アニメ | cinemaxina https://cinemaxina.com 観たいが見つかる!お家シネマの総合情報サイト Thu, 24 Mar 2022 05:34:21 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.1 https://cinemaxina.com/wp-content/uploads/cropped-vf-32x32.png アニメ | cinemaxina https://cinemaxina.com 32 32 180547246 アニメ版 君の膵臓をたべたい(ネタバレ・考察)桜良と「僕」の恋愛ではない関係!最初に観る「キミスイ」はアニメ版を推す理由 https://cinemaxina.com/kiminosuizouwotabetai_anime/ https://cinemaxina.com/kiminosuizouwotabetai_anime/#respond Sat, 26 Mar 2022 23:00:34 +0000 https://cinemaxina.com/?p=27211 出典 : amazon.co.jp アニメ版「君の膵臓をたべたい」は2018年に公開されたアニメ映画で、作家・住野よるの2015年に出版された同名小説を原作とした作品です。 小説投稿サイトに掲載された原作を他のプロ作家が目にし、出版社を紹介したところ、デビュー作でありながら爆発的な売れ行きを見せベストセラー小説になりま

The post アニメ版 君の膵臓をたべたい(ネタバレ・考察)桜良と「僕」の恋愛ではない関係!最初に観る「キミスイ」はアニメ版を推す理由 first appeared on cinemaxina.]]>
出典 : amazon.co.jp

アニメ版「君の膵臓をたべたい」は2018年に公開されたアニメ映画で、作家・住野よるの2015年に出版された同名小説を原作とした作品です。

小説投稿サイトに掲載された原作を他のプロ作家が目にし、出版社を紹介したところ、デビュー作でありながら爆発的な売れ行きを見せベストセラー小説になりました。

オーディオブック、実写映画、そしてアニメ化とメディアミックスすることでファンを増やし、各メディアで人気を博し「キミスイ」の愛称で知られるようになるのです。

アニメ版は最後に登場したメディアですが、原作の雰囲気を最も忠実に表現している作品として非常に評価が高く、映像美と人物描写が素晴らしいアニメになっています。

桜良と「僕」(春樹)が紡いだ物語のなかで、アニメ版だったからこそ表現できたシーンや原作から追加されたことで変化した要素を中心に考察していきましょう。

君の膵臓をたべたい(2018年)

見どころ
印象的なタイトルと、切なくも美しい内容で大きな反響を呼び、実写映画化もされた住野よるの小説が原作。アニメならではの繊細な表現で『キミスイ』の世界が描かれる。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
他人に興味を持たず、ひとりで本を読んでいる高校生の「僕」は、病院の待合室で手書きの『共病文庫』と題された文庫本を拾う。その本は、天真爛漫なクラスの人気者・山内桜良が密かに綴った日記帳だった。桜良は膵臓の病気で余命いくばくもないことを告げる。
出典 : video.unext.jp

君の膵臓をたべたい(ネタバレ・考察)

「キミスイ」は原作小説の出版、実写映画化を経てアニメ映画公開となりましたが、実は原作小説が出版される前にアニメ映画になることが決まっていました。

「キミスイ」の小説を刊行している双葉社が配本しているサンプルを、アニメ配給会社・アニプレックスのプロデューサーが発売前に読み、アニメ化を即決したのです。

発売された小説は300万部を売り上げ、本屋や読書家から絶賛された結果を見るに、プロデューサーの慧眼は間違いなかったと言えるでしょう。

そんなエピソードを持つアニメ版「キミスイ」に関する、ちょっとした情報をご紹介させていただきます。

「キミスイ」の監督は本作で監督デビュー!

本作の監督は牛島新一郎で、主にアクションの多い作品で助監督や副監督を務め評価されていましたが、実力を認められ監督デビューすることになりました。

監督デビュー作であるうえに、メディアミックスされている人気小説の満を持してのアニメ化ということで、慎重に制作が進められたのです。

脚本は原作者の住野よると牛島監督で担当し、どういう映像作品になるかを常に想像しながら組み立てていったとのこと。

結果として監督が生み出した「キミスイ」は、美しい世界の中で人はどう生きるかというテーマを描き、小説の読後感に負けない、観終わったときの深い余韻を味わえます。

高杉真宙も声優デビュー!

主人公である「僕」こと志賀春樹を演じたのは、俳優の高杉真宙になります。

子供時代から芸能界で活躍し、キャリアを積み上げてきた彼ですが、自分の演技力に悩むこともあり、壁を乗り越える努力をしてきたそうです。

結果として若手俳優の中でもトップクラスの演技力を身に着けた高杉真宙の、次の挑戦が「キミスイ」での声優デビューでした。

声質や雰囲気から「僕」にマッチするとプロデューサーや監督から指名されたのですが、もともとアニメ好きの高杉はアニメへ出演するプレッシャーで緊張したそうです。

そこで監督は物語の進行に併せて収録する”順撮り”で高杉の声優としての経験を積ませることで、成長する高杉の演技と劇中での「僕」の進歩を合わせることにしました。

この目論見は大当たりし、感情の振れ幅が大きくなっていくストーリーの進行に併せて高杉の演技がハマり、良い結果となったのです。

演技のレベルが上ったせいで、初期に収録した過去を振り返るシーンを撮りなおしたとか!
それだけポテンシャルが高かったということでしょう。今後の声優活動に期待です。

アニメ版が細かく描いた心の交流とは

アニメ版「君の膵臓をたべたい」は実写版と違って、成長した「僕」(春樹)が過去を振り返るのではなく、現在進行形の物語として進みます。

「僕」は前述の通り高杉真宙が、桜良は声優のLynnが演じており、この2人の交流をしっかり描くことで人間関係や考え方の変化を表現しているのです。

ここではアニメ版がなぜ主人公2人を徹底的に描いたのかを考察していきます。

友達の居ない「僕」の進歩

「僕」が病院で桜良の秘密を書き記した”共病文庫”なる本を拾ったことから物語は始まります。

家族以外、誰にも教えていない病気の秘密を知った「僕」は、本の持ち主である桜良と約束して秘密を共有する仲間になるのです。

序盤で描かれる2人の会話は、「僕」が経験してこなかった人付き合いのスタートとして、コミュニケーションが得意でない様子が演技から伝わってきます。

社交的な桜良と孤高に生きてきた「僕」を対比させることで、違う世界の2人がどう交わっていくかが焦点になるのです。

「僕」を演じた高杉真宙がアニメ作品での演技に慣れていないため、桜良との会話が噛み合わないと感じるのは、監督が意図した”関係のぎこちなさ”を表現しています。

物語が進み「僕」が桜良と対話を重ねることでお互いの会話がスムーズになり、「僕」(と高杉真宙)の進歩が伝わるのです。※誤字

桜良という存在が「僕」とつながったことで、他者との交流を経て感情の変化を知るなど、彼の人生の中で大きな転換点になりました。

残された寿命で願いを叶えたい桜良

自分の寿命を知った上で病と向き合い、死ぬまでにしたいことを「僕」と叶えていく桜良は、友達も多くコミュニケーションも上手、そして非常にアクティブです。

周囲を振り回す元気を見せるなど一見ポジティブに見える桜良は、心のなかでは迫りくる寿命に怯えています。

明るい性格を装いごまかしながら、自分の価値を見いだせない中で「僕」と出会いますが、その過程で自分の存在価値と生きがいを得る桜良は、心の機微を丁寧に表す必要があり、難しい役どころです。

「僕」の成長と距離の近づきを喜びつつ、自分の不安と戦う桜良をLynnは見事に演じ、高杉の演技を引き出した上で桜良というキャラの深みを見せました。

時間が進むことで縮まる距離や関係と、確実に減っていく寿命の中で「僕」にふと見せる弱い一面など、儚いながらも魅力的で心に残るヒロインになっています。

「僕」と桜良が放つメッセージ

実写版では大人になった「僕」と桜良の親友である恭子が、桜良からのメッセージを受け取るというオリジナルの展開を付けたことで、映画としての起伏を作っていました。

アニメ版では原作者が脚本に加わったことで、小説をアニメ映画にどうやって変換し、伝えたかったメッセージをどのように織り込むかが重要視されたのです。

結果的に本作は「僕」と桜良の関係を中心に、二人の出会いから絆が芽生え、お互いを大事に想う交流による成長を、原作に加える形で描いています。

その最たる場面として注目したいのが、病院に入院していた桜良が「僕」を連れ出して花火を見に行くシーンです。

原作では病室で桜良と花火を見るのですが、アニメ版では花火がよく見える場所で、美しい夜空の大輪をバックに抱き合う2人が描かれます。

人生最後の打ち上げ花火であることを桜良は理解していたのでしょう。「僕」はそんな桜良の不安を察知し「君に生きていて欲しい」と真っ直ぐに伝えるのです。

「僕」にとって桜良が何よりも大事で、1番の存在として見てくれている事を理解し、2人が重ねてきた時間が結実したことを感じた桜良はこの瞬間に救われました。

アニメ版独自の描写ですが、最後の花火を大事な人と見て気持ちが伝わるシーンは映像として非常に美しく説得力もあり、クライマックスとして観客を魅了するでしょう。

なぜ桜良は殺された?

あとわずかの寿命で、限られた時間の中「僕」と過ごすことを楽しみにしていた桜良は通り魔に刺されてこの世を去ります。

寿命が限られているからといって、それを全うできるとは限らない衝撃的な展開は、観る人にショックを与えるでしょう。

この展開は、病気の有無に関わらず、”人生をどう生きるか?”というメッセージになっているのです。

普段、何気なく過ごしている日常はとても尊いもので、残されている寿命は誰にも分かりません。

死ぬ側も、残される側も、最期を迎えたら関係は絶たれてしまいます。

桜良の最期は人間関係を含めて、いつ死んでも悔いの残らない生き方をしようという気持ちにさせてくれるのです。

やりたいことリストから見る桜良の気持ち

桜良は余命を告げられていることから、自分が大人になれず命が終わる事実を理解しています。

そのために「僕」と仲良くなった桜良は、共病文庫に”やりたいことリスト”を書き、叶えていくことにしました。

限られた条件の中で、やり残したことが無いように生きようという彼女の決意を感じます。

劇中で細やかに描かれている”やりたいこと”と、それを願った桜良の気持ちを推察してみましょう。

男の子とお泊り旅行をしたい

異性とお泊り旅行するというのは、普通の女子高生ならなかなか踏み出せない願いに感じます。お互いの関係性として、異性とお泊りするというのは、かなり心の距離が近くないと言い出せないからです。

ですが絶対に叶えたいと決めている桜良は、「僕」と一緒に富山から博多へ向かい、内緒の一泊旅行にでかけます。

本当は別々の部屋で寝る予定が、ホテル側のミスで1つの部屋に泊まることになった2人は、緊張しつつも同じベッドで寝ることになりました。

ここでお互いに緊張しつつも手を出すわけでもなく、二人で夜を過ごし、心の距離を縮めていくのです。

持病がある桜良は、容態が変化する可能性が高いため遠出が許されていないのですが、「僕」と一泊旅行をすると決めた彼女は親友の恭子の家に泊まると嘘をついてまで決行したことに満足します。

ですが「僕」と秘密を共有し仲良くなったことで、元気なふりをしていても実際は近づいてくる死の不安に怯えていることを告白できました。

強がりの自分ではなく、本当の自分を見せてもいい相手として、仲の良い異性である「僕」の存在が桜良の中で支えになっていることを示しているのです。

美味しいラーメンを食べたい

一見、なんでもないようなことにも思えますが、膵臓の病気を患っている人にとってラーメンは基本的に食べられないメニューです。

膵臓は食べた脂肪分を分解する物質を出すため、食事で脂っこいものを食べると膵臓の働きが強くなり、負担をかけてしまいます。

残り少ない人生で美味しいラーメンを食べるチャンスは、体調が良好であり、その上で美味しいお店は行列ができるであろうことから、実は難度の高い願いなのです

桜良は「僕」と博多旅行に行った際に、博多一幸舎でとんこつラーメンを食べることができました。幸せな瞬間として彼女の胸に刻まれたのではないでしょうか。

※紐付け ラーメン 体調と関連させる

恋人じゃない男の子といけないことをしたい

自宅に「僕」が来たときに、桜良はやりたいことの1つとして”恋人じゃない男の子といけないことをしたい”と告げます。

ここで桜良が考えていた”いけないこと”は、男女のキスを想定していたようですが、「僕」に迫るふりをして、自分から冗談めかしてごまかしてしまうのです。

その結果、「僕」は自分の気持ちを弄ばれたと思い、怒って桜良を押し倒します。

桜良と自分は直接的な言葉が無い関係でもお互いに好意を抱いていると思ったからこそ、「僕」は怒ってしまうのです。

なぜ桜良は恋人じゃない男の子といけないことをしたい、と共病文庫に書いたのかは理由があります。

いけないことをしたいと思ったのは「僕」と一泊旅行した後に追加された願いで、同じベットにいながらも接触すること無く緊張して一晩を過ごしたため、いけないことをしたいと考えたのです。

“恋人じゃない男の子”という前提は、桜良が過去に男子と付き合っていて、恋人同士の関係ではありましたが上手く行かなかった経験があったからでしょう。

恋人というものを経験している桜良にとって、もっと尊い存在である「僕」を”恋人”と表現するのがイヤだったように見えます。

桜良の表現を分かりやすく翻訳すると”「僕」とキスしたい”という願いになりますが、叶わずに終わりるものの、お互いの理解を深める結果となり、2人はより強く結びつくのです。

「君の膵臓をたべたい」の意味

短い期間でありながら、桜良と「僕」(春樹)の絆は深まっていきます。死ぬことに怯えていた桜良はかけがえのない関係を「僕」と構築していくのです。

お互いが思っているよりも深く、強い気持ちで通じ合った2人は、恋愛を遥かに超える感情を共有します。

そのことを表す「君の膵臓をたべたい」に含まれる言葉の意味や、以心伝心で繋がっていたからこそ明らかになったメッセージをお伝えします。

爪の垢を煎じて飲みたい

優れた人にあやかって、自分も成長したいということわざですが、春樹はメールを打つときに一回書いたものの、取り消して別の言葉を送ります。

桜良の死後、共病文庫に書いてあった遺言の中に、”爪の垢でも煎じて飲みたい”と書いてあるのを見つけた春樹は、送らなかった言葉が届いていたことに驚くのです。

2人がどれほど通じ合っていたかを表す描写であり、お互いに敬意を持っていたかが分かるシーンになります。

君の膵臓をたべたい

タイトルにもなっているこの言葉は、好意だけでは表せない相手への強い思いが含まれています。

春樹から桜良へのメッセージは、君の患っている病を無くしてしまいたい、という意味と、君と1つの存在として生きていきたい、の両方を含んでいるのでしょう。

2人の間には凡百の言葉を超えた相手を思うメッセージとして、「君の膵臓をたべたい」が共有されていたことが分かるのです。

最後に見たメールの内容が遺書に書かれていたことで、桜良と想いを共有できていたと知った春樹は、始めて桜良の死に泣くことができました。

桜良は、春樹と会える嬉しい気持ちで亡くなったことは幸せなのかも?
残された人は秘密の有無に関わらずショックを受けますし、見解が分かれるでしょう。

桜良と春樹の会話に見る運命

 

知り合ってすぐの頃に、桜良は春樹の名前を知る機会がありました。

”桜の花は散ったすぐ後に蕾をつけ、春を待つところが好き”と桜良が言ったあとに、共病文庫を拾った相手の名前が春樹と知り、名前の関連性に驚きます。

桜という春の花が咲く自分の名前に紐付けられるような“春の樹”が現れ、仲良くなったことは、桜良にとって運命的な出会いだったのでしょう。

そして桜良は、自分が春樹にとって必要な存在になりたいと願っており、そのことを含めて”桜は咲くべき時(春)を待ってる”と考えるのです。

その気持ちが通じたのか、春樹が桜良に対して”桜良の名前は君にぴったりだ”と告げるシーンに、作者のメッセージを感じます。

”春を選んで咲く花の名前は、出会いや出来事を偶然じゃなく選択だと考えている”と答えた春樹も、桜良に運命を感じたのです。

導かれたような出会いから、人生で大切な時間を過ごせたことが登場人物と観客の間で共有され、感情を揺さぶられるようになっています。

恭子と春樹が1年かけて友だちになり、他にも人付き合いができたのは桜良のおかげですね。
墓参りに来た恭子と春樹を見守るように、桜の花びらが揺れるシーンに桜良の気持ちを感じます。

「星の王子さま」と「こころ」が意味すること

映画の中で、桜良は「星の王子さま」を好み、「僕」は「こころ」を持っているシーンが描かれます。

読書が好きな「僕」ですが、原作では太宰治が好きと言っており、なぜアニメ版では夏目漱石の「こころ」を持ち歩いているかについては明かされていません。

桜良はお気に入りの「星の王子さま」がなぜ好きか理由を明言していませんが、劇中での表現から考察できます。

対になっている2人の本が何を意味しているか、ここで解説していきます。

サン・テグジュペリ「星の王子さま」

「星の王子さま」に登場する王子は地球にやってきましたが、自分の星を出るときに、一輪だけ咲いていたバラと喧嘩してしまうのです。

地球にやってきた王子さまはたくさんのバラが咲いているのを見て、バラは特別な存在では無かったと考えますが、すぐにその考えを改めます。

星にあったバラは、王子が丁寧に手入れをして、会話をし、費やしてきた時間があるからこそ特別だと知るのです。

モチーフとして“バラと王子”は桜良と「僕」であることを示しています。2人は関わり合った時間は短くとも、深くお互いを認めあい、特別な存在になりました。

桜良の遺書を読むシーンで映像が流れ、小さな星の上に桜があるのは、彼女の名前に入っている花という理由だけではなく、「星の王子さま」で描かれている世界を映像化しています。

王子が暮らしていた星の上に、バラ科の植物である桜を描くことで、「星の王子さま」のバラは桜良であり、王子である春樹との特別な時間があったことが伝わるのです。

”いちばん大事なものこそ見えない”という「星の王子さま」を代表するメッセージからも、桜良の心情を表す作品として選ばれているように感じます。

夏目漱石「こころ」

「僕」が読んでいる「こころ」には”恋愛とはどういうものか”や、”死生観”というテーマを主人公が先生に問う内容になっています。

好きな人ができたときに変わってしまう心のエゴや、死は必ず人生の中に含まれることなどの内容が、「僕」が置かれている状況を示しているのです。

また「こころ」には、桜良を知り仲良くなるうえで、心においておきたい2つのメッセージが書かれています。

”愛を求めると最終的には相手を抱きしめることができない”ことと、”秘密を抱えたままでは生きていけない”という2点が、「僕」の未来を変えるヒントになっているのです。

花火のシーンで「僕」は桜良を抱きしめますが、愛を求めると抱きしめられないことを知っている「僕」は愛という言葉で括れないほどの気持ちで桜良を包みます。

また恭子に共病文庫を見せたのは、桜良の遺言に従い秘密を明かすことで、「こころ」に描かれている“秘密を抱えたまま死んでいく”の対比として秘密を明かして生きていく春樹を表現しているのです。

「こころ」を読んでいる「僕」が小説の出来事をなぞりながらも、自分と桜良が選んだ道を生きていくことから、「こころ」は越えていくべき自分を意味しているのではないでしょうか。

劇中曲が描いている「キミスイ」の世界観

劇中で使用されている歌曲を担当しているのが、4ピースのロックバンドであるsumikaです。

明るくポップな音作りを得意としており、ファーストシングルから3枚続けてアニメ作品とのタイアップをするなど、アニメと相性のいいバンドでもあります。

オープニング、劇中、エンドロール中の主題歌と、作品のイメージに関わる根幹の曲を任されたsumikaは、間違いなく最高の仕事を成し遂げました。

3つの曲がどのように「キミスイ」の世界観を構築しているかをお伝えしていきます。

原作者の住野よるがsumikaの大ファンだったこともあってタイアップが実現したそうです。

ファンファーレ

オープニング曲として流れる「ファンファーレ」は、制作された画面を観て曲イメージを作ったのではなく、曲を先に出して欲しいというオファーから始まっています。

sumikaのメンバーは自分たちの楽曲が「キミスイ」を見始める観客に対して、最初の印象を与える主役となることにプレッシャーを感じたそうです。

作詞作曲を担当した片岡健太は何曲も挑戦して、最終的に「キミスイ」の登場人物たちが高校生ということで、その頃どう音楽に向き合ったかの初期衝動を曲にしました。

暗いネガティブなイメージすら飲み込んで、美しい瞬間を見つけに行こうという、「僕」に待ち受ける人生の大きな変化と美しい世界を思わせる一曲になっています。

このオープニング曲に合わせてアニメーションが作られ、音と絵が合わさったときに片岡は愛情に満ち溢れたオープニングをみて嬉し涙が出たそうです。

「僕」が迎える新しい世界に、美しいものが待っているという祝福を込めた曲と映像美のコラボレーションは非常に印象的で、引き込まれます。

秘密

劇中で桜良と「僕」が花火を見ながら抱き合い、お互いを大事に想う気持ちを確認するというシーンで流れるのが「秘密」です。

曲中では、自分が夢に見たようなことが叶う嬉しさと戸惑い、相手と自分とが抱き合うことで伝わる熱など、作中で桜良と「僕」が感じてる気持ちを表現しています。

桜良には、生きているうちに見られる最後の花火であることを分かっており、かけがえのない瞬間を共有して、「僕」の中の特別でありたいと考えているのです。

「僕」はそれを理解し、気持ちを伝えたことで、桜良が胸に抱えている願いが叶い救済となるクライマックスのシーンなので、強く印象に残る曲になっています。

春夏秋冬

映画のラストで流れる曲として、「春夏秋冬」は後味を決める重要な役割を持っています。

初めてsumikaのメンバー全員で作曲を手がけており、作曲名義もsumikaになりました。

歌詞の中で、思い出にずっと残り続ける桜良を想うようなメッセージが込められており、季節が巡るたびに桜良へ伝えたいことが増えていくような描写があります。

春樹(「僕」)の中で桜良は大事な存在として、悲しみで終わるのではなく、絆はきちんと繋がったまま未来へ進む意志も感じられるのです。

ラストにこの曲が入っているおかげで、辛い別れで終わるわけではなく、二人の出会いが新しい世界を広げてくれたというメッセージがあるため、前向きな気持ちを感じます。

3曲とも手に入れたいのですけれど、どうしたらいいですか?
セカンドフルアルバム「Chime」に3曲全部入っているので、チェックしてください!

