映画エイリアン ネタバレ・考察

「エイリアン」は1979年に公開されたSF・ホラー映画です。

監督は映画「グラディエーター」(2000年)などを手掛けたリドリー・スコット。主演はシガニー・ウィーバーが務めました。

閉鎖空間である大型宇宙船の中、侵入してきた未知なる生命体による虐殺と、乗組員の緊迫したサバイバルを描いた映画です。

観客らを恐怖の世界へと引きずり込んだ異形の怪物、エイリアンの姿に惹かれたホラー映画ファンの方も多いでしょう。

そんなホラー映画「エイリアン」についての魅力を様々なネタバレ・考察と併せて紹介していきます。

エイリアン(1979年)

暗黒の宇宙。そこを航行する貨物船ノストロモ号は、大量の天然鉱石を積み主人公のリプリーらと共に地球への帰途にあった。

その道中、謎の救難信号を受信したノストロモ号のコンピューター「マザー」は、その発信源を確認すべくスリープ装置を解除し、クルーらを覚醒させる。

コンピューターの指示に従い謎の信号元に向かった一向だが、そこには見た事も無い形をした卵が存在する巣が存在した。

そして卵が何なのかを調べようとしたクルーが、未知の生物に飛びつかれて寄生され、植え付けられた生物に胸を食い破られて死亡してしまう。

混乱の中クルーを弔い、謎の生物の討伐作戦に入る一行だが、彼らの前には既に成長を遂げた異形の怪物「エイリアン」が現れる。

逃げ場の無い宇宙船という閉鎖空間の中で、クルーたちが生き残る為の戦いが今始まる…

エイリアン(ネタバレ・考察)

映画「エイリアン」は様々なトリビアが存在する映画です。

これらを知る事で、もっと映画「エイリアン」を楽しむ事が出来ます。

「エイリアン」の姿の元になった原画集

この映画の恐怖の象徴と言える異形の化け物「エイリアン」ですが、その姿を考えたのはハンス・リューディ・ギーガーというスイス出身の画家です。

彼が描いた画集「ネクロノミコン」には、機械とも生物とも似つかない異形の怪物が多数描かれています。

ある日ネクロノミコンを目にした監督は、彼の起用なくして映画の成功はありえないと考え、ギーガーにラブコールを送るのでした。

しかし彼との契約には様々な問題が生じ、関係は破綻の危機に!

それでも監督とギーガーによる長期の話し合いによって、なんとか危機を脱し契約の締結が行われました。

そうして誰も見たことのなかった、禍々しくも魅力的な最強の捕食者「エイリアン」のデザインは誕生したのです!

急ピッチで行われた撮影

映画撮影に掛かる期間は本来半年から一年ほどと言われています。

構想だけで10年以上の期間を要する名作も多く、当然「エイリアン」も長い年月をかけて生み出された作品かと思いきや、実は約3ヶ月半という超急ピッチで撮影された作品だったのです。

舞台となった宇宙空間や船内の細かな作り込みが必要であったにも関わらず、尋常ではない厳しいスケジュールでの撮影を余儀なくされました。

その為、上映予定日の直前まで制作を続けており映画が完成したのはなんと上映一週間前!

ギリギリのスケジュールであった為、事前にプロモーションなども一切行われなかった非常に珍しい作品なのです。

それでも映画は大ヒット!今ではエイリアンといえば誰もがギーガーの描いたあの生物が頭をよぎるほど、人々の心を鷲掴みにする作品となったのでした。

演者が見せたありのままの恐怖

この映画を撮影するにあたって、監督が演出の内容をあえて演者たちに伝えなかった場面が存在しています。

その特徴が特に反映されていたのは、乗組員の胸部からエイリアンの幼体が飛び出てくる場面です。

胸からエイリアンが飛び出てクルーが急に血まみれになる場面は、詳細を知らされていなかった演者達にとってあまりに衝撃的な出来事であり、演技でない本当の恐怖を見せる事に…!

これは意図的に内容を詳細を伝えない方が、彼らのありのままの反応を撮る事が出来て、より良い映像が撮れるのではないかと考えた監督の作戦でした。

監督はこの手法を映画の一部で使用する事で、俳優たちが感じたありのままの恐怖を視聴者に届ける事に成功しています。

猫に翻弄された映画撮影

映画「エイリアン」を撮る上で苦労した点の一つに、映画に登場していた「猫」が挙げられます。

本作に出演した猫、ジョーンズはエイリアンが居る宇宙船の中を歩き回りながらも、最終的には主人公と共に惨劇から生還した猫です。

そんな猫ですが、映画の撮影の時には気まぐれにセット内を歩き回り、思い通りに動いてくれずに上手く撮影ができなかったという事が何度も起きました。

しかし撮影班は気まぐれな猫に対応出来るように様々な工夫を凝らし、撮影を続けていく事で技術がだんだん向上していく事に…!

