その兄貴分としてTEAM NACSの安田顕と、これはもう観ないわけにはいきません!
そして、福田雄一作品で一躍有名俳優となった佐藤二朗も、ファブルのバイト先の上司として登場します。
殺し屋が主役というだけあって、血しぶきが飛び散るシーンもありますが、痛快なアクションとコミカルな部分がそれを上手にカバーしているので、そこは一つの安心材料です。
ファブルの意味とは!?
ファブルとは“寓話”という意味です。
どんな相手でも、6秒以内に殺してしまう殺し屋という事から、本当に実在するのかどうか、寓話のような存在というところから意味がきています。
映画の登場人物がファブルの存在を“都市伝説”という風に言うシーンがありますが、寓話だったり、都市伝説だったりとそれほどファブルの存在は裏の社会で恐れられているのです。
しかし、ファブルは殺しの世界を一旦離れると、とても温厚な優しい人間という一面も持っています。
ボスからプレゼントされたインコを大切に育てるなど、非常に人間らしい面があり、そのギャップがとても魅力的なのです。
岡田准一の身体能力が凄すぎる!!
この映画の見逃せないポイントはやはり、アクションシーンです。
ファブルを演じる岡田准一の身体能力が超人離れしていて、特に地上からビルを登っていくシーンは、まるで忍者のようといえます。
アクションシーンは岡田准一がほとんどスタントなしで自ら行っており、そのクオリティの高さに、スタッフも監督も度肝を抜かれたというエピソードもあるのです。
それもそのはず、彼は数種の武術・格闘技インストラクター資格を持っているのだとか。
自室で過ごすシーンでは、何故か度々裸で生活しているファブル。
岡田准一は非常にストイックな面も持ち合わせていて、その肉体美には驚かされます。
今作品で殺陣師として関わったのは「ボーン・アイデンティティー」(2003年)などを手掛けたアラン・フィグラルズです。
そして、スタント・コーディネーターには「るろうに剣心」(2012年~2021年)「亜人」(2017年)などを手掛けた富田稔が参加しており、日本とフランスが手を組み、最強のアクションシーンが誕生しました。


主題歌は世界的歌姫のレディー・ガガ!!
「ザ・ファブル」のエンディング曲は世界で大人気を誇る歌手、レディー・ガガの「Born This Way」です。
この楽曲は2011年にリリースされ、彼女の実力と人気を世に知らしめた曲でもあります。
何と!レディー・ガガが日本の映画に楽曲を提供するのは“初”の事なんだとか!!
“あなたの人生はそのままで素晴らしい”という意味を持ったこの楽曲。
特殊な環境で生きるファブルやその周りの登場人物達の人生を肯定してくれているような内容や、曲の世界観が「ザ・ファブル」と非常にマッチしている、という事から選曲されました。
早い段階から楽曲提供の交渉を行い、使用許可を得るためスタッフはアメリカまで足を運んだとの事です。
親日家として有名なレディー・ガガ。多くのスタッフの苦労と努力が実を結んだエピソードでもあります。
ボスがファブルに休業を命じた理由とは?