実写版とアニメ版、どっちを先に観る?

「キミスイ」は先に実写映画化されており、後からアニメ版が登場しました。原作ファンとしては実写版からアニメ版を観た方も多いでしょう。

映画の「キミスイ」をまだどちらも観ていないのであれば、アニメ版から実写版という順番で観ることをおすすめします。

アニメ版は原作に忠実に作られており、基本となるストーリーラインを落ち着いて追えるからです。

寿命を迎えることなく、通り魔に刺されて亡くなる桜良と、残された遺志を受け進む「僕」たちというプロットをアニメ版で学んで、実写版の「キミスイ」を観ましょう。

実写版は映画化する上で原作になかった”12年後の春樹”が登場し、過去を思い出す中で桜良が残したメッセージを恭子に届ける仕掛けが加わっているため、印象が変わるのです。

桜良が残した謎というギミックを加えることで、過去パートに加えて現在パートも盛り上がり、悲しみや感動に加えて幸せな空気も流れるなど実写版ならではの追加要素があります。

そのため、アニメ版を先に観てから実写版を観ると、原作のストーリーラインを把握した上で追加された要素を楽しめるので、混乱が起きません。

それぞれ楽しみのポイントが変わるので、どちらも鑑賞していただき、違いを堪能してください。

まとめ

一番早くメディアミックスが決まりながら、より良い作品づくりのために最後に登場することになった本作。

原作者の住野よるも「最後のメディアミックスかも知れない」という覚悟があり、世界観を描く上で楽曲を自分が信頼するバンドであるsumikaに任せるなど本気度が高いです。

製作者全員のモチベーションが高く、回想シーンでは桜良が何を考えて遺書を残したのかを悲しくない映像で表現するなど、泣ける映画にとどまらない工夫が観られます。

製作期間は約2年用意され、じっくり取り組んだ結果名作となって世に出た「君の膵臓をたべたい」をぜひおうちシネマで楽しんでください。

The post アニメ版 君の膵臓をたべたい(ネタバレ・考察)桜良と「僕」の恋愛ではない関係!最初に観る「キミスイ」はアニメ版を推す理由 first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/kiminosuizouwotabetai_anime/feed/ 0 27211
鬼滅の刃 無限列車編(ネタバレ・考察)煉獄杏寿郎が闘いの果てに残したものを徹底考察!!鬼も惚れる彼の強さと魅力とは!? https://cinemaxina.com/kimetunoyaiba-mugennressya/ https://cinemaxina.com/kimetunoyaiba-mugennressya/#respond Fri, 24 Sep 2021 01:23:00 +0000 https://cinemaxina.com/?p=29039 ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable 本作は吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)による漫画を原作とし、日本のアニメの歴史を変えたといっても過言ではない物語です。 監督は外崎春雄、声の出演はテレビアニメ版と変わらず、人気声優の花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞などが担当しています。 無限列車と呼ばれる列車

The post 鬼滅の刃 無限列車編(ネタバレ・考察)煉獄杏寿郎が闘いの果てに残したものを徹底考察!!鬼も惚れる彼の強さと魅力とは!? first appeared on cinemaxina.]]>
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

本作は吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)による漫画を原作とし、日本のアニメの歴史を変えたといっても過言ではない物語です。

監督は外崎春雄、声の出演はテレビアニメ版と変わらず、人気声優の花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞などが担当しています。

無限列車と呼ばれる列車を舞台に、テレビアニメ第1期の続編として描かれた、人食い鬼と、この物語の主人公・竈門炭治郎(かまど たんじろう)やその仲間達の闘いと絆を描いた映画です。

週刊少年ジャンプが推しに推す漫画のアニメ映画版として制作され社会現象までも巻き起こした「鬼滅の刃」。

アニメ第2期の放送も決まり、ノリにノッている本作品から炭治郎とその仲間の嘴平伊之助・我妻善逸、炭治郎の妹・禰󠄀豆子が鬼との闘いを経て得たもの、鬼をも惚れさせる煉獄杏寿郎の魅力を徹底考察していきます!!

鬼滅の刃 無限列車編(2020年)

愛する家族を人食い鬼に殺され、妹の禰󠄀豆子を鬼に変えられた竈門炭治郎。

炭治郎は“鬼殺隊”という鬼を滅する剣士になり、我妻善逸、嘴平伊之助、と共に禰󠄀豆子を人間に戻す方法を探していた。

ある日、短期間で40人以上の人が行方不明になっている“無限列車”での任務を炭治郎達は任される。

鬼殺隊において最強の剣士である“柱”の一人、炎柱の煉獄杏寿郎と合流した炭治郎達は200人の乗客を守るべく、魘夢(えんむ)という鬼と死闘を繰り広げるのであった。

しかし魘夢を倒した直後、煉獄の前に圧倒的な強さを誇る、猗窩座(あかざ)という二人目の鬼が現れる。

果たして煉獄は猗窩座を倒せるのか!?

炭治郎達の運命は!!

鬼滅の刃 無限列車編(ネタバレ・考察)

社会現象を巻き起こし、老若男女問わず多くの人達から熱い支持を受けた「鬼滅の刃」。

本作の主要人物である煉獄杏寿郎は果たしてどういう人物なのでしょうか?そこを考察していきます。

炎柱・煉獄杏寿郎とはどういう人間?

本作の要となる柱の一人、煉獄杏寿郎。彼はその派手な外見とは裏腹にとても孤独で繊細な人物でした。

幼い頃に母親と死別し、かつて鬼殺隊の柱であった父親に自分が柱になった報告をしても、父親はそれを喜ぶ事はなかったのです。

唯一、彼の味方であった弟は病気がちで鬼殺隊士になる事すら難しい状況でした。

煉獄杏寿郎という人間の凄さは、たった3冊の炎の呼吸に関する指南書で剣士になった事です。

どんなに努力を重ねても、誰も褒めてくれる人はおらず、剣技を教えてくれる師匠もいません。

彼の一番の魅力はその鋼のような“心の強さ”でしょう。

弟の人生を守る為、そして己の為、彼には剣士として強くなる選択肢しかなかったのです。

そして鬼殺隊士になり、見事に柱というところまで登りつめたのでした。

煉獄杏寿郎という人間は自分が並々ならぬ苦労と努力を続けてきたからこそ、人の痛みや苦しみが人一倍わかる人物となっていったといえます。

母親との約束を守り抜いた男

この映画の一人目の鬼として登場する魘夢(えんむ)。

魘夢は別名“眠り鬼”と呼ばれており、人を自由自在に眠らせることの出来る能力を持っています。

煉獄を始めとし、炭治郎・善逸・伊之助もその術にかかって列車の中で眠りに落ちてしまうのです。

炭治郎・善逸・伊之助が幸せな夢を見る中、煉獄だけは決して幸せとはいえない夢を見ていました。

柱になっても父親から認めてもらえない、弟の人生もろくに守ってあげられない、彼は自分の力不足を感じていたのです。

煉獄だけが幸せな夢を見なかった理由とは、幼い頃に母親が亡くなり、現実世界で幸せな想いをした事がなかったからなのではないでしょうか。

彼はひたすら寂しさを背負って闘いに身を投じ、優しかった母との「弱き者を助ける」という約束を全うする為だけに生きてきたのです。

煉獄杏寿郎が炭治郎達に残したもの

炭治郎と伊之助の活躍により、魘夢がその刃に倒れたのも束の間、上弦の参・猗窩座(あかざ)という鬼が煉獄の前に登場します。

“柱の死”という事で観る人に衝撃を与えたこの作品。

煉獄が炭治郎達に残したものとは一体何だったのでしょうか?そこを考察していきます。

本当の強さというもの

煉獄は幼い頃から母親に「弱き人を助けなさい」と教わって生きてきました。

煉獄が猗窩座との闘いの時に炭治郎達に手出しをさせなかったのは、これからの鬼殺隊の未来の為に、これ以上若き剣士達に命を落としてほしくなかったのです。

自分の身を挺して煉獄は炭治郎達の命を守り抜きました。

夜明けが近付いていることに気付き、煉獄との激闘の末、猗窩座は森へと逃げていきます。

日の光を浴びると鬼は死んでしまうからです。

この時の炭治郎の台詞に全てが込められているのです。「自分達は鬼に有利な夜の世界で闘っている。真の勝者で本当に強いのは煉獄さんだ」という主旨の台詞です。

これはずばり的を得た台詞といえます。

煉獄は「お前も鬼になれ」という猗窩座の言葉をはねのけ、最後まで自分のプライドと強さを追及し続けました。

この彼の姿勢は、どんな状況でも諦めない精神力、そして本当の強さの意味とは何なのか、という事を炭治郎達の心に刻み込んだのです。

最後に煉獄が炭治郎に見せた笑顔、それが彼の生き様を象徴しており、その意志は炭治郎を始め、若き鬼殺隊の剣士達へと受け継がれていくといえるでしょう。

何故、猗窩座は煉獄さんに「お前も鬼になれ」と言ったのでしょう…?
精神面でも力の面でも、煉獄さんの尋常ではない強さに猗窩座は惚れ込んだのではないでしょうかね。

鬼殺隊の未来

煉獄は死の間際、自分の生家にある歴代の炎柱が残した手記に、ヒノカミ神楽について何か記されているかもしれないと炭治郎に伝えます。

そして禰豆子を鬼殺隊の一員として認める事、炭治郎達が鬼殺隊を支える柱となる人物になる事を信じる、という事も伝えるのでした。

ヒノカミ神楽とは炭治郎と禰豆子の亡き父親が舞っていた舞の事で、炭治郎の必殺技でもあるのです。

アニメの第1期、那田蜘蛛山(なだぐもやま)で下弦の伍、累との闘いの時に初めて登場した技で、炭治郎はその謎をずっと追っています。

煉獄の最後の言葉は「胸を張って生きろ」「心を燃やせ」です。

この言葉は炎柱である煉獄が繰り出す炎のように、炭治郎の心に火を灯し、十二鬼月や鬼界のラスボスである鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)を必ず倒す!という闘志に繋がったといえます。

映画ではヒノカミ神楽についてのその後は明かされていませんが、炭治郎はこれからもその秘密について深く追求していくのでしょう。

そして、亡くなった父親の謎についても深く知る事になっていくのではないでしょうか。

炭治郎はたくさんの人の想いを受け継いで、また一つ強く、逞しくなっていったといえます。

炭治郎が魘夢に勝てた理由

「鬼滅の刃 無限列車編」には二人の鬼が登場します。

一人目は下弦の壱・魘夢(えんむ)という鬼で鬼界のラスボス的存在である鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)に仕える十二鬼月(じゅうにきづき)の中の一人です。

そしてもう一人は煉獄を死に追いやった上弦の参・猗窩座。

十二鬼月は下弦の壱から下弦の陸、上弦の壱から上弦の陸と12人おり、上弦の壱が一番の強さを誇っています。

何故、炭治郎達は魘夢に勝てたのでしょうか?そこを考察していきましょう。

禰豆子の血鬼術の力

鬼は血鬼術と呼ばれるそれぞれの異なる能力を持っています。

炭治郎の妹である禰豆子(ねずこ)は鬼ではありますが、人を襲いません。

むしろ、炭治郎達と一緒に鬼を倒す心強い味方です。

禰豆子には魘夢の血鬼術が効きませんでした。

禰豆子は切符を持っていなかったので切符を切ると眠りに落ちてしまうという魘夢の術にかからなかったのです。

禰豆子の持つ“爆血”という血鬼術で炭治郎や善逸、伊之助や煉獄も無事眠りから覚める事ができました。

家族を信じる炭治郎の深い想い

炭治郎は魘夢がかけた血鬼術から目覚め、伊之助と力を合わせ、魘夢と闘う事になります。

魘夢は自身の持つ無数の目を合わせるだけで、人を眠らせる能力を持っている為、炭治郎は魘夢との闘いに苦戦するのでした。

何と列車と融合していた魘夢は、200人もの乗客を列車ごと一気に食べようとしていたのです。

炭治郎は魘夢と目が合う度に眠り、自分の首を切ることで、何度も夢の世界から現実の世界に戻るという事を繰り返します。

極限状態の中、母親の残像を見て「あなたが代わりに死ねば良かったのに」との言葉を浴びせられる炭治郎。

これは炭治郎にダメージを与える為の魘夢の作戦だったのです。

しかし炭治郎は逆に「俺の家族はそんな事を言わない!!」とその言葉に怒りを抱き、伊之助と力を合わせ魘夢に最後の一撃を喰らわせます。

これは炭治郎が如何に家族の事を信頼していたか、大切にしていたかがわかる行動です。

炭治郎はまだ駆け出しの鬼殺隊員の一人であり、自分だけで鬼を倒せる程、力としては強くはありません。

そんな彼が魘夢を倒せたのは、一緒に戦ってくれる仲間や禰豆子の助けがあったからです。

彼を突き動かす衝動はいつも失った“家族”や妹・禰豆子、そして伊之助や善逸などの仲間の存在といえます。それが彼の精神面の強さとも繋がっているのです。

「鬼滅の刃」が大ヒットしたその理由とは!?

日本映画の記録を塗り替えたといっても過言ではない「鬼滅の刃 無限列車編」。

ヒットの裏側にはどんな背景があったのでしょう?そこを考察していきます。

多くの人の心に響いたLiSAの名曲

「鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌である「炎」(ほむら)はアニソン歌手であるLiSAの17枚目のCDシングルになります。

この楽曲は本作において最も主要人物となる煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)の生き様をイメージして作られた曲です。

炎と書いてほむらと呼ぶこの曲は、作品の中で炎柱として登場する煉獄へのはなむけのような、壮大なバラードとなっています。

LiSAはこの曲で第62回日本レコード大賞にノミネートされ、見事に大賞を受賞し、「第71回NHK紅白歌合戦」にも二度目の出場を果たしました。

「鬼滅の刃」テレビアニメ版の主題歌である“紅蓮華”と共に“炎”を熱唱し、多くの人の心に刺さる歌声を披露した事で話題を集め、曲のヒットが作品のヒットにも繋がったといえます。

また、この“炎“という曲はストリーミング累計再生回数3億回に達し、デジタル・ダウンロードではミリオンセールス (100万ダウンロード) という快挙を成し遂げました。

2011年にメジャーデビューした彼女にとって、「鬼滅の刃」というアニメ、そして“紅蓮華”や“炎”という歌は特別な作品になった事は間違いないでしょう。

2005年のインディーズ時代から、ようやくアニソン界の歌姫というだけでなく、立派な歌手として認められたLiSA。

女優・二階堂ふみ主演の「プロミス・シンデレラ」というテレビドラマの主題歌を歌うなど、これからも彼女の活躍に期待です!!

週刊少年ジャンプが掲げる3つの言葉が関係している

週刊少年ジャンプの漫画の基盤は「友情」「努力」「勝利」で構成されています。

今まで多くのヒット作を世に生み出してきた少年ジャンプですが、「鬼滅の刃」もその3つのワードにピッタリとフィットしています。

炭治郎・善逸・伊之助のそれぞれのキャラクターの個性の違いの面白さと、鬼と闘う度に強くなっていく友情と絆。

主人公である炭治郎の類まれなる努力と成長。そして最後に皆で掴み取る勝利。

王道ではありますが、この3つのルールが他の少年ジャンプのヒット作と同じく、観ている人の心を鷲掴みにしたのです。

“死”というものを丁寧に扱った作品である

主人公である炭治郎は心優しき純粋な少年です。

自分が斬った鬼にもそれぞれの過去があり、悲しい記憶や思い出がある事をちゃんと知り、その死を悼みます。

この「鬼滅の刃」という作品は“死”というものが非常に繊細に丁寧に描かれているのです。たとえそれが鬼であってでもです。

「鬼滅の刃」という作品から見えるものは、敵でも味方でも“命というものは尊い”という事です。

この一見当たり前ともとれる考えが、観るものの心を打ち、共感を呼んだといえます。

幅広い年齢層に受けた

「鬼滅の刃」の作品の魅力は、誰が観てもわかりやすいストーリーである、というところも、この作品がヒットした一要因と言えるでしょう。

そして、“家族愛”“兄妹愛”という普遍的なテーマを描いた事で、幅広い年齢層のファンを獲得したのです。

「鬼滅の刃 無限列車編」は血が飛び散るなどグロテスクな描写も多々ある為、PG12指定になるなどの措置もとられています。

しかし幼稚園でも希望した園児だけにこの作品の鑑賞会を開くなど、反応は様々です。

幼稚園でこの作品を観せるとは、少々驚きもありますが…?
確かにそうですね。好んで観る園児と、「怖い」と言って泣き出す園児もいたそうですよ。その為PG12指定になったという話もあります。

新型コロナウイルスの影響

「鬼滅の刃」人気はコロナ禍以前からのものですが、その人気は変わらず維持されています。

新型コロナウイルスの影響で、巣ごもり需要が増え、動画配信サービスでテレビアニメ版の鬼滅を観よう!という人が増えたのも一要因としてあるのです。

声優さんやアニメ人気が高まっている現在、家で手軽に皆で観られる作品を、という事で「鬼滅の刃」のアニメを観た人がその面白さから思わず映画館に走る、という現象が起きたことも事実といえます。

「鬼滅の刃」が流行し始めた理由として、“小学生”がその面白さを発見した事も一つの要因として挙げられるのではないでしょうか。

コロナの影響で学校が休校になった子供達が、「鬼滅の刃」テレビアニメ版第1期に触れ、それを知った親達も一緒に観るようになった、という事が鬼滅ブームに益々の拍車をかけたのです。

そして動画配信サービスでは人気の高い作品が上位に掲載される為、目に付きやすく、何度も繰り返し観られるというところが、「鬼滅の刃」が数ある作品の中で選ばれた一つの理由ともいえます。

2021年の9月にはフジテレビで地上波初放送が決定している「鬼滅の刃 無限列車編」。

おさらいとして、TVアニメ第1期を観てみるのは如何でしょうか?