最終的には突如現れたエイリアンに警戒する姿などを撮影出来る様になり、映画の恐怖を伝える役者の一匹になることが出来ました。

一体どうやってエイリアンに警戒するシーンの撮影に成功したのですか?
敷居の裏にシェパード犬を待機させていて、その敷居を猫の前で取り去る事で猫を驚かしていたんだよ。

本作の怪物・エイリアンについて

映画「エイリアン」で活躍する異形の怪物・エイリアンについての紹介です。

未知の存在であるエイリアンが生み出す恐怖によってこの映画は成立しています。

エイリアンの持つ特徴

映画に登場するエイリアンは非常に特徴の多い、機械と生物のハイブリットの様な見た目をした怪物です。

非常に凶暴かつ知能も高い怪物で、正面から力でねじ伏せてくる事もあればダクトなどの暗闇から奇襲を仕掛けてくる事もあります。

身体能力も非常に高く、映画にはエイリアンが一匹だけのみの登場でしたが、その一匹のみでもクルー達はなす術無く、主人公と一匹を除いて惨殺される事に!

宇宙空間に放りだされても活動が出来る強靭さも持っており、正に「究極の生命体」と言えるのがこのエイリアンとなっています。

エイリアンの種類について

初代「エイリアン」の映画で出てくるエイリアンには3つの形態が存在しています。

  • 寄生対象の顔に飛びついて、寄生体を身体に産む役割を持った中間体「フェイスハガー」
  • フェイスハガーが埋め込んだ寄生体が成長した生物で、宿主の中で成長して体を食い破るエイリアンの幼体「チェストバスター」
  • 異形ともとれる不気味な体躯をしている、圧倒的な力で人間を襲う成体の「エイリアン・ビッグチャップ」

これらの形態が初代「エイリアン」には登場をしています!

たとえどの形態であっても関わった人達は殆ど死んでいるので、幼体であっても非常に危険な生物です。

エイリアンを演じた一般人

1970年代当時の映画撮影では、巨大な生物を演じる時には主に怪物のスーツを演者が身に纏い、演技をする事で撮影をしています。

しかし本作に登場するエイリアンは身長が約200㎝もある異形の怪物である為、エイリアンのスーツを着るのに適した、細身で長身な人物を探す必要がありました。

そんなある時に、スタッフが気分転換の為訪れたバーで、条件に見事に合致する大学生の「ボラジ・バデジョ」という人を発見します。

細身で208㎝という超高身長の持ち主の彼は、エイリアンのスーツを着て演技をするのにうってつけの人物です!

こうして彼をスカウトし、エイリアンが登場するシーンの撮影が出来る様に…

彼は俳優としては素人でしたが、撮影に役立つ技能として太極拳等を学んでいた人物であり、エイリアンが劇中でゆっくりと相手を見据えて歩く姿は、彼の持つ技術が生かされた名演技だと言われています。

彼が居なかったらどうやってエイリアンを演じていたのかな?
彼が居なかった場合は子供と大人が両方入って別々に操作する・ロボットを使う等の代案が考えられていたそうだよ。

被害者たちの悲惨な末路

映画でも数々の犠牲者を出したエイリアンですが、エイリアンにすぐ殺された人たちはある意味運が良かったとも言えます。

例えばフェイスハガーに捕まってしまった人は寄生体を産み付けられて、チェストバスターに生きたまま胸を食い破られて死んでしまいました。

また、もしも捕まってエイリアンに連れ去られてしまった場合、エイリアンの卵の苗床にされてしまう事に…

苗床にされてしまったクルーは主人公に「殺してくれ」と頼むほどだったので、想像を絶する苦しみを襲っていた事は想像に難くないです。

とても有名な二人の出世作

映画「エイリアン」は当時無名であったシガニー・ウィーバーリドリー・スコット出世作とも言える作品です。

この映画が無かったら、彼らは無名のままであったかもしれません。

名女優、シガニー・ウィーバー

「エイリアン」の主人公でもあるエレン・リプリーを演じた女優、シガニー・ウィーバーですが、当時は全くと言っていいほど無名の俳優でした。

彼女は今までは端役でしか映画に出たことが無かったのですが、映画「エイリアン」のオーディションに出た時から人生が大きく変化します。

監督はこの映画を撮る際に個性的な面を持つ優れた俳優を集める事を目的としていた為、無名な俳優からも優れた人物を探していました。

シガニーは演技力が非常に高く、その上個性的な面をオーディションで見せていた為か監督に気に入られ、最終的に主役の座を勝ち取る事に成功

彼女は晴れて主役となった映画「エイリアン」で優れた演技を観客に披露し大活躍!