凄腕の殺し屋として日々生活を送ってきたファブル。しかし殺しで目立ちすぎた、という理由で暫く裏稼業を休む事になります。
同じくボスの元で育った木村文乃演じるヨウコと共に、偽名を使って1年間大阪で暮らす事になるのでした。
しかし、休業する事にはボスの幾つかの考えがあったのです。
ボスは何故、ファブルに休業を命じたのでしょう?そこを考察していきます。
普通に暮らす幸せを知ってほしかった
そもそも普通の定義とは何なのでしょう?辞書によると“いつ、どこにでもあるようなありふれたものである事”とあります。
また、“他と特に異なる性質をもっていないさま”とも書いてあるのです。
ファブルは殺し屋という点で、もう普通とは異なっています。
ボスは、小さな頃から殺し屋にするために親代わりとなってファブルを育ててきました。
ファブルに対してボスは多少の申し訳なさや罪悪感を感じていたといえます。
そこで、1年間ファブルが殺しをしなかったら、一般社会に戻すということも有りだと考えていたのではないでしょうか。
普通に暮らす幸せを知って、ファブルを自由にしてあげたかった、とも考えられます。
世間一般の事を学んでほしかった
アルバイトをしたり、そこで出会った仲間との他愛もない交流から、ファブルは段々と世間一般的なものを学んでいきます。
ひょんな事から、山本美月演じる清水岬という女性と知り合うファブル。
岬は父親の借金を肩代わりし、病に伏す母親の為にアルバイトを掛け持ちするという苦労人でありながら、常に笑顔を絶やしません。
そんな岬の姿にファブルは胸打たれたといえます。
アダルトビデオに出演する事を強要された岬を救う為に、ファブルは岬への恩返しの為、裏社会の人間と再び対峙する事になります。
世間一般の人と接する事で、“恩は返すもの”、“感謝は行動で示すもの”という事をファブルは学んだのです。
ボスは、ファブルを自由にした時点で、裏社会の人間がファブルに近づく事も全てお見通しだったという可能性も考えられます。
そして、ファブルに世間一般の人と交流する事で、世間の事を学ぶと同時に、人間として成長してほしかったのです。
インコを飼わせた理由とは?
ボスがファブルにインコを飼わせた理由とは、命というものがどういうものなのかを考えるきっかけを与える為です。
そして、インコはファブルのかけがえのない家族、の役割を果たしているといえます。
因みに映画と原作ではインコの種類が違うのです。
映画に登場するのは、ナナイロメキシコインコという鳥で、原作に登場するのはズグロシロハラインコといい、似ていますが違う種類のインコで、性格も異なります。
映画ではあまりインコの出番はありませんでしたが、ファブルが家に帰ると大人しく待ってくれている大切な存在です。
今まで殺し屋として自分の任務を全うしてきたファブルにとって、インコの存在は一つの癒しとなっているのではないでしょうか。


ファブルはどういった人間なのか?
ファブルは謎の多い人物です。
小さな頃から山で1ヶ月間生き延びる訓練をしたりと、ボスの元で鍛えられてきました。
感覚を研ぎ澄ませるために頭のおでこの辺りを指でトントンとやるのが、ファブルの中でのルールです。
これは、フォアヘッドタッピングというもので、主に集中力を高める時にやると効果的なのだとか。
そして、ファブルは周りの人物よりも感覚が敏感な為、異様に猫舌という面があります。
焼き魚を食べるシーンでは「熱っ!!」と他の人が「そんなに?」と疑問に感じるほど熱がります。
そして笑いどころが人よりちょっとずれている、というのもファブルの性格的特徴です。
お笑い芸人・ジャッカル富岡が大好きで、誰も笑わない彼のギャグに、一人だけ大爆笑する場面も見られます。
そして、絵のセンスがあるのかないのかよくわからないといった、不思議な世界観を持つのもファブルの魅力の一つです。
ボスや周りの人との約束は必ず守り、お世話になった人への恩は自分の命を懸けても果たす、それがファブルの格好良さといえます。


ファブルはサヴァン症候群!?
ボスがファブルの事をサヴァン症候群だと言うシーンがありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
サヴァン症候群とは自閉症スペクトラムといった発達障害などがありながら、突出した能力を持った人の事をさします。
確かにファブルは殺しのプロで、その能力は尋常なものではありません。
しかし、ファブルは人とのコミュニケーションはちゃんととれますし、それによって日常生活に支障をきたしている、という事もないように見えます。
サヴァン症候群には大きく分けて二つの種類があり、有能サヴァンと驚異的サヴァンに分けられるのです。
有能サヴァンとは知的障害がありながら、音楽や美術の分野で本人の知的能力を大きく上回る能力を持つ人間の事をさします。
そして驚異的サヴァンとは、知的能力に関わらず、目を見張るような極めて優秀で、特別な能力がある人間の事をそう呼ぶのです。
驚異的サヴァンとは世界でも100人に満たないほどの確率とされているので、もしファブルがサヴァン症候群なのであれば、この驚異的サヴァンの方に分類されるといえます。
「ザ・ファブル」みどころポイント
岡田准一という俳優の凄さが際立っている映画「ザ・ファブル」。
ここでは今作品の見どころポイントを伝えていきたいと思います。
とにかくアクションシーンがすごい!!