家族の共通の好きなものが増える事、間違い無しといえるでしょう。

「鬼滅の刃 無限列車編」をより楽しむ為の注目ポイント!!

ここからは少し視点を変え、本作を観る前に知っておくと、より映画を楽しめる小話を二つ紹介していきたいと思います。

早速見ていきましょう!!

ジブリの名作「千と千尋の神隠し」を抜いた!異例の興行収入!!

「鬼滅の刃 無限列車編」の日本での興行収入は約400億円超え、観客動員数は約3000万人と素晴らしい結果を残しています。

本作品はスタジオジブリのアニメ映画「千と千尋の神隠し」の興行収入316億8,000万円を抜き、今までの日本映画の中で歴代興行収入堂々の1位に輝いたというわけです。

日本のアニメは世界に誇れる宝です。

「鬼滅の刃 無限列車編」の興行収入を超える作品は果たしていつ現れるのでしょうか!?これからの日本映画界がどのように発展していくのか、楽しみですね!

ufotableが生み出す素晴らしい作画!!

ufotableは東京と徳島に拠点を置く日本のアニメ制作会社です。

ufotableが制作した「鬼滅の刃」はテレビアニメ第1期が面白いと評判になり、それが映画版へと繋がったのでした。

この制作会社が得意とする作画の美しさにおいて、まず、登場人物の流す“涙”に注目!です。

これでもか!というくらい、登場人物の目から溢れ出す大粒の涙は「人間の流す涙ってこんなに美しかったっけ?」と観ている人の心に訴えかける描写となっています。

そして一番の注目ポイントは!やはり戦闘シーンでしょう。

炭治郎VS魘夢、煉獄VS猗窩座の戦闘シーンは息つく暇もなく、作画においてこれ以上のビジュアルないといっても過言ではない程、水の描写も炎の描写も背景や人物の動きも、とにかく素晴らしい!のです!!

アニメーターの方達が如何に血の滲むような努力を重ね、日々作品と向き合っているか、それが痛いほど伝わってきます。

ufotableは他の同規模のアニメ制作会社よりも、年間に手掛ける元請作品の本数が少ないです。

これは映像のクオリティをより高度にし、質の高い作品を制作する為のufotableの手法といえます。

アニメ第2期をひかえ、まだまだとどまる気配のない鬼滅旋風。

これからもufotableの躍進は止まりません!

「鬼滅の刃」作者・吾峠呼世晴とはどんな人物なのか?

「鬼滅の刃」の作者・吾峠呼世晴は1989年5月5日生まれ、現在32歳の女性なのだそうです!

吾峠呼世晴という名前はペンネームで、その素顔や本名は明かされていません。

24歳の時に初めて「過狩り狩り」という漫画を週刊少年ジャンプに投稿し、同作で第70回(2013年4月期)JUMPトレジャー新人漫画賞の佳作を受賞しました。

その後「少年ジャンプNEXT!!」において「文殊史郎兄弟」という作品で見事漫画家デビュー!となります。

しかし、その後なかなか連載まで辿りつけず、“2015年の間に連載をとれなければ、漫画家を辞める”と決めていたそうです。

不遇の時代が続いた吾峠呼世晴ですが、担当編集からある日“原点回帰”を提案され、「過狩り狩り」をベースとした「鬼殺の流(きさつのながれ)」という作品を執筆します。

これが最終的に「鬼滅の刃」となり、連載会議を無事通過、彼女は週刊少年ジャンプで見事連載の道を手に入れたのです。

テレビアニメ版2期の放送が決定している事から、劇場版第二弾が製作される事も全くない話ではありません。

そして「鬼滅の刃」に続く吾峠呼世晴の次回作にも期待したいですが、ファンの間では吾峠呼世晴が漫画家を引退するという説も流れています。

これだけ一大ムーブメントを起こした作品ですから、次回作といってもそのプレッシャーは並大抵のものではないでしょう。

しかし、重圧を跳ね除けて、これからも引退せず漫画をずっとずっと書き続けてほしいものです!!

「鬼滅の刃」好きなキャラベスト5を発表!!

「鬼滅の刃」には様々なキャラが登場しますが、あなたの推しは誰ですか?

2021年度版好きなキャラクターランキングからベスト5を発表していきましょう!!

第5位:竈門禰豆子(かまどねずこ)

第5位は本作の主人公である竈門炭治郎の妹・竈門禰豆子です!!

炭治郎の一家が鬼に襲われた際、家族の中で唯一生き残りましたが、傷口に鬼舞辻無惨の血を浴びた事から鬼になってしまいます。

その可愛らしい外見や、兄想いである事、そして炭治郎達と一緒に闘う時は強靭な強さで鬼を倒してしまう格好良さなどが、多くの人からの熱い支持を受けました。

芸能人やコスプレイヤーが、竹を口に加えているその独特な風貌を真似してコスプレをし、SNSにアップした事でも話題を集めたキャラクターです。

第4位:我妻善逸(あがつまぜんいつ)

第4位は主人公の炭治郎と共に、鬼殺隊士として闘う我妻善逸です。

何と!東大生が選ぶ「鬼滅の刃」で好きな登場人物ランキングでは堂々の第1位に輝いた事もあります。

臆病で怖がりな反面、極度の緊張状態に陥り気絶する事で、一気に強くなり鬼を倒してしまうという部分が「ギャップがあって格好いい!」という声が多く挙がりました。

また、聴覚が優れており相手が何を考えているかわかってしまう能力を持っている事から、人の気持ちや心の痛みに敏感という、優しい人柄も支持される一つの理由です。

第3位:煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)

本作で上弦の参である鬼・猗窩座と死闘を繰り広げ、くしくも命を落とした炎柱の煉獄杏寿郎が堂々の3位に輝きました!

仲間や後輩の面倒見の良さ、何よりも努力の天才であるところ、派手な外見とは裏腹に優しい性格であるところなどが、理由として挙げられました。

弟思いのいいお兄さんであり、もっともっと炎柱としての活躍ぶりが見たかった!キャラでもあります。

第2位:時透無一郎(ときとうむいちろう)

第2位に選ばれたのは、柱の中では最年少になる霞柱の時透無一郎です!!

理由としては、わずか2ヶ月という早さで鬼殺隊士から柱に登りつめたというその優秀さや、飄々とした性格でどこか儚げな印象を与えるところが人気の鍵となったようです。

無限列車編には登場しませんが、テレビアニメ第1期の第23話「柱合会議」で初めて炭治郎と顔を合わせます。

第1位:冨岡義勇(とみおかぎゆう)

堂々の第1位に輝いたのは、水柱の富岡義勇です!!

炭治郎が鬼殺隊士になるきっかけを作った人物であり、炭治郎の兄弟子にあたります。

一見クールに見えますが、優しい面も持ち、また天然っぽさも感じられる性格や、容姿端麗でおまけに強いというところが人気の理由となりました。

「柱合会議」でたとえ自分が腹を切ることになっても、炭治郎と禰󠄀豆子を守りたいという姿勢も人気に火をつけた理由といえるかもしれません。

むむー、興味深いランキングですね!!
因みに主人公の炭治郎は第10位でした!それぞれのキャラクターがとても個性的で魅力的な面を持っているので、誰に票を入れるかも迷いますね。

「鬼滅の刃」が世間に与えた影響

「鬼滅の刃」という作品は、くすっと笑えるような話題から、じーんと胸にくる話題まで世間に多大な影響を与えました。

例えば、「全集中の呼吸で」という作中の台詞が国会答弁で使われたり、宇宙飛行士の野口聡一さんが宇宙に旅立つ前に刀を抜く仕草をした、という話もあります。

とある養護施設への寄付として、愛知県豊田市役所に炭治郎を名乗る人物からお菓子や緑茶が届けられた、という心がほっこりとする話題がニュースになったりもしたのです。

また、炭治郎が身につけている羽織の柄が緑と黒の市松模様であるところから市松模様のマスクやハンカチが販売されたり、コーヒーやお菓子など、企業とのコラボ商品が誕生したりという出来事も起こりました。

そして一番の驚きは、「鬼滅の刃」のコミックがあまりの人気から、一時期、書店から姿を消すという現象まで起こった事です。

様々な形で世の中に多大な影響を与えた「鬼滅の刃」。

アニメ第2期もぜひ“全集中で”楽しみたいものです!!

まとめ

以上、「鬼滅の刃 無限列車編」から鬼との闘いを経て炭治郎やその仲間が得たもの、煉獄杏寿郎の死が炭治郎達に残したものを紹介してきましたが、楽しんで頂けましたでしょうか!?

アニメの第2期「遊郭編」も制作が決まり、まだまだ衰える気配のない「鬼滅の刃」旋風。

「鬼滅の刃 無限列車編」は作品の中で初めてとなる、上弦の鬼の登場など見逃せないポイントで溢れています。

初めて観るという方も、もう何度も観ているという方も!それぞれの楽しみ方で「鬼滅の刃 無限列車編」をぜひ堪能して下さい!!

The post 鬼滅の刃 無限列車編(ネタバレ・考察)煉獄杏寿郎が闘いの果てに残したものを徹底考察!!鬼も惚れる彼の強さと魅力とは!? first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/kimetunoyaiba-mugennressya/feed/ 0 29039
バケモノの子(ネタバレ・考察)九太と熊徹が得た一番の”強さ”とは?本作が持つジブリと宮崎駿へのメッセージ https://cinemaxina.com/bakemononoko/ https://cinemaxina.com/bakemononoko/#respond Tue, 20 Jul 2021 02:35:35 +0000 https://cinemaxina.com/?p=26779 「バケモノの子」は2015年に公開された、細田守監督のオリジナルアニメ映画です。 バケモノ(獣人)である熊徹と、人間の子でありながらバケモノの世界で暮らす九太(人間界での名前は蓮)を中心に描いたアクション・アドベンチャー作品になっています。 過去作品の「サマーウォーズ」(2009年)や「おおかみこどもの雨と雪」(201

The post バケモノの子(ネタバレ・考察)九太と熊徹が得た一番の”強さ”とは?本作が持つジブリと宮崎駿へのメッセージ first appeared on cinemaxina.]]>
「バケモノの子」は2015年に公開された、細田守監督のオリジナルアニメ映画です。

バケモノ(獣人)である熊徹と、人間の子でありながらバケモノの世界で暮らす九太(人間界での名前は蓮)を中心に描いたアクション・アドベンチャー作品になっています。

過去作品の「サマーウォーズ」(2009年)や「おおかみこどもの雨と雪」(2012年)に引き続き、テーマに”家族の絆”を扱っていますが、より広い層が楽しめるのが特徴です。

様々なテーマを感じるストーリー、視線を釘付けにするアクション、現実世界とバケモノ界の描きわけによる映像美など、観客を魅了するポイントが満載の本作。

登場キャラの成長や変化を中心に、楽しめるポイントや監督が何を観せたかったのかを考察していきましょう。

バケモノの子(2015年)

見どころ
バケモノ界に迷い込んだ少年の冒険を通し描かれる絆や淡い恋愛に、あらゆる世代が共感。役所広司、宮﨑あおい、広瀬すずら、日本映画界を代表する豪華俳優が声優に挑戦。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
母親を亡くし一人ぼっちになってしまった渋谷に住む少年・九太は、強さを求めてバケモノたちが住む「渋天街」に行くことに。そこで出会ったバケモノ・熊徹との奇妙な共同生活と修行の日々を送り成長した九太は、現実の世界に戻り女子高校生・楓と出会う。
出典 : video.unext.jp

「バケモノの子」(ネタバレ・考察)

「バケモノの子」はアクションとほのかな恋心、家族の絆に巨大な怪物の大暴れなど、観客の興味を惹く要素が目一杯詰め込んである、宝石箱のような映画です。

子供から大人まで見入ってしまう楽しさが用意されており、男の子女の子はもちろん、お年寄りまで楽しめるようになっています。

また細田監督作品に共通する”家族の形”などを始め、いくつものメッセージが入っているので、気付きを得ると新しい発見があるでしょう。

テーマとして”家族”や”強さ”がどのように劇中で示されているのか、見どころを中心に触れながら考察していきます。

生きていくための”強さ”とは?

母子家庭で育つものの、母を事故で亡くしてしまう主人公の蓮(宮崎あおい)が、親族に引き取られる際に逃亡します。

蓮は自分が親族に歓迎されていないことを理解している賢さと、自分1人で生きていけると考える幼さを持ち合わせているのです。

行き場のない蓮は、周囲に頼らず生きていくための”強さ”を欲しがりますが、明確にはなにが”強さ”なのか分かっていません。

問いかけられる”強さ”の形は大人でも理解が難しいですが、蓮が成長することで得る”強さ”の正体は蓮と観客で共有されます。

細田監督が伝えたい生きるための”強さ”を蓮が手にしていくことで、観客は強さの形が複数あることに気づいていくのです。

幼い考えが危うさを感じさせる蓮ですが、観客は”同じ状況になったとき、こういう選択をするかもしれない”という共感を蓮から受け取り、応援する気持ちになります。

蓮と観客は”強さ”をテーマとして思い描き、蓮が”強さ”を手に入れていく過程は観客の喜びになるのです。

共に囲む食卓は”家族”の証

渋谷の路地裏にたどり着き、そこで明らかに人間とは違う”バケモノ”の熊徹(役所広司)と出会う蓮。

強者である熊徹はバケモノ界を治める”宗師”の次期候補ですが、粗暴すぎるため弟子を取ることを義務付けられるものの、悪名が知れ渡っており弟子候補がいません。

そのため人間の弟子を探しに来た熊徹と、強さを求める蓮は運命的に出会いますが、すんなり弟子入りとはならないのです。

2人の距離を縮めたのは、バケモノ界で起きたケンカが発端でした。熊徹がライバルとしているイノシシのバケモノ、猪王山と衝突します。

実力は同じぐらいですが、野次馬たちは猪王山しか応援しません。圧倒的な武力という”強さ”を持ちながらも一人ぼっちである熊徹。

一人ぼっちの辛さを知る蓮は熊鉄を応援し、熊徹はそれが嬉しかったのか、熊徹と蓮の間には今後育んでいく”絆”が生まれてくるのです。

弟子入りを決めた蓮は熊徹の家で、食べれなかった卵かけご飯をかきこむことで、自分の意志で苦手なものを克服してみせます。

師匠と弟子の関係が始まると同時に、同じ釜の飯を食うことで”家族”となった2人は、1人ぼっちではなく、親子2人として一緒に過ごすことを表明しているのです。

最初に提示された”強さ”の追求に加えて”家族の成長”というテーマも描かれるため、物語は深みを増していきます。

1人では気づけなかった”強さ”

熊徹は蓮にバケモノ界での名前を与えますが、「9歳だから九太」と命名するなど熊徹は悪いバケモノではないが雑な性格である様子が描かれます。

不完全な熊徹が幼い九太と組み合わさることで、不安はあるものの、この先成長が楽しみな親子として物語を引っ張っていくのです。

熊徹が九太に自身の”強さ”を教えられないシーンは、1人で生きてきた熊徹が初めて弟子を持つ体験を”子育ての難しさ”として表現しています。

不器用な親である熊徹に対し、九太は表現が伝わらなくても親の行動を手本にし影響を受ける”子育ての仕組み”に則って熊徹の立ち振舞いを学びます。

熊徹の一挙手一投足を覚え、真似をすることで九太の中で理解が進み、熊徹が指導で伝えられなかったことを身に着けて行くのです。

九太が身につけた技術は”九太流の武術”になり、九太を見ている熊徹にも影響を与え、師匠と弟子がお互いに改良点を取り入れることで、”強さ”が磨かれます。

一人ぼっちだった熊徹と九太は親子の間で師弟関係を結ぶことで、自分以外からヒントを得られるようになりました。1人だけでは解決できない問題を親子でクリアしたのです。

キーワードである”強さ”は、1人だけで鍛えるには限界があり、家族や師弟など自分以外の誰かといることで気づきが得られる描写になっています。

成長するためには家族や友人、師弟など、自分が信頼できる人と”強さ”を共有して切磋琢磨することが大切だと伝えているのです。

最終的に九太は熊鉄を投げ飛ばすほどの実力を身に着けますよね!
弟子が師匠を超えるという”強さ”の目安が次のレベルに達したことが分かります。

バケモノ界での交友関係

九太は熊徹と修行するだけでなく、バケモノ界で友人関係も構築していたことで、親の粗暴さを受け継ぐことなく育ちました。

熊徹が一方的に嫌っている猪王山ですが、猪王山の子供である一郎彦と次郎丸は九太といい関係を築いていくのです。

特に「親同士がライバルでも子供たちの関係は別、どっちが試合で勝っても恨みっこなし」という次郎丸の考え方は、素直に育った朗らかさを感じさせます。

その一方で猪王山を尊敬し、絶対的な存在として目標にしている兄の一郎彦は、九太と交流しつつも将来的にライバルになると考えているようです。

ですが考え方や置かれた環境、成長するきっかけなどの差異が、親に武人を持つという共通項がある九太と一郎彦の間で大きな違いが出る結果になりました。

九太の成長と熊徹の不安

九太は熊徹のもとで修業に励み、バケモノ界で立派な青年へと成長します。

少年時代から声変わりしたため、声優も宮崎あおいから染谷将太にバトンタッチし、子供ではなくなったことが強調されるのです。

17歳になった九太は肉体だけでなく、人間界で精神的にも成長するきっかけを掴み、バケモノ界以外の生き方を知ると同時に親離れが始まります。

多彩な形の”強さ”を学ぶことで、より優れた1人の男として育った九太が子供を卒業していく様子が描かれるのです。

一方で初めての家族が失われるかもしれないという不安に襲われる、九太を好きすぎる熊徹の不安やストレスにも触れています。

九太と熊徹の心情を作中から汲み取りつつ、大人の階段を登ることで”家族”が乗り越えるべき問題について考察していきましょう。

楓に感じるトキメキと青春

バケモノ界で青年に成長した九太は、いままで戻れなかった人間界に戻れるようになります。その際トラブルに巻き込まれた人間の女子高生・楓(広瀬すず)を助けるのです。

このことをきっかけに九太は楓と交流するようになり、文字の読み書きから始めて年齢相応の学力を身につけるなど、今まで鍛えてきたものとは違う”強さ”を獲得します。

初めてできた”異性の友人”かつ”学びの師匠”である楓は、九太にとって魅力的な存在となり、いままでの人生には無かった感覚を味わうのです。

九太は武術という形でしか実感できなかった”強さ”が数ある中の1つでしかなく、”学びの強さ”や”好きな人を思う強さ”など様々な形の”強さ”があることを知ります。

楓と過ごす時間は勉強や異性への好意などを学ぶ体験となり、バケモノ界と人間界の両方で青春を過ごす九太は彼だけの成長を遂げ、観客も特別な時間を共有するのです。

楓と出会ったことで”初恋”や”青春”を感じさせる要素が九太を変えていく様は、青春を経験した大人には眩しく、子供には憧れとして映るでしょう。

バケモノ界にも女性はいるのですが熊徹の周囲には気配がありませんね。
九太は家族も知り合いも友人も男しかいないので、楓との出会いは衝撃でしょう。

熊徹が見せる”親の弱さ”