今では様々な映画に出演をする名女優として活動を続けています。

名監督、リドリー・スコット

映画「エイリアン」はリドリー・スコット監督の出世作と言われている作品です。

元々映画監督としての高い才能は備えていましたが、映画「エイリアン」の大ヒットによってその才能が世界中に知れ渡る事となりました。

また、映画「エイリアン」の後には「グラディエーター」、「オデッセイ」等のアカデミー賞やゴールデングローブ賞を獲得した作品を幾つも手掛ける名監督です。

その後も「エイリアン」シリーズの続編の監督を務めるなど、現在80を超える年齢ながら幅広い活躍を続けています。

自分でも「エイリアン」を体験出来るゲーム

エイリアンの世界をより楽しむ事が出来るアイテムとして、「ALIEN:ISOLATION」というゲームが存在します。

このゲームは映画の1作目と2作目の間の話を描いた、エイリアンから逃げながら目的を達成していくサバイバルホラーのゲームです。

このゲームは映画「エイリアン」が持つ恐怖を見事に再現し、体験する事が出来るゲームになっています。

映画以上に恐怖を体験?

「ALIEN:ISOLATION」は映画「エイリアン」へのリスペクトが非常に深く、作り込みも凄いゲームで正に「エイリアン」ファン歓喜のゲームです。

このゲームに登場するエイリアンは映画の物とは別の種類ではありますが、ギーガーのデザインを高いレベルで受け継いだ、恐怖を煽るモデリングで作られています。

更に当時の映画では描くことが出来なかった、狭い宇宙船内を縦横無尽に駆け回るエイリアンを見事に再現する事に成功しました。

その点だけであっても、「エイリアン」ファンにとっては大きな見どころの一つと言えるでしょう!

また、このゲームはエイリアンに捕まると即死亡という非常に厳しいルールが存在しています。

その為、映画の人物達が感じたであろう恐怖を、自身で直に体験する事が出来るゲームに仕上がりました。

原作の名シーンも楽しめる!?

また、本ゲームには映画「エイリアン」で登場した名シーンを体験出来るゲームモードも用意されています。

その内容はなんと映画当時の俳優が声を演じ、映画当時の姿をデザインして作られたキャラを操作して当時のエイリアンの世界を遊ぶ事が出来るという素晴らしい内容になっていました。

高いクオリティで作り込まれたノストロモ号を主観でじっくりと眺めてみたい所ですが、場所によってはエイリアンが許してくれないので注意が必要です。

数十年もの時を超えて集結した彼らの名演は、映画ファンの方には是非体験してほしいと思えるものとなっています。

「エイリアン」の話の続き

映画「エイリアン」は興行的にも大成功を収め、続編が何本か作られる事となりました。

「エイリアン2」はリプリーらのや、更に種類を増やしたエイリアンの活躍・ド派手なアクションなどによって大成功といえる興行収入を達成しています。

しかしその続編である「エイリアン3」「エイリアン4」は興行的には成功をしましたが、物語に対する批判などもあり、ファンからの評価は辛口の物が多いです。

その為、製作側は「エイリアン4」以降の続編ではなく、初代「エイリアン」の前日譚である「エイリアン:プロメテウス」等の制作をする事となりました。

また、映画「エイリアン」には直接かかわらない外伝として「エイリアンVSプレデター」といった映画も公開されています。

まとめ

「エイリアン」は閉鎖空間の中で襲い掛かるエイリアンの脅威と、それに対し懸命に抵抗する人々のサバイバルが描かれた映画です。

上映当時、アメリカでは大ヒットをして、アカデミー賞を始めとした様々な賞を貰ったほどの名作となっています。

また、この映画は1979年に上映された非常に古い時代映画ではありますが、世界観の作り込み・エイリアンが見せる演出・登場人物達の熱演は今でも十分通用する映画だと言えます。

ホラー映画が好きな方で、この映画を見たことが無いという人には、是非一度は見て欲しい作品です!

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