ラスト30分のド派手なアクションシーンはこの映画の最大の見せ場です。
敵をなぎ倒しながらも致命傷は外す=ボスの言うとおりに絶対に人は殺さない。これはファブルにしかできない神業なのではないでしょうか。
息を呑むようなアクションシーンで、100人はいるのではないかと思われる、敵達を次々に倒していくファブルの姿は本当に格好いいです!!
自分を育ててくれたボスの命令を遵守し、まがい物の銃と自らの闘いの知恵と経験を駆使して無事に岬を救出したファブル。
これにはボスもびっくりで、生き残った敵達はボスが後始末をする、という結果に至りました。
ファブルは見事“絶対に人を殺さない”というボスとの約束を守り通したのです。
そして、またファブルは一般人と同じ生活に落ち着きます。
弟分と兄貴分の切ない別れ
そして、柳楽優弥演じる小島と、安田顕演じる海老原の悲しい師弟関係の終わりも見どころの一つです。
小島は岬をAV業界に売ろうとした張本人で、それは絶対にやってはいけないと兄貴分である海老原から釘を刺されていました。
しかし、そのルールを守らなかった為に、海老原は小島の頭を銃で撃ち抜きます。
弟分として小島のことを可愛がっていた海老原。
海老原の気持ちを考えるといたたまれない気持ちになりますが、裏の社会ではこういった事は日常茶飯事の出来事なのではないでしょうか。
小島を殺す事で兄貴分として海老原はけじめを付けたのです。
そして殺される直前、「足を洗ってカタギになる」と小島はそう言って自分の罪から逃れようとしました。
小島を撃ち殺し、向井理演じる砂川に死んだ小島の写真を見せたのは、弟分が散々周りに迷惑をかけた事に対しての謝罪と、それに対して落とし前をつけたという意味なのです。
コミカルな部分もお見逃しなく!!
この映画のコミカルな部分ってどこ?と端的に問われると一言では言い表わせないという部分もあります。
しかし、今まで殺し屋としてしか生活してこなかったので、ファブルが個性的で変わり者、という部分がこの映画では非常に際立って描かれており、そこが面白さを放っているのです。
枝豆を皮ごと食べたり、さんまを頭から食べようとしたり、最後のシーンでは手羽先を骨ごと全部食べてしまいます。
そういった部分がファブル=変人?というように描かれていてくすっと笑えるのです。
凄腕の殺し屋ながら、普段は天然的な要素を見せるファブルのギャップがこの映画のコミカルな部分といえます。
続編も誕生!!
そして何と!「ザ・ファブル」の続編として、実写映画第二弾「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」でファブル達がまたスクリーンに見参します!!
主要キャストは変わらずで、新キャストとして堤真一、平手友梨奈、安藤政信、橋本マナミなどこれまた豪華なキャストが勢揃いしました。
続編は「ザ・ファブル」の原作において、ファンの間で“一番泣ける”と言われている「宇津帆編」です。
堤真一演じる宇津帆を軸に話が展開していくようですが、ファブル達は今度はどんな活躍を見せてくれるのでしょう!?
まとめ
以上、「ザ・ファブル」から何故、ボスはファブルに休業を命じたのか?インコを飼わせた理由、ファブルの人物像について書いてきましたが如何でしたでしょうか!?
「ザ・ファブル」はただ“殺し”というものを描いただけの作品ではありません。
色々な人の人生や感情、そういったものを時にコミカルさを交えながら味わえる映画となっています。
血しぶきが飛び散るシーンもあるので、家族向けではありませんが、恋人や友達とワイワイとしたい時におすすめの1本です!!