九太が人間界にたびたび出かけていることを熊徹は面白く思っていません。同時に九太も熊徹に対して反発するようになります。

客観的に見て思春期の九太が自然と親離れすることは当然ですが、当事者の熊徹には子供を育てて大きくした事も、思春期の反発も初めてなのです。

親子であり、師弟でもある九太との関係を築いてきた熊徹にとって、九太がそばに居なくなることは考えたこともなかったのでしょう。

今までは”強さ”の象徴であった熊徹が見せる初めての”弱い”シーンになりました。

熊徹は気づいていないのですが、九太という家族がいることで、武力だけではない”強さ”を手に入れていたのです。

九太がおらず気力がまったく充実していない熊徹は、不完全な状態で猪王山との試合に臨み、実力を発揮できずダウンしてしまいます。

大切な家族を失うかもしれない不安は、強い人でも乗り越えることが難しいことを熊鉄の窮地で描き、どう克服するかが注目するポイントになるのです。

対立していた親子のわだかまりが消える

カウントが10数えられると負けになってしまう試合で、カウント9になったところに九太が駆けつけ、熊徹を怒鳴りつけます。

その声を聞いた熊徹は力が戻ったかのように起き上がって九太に反論し、2人は試合そっちのけで口論するのです。

お互いに踏み込めなかった2人はストレートに文句を伝え合うことで絆を取り戻し、親子の間にあったわだかまりが消滅します。

問題に打ち勝った熊徹は”強さ”を取り戻し、猪王山を圧倒しました。多くのバケモノたちが見守る中で、熊徹の目指していたゴールの1つである最強を証明したのです。

常に”強さ”の象徴であった熊徹が、1人ではたどり着けない心身の”強さ”を育み、絆を深めたからこそ訪れた弱さも乗り越えた、ドラマチックな勝利でした。

ですが勝利に喜ぶ熊徹に抜身の刀が突き刺さり、祝福のシーンは反転します。猪王山の息子である一郎彦が、父が負けたことに納得できず、闇の力を使って熊徹を襲ったのです。

熊徹の”強さ”と九太との成長を描いたところで、隠されていた事実が明らかになり、”家族”と”強さの形”というテーマはそのままに、場面は一郎彦と九太が中心となって進みます。

対照の存在になる九太と一郎彦

「バケモノの子」では、バケモノ界でも生き方や家庭の事情で育ちかたが違ってくる様子が描かれています。

熊徹と猪王山、九太と一郎彦は親子ともどもライバルですが、家族がどのように過ごしたかによって、明暗が別れてくるのです。

なぜ九太は光になり、一郎彦は闇になったのか、対決に至るドラマと示されたメッセージを考察していきます。

猪王山の深い悩み

熊徹のライバルである猪王山は、多くの門下生を持ち武術を教える傍ら、2人の息子の父として家族に惜しみなく愛を注ぐなど、強い上に人格者というキャラクターです。

熊徹と互角の強さを持ちますが、立派な存在として尊敬される猪王山は”宗師”の第一候補として期待されています。

ですが猪王山は一郎彦が自分の血を引く子供ではなく、人間界で拾った捨て子だったことを隠してきたのです。

バケモノ界の言い伝えでは、バケモノ界で人間を育てると心に闇を持つようになるため、災いをもたらすとされています。

この言い伝えで一郎彦が迫害されるのを恐れたのか、人間であることを一郎彦にも伝えず、バケモノの子として育てました。

人間はバケモノではないという決定的な違いを埋めることができなかったため、猪王山は結果的に一郎彦の闇を作る原因になってしまうのです。

九太が輝くほど一郎彦は闇に落ちる

一郎彦は成長するにつれて、父や弟が持つイノシシの特徴が現れないことから、自分が人間ではないかという疑問を持つようになります。

若い頃からイノシシの特徴である鼻や牙をあしらった被り物をしていたのは、特徴が現れない一郎彦にとって”猪王山の息子”という誇りがあったからでしょう。

自分が一番の”強さ”を持つバケモノの子であることは、彼にとって重要なアイデンティティであり、人間かもしれない一郎彦が持つ不安に対しての防壁に見えます。

そんな一郎彦にとって、最初から人間であることを明かしながら、バケモノの子として受け入れられている九太の存在はジレンマを生むのです。

なぜ九太は人間なのに迫害されないのか?自分は出自を明らかにしたら問題になる?などいろんな思いが交錯したことが想像できます。

青年になった一郎彦は体が育ったものの、猪王山から人間であることを伝えられることもなく、親子の間に見えない壁があるかのように絆を深められませんでした。

親子が付き合うには隠し事は無いほうが良い

猪王山が一郎彦に伝えなかった理由は、自身が多くのバケモノたちにとって師匠であることが原因でしょう。

子供たちが幼少の頃から門下生を多く抱え、名士として成功していた猪王山は、生徒たちに嘘をつくと同時に一郎彦にも嘘をついています。

事実を明らかにすれば嘘をついていたことから門下生が去り、一郎彦の信頼も失うと考えた猪王山にとって、明かすことはマイナスにしか働かないと考えたのではないでしょうか。

その結果として信頼している父が最強であり、その息子であることに意味を見いださなければ生きていけないという、一郎彦の歪んた闇を育てる結果になります。

すれ違いながらも隠し事をせずぶつかりあった親子と、秘密を隠しながらお互いの大切さだけが膨らみ問題を解消しなかった親子で明確に違いが生まれました。

2つの「バケモノの子」がいる家庭を比べることで、より良い関係はどちらなのか浮き上がってくるのです。

小説「白鯨」が表す止められない脅威

熊徹と猪王山の対決で、絶対的な存在の父が敗北したことを認められず、一郎彦は闇の力を使って刀を操り、熊鉄を刺します。

怒りに我を忘れた九太も闇の力に飲まれ一郎彦を襲いそうになりますが、感情を抑えることが出来た九太は自分を取り戻し、攻撃を止めました。

人間でありながら”バケモノの子”として育った2人ですが、自身の闇を自覚できていた九太との差が明らかになった一郎彦は、決定的な差を突きつけられて闇に飲まれます。

バケモノ界から消えた一郎彦は自我を失った状態で人間界の渋谷に現れ、楓と遭遇し、彼女が落とした小説「白鯨」に触れることで鯨のバケモノに变化し街を破壊します。  

絶対的な”強さ”の象徴だった父ではなく、自分の闇を力とした何者も敵わない存在が、巨大な鯨だったのでしょう。

映画の中では語られていませんが、ノベライズではバケモノ界でも優秀なものは読み書きを教育する場所があることが明かされているので、一郎彦は鯨を知っているようです。

この場面だけでなく「バケモノの子」では、小説「白鯨」がキーアイテムとなっており、蓮が親戚に引き取られるシーンや、九太と楓の出会いで「白鯨」が登場します。

この作品では鯨に対して、人間が制御できない巨大な脅威としてのイメージと、鯨がどういう姿を取るのかは人間の心しだいで変わる”鏡”としての役割を与えているのです。

闇を受け止める九太と親の愛

九太は鯨の前に立ちはだかり、自分を犠牲にして闇を受け止めようとします。”人間であるバケモノの子”にしか分からない共感があったのかもしれません。

また人間界で九太と合流した楓が加勢し”あなたは1人じゃない”と告げるシーンは、九太の築いてきた信頼関係を感じさせます。

そして鯨が近づいてきた瞬間、九太の前に神の力を宿した”御神刀”になった熊徹が現れるのです。

熊徹は九太が置かれている危機を知り、助けられる方法があると知るや、自身に何が起こるかも構わず助ける道を選びました。

九太に対して立派な父や師匠ではなかった自身を”半端者”と称した熊徹は、それでも九太の役に立ちたいという一心で神になり、九太の危機に駆けつけます。

九太の”胸の中の剣”として熊徹は1つになり、一振りで一郎彦の闇を祓うのです。最後は九太の中に入っていき、親子は1つの存在になりました。

姿や形でなく思いや気持ちがお互いにあれば、家族の絆が消えることはなく、続いていくことを示して、戦いは終わります。

最終的に人間界で暮らすことを選んだ九太は蓮に戻り生きていきますが、父である熊徹が常に蓮の中に生きているのです。

救われない者がいない幸せな映画

鯨になった一郎彦は、闇を祓われたことで元の姿に戻ることができました。渋谷の街で暴れたときの記憶を失っており、気づいたときにはバケモノ界に帰されていたのです。

目覚めた一郎彦の処遇が取り沙汰されますが、猪王山が一郎彦を正しく育てられなかったことを詫び、改めて正しく我が子と絆を深めていきたいと訴えます。

バケモノ界での功績がある猪王山の直訴と、人間界での被害が最小限で死傷者も無かったことから親子は許され、不問となり、バケモノ界に残ることになりました。

猪王山は一郎彦に事件の経緯と一郎彦の出自を伝えた上で正しく対話できなかったことを謝罪し、親として自分の子を愛していると伝えたのでしょう。

親子関係を正しく修復できた2人はお互いを大切にするために、父として息子の目標になり、息子として父に恥じない人生を歩むと思われます。

2つの”バケモノの子”がいる家族を描き、どちらかが悪であるという表現ではなく、かけちがえたボタンは直すことで再起できると伝えているのです。

この描写が加わることで、細田監督作品で語られてきた”家族”の形が明確になり、大切にしていこうというメッセージを感じます。

主題歌であるMr.Childrenの「Starting Over」が作品にマッチしてますね!
自分の心の弱さを克服して、そこから再出発するという内容が本作にぴったりです。

「バケモノの子」を構築する映画たち

細田監督は本作公開の際に様々なインタビューを受けており、その中で「バケモノの子」のエッセンスになった映画作品について言及しています。

どういった名作が引用されているのかを、劇中のキャラクターや場面と照らし合わせながら解説していきましょう。

「七人の侍」(1954年)

強さはあるが知性に欠ける描写や手にした大太刀から、映画ファンの間で熊徹は黒澤明監督作品である「七人の侍」に登場する菊千代(三船敏郎)をモデルにしていると噂されていました。

スペインの映画祭で「バケモノの子」が上映された際に細田監督が質問に答える形でこれを認め、元はモノクロ映画ですが菊千代は朱色の鞘を使ったのではと考え着色したと発表したのです。

また熊徹の友人である多々良と百秋坊は、同じく「七人の侍」に出演していた役者から名前を頂いています。

多々良は侍を仲間に引き入れるきっかけとなる人足を演じた多々良順から、百秋坊は侍として百姓を守る林田平八を演じた千秋実が由来になっているのです。

「スネーキーモンキー 蛇拳」(1978年)

もはやレジェンド級のアクション俳優であるジャッキー・チェンの出世作で、彼の名が広くファンに知られるきっかけとなった映画です。

それまでのカンフーものは親や師匠の仇討ちをテーマにしたものが多く、アクションはあるものの暗いトーンの作品ばかりでした。

ですがこの作品では修行の場面や戦闘シーンなどにコミカルな要素が含まれるため、明るいエンターテイメントとしてカンフー映画が評価されるきっかけになったのです。

師匠の教えが分からず、九太が動きを真似して熊徹の強さを身につけるシーンは、「蛇拳」の明確なオマージュとして描写されています。

アクションとしての楽しさだけではなく、”父と子(家族)”と共に”師匠と弟子”という、継承される強さや成長の由来についても伝えたい事がわかるのです。

「スリーメン&ベビー」(1987年)

明確に意図して描かれたのではなく、映像を作り上げていくうちに作品の共通項が観られるようになったのが「スリーメン&ベビー」です。

この作品は独身貴族の男性3人が共同生活しているところに赤ん坊が預けられ、子育てやトラブルに巻き込まれるコメディで、元はフランス映画でした。

九太が赤ん坊、熊徹とその友人である多々良と百秋坊がスリーメンという配役ですが、子育ては多々良と百秋坊が中心で熊徹はあまり役に立っていないあたりの食い違いが楽しめるポイントになります。

細田監督の過去から考察する「バケモノの子」の裏テーマ

本作は1本の作品として観ても楽しめますが、細田監督の人生とクリエイターとしての経歴、関わってきたアニメ映画を知ることで細田監督の挑戦を感じることができます。

そのカギとなるのが、映画好きなら知らぬ人がいないであろうアニメ制作会社”スタジオジブリ”と宮崎駿です。

「バケモノの子」がどうして生まれたかを、細田監督の歴史と照らし合わせながら、情報を元に考察していきます。

ジブリ入社を目指すも才能がありすぎて落選

細田監督は若い頃に宮崎駿監督作品である「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)を観て夢中になり、アニメ業界へ進むことを決めるのです。

細田監督はジブリの研修生になる試験で、提出ノルマがイラスト2枚のところを150枚描いて送りますが、宮崎駿は「ジブリでは細田くんの才能が削がれる」と判断します。

結果として才能を認められながらもジブリには入れず、東映アニメーションに入った細田監督は才能を発揮しアニメ業界での評判を獲得するのです。

細田監督は「ハウルの動く城」を作っていた

細田監督がアニメクリエイターとして実績を積み上げたころ、宮崎駿が「千と千尋の神隠し」(2001年)で引退を宣言したため、細田監督とジブリが再び交わります。

指名を受けジブリ作品の次作「ハウルの動く城」(2004年)を作ることになった細田監督は作品に取り掛かりますが、ジブリ側の手が空かず作業ができない状況が続くのです。

そのため細田監督が確保しているスタッフはなにもできず時間だけが過ぎ、最終的には復帰宣言をした宮崎駿が「ハウル」を監督、細田監督は降板させられてしまいました。

細田監督は声をかけたクリエイターたちに迷惑をかける結果になり、かなり悔しい思いをしたそうです。

このときに感じた思いが、細田監督作品を創る上で原動力の1つになっていると考えると、自分のスタジオを作って制作し、オリジナルにこだわる作家性の由来が見えてきます。

過去が細田監督の未来につながる!

何度かの引退宣言と復帰を繰り返しながら、宮崎駿とジブリは”すべての年齢層が楽しめる映画”を世に放ち続けます。

細田監督もいくつもの映画を発表しつづけ、”家族”を軸にした物語で多くのファンを獲得していくのです。

そんな細田監督が全世代に向けての映画を考えるきっかけが、ジブリ最後の宮崎駿作品「風立ちぬ」(2013年)の公開でした。

この作品は戦闘機を作る若者たちが戦争などに直面したときの人間ドラマであり、それまでの宮崎駿作品と違い大人向け映画として発表されたのです。

また公開のときに、ジブリが公式に宮崎駿の引退を発表。このことで”すべての年齢層が楽しめる映画”が空白になると考えた細田監督は、アクションを起こします。

その結果、ジブリ最大のヒット作「千と千尋の神隠し」に対しての返答と、細田監督が考える”全年齢層が楽しめる映画”として「バケモノの子」を生み出したのです。

宮崎駿監督が作ってきた”すべての年齢層向けアニメ映画”に対して同じスタンスでありながら、新時代の作品はこうあるべきという細田監督のメッセージが伝わる作品になりました。

でも結局、宮崎駿監督は復帰して「君たちはどう生きるか」を製作中ですよね?
「風立ちぬ」が最後にやりたかったことだと当時は言ってたんです!

2つの映画に見る共通項と細田監督作品の強み

「バケモノの子」は、人間界と別世界が近いところで繋がっていて、別世界で暮らすために新しい名を得た上で経験を積み、成長した主人公が人間界へと帰っていきます。

さらにお祭りのような雰囲気の別世界、初めて体験する修業や家事、神が身近な存在として現れるなど「千と千尋の神隠し」との共通項が多く意識していることが良く分かるのです。

声を担当しているのが声優ではなく俳優であることや、別の世界の入り口は人間界から道一本外れただけでも行ける近い存在という描写も影響を感じさせます。

その上で「バケモノの子」は初めて映画を観る人に対して非常に親切な設計なのが大きな違いであり、新しい映画の形が見えるのです。

特に注目したいのは、映像に意味深なイメージを持たせず、映画内で起きていることを観客の想像や解釈に任せずに、全部説明している点が挙げられます。

細田監督は、「バケモノの子」で伝えたいイメージがあればキャラにセリフとして喋らせて、分からない要素をなくすことで、映画についていけない観客をゼロに近づけるのです。

映画体験の浅い人にも”映画は楽しい!”と思ってもらえるように、ハードルは下げて作品の質は上げるという挑戦をし、結果的に成功を収め新たな道を切り拓きました。

家族向けアニメの後継者ではなく、映画経験の”初めの一歩”に選ばれるアニメ映画を撮る”開拓者”として細田監督は進んでいくように感じられます。

昔ながらの映画ファンからは説明が多いことに反発もあったようですが?
”映画好きなら分かる”という曖昧な表現を避け、理解度を優先させているのです。

「バケモノの子」(ネタバレ・考察)

「バケモノの子」は、今まで脚本に携わってきた奥寺佐渡子が初めて参加せず、細田監督自ら原作と脚本を担当するなど、方向性に変化が見られます。

飲料会社とタイアップして地上波テレビやネットで公開前にCMを打つなどの事前準備はもちろん、舞台となる渋谷でイベントを開催するなど盛り上がりを見せました。

結果的に2021年6月時点で、細田監督の作品で一番興行成績が良い作品となり、国内外の賞を獲得するなど人気と評価が比例してアップしたのです。

この映画を観る上で楽しめる副次的な情報をお伝えしていくので、気になった方は掘り下げてみましょう。

リアルに描かれた渋谷の街並みの美しさ

センター街や渋谷駅、宮益坂、代々木公園など渋谷区で事件は起こりますが、街の描き方が完璧で、渋谷に詳しい人は舞台となっているエリアに親近感を覚えるでしょう。

他にも協力しているのかと思うぐらいにお店が明確に描かれているため、ファンタジーな戦いがリアルな場所で起きている感覚になります。

この描写の細やかさは、渋谷区とエリア開発を担っている東急グループらが全面協力してくれたことによって可能になったのです。

現在の渋谷は当時と多少風景がが変わっていますが、特徴のあるシーンはいくつか残っていますので、ガイドマップを参考に聖地巡礼するのもいいでしょう。

劇団四季によってミュージカルに!

日本を代表する演劇とミュージカルの集団である劇団四季が、2022年に「バケモノの子」をミュージカルとして開幕することを宣言しています。

細田監督の作品がミュージカルになるのは初めてのことで、かなり長期的に公演されるスケールの大きな演目になりそうです。

渋谷の街並みやバケモノが暮らす渋天街の世界の違いをどう表現し、キャラクターたちの造形とアクションを限られたステージの上で展開するのかも気になります。

ミュージカルということで、特徴的なシーンをどのように歌曲にするのかなど、演劇ファンと映画ファンの両方から今後の発表を期待されているのです。

まとめ

細田監督自ら次世代の家族向け作品の担い手になり送り出した「バケモノの子」は多面的な見方ができます。

今までの細田監督作品で脚本を担当してきた奥寺佐渡子とのタッグではなく、自身のオリジナル脚本で勝負したのも、こだわりと意思表示を織り込むためと考えられるのです。

興行収入は56億を超え、2021年6月現在で、細田監督作品としては歴代一位の記録となっていることからも、多くの層が評価したと考えるべきでしょう。

これからも作品をつくり続けていく細田監督のターニングポイントとなる本作を、この記事でより深く理解できたのではないでしょうか。

ぜひ1度と言わず、2度3度と鑑賞して、自分の中の「バケモノの子」を色々な視点から楽しんでください!

