
「スティング」(The Sting)は1973年に公開されたアメリカ映画です。
監督はジョージ・ロイ・ヒルで、映画「明日に向って撃て!」で共演したポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが再共演を果たした事でも話題になりました。
親同然ともいえる詐欺の師匠をギャングに殺された一人の若者が、伝説の賭博師と組んでギャングのボスに復讐をする痛快コメディ映画です。
名作中の名作、映画「スティング」からネタバレ・考察、あらすじや小話などを作品の魅力たっぷりに紹介していきたいと思います!!
スティング(1973年)
時は1936年。シカゴの下町でジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)とその詐欺師仲間が、通行人の男を引っ掛けお金を騙し取る。
しかしそのお金はいつもとは段違いの額の金だった。
それもそのはず、そのお金はNYの大物ギャング、ドイル・ロネガン (ロバート・ショウ)が賭博で儲けたお金で、通行人の男は彼の手下であった。
怒った組織はフッカーの詐欺仲間であり、師匠でもあるルーサー・コールマン(ロバート・アール・ジョーンズ)を殺害。
復讐を誓ったフッカーは、ルーサーの親友でもあり伝説的な賭博師のヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)に助けを求める。
最初は乗り気でなかったゴンドーフ だったが、相手がロネガンである事を知り、フッカーの提案を承諾。
こうして2人はロネガンを相手に、一世一代の大バクチを企てるが…。
スティング(ネタバレ・考察)
何年経っても色あせる事のない名作映画「スティング」。
ここでは「スティング」にまつわる小話やトリビアをご紹介していきたいと思います!
アカデミー賞7冠達成の功績
「スティング」は、第46回アカデミー賞で何と7冠もの賞を受賞した、輝かしい功績を持つ映画です。
作品賞を始めに、監督賞、脚本賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、音楽賞と、その年のアカデミー賞を総なめにしました。
ノミネートされていた主演男優賞のロバート・レッドフォード、撮影賞、録音賞は惜しくも受賞を逃しましたが、7冠達成とは何とも素晴らしい偉業です!
これは監督を始め、その他のスタッフや、豪華な役者陣の素晴らしいチームワークの賜物と呼べます。
そしてこの「スティング」という映画は、製作会社のユニバーサル・ピクチャーズにとって「西部戦線異状なし」以来43年ぶりにアカデミー作品賞を受賞した映画なのです!
「スティング」は古い作品ですが、未だ根強い人気を誇る素晴らしい映画といえます。


「スティング」というタイトルの意味
「スティング」という言葉の本来の意味は、英語で「刺す」「刺すような痛みを与える」「…をずきずきさせる」「心を刺す。責める」という意味を持ちます。
しかしこの映画でのタイトルの意味は、スラングで「騙す」「ぼったくる」という意味合いで使われています。
この映画において、作品中何回の「スティング」があったかというとその数はなんと26回!!
この26回という数字は、熱心なファンの方が何回も映画を観直して出た数字なのだそうですが、もしかするともっと多くの「スティング」が隠されている可能性もあります。
そういった視点でこの「スティング」という作品を観てみると、もっともっと違った視点での映画の楽しみが生まれますね。
あの有名映画との意外な共通点!
ロネガンとフッカーが出会うシーンはユニバーサルスタジオで再現されたダイナーで撮影されました。
このダイナーが、映画ファンでなくても知っている人の方が多いであろう、あの有名映画でも使われています。
その映画とは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です!
マイケル・J・フォックス演じる主人公のマーティが、若い頃の自分の父親に出会うシーンで出てくるダイナーがまさにそうなんだとか!
このセットの使いまわしは映画世界ではよくある事で、「スティング」と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は意外なところで繋がっていたのです。
「スティング」の方が年代の古い映画ですが、映画の意外な繋がりというのはこういう風に受け継がれていくのですね。


驚きの映画出演料!!
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの気になる映画出演料ですが、当時の俳優にとって最高額である50万ドルがそれぞれ支払われました。
この金額を今の物価に換算すると、何と!2700万ドル(日本円にして27億円)に相当するものなんだとか。
現在の大スターの出演料の相場は、10万~2000万ドルが妥当という事なので、この2700万ドルという数字の凄さには驚きです。
1973年以降、映画スターの出演料は年々上昇しており、今のところ「アイアンマン」のロバート・ダウニーJrの58億円という数字がトップとなっています。
こうして考えると、58億円には劣るものの、時代背景なども現代と全く異なる世の中で、27億円という出演料を手にしたニューマンとレッドフォードは、やはりすごい人物なのですね。
見事に騙される!?脚本の面白さ
この映画の素晴らしい点は、豪華な役者陣や劇中で流れる音楽、演出の素晴らしさ、などなど数えたらきりがありません。
しかし、ここで一番注目したいのはやはり“脚本の面白さ”です。
その魅力に迫っていきます。
一番のターゲットは観客
この映画の一番の魅力は、やはりラストの大どんでん返しにあるといえます。
とても頭を使う映画なので、一度観ただけでは理解するのが大変な映画ともいえるでしょう。
この映画で一番騙されるのは一体誰なのか?
それはずばり“観客”だといえます。
“観客巻き込み型映画”という手法がありますが、「スティング」という映画はこの斬新な手法で大成功を収めたいい例と呼べるでしょう。
そしてこういう手法が使われるのは「スティング」がずばり、当時の映画界で先駆けとなったのではないでしょうか。
観終わった後に「あー!騙された!!」と思わず声を上げたくなるような部分がこの「スティング」という映画の魅力なのです。