The post バケモノの子(ネタバレ・考察)九太と熊徹が得た一番の”強さ”とは?本作が持つジブリと宮崎駿へのメッセージ first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/bakemononoko/feed/ 0 26779
おおかみこどもの雨と雪(ネタバレ・考察)雪と雨が選択した”生き方”に注目!作品に描かれた究極のマイノリティを許容する世界とは https://cinemaxina.com/wolf_childrens_rain_and_snow/ https://cinemaxina.com/wolf_childrens_rain_and_snow/#respond Tue, 20 Jul 2021 02:35:16 +0000 https://cinemaxina.com/?p=26181 細田守の監督作品「おおかみこどもの雨と雪」は長編アニメ映画として2012年に日本で公開されました。 ”おおかみおとこ”である父を早くに失い、人間の母と”おおかみこども”である雪(姉)と雨(弟)の3人で暮らす家族の絆と“生き方の選択”を描いた物語です。 姉弟の成長で訪れる、それぞれが選ぶ生き方の分

The post おおかみこどもの雨と雪(ネタバレ・考察)雪と雨が選択した”生き方”に注目!作品に描かれた究極のマイノリティを許容する世界とは first appeared on cinemaxina.]]>
細田守の監督作品「おおかみこどもの雨と雪」は長編アニメ映画として2012年に日本で公開されました。

”おおかみおとこ”である父を早くに失い、人間の母と”おおかみこども”である雪(姉)と雨(弟)の3人で暮らす家族の絆と“生き方の選択”を描いた物語です。

姉弟の成長で訪れる、それぞれが選ぶ生き方の分岐は、別れではなく旅立ちを感じさせるものになっており、悲しい話ではなく温かい気持ちにさせてくれます。

都会と田舎の描き分けで表現する大自然の美しさや厳しさ、”おおかみこども”を育てる初めての体験として母親の気持ちを共有できるなど、観客の感性で見どころが変わる作品です。

キャラクターデザインは「時をかける少女」(2006年)「サマーウォーズ」(2009年)に引き続き貞本義行が担当、脚本は奥寺佐渡子と細田監督が共同執筆しています。

高い評価を受けていた細田守監督が、より高い段階の表現者として成長し、制作する作品の方向性が見えた本作を、様々な情報を元に考察していきましょう。

おおかみこどもの雨と雪(2012年)

見どころ
監督は『時をかける少女』の細田守。宮崎あおい、大沢たかお、菅原文太などが声優を務める。母親の優しさ、たくましさに胸を打たれること必至で、親子でも楽しめる。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
人間の姿をしているオオカミ男と出会った大学生の花。2人は恋に落ち、やがて子供を授かる。2人の子供はやはり人間とオオカミの二つの顔を持っていた。家族は都会の片隅で正体を隠しながら暮らしていたが、父の死をきっかけに田舎に移住する。
出典 : video.unext.jp

おおかみこどもの雨と雪(ネタバレ・考察)

日本のアニメ映画を牽引する存在として、作品ごとに挑戦を続けている細田監督。

田舎と大家族、電脳世界と現実のリンクを描いた「サマーウォーズ」(2009年)とは変わり、本作は田舎で暮らしながら家族の成長を見守る内容になりました。

常に万人向けの作品を目指しているという監督が採用した世界のモデルや、映画好きへの目配せなどトリビアの数々をお伝えしていきます。

細田監督のイメージする”子育て”

「サマーウォーズ」を作っていた頃の監督は、結婚したばかりで急に親戚が増えたことをヒントに、大家族が力を合わせるSFという作品を生み出しました。

ですが監督は当時、子供を授かっておらず、知人から子育てについて「家の中で暴れている子供はまるで怪物だぞ」と聞かされたことから、本作を思いついたとのこと。

身近なものが映画のテーマとして目に入ってくるという監督は次作「バケモノの子」で”父の不在”を、次次作「未来のミライ」で”体験した子育て”を題材に作品を誕生させます。

細田監督が手掛けた家族をテーマにした作品群の中で、唯一「おおかみこどもの雨と雪」だけが実体験を元に作られていないためか、設定も含めてファンタジーを感じるのです。

「龍とそばかすの姫」(2021年)では家族の喪失と電脳世界を描いているとか!
いままでの細田監督が扱ってきたテーマの集大成になるのではないでしょうか。

映画『竜とそばかすの姫』は、母親の死により心に大きな傷を抱えた主人公・すず/ベルが、”もうひとつの現実”と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界“U(ユー)”で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする物語。

一橋大学に聖地巡礼したい!

序盤で花が大学に通っているとき、”おおかみおとこ”の彼も授業を受けに来ます。

2人が通っている大学は一橋大学をモデルにして描かれており、キャンパスはもちろん花がバイトしているクリーニング店も実際にあるのです。

劇中に登場したカフェも映画とコラボしており、雨と雪のスイーツが出されたこともあります。

しっかりとした頭の良さを求められ、都会に寄り過ぎない立地で、他の学生にたいしても開放的ということで選ばれ、一橋大学出身者は映画を観て大喜びしたそうです。

あまり裕福ではない花が良い成績を収め学校に通い、こっそり授業に潜り込んでいる”おおかみおとこ”と運命の出会いを果たすのにピッタリの場所でしょう。

なお花は雪と雨を育てるために休学し、最終的には中退してしまったことが、劇中に映る花の履歴書から読み解くことができます。

イギリスのエリートお笑い集団「モンティ・パイソン」って知ってる?

雪が学校で受けている授業の中で、荷物を積んだツバメの飛行速度という、不思議な題材がテーマにされています。

これはイギリスの誇るコメディ集団「モンティ・パイソン」が撮影した映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(1975年)の中に出てくるコントの一節です。

イギリス人であるモンティ・パイソンが有名なアーサー王伝説を徹底的に笑いのネタにした作品で、B級映画の金字塔として語られ、多くの人が影響を受けました。

万人向けの映画をテーマに創作活動をしつつ、オールドスクールなコントや映画ファンにだけ分かる小ネタを挟んでくるあたりに、監督の遊び心を感じるのです。

名優・菅原文太が主人公を応援

「仁義なき戦い」(1973年)などで活躍し、多くの映画関係者に影響を与えた名優である菅原文太が、田舎に引っ越してきた花を陰ながら助力する老人の役で出演しています。

収録当時の菅原は、自身が演じた”韮崎のおじいちゃん”のような農業を営む生活をしており、名前も菅原が暮らしていた長野の韮崎市から命名されました。

アニメーション映画に出演するのは「ゲド戦記」(2006年)以来となり、頑固で厳しいが花の背中を押してくれる老人を印象に残る演技で表現しています。

上映の2年後に亡くなってしまい、本作が菅原文太の遺作となりました。心の機微を表す名優の演技を堪能してください。

本作で注目したい”音”と”絵”の表現力

「おおかみこどもの雨と雪」は地上波で放送されたこともある作品ですが、誰もが知っている超大作というような扱いではなく、知る人ぞ知る名作という位置づけになります。

また観客によって同じ気持ちを共有するような、わかりやすいエンディングでもないため、人によっては凄さがわかりにくいかもしれません。

映画を観た人が共通項として”ここがすごい!”と感じるポイントを提示しますので、是非チェックしてみてください。

監督直々のオファーがあった俳優と音へのこだわり

”おおかみおとこ”と恋に落ち、2人の子の母として奮闘する花を演じているのは、日本を代表する女優である宮崎あおいです。

どんな困難が訪れてもくじけない強さと、夫や子どもたちの個性を受け入れる優しさを併せ持つ母親像として、子供の成長を見守る主人公を演じています。

出番は少ないものの、花と出会ってドラマの発端になり、人狼というファンタジー要素を持つ不思議な”彼”を演じたのは大沢たかおです。

宮崎は声優経験がありましたが大沢は初めての挑戦になり、初めての共演現場は難しかったようですが、細田監督はこの2人にしか演じられないとオファーを出しています。

また録音もこだわり、通常の現場で使用されるマイクと違い、指向性が極端に狭い代わりに高音質で録音できるガンマイクを使用しているのです。

生き生きとしたシーンも穏やかなシーンも、目に入ってくるビジュアル以上に観客へと訴えかけてくる声の気持ちよさは、視聴するたびに新しい発見があります。

演技の抑揚が凄いと思ったら、こだわりがあったんですね!
監督の意向でシーンの順番どおりに収録する”順撮り”をすることで場面の変化による感情を捕らえているね。

細田監督が挑戦した新時代の情景描写

ドラマ部分について言及されがちな「おおかみこどもの雨と雪」ですが、細田監督のビジュアルセンスは本作でも冴えており、観客を魅了します。

幸せな雰囲気のときは観るものに喜びを与える色彩で演出し、不安や別れを描くときは悪天候を伴った暗い空気感を出すなど、色使いが見事です。

これは「サマーウォーズ」で世界設計などを含めCGを担当してきたデジタル・フロンティアの描写能力が上がったことで実現しました。

今までのアニメでは為し得なかった、吹き抜ける風やアスファルトに溜まって泡立つ雨、山の茂みにうごめく生き物といった微細な表現も可能にしたのです。

本作が出たことで映像表現のハードルが上がり、他のアニメ監督からは恨み節が出たという話もあるほど、革新的なCGとアニメーションの融合は一見の価値があります。

特に花と子どもたちが、誰も居ない雪山を自由に駆け抜けるシーンは躍動感とスピード、背景の細やかさを併せ持ち、”誰にも縛られることのない自由な世界”を感じさせるのです。

いままでの手法を捨てて描いた”家族映画”の新しい形

細田守監督はブレイクするまでは冒険ものや電脳、SFなどが下地になる作品群を手掛けてきましたが、「サマーウォーズ」以降はテーマに”家族”が入るようになります。

さらに「おおかみこどもの雨と雪」では劇場公開作品でありながら、他のアニメ映画と違って”盛り上がる山場”や”空想世界で観客を魅了”というお約束を外しているのです。

この作品で細田監督は子育てと自立、人とは違う自分を受け入れて生き方を決めるといったテーマを観客に問いかけ、娯楽作品とは少し違うアプローチで描いています。

その上で幸せな時間のきらめきや、悲しいシーンでの無情さなどはアニメだからこそつけられる演出と描写で表しているのです。

一般的な”売れる作品”とは逆の方向を選びながらも観客に支持された「おおかみこどもの雨と雪」の構造を考察していきます。

自我がない子供は怪物である

雪と雨は物心がついていても、自分たちが特別な存在であることを認識しておらず、花の教育にも関わらず”おおかみこども”らしさを発揮してしまいます。

遊び盛りなため他の住人からはペットを飼っているのではと疑われ、児童相談所には予防接種などに来ないことから育児放棄ではと勘ぐられるのです。

社会が機能していても、サポートを受けられない人や性質が異なる人には負荷になるということと、自分を律する事ができない時期の子供はいかに恐ろしいかを描いています。

”彼”と2人で過ごしていた頃はあんなに輝いて描かれていたマンションはボロボロになり、家庭環境の変化と苦悩を表しているのです。

”おおかみこども”の生き方として人を選ぶか、おおかみを選ぶか、どちらの結果でも幸せに育つように、花たちは富山に引っ越します。

花の笑顔に見る心の支えと強がり

花は、村の奥にあるリフォームもしていない平屋を選び、そこで生活を始めますが、収入がない花は貯金を切り崩しながら畑を耕すなど試行錯誤の日々。

都心から来たシングルマザーに対して村人は、「生活の違いに耐えられるのか」という興味と疑いの眼差しで見守ります。

村人たちに対してはもちろん、困難な時も常に笑顔でいる花に対して、韮崎のおじいちゃんが声をかけるのです。「なぜ笑う。笑ってたら何もできんぞ」

花は「いつでも花のような笑顔でいてほしい」と名付けられたのですが、花はどんな辛いときも笑顔でいることで、自分の中の不安を隠していたのではないでしょうか。

そんな花の心中を汲み取ったのか、おじいちゃんは作物の植え方を教え、村人には手助けするよう助言し、花は村の人々と交流を深めるようになります。

花の出産、夫との別れ、子育ての苦労を見てきた観客はおじいちゃんと同じように花を応援する気持ちが生まれているため、花の変化に喜びを感じるでしょう。

ここで努力が実ったことにより、話の焦点は成長していく雪と雨に移っていきます。

細田監督の提示する話題が花から、2人の獣人の成長という未知の世界に入るのです。

”おおかみ”の生き方と”こども”の生き方

細田監督は姉の雪と弟の雨を対比構造で描くことで、タイトルに含まれている”おおかみ”と”こども”という別の道を作っていきます。

姉弟それぞれの性格がどのように変化して、何をきっかけに自立するに至ったのかが本作後半の主眼になるのです。

獣人というマイノリティである自分を認識し、理解した上で生き方を自分で決めていく2人の成長に関して、どういう意味が込められているかを考察します。

おてんばな雪は人間になりたい

姉である雪は山や森のある村で過ごすことによって、野生に近い特性を示します。蛇の骨や虫を集めるなど、かなりのおてんばさんです。

そんな彼女ですが学校で他の女子と交流することで、”女の子らしさ”という概念を得て、自分も女の子らしくなりたいという変化を見せます。

その成長を嬉しく思った花は、雪に手作りのワンピースを仕立てて着せてあげたことにより、女の子同士が好む共通の話題”ファッション”で後押しするのです。

そんな雪の前に現れたのが、転校生の草平です。彼はいきなり花に向かって「獣臭い、ペットを飼ってるのか?」と質問をします。

これは雪にとって”可愛い女の子”ではなく”おおかみこども”であると指摘されたのに等しく、またデリカシーにも欠ける問いだったためショックを受け草平を避けるのです。

悪意がない草平はなぜ自分を避けるのかと雪を追い回しますが、雪はおおかみにならないおまじないを唱えながら必死で逃げ回ります。

結果的に草平に対して”おおかみこども”の姿で傷を負わせてしまい、雪は自分の正体が知られてしまったのでは、と学校を休むのです。

怪我をした草平は雪のせいではないとかばい、休んでいる雪を毎日訪ねていくうちに打ち解けて、2人は仲良くなり、雪は”人間”として生きる道を選ぶようになります。

おとなしい雨はおおかみになりたい

弟の雨はもともと内向的で本を読むのが好きなタイプであり、山村に来てからは動物におっかなびっくりしながら触れていくなど、雪とは対照的な存在として描かれています。

小学校は不登校が多いため、韮崎のおじいちゃんから「俺とエジソンも小学校は行かなかった、見どころがある」と評価されているのです。

いじめが原因のようにも見えますが、雨は自分自身が”おおかみこども”であると雪より早く感じており、そのために他の子供達とは馴染めなかったのではないでしょうか。

その上で”おおかみ”である自分を持て余していますが、山で生き物を捕まえたことをきっかけに力を自覚します。

花が学芸員として仕事をしている現場に付き添っていた雨は、施設にいたシンリンオオカミと対話し、捕らわれてしまったオオカミの悲劇を知るのです。

その結果、人間社会には踏み込まず、山に入り長であるキツネから教えを受けることで、雨は”おおかみ”としての生き方を望むようになります。

嵐の夜にみるアイデンティティの確立

台風が迫る夕刻、雪は花が迎えに来るのを待ちながら、草平と教室で2人きりになり、自分が”おおかみこども”であることを明かし、草平を傷つけたことを謝ります。

草平はすべてを知っていて、その秘密を誰にも言いませんでした。家族以外に自分の存在を認められた雪が、社会の中に一歩近づくシーンです。

雨は長であるキツネが怪我をし、先が長くないため自分が山の長を継ぐと花に伝えて嵐の山に入ります。それを止めようとする花ですが、山の斜面から落ちてしまいます。

気絶した花を雨は安全なところまで運び、花が起きたのを確認してから変身して別れを告げます。人間社会から離れ、自然の中で生きていく決意を持った親離れの瞬間です。

雨はおおかみとして生き、雪は全寮制の学校へ草平と進み人間として生きると決めたことが分かるラストは、自分の居たい世界を選べる自由を感じさせます。

滅びの道にある”おおかみ”と、人間社会にいる”おおかみこども”たち

”おおかみおとこ”は”彼”が最後の生き残りでしたが、花という伴侶を得たことで血を繋ぎます。

雪と雨が受け継いだ特性は人に知られてはいけない性質を持つため、人間として生きていく雪が子を為したとしてもありのままで育てることは出来ないでしょう。

人の世に生きる”おおかみ”という設定が意味することを、2つの視点から考察します。

花が示す”おおかみがすき”という許容

絵本を見ている時に、雨はオオカミが絵本だと悪者にされていることに疑問をもちます。自分がおおかみであることを自覚したからこそ、存在が悪なのか気になったのでしょう。

それに対して花は「でもお母さんはおおかみが好きよ。みんながおおかみを嫌っても、お母さんだけはおおかみの味方だから」と応えます。

この”おおかみ”の部分はすべてのマイノリティに置き換えることができるため、観るものにハッと気付きを与えるシーンになるのです。

花は良い悪いという二元論ではなく「私はおおかみが好き」という許容を見せることで、子供に愛情を示しながら価値観を正しました。

誰かの視点で語られる良い、悪いではなく、自分は好きなものを好きと言えることが大事というメッセージが観客に伝えられ、寛容さを促すのです。

なぜオオカミは悪く描かれる?

狩猟民族であったころの人間はオオカミを尊敬していたため争うこともなく、お互い干渉せず、獲物を狩るために森を共有していました。

しかし人間が開拓を始めて森を破壊し、家畜を飼うようになると、森という住処とそこで得られる獲物を失ったオオカミは家畜を襲うようになるのです。

神聖な存在から害獣へと認識が変わり、人々の教えの中にオオカミに対する敵意が加わった結果、狩りつくされオオカミは激減します。

悪評しか知らない街の人々にはオオカミは悪者とされ、作家たちの世界でもオオカミを倒すことが物語のハッピーエンドとされるのです。

近代になってようやく種を保存する目的で保護対象となっていますが、元の生態系に戻ることもできず、日本のオオカミは絶滅の道を辿ってしまいました。

オオカミの大切さや保護を訴えながら、オオカミは悪者であると子供に教える矛盾のなか、社会はオオカミを受け入れられるのかと問われているのです。

雨の問いかけに居心地が悪くなった観客も多いかも?
子供の頃のオオカミは悪い、危険を表すアイコンみたいな扱いでしたからね。

まとめ

2人がそれぞれの道を選び、巣立っていくことをドラマとして描いて終わるため、映画としては「終わったんだ!」という、クライマックス感は少ないでしょう。

しかしキャラクターたちの生き様や監督からのメッセージは、鑑賞した人の中にそれぞれの形の違う何かを残してくれるはずです。

アニメ映画でありながら、”現実では撮影できない表現”は最低限に抑え、人間ドラマを美しく描いた本作。

長年タッグを組んできた脚本家の奥寺佐渡子と細田監督が初めて合同脚本を務めたため、「サマーウォーズ」以前とは違う作風となり新しいスタイルを見いだせるのです。

多くの賞を取りながらも、次作ではエンタテインメント路線に再び舵を切った監督が観せてくれる”世界の美しさ”を是非堪能してください。

The post おおかみこどもの雨と雪(ネタバレ・考察)雪と雨が選択した”生き方”に注目!作品に描かれた究極のマイノリティを許容する世界とは first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/wolf_childrens_rain_and_snow/feed/ 0 26181
サマーウォーズ(ネタバレ・考察)アナログとデジタルの両方の良さとは!?栄の死から見えてくるものを徹底考察!本作における朝顔の役割とは何? https://cinemaxina.com/summer-wars/ https://cinemaxina.com/summer-wars/#respond Tue, 20 Jul 2021 02:34:59 +0000 https://cinemaxina.com/?p=26740 「サマーウォーズ」は2009年8月1日に公開された日本のアニメ映画です。 声の出演に俳優の神木隆之介、桜庭ななみを迎え、監督は「時をかける少女」(2006年)で一躍注目を浴びる事となった細田守が務めました。 本作は、細田守監督にとって初めてのオリジナル長編アニメ作品であり、「時をかける少女」で脚本を担当した奥寺佐渡子、

The post サマーウォーズ(ネタバレ・考察)アナログとデジタルの両方の良さとは!?栄の死から見えてくるものを徹底考察!本作における朝顔の役割とは何? first appeared on cinemaxina.]]>
「サマーウォーズ」は2009年8月1日に公開された日本のアニメ映画です。

声の出演に俳優の神木隆之介、桜庭ななみを迎え、監督は「時をかける少女」(2006年)で一躍注目を浴びる事となった細田守が務めました。

本作は、細田守監督にとって初めてのオリジナル長編アニメ作品であり、「時をかける少女」で脚本を担当した奥寺佐渡子、キャラクターデザインを務めた貞本義行の3人が再びトリオを組んだ作品です。

インターネット上の仮想世界OZ(オズ)の中で、謎の人工知能“ラブマシーン”が暴走し、世界中を巻き込んだ大事件へと発展していきます。

そこに数学の天才である主人公・小磯健二(声:神木隆之介)と健二にとって憧れの先輩である篠原夏希(声:桜庭ななみ)、そしてその家族が世界の混乱をおさめる為に奮闘する物語です。

映画「サマーウォーズ」からアナログとデジタルのそれぞれの良さ、栄の死から見えてくるもの、そして本作品に登場する朝顔の意味を考察していきたいと思います!

サマーウォーズ(2009年)

見どころ
斬新なCGで描かれたデジタルの仮想空間・OZの表現と、自然あふれる長野の風景描写のコントラストが見事。田舎の大家族がOZの危機に立ち上がる物語に熱くなる。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
ショッピングからインフラまで、人々はインターネット上の仮想世界・OZに頼るようになっていた。ある夏の日、高校生の健二は憧れの先輩・夏希からバイトに誘われる。その内容とは、長野にある夏希の実家・陣内家で彼女のフィアンセを演じるというものだった。
出典 : video.unext.jp

サマーウォーズ(ネタバレ・考察)

サマーという言葉がタイトルに付いているだけあって、“夏”になると観たくなるのが、この映画の一つの特徴です。

ここでは、今作品が制作された背景や、今までの細田守作品を振り返りつつ、「サマーウォーズ」について書いていきます。

今作品が作られた背景

この「サマーウォーズ」という映画は、細田守監督が結婚した時のエピソードから、制作された背景があります。

夏希のモデルとなった人物は、細田守監督の奥さんで、健二はまさに監督自身を表しているのだそうです。

奥さんの実家はずばりサマーウォーズの舞台となった長野県上田市で、プロポーズをしたのも夏なんだとか。

勿論、奥さんの家族は今作品と同じ大家族で、まさに「サマーウォーズ」というこの映画は細田監督の自己投影なのです。

奥さんの実家を訪れた時はアウェー状態だったものの、細田監督は家族が増える事について純粋に“面白い”と感じたのだとか。

細田守監督の結婚がなければ、今作品は生まれてなかったというわけです。

自分の人生の一部を切り取って、一つの作品を見事作り上げた細田監督。何だかほんわかとするエピソードですね。

テーマが家族へと変化していった細田作品

「サマーウォーズ」以降、細田監督の作り出す映画には“家族”というテーマが入り込むようになりました。

監督にとって、結婚というものは作品上でも大きな転機となったわけです。

細田作品を振り返って見ていきましょう。

  • 時をかける少女(2006年)
  • サマーウォーズ(2009年)
  • おおかみこどもの雨と雪(2012年)
  • バケモノの子(2015年)
  • 未来のミライ(2018年)
  • 竜とそばかすの姫(2021年)

「時をかける少女」ではタイムリープという能力を手に入れた一人の女の子の友情や青春が描かれています。

この作品では“家族”というものに触れる描写はなく、この映画を経た後、細田作品では家族をテーマとしたエピソードが盛り込まれる事となりました。

「サマーウォーズ」は大家族が力を合わせて一つの問題に立ち向かう話で、「おおかみこどもの雨と雪」は母親と子供の愛情を感じられる映画です。

「バケモノの子」は師弟関係+親子の絆を描いた作品ですし、「未来のミライ」は兄妹の絆をテーマとした作品となっています。

そして「竜とそばかすの姫」では歌う事が大好きだった一人の女の子が、母親を亡くしてから歌を歌えなくなるという物語です。

一度ヒット作品を生んだら、その後モノを制作していくにあたって、物凄いプレッシャーと闘っていくのが芸術というものに携わる全ての人間の課題と呼べます。

そんな中、“家族”という普遍的なテーマではあるものの、それを武器に次々とヒット作品を生み出していく細田監督の手腕は非常に素晴らしいです!!

3年周期で上映される細田作品

細田監督は「時をかける少女」(2006年)から「竜とそばかすの姫」(2021年)まで必ず3年に一回新作上映にこぎつけています。

自分の理念・哲学を守りつつ、必ず3年周期で作品を完成させ、なおかつそれをヒットに導いている細田監督の技量には脱帽です。

そして、全作品“夏の映画”として封切りされている為、春夏秋冬季節は巡っても、細田守作品といえば夏!というイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。

特に「サマーウォーズ」は高校生である主人公の、夏休みの貴重な体験として作品の内容が進んでいく為、細田守監督作品=夏が来た!!という感覚を感じられる一面もあります。

仮想世界OZって一体何!?

「サマーウォーズ」の中で描かれるOZという仮想世界。

仮想世界というと何だか難しいイメージを受けますよね。ここではOZについて触れていきたいと思います。

OZはインターネット上の仮想世界で、「サマーウォーズ」では地球上の10億人もの人々が利用しているという設定になっています。

この空間の中ではゲームやスポーツ、スポーツ観戦、はたまたショッピングやビジネス、行政手続きなど日常生活における何から何までのサービスを受ける事ができるのです。

インターネットに接続さえできれば、スマホを始めテレビやゲーム機といった様々なデバイスから利用が可能となっています。

利用者は“アバター”という自分自身の分身となるキャラクターを設定して、ネット上で現実と変わらない生活をおくれるのです。

現実世界でのほぼ全ての事がネット上で完結でき、映画内では世界中の多くの人々がOZの利用者となっています。

近いうちに私達が住むこの世界も「サマーウォーズ」のようになるかもしれません。

しかし、便利な反面、個人情報の漏洩やそれを悪用した犯罪も現れるかもしれないのも現実です。

安全、安心に使えるサービスなのであれば、OZのような世界も大歓迎ですね。

因みに、OZというネーミングの由来は、細田監督が東映アニメーションで働いていた頃に行きつけだった、LIVINオズというスーパーマーケットの名前が由来なのだそうです!

アナログとデジタルの両方の良さを描いている

今作品では、日本の古き良きものと現代的なものを対比させながらも両方の良さを強調するような表現が幾つか出てきます。

アナログとデジタルという一見かけ離れたように見えるもの。

しかし、アナログとデジタルが皆の知恵を合わせた結果、人工知能ラブマシーンを倒す為に活躍する要素となります。

この映画において一番のキーマンとなる夏希の曽祖母である陣内栄(声:富司純子)が、黒電話で多くの知人に電話をかけるシーンはとても印象的です。

自身の人脈の広さから、栄は多くの人物の手紙やハガキを頼りに電話をかけ、混乱した日本の状況を救います。

ここではアナログの代表である黒電話が大活躍!するのです。

そして、映画終盤で夏希はラブマシーンと花札で闘います。

このシーンも見事です。デジタルを駆使した空間で、栄譲りの勝負強さから夏希はラブマシーンに、アナログの一部である花札で勝つのです。

そして、この勝利の陰には世界中の人々が窮地に陥った夏希を応援し、自分のアバターを貸すという予想外の展開もありました。

デジタルとアナログの双方の良さを駆使しながらの闘いで見えたもの、それはどんな世の中でも変わらない、人と人の絆だったのです。

栄の死から見えてくるものとは?

持病の狭心症による心肺停止で亡くなった夏希の曽祖母の栄。

OZの機能が停止していた事から、心肺に異常が見られた時に鳴るはずだった携帯のアラームが鳴りませんでした。それが栄の死に繋がります。

今作品において、栄の死から見えてくるものとはどういうものだったのでしょう?

家族の強い団結心

本作品で、最初の段階では栄が亡くなるという設定はなかったのだとか。

この映画の制作当時、細田監督の祖母の体調が思わしくなかった為、それまでの監督の経験上、制作中の作品と現実がリンクするというジンクスが彼の中にあったそうです。

しかし、悩みに悩んだあげく、苦渋の決断で栄が物語の途中で亡くなる、というエピソードが作品内に組み込まれました。

それは大事な人の死をきっかけに、仇討ちというと言い過ぎかもしれませんが、その出来事が家族や周りの人物との絆を強くする、という監督の思惑があったのです。

「サマーウォーズ」は細田監督作品で初めて人の死を描いた作品となりました。

“死”というと、マイナスなイメージの事が連想される場合が一般的に多いと思われます。

しかし、この映画の中では家族の繋がりをより強固なものにする要因として、栄の死はいい方向として描かれているのです。

死は必ずしも悪い事だらけではない。その事を教えてくれたのは他の誰でもない栄だといえます。

「サマーウォーズ」の公開は8月でしたよね?
細田監督は同5月に母を、6月に祖母を亡くしています。この映画は亡くなったお二人への弔いの映画とも呼べるでしょう。

家族と侘助の和解

何と人工知能ラブマシーンの製作者は、夏希の亡くなった曽祖父と愛人の間に出来た子供、侘助でした。

そして侘助はまだ幼かった夏希の初恋の相手でもあります。

一家の財産を持ち逃げして、製作されたのが人工知能・ラブマシーンです。

その出来事から侘助の事を厄介者扱いする陣内家の人々でしたが、栄の死をきっかけに侘助の事を家族として受け入れるのです。

ラブマシーンの暴走はもはや製作者である侘助の手でも止めることが出来なくなってしまいます。

しかし、「栄を死なせてしまったのは自分だ」そんな想いが侘助にはあったのでしょう。

最後まで諦めずラブマシーンの暴走を止めることに奮闘します。

栄は侘助の唯一の理解者でした。栄には自分の配偶者が浮気をして出来た子供でも、そんな事は関係なく、侘助を愛情たっぷりに育て上げます。

「一番いけないのはお腹が空いている事と、独りでいることだから。」

これは栄の名言であり、栄が如何に心の広い人間であるかを物語っている台詞です。

侘助を一人にしてはいけないと、栄は強くそう思っていたのです。

度々登場する朝顔の意味

この映画には、夏の象徴の花とも呼べる朝顔が度々登場します。

朝顔の花言葉は、“結束”、“愛情”、“固い絆”です。

この「サマーウォーズ」という映画で描かれる朝顔の役割とは、ずばり家族の絆の象徴といえます。

時に朝顔が満開に咲いていたり、萎んでいたりする事にも意味があり、その時その時の登場人物の気持ちを代弁しているのです。

そして、栄が夏希に朝顔の柄の浴衣を渡すシーンがあります。

これは、栄の死後、陣内家を守っていくのは夏希だという事を示しているのです。

 映画終盤の栄のお葬式の日、栄の誕生日という事もあって、皆でハッピーバースデーの歌を歌うのは印象的でした。
ここで、夏希が朝顔柄の浴衣を着ているのも、栄の意志はちゃんと自分に伝わっているよ、という夏希なりの表現なのでしょうね。

「サマーウォーズ」見どころポイント

この映画の見どころは、何といっても主役の健二が数学の難しい問題を解き、夏希の又従兄弟の池沢佳主馬(声:谷村美月)のサポートもあって、小惑星探査機“あらわし”の落下地点をずらす部分です。

この二人の活躍がなければ、“あらわし”は陣内邸に直撃落下していました。

健二と佳主馬、それぞれの活躍を見ていきましょう。

人間としても男としても成長を遂げた健二

「サマーウォーズ」は家族の物語であると同時に、引っ込み思案で内気な性格の健二の成長物語でもあるのです。

皆がもうダメだ…とあきらめムードの中、健二は「あきらめたら、解けない。答えは出ないままです。」と言い、暗算で数学の難題に挑みます。

最後に健二が「よろしくお願いしまああああす!!」という台詞と共に導き出した答えは見事正解で、これは健二の夏希への愛の告白でもあるのです。

健二は、陣内家にあらわしを落下させるというラブマシーンの最後の策略を見事打ち破りました。

彼が鼻血を出したのは、自分の数学の能力が限界を超え新しい領域に達したという意味を持っています。

そして同時に健二の夏希への想いが溢れすぎて、「好きな人のことを考えると鼻血が出る」というような、思春期真っ盛りの健二の気持ちも描かれているのです。

一生懸命な健二を側で見ていて、夏希も健二の事を意識するようになりました。

夏希が健二の頬にキスをするシーンでも、健二は鼻血を出しているので、彼は相当奥手な性格といえます。

しかし、この一連の出来事を経て、健二は夏希にリードされながらも二人ならではの愛情を育んでいくのではないでしょうか。

もう一人のヒーロー!佳主馬

中性的な顔立ちと華奢な身体から、「女の子?」「男の子?」と最初は戸惑う方も多いかもしれません。

佳主馬は非常に頭のキレる立派な男の子です!!

学校でいじめに遭った事をきっかけに、佳主馬の祖父にあたる万助から少林寺拳法を習うなど、逞しさと頭の良さを兼ね備える登場人物といえます。

OZ内で、彼は多くの企業とも契約を結んでいる格闘技のチャンピオンで、アバター内で一目置かれる存在です。

“キングカズマ”という兎のようなアバターを使いこなし、そのあまりの強さからプレイヤー達の間では知らない人はいないと言っても過言ではありません。

最後は侘助の手で無力化されたラブマシーンに蹴りをお見舞いし、健二のサポートをします。佳主馬なしではラブマシーンに勝つ事は不可能だったといえます。

まとめ

以上、映画「サマーウォーズ」からアナログとデジタルのそれぞれの良い部分、栄の死から見えてくるもの、そして本作品に登場する朝顔の意味を考察してきましたが如何でしたでしょうか!?

今作品は観れば観るほど味わい深さを感じる映画となっています。

一家のドタバタと一緒に、テレビから流れる高校野球の試合の行方もこの映画の大きな伏線となっているので、注目ポイントです。

“家族”というものがキーワードになっている作品なので、ぜひ家族全員揃って細田守監督の世界に浸ってみて下さい!!

The post サマーウォーズ(ネタバレ・考察)アナログとデジタルの両方の良さとは!?栄の死から見えてくるものを徹底考察!本作における朝顔の役割とは何? first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/summer-wars/feed/ 0 26740
となりのトトロ(ネタバレ・考察)サツキとメイは死んでいた!?トトロに纏わる都市伝説を徹底紹介!本作に隠された真実とは https://cinemaxina.com/tonarinototoro/ https://cinemaxina.com/tonarinototoro/#respond Thu, 20 May 2021 03:30:48 +0000 https://cinemaxina.com/?p=22472 「となりのトトロ」は1988年に上映されたアニメーション映画です。 監督はアニメ映画界の巨匠である宮崎駿、主演声優は日髙のり子、坂本千夏らが担当しています。 初上映から長い年月の経つ本作ですが、いまだに根強い人気を誇る映画です。 家族間の絆や思いやりの大切さを教えてくれて、心が温まる映画である「となりのトトロ」。 そん

The post となりのトトロ(ネタバレ・考察)サツキとメイは死んでいた!?トトロに纏わる都市伝説を徹底紹介!本作に隠された真実とは first appeared on cinemaxina.]]>
「となりのトトロ」は1988年に上映されたアニメーション映画です。

監督はアニメ映画界の巨匠である宮崎駿、主演声優は日髙のり子、坂本千夏らが担当しています。

初上映から長い年月の経つ本作ですが、いまだに根強い人気を誇る映画です。

家族間の絆や思いやりの大切さを教えてくれて、心が温まる映画である「となりのトトロ」。

そんな「となりのトトロ」について、サツキとメイの誕生秘話といった裏話や、トトロたちが持つ魅力についてなどを交えながら紹介していきます。

となりのトトロ(1988年)

サツキとメイと父の一家は病弱な母に療養してもらうため、空気のきれいな田舎に引っ越しをする。

引っ越し先の家でサツキとメイは、小さく真っ黒な生き物「まっくろくろすけ」を発見。

また、メイは「トトロ」という大きな生き物に出会い、これから始まる不思議な生活に胸をふくらませていく。

それから夏休みも始まったある日、退院間近だった母が体調を崩してしまい、家に帰ってくる予定が延期になってしまった。

メイはこのことに納得できずにサツキと大喧嘩。メイはひとりで母が入院する病院へ向かい迷子になってしまう。

サツキは行方不明になったメイを探すため、さまざまな人の助けも借りながら村を奔走する。

そんな思いに応えてくれたのかサツキの前にトトロが姿を見せ…。

となりのトトロ(ネタバレ・考察)

映画「となりのトトロ」は登場人物たちの魅力や裏話といったさまざまな要素に彩られている作品です。

そんな本映画の中にあるトトロという名前が付けられた経緯や、公開当初の裏話などを紹介していきます。

最初は不人気な作品だった!?

「となりのトトロ」は映画自体の評価は高かったものの、スタジオジブリが持つブランド力は近年ほど高くなく、宮崎駿が監督した作品であっても世間からあまり注目されていませんでした。

そのため公開当初は観客が思うように集まらず、興行収入は2021年までの全ジブリ映画中ワースト3位という赤字収益に終わってしまいます。

実は映画「魔女の宅急便」(1989年)は「となりのトトロ」が興行的に失敗したことで生まれた赤字を回収するために作られた作品です。

そんな注目されなかった映画「となりのトトロ」ですが、上映から2年後の1990年に大きな転機が訪れました。

キャラクターグッズとしてぬいぐるみを販売したところ非常に好評で、なんと約70万個という異例の売り上げを達成します。

もともと高い評価であった「となりのトトロ」はぬいぐるみが好評だったため幅広く知られていき、上映から2年越しに大人気作品へとなったのです。

1997年に発売されたビデオ版「となりのトトロ」は上映から10年近く経っていたにもかかわらず約1ヶ月で100万本を越える売り上げを達成しました。

そこから多くのグッズが販売される人気キャラクターとなっていき、トトロはスタジオジブリの顔といえる存在になります。

トトロたちには別の名前があった?