あの有名人も影響を受けている!!
日本映画界でも“観客巻き込み型映画”は年々増えている傾向があります。
最近の邦画ヒット作では「カメラを止めるな!」などが例として挙げられるのではないでしょうか。
そして「スティング」に影響を受けた人物としてあの大物有名人の名前も挙げられます。
それは日本のコメディー映画の巨匠・“三谷幸喜”です。
三谷幸喜も「スティング」の大ファンだそうで、その脚本の面白さの虜になったのだとか。
日本の喜劇の王様、三谷幸喜をもうならせた映画作品「スティング」。
やはりその脚本の面白さは群を抜いているのですね。
「スティング」における復讐劇は悪なのか?
「スティング」は復讐劇ですが、その復讐において誰も血を流す事はありません。
はたして、この復讐劇は悪なのでしょうか?
そこを考察していきたいと思います。
誰も傷つかないという部分がポイント!
フッカーもゴンドーフもやっている事は詐欺なので、その仲間達も含め犯罪である事は確かです。
しかしそれが“悪”なのかと問われると、真っ向に「これは悪だ!」といえないのが事実としてあります。
そのポイントとして、フッカーもゴンドーフも誰かを殺したり、傷つけたりはしていません。
しかし、それとは正反対にロネガンは手下にルーサーを殺させたりと、自分の保身の為なら手段を選ばない悪徳なギャングです。
そのギャングを罠にはめる、というのがフッカー達の狙いなので、この映画においての“悪”の役割はロネガンの方にあります。
「スティング」はあくまでもコメディ映画なので、ロネガンを殺してルーサーの仇を討つなどという展開だったら、こんなにはヒットしなかったでしょう。
“悪”はロネガンの方にあり、フッカーとゴンドーフは“血を流さない闘い”に見事勝利したのです。


悪徳警官スナイダーの役割
チャールズ・ダーニング演じる刑事のスナイダーも、ロネガンの立ち位置と似た部分を持つ人物です。
彼の職業は警官ですが、賄賂を平気で受け取ったりと、決して“正義”とはかけ離れた位置にいる警官と呼べます。
スナイダーもこの作品において、非常に重要な役割を担っています。
スナイダーはゴンドーフの作戦で作られた、偽のFBIに協力する事になりますが、彼はロネガンを逮捕するのに都合のいい人物だったのです。
大物ギャングを逮捕したとなれば、自分の地位にも名誉にも関わってくる事になります。昇進も夢ではありません。
スナイダーがロネガンを連行していくラストは、清々しくも感じました。
フッカーとゴンドーフは頭脳戦で、ロネガンだけでなく、スナイダーにも勝ったのです。


「スティング」が名作として愛される理由
「スティング」は驚異の“大どんでん返し”映画です。
この“大どんでん返し”という手法は当時の映画界において、とても斬新な発想だったといえます。
「スティング」はその後の映画作品において、強烈なインパクトを与え、同じような類の映画でこの作品の影響を受けていない映画はないといっても過言ではないでしょう。
いわば、この映画はその後の大どんでん返し系映画のお手本となったのです。
そして、観賞後の強烈な爽快感!!
騙されたのにスカッとする!この不思議な爽快さが「スティング」という映画の良さであり、多くの人に長く名作として愛される理由なのです。
そしてニューマン演じるゴンドーフとレッドフォード演じるフッカー、この二人の熱い絆にも胸を打たれます。
そして二人を取り巻く仲間達の華麗なるチームワークにも、「お見事!」と思わず声を上げてしまう程の名作なのです。
まとめ
以上、「スティング」のネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわるトリビアをご紹介してきましたが、如何でしたでしょうか!?
一筋縄ではいかないこの映画。
一度観たらこの作品の虜になってしまう事間違いなしです!!
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの抜群の格好良さにもしびれ、何度も繰り返し観たくなる、そんな中毒性のある映画です。