本作には大、中、小の違った大きさである3種類のトトロが登場していますが、初期段階ではそれぞれに別の名前がありました。

それぞれ大きい個体はミミンズク、中くらいの個体がズク、一番小さな個体がミンという名前です。

ただし初期設定の名前は監督が新たにトトロという名前を思いついたため、使われなくなってしまいました。

実は新しい名前を監督が思いついたのは、知人の娘が関わっているという噂があります。

その少女が監督の住んでいた地名である「所沢」を「ととろざわ」と発音したことが元となって「トトロ」という名前が生まれたそうです。

メイが大トトロの発した鳴き声を「トトロ」と解釈する場面があるのはこういった経緯がきっかけだといわれています。

トトロはどのようなことをメイに伝えたかったのでしょうか?
トトロはメイに「まだ眠たいよ」と伝えたかったらしいですよ。

不思議な生き物たちが持つ魅力について

映画「となりのトトロ」にはトトロを始めとする不思議な生き物たちが多数登場しています。

この映画が人気になった理由には、登場する不思議な生き物たちの魅力があったためでしょう。

そんなかわいさにあふれる彼らの活躍について紹介していきます。

トトロ

映画のタイトルにもあるように「となりのトトロ」のメインキャラクターであり、スタジオジブリの顔ともいえる存在です。

大トトロの他にも中、小の個体が登場しており、それぞれがかわいらしい見た目や性格をした生き物だといえます。

大トトロは非常にのんびり屋さんで、いつもクスノキのふもとで気持ちよさそうに寝ている生き物です。

メイがお腹に落ちてきても全く気にしないほどのマイペースな性格でもあります。

中くらいのトトロは彼らの中で一番働きものです。

ただ、トトロたちの中で一番食いしん坊なのか、好物の木の実を持ち運ぶために袋を持ち歩いています。

一番小さなトトロはまるで子供のような、どこか落ち着きのない性格です。

透明になれる能力を持っていますが、消える直前の姿をうっかりメイに見られてしまい追いかけられてしまいました。

他にも3匹のトトロが集まってクスノキの上で楽しそうにオカリナを演奏する場面や、サツキやメイの夢に登場したりとさまざまな場所で活躍を見せます。

まっくろくろすけ

作中ではまっくろくろすけと呼ばれる黒いイガグリのような見た目の生き物です。

そして人が住まなくなった家などに住み着く一種の妖怪といわれています。

実はまっくろくろすけという名前はメイによって名付けられたものであり、本当の名前は「ススワタリ」です。

見た目はとてもかわいらしいですが、臆病な性格で人を見るだけでくもの子を散らすように逃げてしまいます。

また、彼らは特に悪さを働いたりはしませんが、触るとすすまみれになってしまうので注意が必要です。

ネコバス

ネコバスはこの地域に住み続けている、とても長生きで大きな化けネコです。

胴体はバスのような形をしており、中は大勢がゆったりと座れるほどの広々とした空間があります。

外側も内側もふわふわと気持ちよさそうな質感であり、思わずなでたり触ったりしたくなるでしょう。

作中ではトトロに呼ばれて迷子になったメイの所へサツキを運んでくれたり、二人の合流後に母がいる病院まで送ってくれました。

元々ネコバスはカゴ屋のカゴに化けていたネコでしたが、バスをみた時その凄さに憧れ、バスの姿を真似するようになったといわれています。

サツキとメイの誕生秘話

映画「となりのトトロ」の主人公は、サツキとメイの姉妹です。

しかし初期設定の段階ではサツキとメイは存在しておらず、彼女たちとは違う別の主人公が存在していました。

元の主人公に代わって生まれた彼女たちの誕生秘話についてを紹介します。

サツキとメイが生まれた理由 その1

映画「となりのトトロ」の主人公は初期設定の段階では一人の少女だったのです。

本来はサツキとメイの要素を合わせた見た目の別の少女が主人公として活躍する予定でした。

実際に公開前に作られたポスターには、トトロの横でサツキでもメイでもない少女がバスを待っています。

しかし、幼稚園児ほどの少女が父を一人でバス停に迎えに行くという設定に無理があったため、その役割をこなせる姉を登場させたのです。

それから主人公のデザインや脚本の調整が行われ、広く知られているサツキとメイの姉妹が誕生しました。

サツキとメイが生まれた理由 その2

また、「火垂るの墓」(1988年)と同時上映であったことも、サツキとメイが誕生した理由の一つだとされています。

もともと「火垂るの墓」と「となりのトトロ」の2作品は60分の中編映画として上映される予定でした。

しかし60分という短い時間では作品を描写しきれないと監督が考えたため、「火垂るの墓」は60分から90分へと延長されることに。

この2作品は同時上映作品であるため、どちらの作品も同じ上映時間の映画にする必要があります。

そのため映画「となりのトトロ」も約30分の尺延長が必要になりました。

そこで「となりのトトロ」の監督が取った手法が、「主人公を姉妹にすること」だったのです。

姉妹を主人公にしたことによって話の展開が広げやすくなり、90分という尺に合った作品を完成させることに成功します。

サツキとメイの誕生によって…。

これら2つの理由によって主人公がサツキとメイの姉妹になりました。

主役を1人の少女から2人の姉妹に変更したことで物語は大きく広がり、より深みのある作品になります。

例えばメイが昼間にトトロたちを見つけて追いかける一連の流れは、主人公がメイとサツキになったからこそ生まれた場面です。

メイのように好奇心が旺盛な子供が登場人物に居なければ、この場面は生まれなかったでしょう。

また、迷子になったメイを探すサツキという構図も、一人っこのままでは描くことはできませんでした。

このように映画の名場面の多くは、サツキとメイだったからこそ誕生したのです。

もし「となりのトトロ」の主人公が姉妹ではなかった場合、ここまでの人気は出なかったかもしれません。

主人公がサツキとメイではなかったら「となりのトトロ」はどんな物語になったのかな?
きっと今とは全く違った「となりのトトロ」の物語が生まれていたでしょうね。

「となりのトトロ」の都市伝説について

映画「となりのトトロ」は子供や大人問わずに高い人気を誇る作品です。

しかし人気になった本作は深く考察され、その中でさまざまな都市伝説が生まれてきました。

そんな「となりのトトロ」の都市伝説の中でも、特に有名な説について触れていきます。

サツキとメイは幽霊だった!?

映画の終盤で、母がサツキとメイが居たような気がすると父に伝える場面がありますが、どうしてそう感じたのでしょうか。

そこで出てくるのがサツキとメイは幽霊であったという都市伝説です。

その内容はメイが村にある池で溺れ死んでしまい、サツキはそんなメイを探して森で死んでしまうというものでした。

そして2人の姿が母に見えなかったのは、既に死んでいたためなのではないかというものです。

さらにメイの物らしきサンダルが池に浮かんでいたり、途中でサツキとメイの影が消えていたことも合わさって、意味深な描写が続きます。

妙に信憑性のある理由がいくつもあげられており、思わず信じてしまう人も出てくるほどの都市伝説です。

この説は本作の人気が出始めた1990年以降に日本各地でささやかれるようになり、多くの人に知られる都市伝説になりました。

都市伝説の真相は…?

そんな都市伝説ですが、この説はあくまで噂であり本当ではないといえます。

1つ目の理由である池に浮かんでいたサンダルは比較するとメイの物と明らかに異なることが分かり、更にメイはサンダルを両方とも履いていました。

なぜ池にサンダルが浮かんでいたのかは謎ですが、メイと池のサンダルは関係なく、池で溺れたという事実はないといえます。

また、二人の影が途中で消えた理由は、途中から影を描く必要がないとスタッフたちが考えたためです。

これは舞台が真夏の昼間に差し掛かっており、真上に太陽があったため影がいらないと判断したからだといわれています。

また、映画を細かく観てみると、サツキやメイ以外の登場人物の影も途中からなくなっていることが判明しました。

よく観察すると違うと分かりますが、意味深なサンダルを池に浮かばせたり影の描写を途中でなくしてしまったことなどが都市伝説として語られる原因になったのでしょう。

この都市伝説に関してはスタジオジブリから公式に否定されるほどで、とても大きな反響があったことが分かります。

2人が母に見えなかった理由も…?

サツキとメイの二人が母に見えなかった理由も、作中の描写から考察ができます。

母に見えなかった理由は、母が振り向いた時にサツキとメイは既にネコバスに乗っていたためです。

実はネコバスに乗っている人は外から姿が見えないということが、作中の描写で判明していました。

また、母にあえて顔を見せなかった理由もあり、二人は母の体調が崩れたと聞いたため心配して顔を見に行こうとしたのだと考えられます。

彼女たちは元気な母の姿を見ることさえできれば目的を果たせているので、直接会う必要はありません。

むしろ家から遠く離れた病院まで2人で来ていることがばれてしまった方が両親に心配をかけてしまうので、隠れて様子を見に行きこっそりと家に帰ったのです。

また、サツキとメイが生きて病院へ来ていたことの証拠も残されていました。

それはメイが持ってきたメッセージ入りのトウモロコシであり、もし彼女たちが死んでいたのであれば母にこれを届けることは不可能でしょう。

エンディングでは幸せな家族の姿が…?

また、都市伝説を否定するさらに大きな要素がエンディングで登場しています。

母の体調が良くなったのか、家に帰ってきたことが描写されているのです。

父や母、メイやサツキの4人で仲良く団らんする描写もあり、幸せそうに暮らすハッピーエンドで心の温まる物語として締めくくられています。

ただし母の顔が映画よりも若く見えるため、過去を回想しているだけではないかと深読みして考察する人がいました。

つまりエンディングはサツキやメイ、母が元気であった過去の描写であり、今とは違うのではないかと考察したそうです。

描写されている情報をどう考察していくかは、非常に面白い物だといえます。

映画の見方によってここまで違った捉え方ができるのですね!
少し視点を変えてみると意外な発見があったりするから、映画というものはとても面白いですよ。

「となりのトトロ」を彩る優しい登場人物たち

映画「となりのトトロ」が高く評価される理由の一つは、登場人物たちの優しさを丁寧に描いて表現しているところにあります。

登場人物たちによって生み出される優しい世界が全編に渡って描かれているからこそ、子供から大人まで心に響く感動を「となりのトトロ」は届けてくれるのです。

そんな彼らの言葉や行動から見えてくる優しさについてを紹介していきます。

カンタ

サツキによくちょっかいをかける生意気な少年カンタは、実は都会から来たサツキのことが気になっていただけでした。

そのためそっけない態度を取りながらも、困っているサツキたちに傘を貸してくれたり、メイ探しを手伝ってくれます。

思春期の少年らしい行動で微笑ましいですね。

となりに住むおばあちゃん

サツキとメイが暮らす家の管理は、このおばあちゃんがずっとやってくれていました。

また、サツキとメイのことを本当の孫のようにかわいがってくれて、しっかりと面倒をみてくれる人です。

実はカンタのおばあちゃんで、いたずら好きな孫であるカンタのことをよく叱っています。

村人たち

サツキが迷子になったメイを探す時には、たくさんの村人たちがメイが居ないか探すことを手伝ってくれました。

つい最近村にやってきたサツキたちにも親身になって手助けをしてくれる、とても優しい人たちです。

大トトロ

トトロは人間ではありませんが、彼(彼女)もまた優しい心の持ち主です。

トトロは落ちてきたメイのことを大きなお腹で助け、その後にメイが行ういたずらにも優しく応えてくれます。

また、メイが迷子になった時もトトロはネコバスを呼びよせ、サツキがメイを見つける大きな助けになりました。

もしトトロが居なかったら本当の大事件になっていたかもしれません。

まとめ

広い世代に根強い人気を誇る名作アニメ映画「となりのトトロ」についての紹介でした。

トトロたちをはじめとする不思議な生き物たちのかわいらしい姿に、心を奪われた方も多いでしょう。

またサツキとメイ、その他の登場人物たちによって描かれる優しい世界も魅力的で心が癒やされていく作品です。

心温まる雰囲気の作品やかわいいキャラクターなどが好きな方に、映画「となりのトトロ」はおすすめの作品といえます。

The post となりのトトロ(ネタバレ・考察)サツキとメイは死んでいた!?トトロに纏わる都市伝説を徹底紹介!本作に隠された真実とは first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/tonarinototoro/feed/ 0 22472
アナと雪の女王(ネタバレ・考察)もう王子は要らない?!マイノリティを肯定するプリンセス・ストーリー https://cinemaxina.com/frozen/ https://cinemaxina.com/frozen/#respond Mon, 01 Mar 2021 01:19:24 +0000 https://cinemaxina.com/?p=20810 「アナと雪の女王」は、ディズニーによる2013年公開の3Dアニメーション・ミュージカル映画です。 心を閉ざした姉と優しい妹の姉妹愛を描いた作品で、ディズニー作品初のダブルヒロインの設定となっています。 かっこいい王子がプリンセスを救うのではなく、姉と妹が2人で試練を乗り越えていくストーリーが感動を呼びました。 主題歌の

The post アナと雪の女王(ネタバレ・考察)もう王子は要らない?!マイノリティを肯定するプリンセス・ストーリー first appeared on cinemaxina.]]>
「アナと雪の女王」は、ディズニーによる2013年公開の3Dアニメーション・ミュージカル映画です。

心を閉ざした姉と優しい妹の姉妹愛を描いた作品で、ディズニー作品初のダブルヒロインの設定となっています。

かっこいい王子がプリンセスを救うのではなく、姉と妹が2人で試練を乗り越えていくストーリーが感動を呼びました。

主題歌の 「レット・イット・ゴー(Let It Go)」も大人気で、世界中で興行収入が12.8億ドル(1,357億円)と大ヒットしました。

映画のあらすじや作品の小話、ネタバレ・考察を一気に紹介していきたいと思います!!

アナと雪の女王(2013年)

アレンデール王国。触れたものを凍らせる魔法の力を持った王女エルサは、その力で妹アナを傷つけてしまうことを恐れ、宮殿の部屋に閉じ籠って暮らしてきた。

やがて成長したエルサは女王の座につくこととなり、戴冠式のために久しぶりに人々の前に姿を現すが、魔法の力が暴走し、夏の王国を雪と氷の世界に変えてしまう。

自分の力が人々に不幸をもたらすと嘆いて逃げ出したエルサは、雪山の奥で自らの力を存分に解放し、ありのままの自分でいられることに生きる喜びを見出す。

一方、アナは姉と王国を救うため、山男のクリストフとトナカイのスヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフとともに、雪山の奥へと旅に出る。

アナはエルサを見つけ、王国を夏に戻してほしいと頼むが、再びエルサの魔法の力が暴走し、アナの胸が氷の矢に射抜かれて身体が凍り付き始めてしまう。

アナを救うには真実の愛が必要という妖精トロールの長老の言葉を聞いたクリストフは、雪山を疾駆しアナを婚約者のハンス王子の元へ連れて行く…。

アナと雪の女王(ネタバレ・考察)

「アナと雪の女王」は日本でも興行収入が255億円となり、興行収入ランキングが「タイタニック」に次ぐ歴代4位をマークしました。

ディズニー制作の映画では、ランキング歴代1位となります。

そんな圧倒的な人気を誇る「アナと雪の女王」にまつわる小話をご紹介しましょう。

ハンスとアナの名前の由来は?

原作は、ハンス・クリスチャン・アンデルセン作の「雪の女王」で、「自己犠牲と純粋な愛が救いになる」というテーマが貫かれている童話です。

この映画のメインキャストの名前はアンデルセンの名前にちなんで付けられたといいます。

それぞれ、ハンス王子(=ハンス)、クリストフ(=クリスチャン)、アナ(=アンデルセン)と、名前の頭文字からとっているという事です。

ラプンツェルがカメオ出演していた

映画の冒頭、「生まれて初めて」が歌われる時、ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」のラプンツェルとユージーンがカメオ出演しています。

ラプンツェルは映画のラストシーンで着ていたピンクのドレス姿で登場。ユージーンは濃いパープル色のベストを着ています。

二人はスクリーンの左の方から現れます。
ほんの一瞬です。チェックしてみてください。

チョコレートの山はあの映画のカーレース会場?

戴冠式の朝、彼女が食べる積み上げられたチョコレートは、同じディズニーの「シュガー・ラッシュ」のカーレースのシーンにあったチョコレートの山です。

実は監督の一人ジェニファー・リーは「シュガー・ラッシュ」の脚本を担当していました。

こんなところにクリエーターの遊び心が発揮されていますね。

映画「タイタニック」へのオマージュ

トナカイのスヴェンと雪だるまのオラフの名前は、なんと映画「タイタニック」のキャラクターからとったそうです。

レオナルド・ディカプリオ演じるジャックがポーカーをしている相手がスヴェンとオラフになります。

ポーカーで負けてジャックにタイタニックのチケットを取られてしまう、というちょっと間抜けなところもそっくりですね。

イディナ・メンゼル、エルサ役でリベンジ!

エルサの声を担当したイディナ・メンゼルは、実は「塔の上のラプンツェル」のラプンツェル役の声のオーディションを受けていたそうです。

しかし残念ながら不合格になってしまいました。

ディズニーのキャスティングディレクターはこの時の彼女を覚えていて、2年後にイディナに連絡を取ったそうです。

エルサの髪の秘密

2010年に公開されたディズニー映画「塔の上のラプンツェル」のヒロイン・ラプンツェルは約21メートルもの光り輝く魔法の髪が魅力的でした。

そんな彼女の美しい魔法の髪は、CG技術を駆使して約14万本の髪の毛で表現されています。

今作のヒロインであるエルサの三編みにはなんとラプンツェルの3倍!約42万本の髪の毛が最新のCG技術によって作られています。

彼女の髪を表現するためにアニメーターたちは「トニック」という新しいソフトウェアまで開発したそうです。

制作陣がいかにエルサの髪の毛にこだわりを持っていたのかがわかるエピソードとなっています。

「強い」ヒロインの生き方

過去のディズニー・プリンセス・アニメーションは「白雪姫(1937年)」にしても「シンデレラ(1950年)」にしても、「最終的にヒロイン(お姫様)がヒーロー(王子様)に愛されてハッピーエンド」という展開がお約束でした。

しかし近年は、「リトル・マーメイド(1989年)」「塔の上のラプンツェル(2010年)」など、女性が男性に頼らずに冒険の旅に出るというストーリーになっています。

この「アナと雪の女王」も、最近の作品の「強いヒロインの法則」を踏襲しています。

助けは要らない。自分の力で

姉・エルサは、自分の魔法でアレンデール王国を雪と氷の世界にしてしまい、魔法を解く方法もわかりません。

エルサは、これ以上人々に迷惑をかけまいと王国の宮殿を出ていきます。

妹・アナはエルサに、王国を夏に戻してほしいと頼むため、婚約者となったハンス王子に王国を託して出かけます。

冒険に出るのはヒロインで、王子は宮殿で待っているという、「強いヒロインの法則」がよりパワーアップしている感があります。

アナは誰の助けも借りずに、自分で雪の山に一歩一歩足を踏みしめて歩こうとします。

途中で山男クリストフとトナカイのスヴェンに道案内を頼みますが、全て自分で物事を決めていくのです。

もはや今の時代、王子は不要なのでしょうか。

この映画は、「女性の力だけでも幸せを獲得することは可能だ」と謳い上げています。

まさに、現代女性にふさわしいストーリーになっています。
ディズニーも変わりましたね。

ありのままに生きる素晴らしさ

エルサは、山奥の雪山に「氷の城」を築きそこで生きていく覚悟をします。

その時に歌われたのが「レット・イット・ゴー(ありのままで)」です。

エルサは今まで、アナや他の人々に迷惑をかけないように、部屋に籠って自分の力を抑えて生きてきました。

しかし、今はもうそんなことをしなくてもいいのだと、思いのままに生きて構わないのだと自分に言い聞かせます。

「だってもう自由よ、何でもできる、どこまでやれるか自分を試したいの、そうよ変わるのよ私」

この歌は、ありのままに生きる事への賛歌です。

これは、そのままの自分でいいという多様性を認める世界の在り方を示す、現代社会へのメッセージとなっています。

驚きのラストシーン!ヴィランは王子だった!!

クライマックスのシーンでは、これまでのディズニー・プリンセス・アニメーションに無かった新しい現象が起きています。

そのいくつかをみてみましょう。

王子の手のひら返し!!

魔法を制御できないエルサから放たれた氷の矢によって胸を射抜かれ、次第に弱っていくアナ。

妖精トロールの長老パビーにアナを治す方法を聞くと「真実の愛」により魔法は解けると言うので、クリストフはアナの婚約者・ハンス王子の元へ連れていきます。

アレンデール王国宮殿に戻ったアナはハンス王子と再会しますが、彼から思いもよらない真実を聞かされることになるのです。

ハンス王子には12人の兄がいて、このままでは彼が国王になれる可能性はほぼありません。

そこで他国の跡継ぎの女性と結婚する事を考え、初めのうちはエルサと結婚しようと思っていました。

しかしエルサに近付く方法がなく、アナに近付いたというのです。

ハンス王子はアナと結婚してからエルサを殺害し、夏の気候を取り戻して英雄となり、アレンデール王国を乗っ取るつもりだと、この期に及んで手のひらを返して言うのです。

これまでのディズニー・プリンセス・アニメーションをみても、「王子が悪役」といった展開はこれが初めての事で、この手のひら返しには衝撃を受けました。

ハンス王子は頼りになるなぁと思っていたので、この展開にはビックリしました!
当初、エルサが悪役でしたが、「レット・イット・ゴー」という珠玉の歌が作られたので、急遽ハンス王子を悪役にした事情もあるようですよ。

アナを蘇らせる「真実の愛」とは?

ハンス王子はエルサに剣を振り下ろそうとしますが、寸前のところで瀕死のアナが間に入り、アナはそのまま完全に凍って動けなくなってしまうのでした。

エルサは凍ったアナを抱きしめて涙を流します。

すると、奇跡が起き、アナを取り巻いた氷が解け始めました。

エルサとアナの相手を思い合う心、それこそが「真実の愛」だったのです。

原作の「自己犠牲と純粋な愛が救いになる」というテーマが見事に生かされています。

これまでのディズニー・プリンセス・アニメーションでは、ヒーローの男性の愛こそが「真実の愛」で、男性のキスで魔法が解けました。

しかし今回の「真実の愛」は「姉妹の愛」です。

男性の出る幕はありません。

ここでも新しい概念ができあがっています。

ともあれエルサは、愛の力を信じれば、雪と氷に埋もれた王国を救う事ができると悟ります。

エルサは魔法を解き、王国は夏の気候を取り戻すのでした。

オラフは「姉妹の愛」の象徴

雪だるまのオラフは、無邪気でハグが大好き。雪だるまなのに温かい日差しの下で過ごすことを夢見ています。

オラフはエルサの魔法から生まれたキャラクターです。

エルサとアナが子供の時、二人でオラフという名前の雪だるまを作って遊んでいた温かい思い出により、彼が生まれたと思われます。

つまり、オラフは、アナとエルサが一緒に作っていた雪だるまそのものなのです。

「姉妹の愛」の象徴だったのですね。

「雪だるまつくろう」という歌にも「姉妹の愛」が投影されています。

徹底した価値観の逆転

さらにもう一つ、これまでのお約束を無視しているのがラストシーンの描き方です。

エルサは、生まれつき周囲を凍らせる魔力を持っています。

今までのフェアリー・テールだったら「万事解決してハッピーエンド」でした。

しかし、この映画では最後になってもエルサの魔力が無くなりません。

エルサは、ラストシーンでスケートリンクを作って人々に娯楽を提供したり、雪だるまのオラフが溶けないように彼専用の雪雲を作ってあげます。

つまり「完ぺきではないヒロインを周囲が受け入れ、魔力を有効活用する」という終わり方になっていますね。

ここでも、この映画は、ありのままに生きてもいいのだと私たちに言ってくれます。完ぺきでなくてもいいのです。

「価値観の多様性」や「マイノリティを肯定する」という近年の社会概念を表しているのではないでしょうか。

だからこそ、生き方の多様性を求める現代女性から多くの共感を得ることができたのでしょう。

クリストフの告白

ハンス王子は、元気を回復したアナにパンチを食らって本国へ強制送還になりました。

アナはオラフの言葉でクリストフが自分を愛している事に気付きます。

そしてアナもクリストフへの愛を自覚します。

クリストフは、王国の雪と氷が溶けていくのを見て、「最高だよ。君にキスしたいくらいさ!!」と言います。

しかしすぐにキスはしません。「つまり、してもいいかなって。つまり…したらどうだろう?」

男性から一方的にキスを押し付けるのではなく、女性の気持ちを確認してからキスをするという、女性優先の今の時代に合ったラブ・シーンで映画は幕となります。

男子はこれからの時代、どうすればいいのでしょうか。
やはりキスをする時は相手の了解を得てからキスすべきなのでしょうかね…?男とっては難しい時代ですなぁ…。

まとめ

若き女王エルサが、雪と氷をあやつる魔法の力で真夏の王国を凍りつく冬の世界に変え、氷の宮殿にとじこもってしまい、妹が助けに行くストーリー。

「姉妹の愛」が描かれた映画です。

ありままに生きていいのだと、何度も肯定してくれるこの映画に、元気づけられる事請け合いです!

ぜひご覧になってください!!

The post アナと雪の女王(ネタバレ・考察)もう王子は要らない?!マイノリティを肯定するプリンセス・ストーリー first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/frozen/feed/ 0 20810
アイアン・ジャイアント(ネタバレ・考察)アイアン・ジャイアントは一体何物なのか?観るものを惹きつける魅力に関して徹底考察 https://cinemaxina.com/irongiant/ https://cinemaxina.com/irongiant/#respond Thu, 10 Dec 2020 04:50:09 +0000 https://cinemaxina.com/?p=17041 「アイアン・ジャイアント」は1999年にアメリカで公開されたワーナー・ブラザースのSFアニメ映画です。 大人の鑑賞にも耐えうるクオリティと、子供の心に訴えかける物語が評判になり、興行収入は伸びませんでしたがアニメ界のアカデミー賞であるアニー賞で全10部門中9部門を受賞するなど高く評価されています。 破壊兵器でありながら

The post アイアン・ジャイアント(ネタバレ・考察)アイアン・ジャイアントは一体何物なのか?観るものを惹きつける魅力に関して徹底考察 first appeared on cinemaxina.]]>
「アイアン・ジャイアント」は1999年にアメリカで公開されたワーナー・ブラザースのSFアニメ映画です。

大人の鑑賞にも耐えうるクオリティと、子供の心に訴えかける物語が評判になり、興行収入は伸びませんでしたがアニメ界のアカデミー賞であるアニー賞で全10部門中9部門を受賞するなど高く評価されています。

破壊兵器でありながら純真無垢な心を持つアイアン・ジャイアントと少年ホーガースの交流から始まるドラマチックな展開は90分と短いながら満足感がたっぷりです。

ここでは本作の魅力について語りつつ、登場人物たちの謎について考察していきます!

アイアン・ジャイアント(1999)

1957年、ソ連は人工衛星スプートニクを打ち上げ、宇宙開発の先鞭を切っていた。

そんな時期にアメリカのメイン州沖合に宇宙からの飛来物が落下。遭難した漁師は二条の光と巨体を目撃する。それと時を同じくして、メイン州ロックウェルの町並みで鉄がなくなる事件が起きていた。

9歳の少年ホーガースは家の近所で大きな物が移動した跡を見つけてこっそり探検に出るが、変電所で電線に絡まっている鉄の巨人を見つけ、ピンチを救う。

仲良くなった2人は人目のつかないところで友情を育むが、飛来物の報告を受けて政府調査官のマンズリーがアイアン・ジャイアントを探りに来る。

飛来物を外敵の兵器とみなして調査を進めるマンズリーだが、アイアン・ジャイアントには意外な正体が秘められていた…。

アイアン・ジャイアント(ネタバレ・考察)

公開当時は宣伝もほぼされていなかったため興行的には失敗した「アイアン・ジャイアント」ですが、その作品性の高さから多くのファンを生み出しました。

そんな本作のトリビアを集めてみたので、御覧ください。

アイアン・ジャイアントの声にヴィン・ディーゼル

アイアン・ジャイアントの声を担当しているのは「ワイルド・スピード」「リディック」などで大スターの仲間入りをしたヴィン・ディーゼルになります。

最近では「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」のグルートの声を当てるなど、人外の声を担当することにかけて名を知られている彼ですが、当時は新進気鋭の俳優として売り出している最中でした。

スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」に抜擢されて出世しましたが、本作は「プライベート・ライアン」の直後にリリースされており、役選びの目利きをみせています。

ブレイクした今でも、「アイアン・ジャイアント」はお気に入りだと公言し、続編の可能性も匂わせるなど、思い入れを感じさせるのです。

ブラッド・バード監督の長編アニメデビュー作

「アイアン・ジャイアント」を監督したのは、これが映画監督デビュー作となるブラッド・バードです。

最初はディズニーにその才能を認められ、所属していたのですが短い期間で退社、その後は「ザ・シンプソンズ」などを作成していた会社で腕を磨きます。

そして「アイアン・ジャイアント」を制作するためにワーナーへ移籍し、本作を作り上げたのです。

本作で監督としての力量を認められたバードはワーナーのアニメ部門が消滅したことでピクサーへ移籍し、アニー賞を全部門制覇する偉業を成し遂げた「Mr.インクレディブル」を監督します。

「Mr.インクレディブル」はアカデミー賞の長編アニメーション賞も獲得し、その後に「レミーのおいしいレストラン」で再びアカデミー賞に輝きました。

アニメーション業界への多大な貢献と実績を評価され、2009年にヴェネツィア国際映画祭で栄誉金獅子賞に輝くなど、その評価は盤石です。

最近ではアニメだけでなく「ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル」などの実写映画も担当するなど活躍の場を広げており、アニメ以外でも評価の高い監督になります。

ホーガースの父親は朝鮮戦争で亡くなっている

舞台は1957年ですが、ホーガースの父親は1950年に起きた朝鮮戦争に参戦し、命を落としています。

北朝鮮と韓国がお互いに大幅な侵攻作戦を展開したため、北朝鮮を支援する中国と韓国を支援するアメリカを初めとした国連軍の戦いは熾烈を極め、冷戦の中の熱戦として激しい戦闘が繰り広げられました。

実際にはソ連のスターリンが武器提供など積極的な支援を送ったため、米ソの代理戦争の様相を見せており、関係の緊張は高まる一方でした。

最終的には北朝鮮と韓国が国境を設定してそれぞれ独立し、休戦状態になっていますが、終戦はしていません。

ホーガースの母アニーは小さい子供を1人で支えるため、ダイナーで遅くまで働いていますが、それにはこういう背景があったのです。

ホーガースが探検に出かけるときに被っていたヘルメットも、父親の遺品かもしれません。

スプートニク・ショックとは

本作の舞台となっている1957年は、ソ連が世界に先駆けて人工衛星の打ち上げに成功した年でした。

それまでは宇宙開発、ひいてはロケット開発においてアメリカが世界のトップという自負があったのですが、ソ連に先を越されたことで西側諸国には衝撃が走ったのです。

核搭載型の大陸間弾道ミサイル開発にロケット技術は欠かせず、この技術においてソ連が上回ったことで、核攻撃をされる危険性が現実的となり多くの人に危機感を与えました。

クライマックスで出てくる潜水艦発射弾道ミサイルってこの時代にあったのですか?
この時代ではまだ技術的に開発されていないのですが、ドラマチックなのでOKです。

なぜアイアン・ジャイアントは愛されるのか

レトロフューチャーな外観と王道の感動展開で、「アイアン・ジャイアント」の人気は広がっていきました。

海外評論サイト「Rotten Tomatoes」では評論家評価96%、ユーザー評価90%とかなり高い支持を受けています。

最近の映画では「レディ・プレイヤー1」に巨大ロボの1体として登場し、活躍したのも記憶に新しいところです。

なぜここまでアイアン・ジャイアントが愛されているのか、考察していきましょう。

純真無垢な姿に心惹かれる

地球にやってきたアイアン・ジャイアントは記憶も目的も忘れており、好物である鉄を食べながら山をうろついているのです。

ホーガースに助けてもらったことを覚えていたアイアン・ジャイアントはホーガースとコミュニケーションを取り、少しずつですが言葉を覚えていきます。

ですが人懐っこく、寂しがり屋のアイアン・ジャイアントはホーガースに「ここにいろ」と言われても付いてきてしまうのです。

迷子の子犬のような純朴さと、そぐわないビジュアルのギャップにやられた人も多いでしょう。

また「僕は行く、君はここにいろ」というホーガースの言葉が、クライマックスでアイアン・ジャイアントからホーガースへのお別れのメッセージになっているのも憎い演出です。

なりたい自分になるために苦悩を乗り越える

無垢で純粋なアイアン・ジャイアントですが、ホーガースに見せてもらったスーパーマンの漫画を読んで、スーパーマンに憧れるようになります。

自分が兵器だとわかったときは苦悩し、銃になりたくないと思い悩みます。そしてホーガースの説得を経て自分を取り戻し、街を救うために自分を犠牲にするのです。

その姿はまさにアイアンが憧れたスーパーマンの姿でした。

ロボットでありながら、崇高な魂を持つアイアン・ジャイアントの姿に、胸を打たれた人がファンとなってこの作品を支持しているのです。

シーフードの看板からSの文字を取って胸にぶら下げるシーンが可愛いですよね。
胸にSのマークをつけるのはアメリカ男子なら一度は憧れる仮装ではないでしょうか。

絶妙なデザインから見える愛らしさ

宇宙から飛来してきたアイアン・ジャイアントは愛嬌のある顔で、なおかつロボットとしてのかっこよさも持ち合わせています。

観るものを惹きつけるアイアン・ジャイアントのデザインをしたのは「スター・ウォーズ」の特殊効果を担当しているVFXアーティストであるジョー・ジョンストンです。

VFXのみならず、「スター・ウォーズ」旧3部作に登場するメカニックのアレンジなども担当していたジョンストンは、その類まれなるセンスを遺憾なく発揮し、アイアン・ジャイアントを作り上げました。

通常形態と戦闘状態、2つの顔を見せるアイアン・ジャイアントの可愛らしさと恐ろしさを内包したデザインは秀逸です。

監督の演出もさることながら、魅力的なキャラクターを生み出したジョンストンの功績はもっと讃えられて良いと思います。

アイアン・ジャイアントがどこから来たのかを考察する

破壊兵器としての一面も持ち、自己修復機能も持つオーバーテクノロジーの塊であるアイアン・ジャイアントはどこからやってきたのか、最期まで明かされません。

ですが映像の中の情報からアイアン・ジャイアントに関してのヒントは随所に描かれています。

ここではアイアン・ジャイアントの装備や形状から正体を考察していきましょう。

人間に似た形をしている

アイアン・ジャイアントは人間の構造に近い形状を持ち、地球めがけて落ちてきました。

このことから地球外の生命体(異星人)によって作られたロボットであり、ロボットの製作者は意図的にヒューマノイドタイプを模して作られたように思われます。

アイアン・ジャイアントがヒューマノイドタイプだったことからも、異星人は人間と同じようなヒューマノイドと推測できるのです。

大量生産の中の1つである

アイアン・ジャイアントが見る夢の中では、大量のアイアンが列をなして現れるシーンがシグネチャー・エディションで確認されており、アイアン・ジャイアントは量産兵器であることも分かるのです。

ホーガースと出会ったアイアン・ジャイアントはそのうちの1体である可能性が高いと思われます。

惑星を破壊するスペックを秘めている

シグネチャー・エディションでは大量のアイアン・ジャイアントが惑星を破壊するシーンが描かれています。

本来は知的生命体が住んでいる星に対しての侵略兵器である可能性が推測されるのです。

ホーガースと出会ったアイアン・ジャイアントは地球の落下時に記憶を失っており、本来の任務は忘れていますが、暴走時に使用した装備を考えても、地球を壊滅させるにたりうる武力を持っているのがわかります。

当時の最大戦力であった核兵器を用いても破壊できなかったことを考えると、本来の目的で活動していたら地球の危機は免れなかったでしょう。

戦車や戦闘機の攻撃では傷一つ付いていませんね!
レーザーだけでなく、戦艦を消滅させるレベルの粒子砲も搭載しているなど攻防において無敵です。

魂を持っている

ホーガースと出会ったときアイアンは一切の記憶をなくしていましたが、コミュニケーションを取ることは可能でした。

ホーガースとの友情を深め、知識を得るうちに優しさを知り、自分は銃ではなく人を守る存在になるという判断ができるようになったことで、彼には魂があることがわかりました。

兵器としては不完全ですが、ロボットとしてはとても魅力的です。

侵略兵器でありながら自己を持っているという点が、他の兵器との大きな違いだと言えるでしょう。

まとめ

ブラッド・バード監督は、この作品が「銃が魂を持っていて、銃であることをやめようとしたらどうなるか」をテーマにして作られたと述べています。

銃であるアイアン・ジャイアントは破壊ではなく、平和を望みました。そして自己犠牲を払ってでもホーガースたちを守ったのです。

観るものにまっすぐ突き刺さるメッセージと、未来を感じさせるエンディングが年齢を選ばず感動を与えてくれる名作ですので、未見の方はぜひ一度鑑賞してください。

The post アイアン・ジャイアント(ネタバレ・考察)アイアン・ジャイアントは一体何物なのか?観るものを惹きつける魅力に関して徹底考察 first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/irongiant/feed/ 0 17041
魔法にかけられて(ネタバレ・考察)実写でもプリンセスが魅力的なのはなぜ?作中に盛り込まれているディズニーのパロディを厳選紹介 https://cinemaxina.com/enchanted/ https://cinemaxina.com/enchanted/#respond Fri, 06 Nov 2020 01:40:23 +0000 https://cinemaxina.com/?p=15507 「魔法にかけられて」は2007年に制作されたディズニーのアニメ+実写ミュージカル映画です。 「ムーラン」以来の9年ぶり、初めての実写ディズニープリンセスとしてジゼルが登場することで公開前から話題を集めました。 歴代のディズニーアニメのセルフパロディやオマージュが満載の本作は、観たことがない人が観ても楽しめますが、コアな

The post 魔法にかけられて(ネタバレ・考察)実写でもプリンセスが魅力的なのはなぜ?作中に盛り込まれているディズニーのパロディを厳選紹介 first appeared on cinemaxina.]]>
「魔法にかけられて」は2007年に制作されたディズニーのアニメ+実写ミュージカル映画です。

「ムーラン」以来の9年ぶり、初めての実写ディズニープリンセスとしてジゼルが登場することで公開前から話題を集めました。

歴代のディズニーアニメのセルフパロディやオマージュが満載の本作は、観たことがない人が観ても楽しめますが、コアなディズニーファンなら注目ポイントが山盛りです。

元ネタになっている情報を拾いつつ、「魔法にかけられて」の注目点をお伝えしていきます。

魔法にかけられて(2007年)

おとぎの国であるアンダレーシアで森に一人住むジゼルは動物たちと語らいながら、いつか運命の王子が迎えに来てくれると信じて暮らしていた。

ある日ジゼルの歌声を聞いたエドワード王子と出会い、運命の人と感じたジゼルはその日のうちに婚約する。しかし王子の継母である魔女ナリッサは王女の座を奪われることを恐れ、ジゼルを「永遠の幸せなど存在しない世界」である現代のニューヨークに送ってしまう。

ニューヨークで路頭に迷ったジゼルは仕事帰りの離婚弁護士ロバートと娘のモーガンに助けられ、ロバートの部屋に保護される。

ロバートとモーガンは浮世離れしたジゼルの言動に戸惑うが、天真爛漫な彼女の人柄にだんだんと惹かれていく。

一方エドワード王子とリスのピップはジゼルを救うためにニューヨークへ駆けつけるが、あまりにも違う世界に戸惑い、また魔女の手先であるナサニエルの妨害によってジゼルと出会うことが出来ない。

さらにナサニエルは魔女ナリッサからジゼルを永遠に眠らせるために毒リンゴを受け取り、食べさせようと企む。

そんな中、おとぎの国と現実の国での恋愛の違いを知ったジゼルは次第にロバートに惹かれていく自分に気づき、感情の変化に戸惑うのだった…。

魔法にかけられて(ネタバレ・考察)

ニューヨークを舞台にした恋の魔法の物語には、様々なトリビアが含まれています。

セルフパロディを含む小ネタの情報も交えながらお伝えしていきましょう。

過去のディズニー作品に登場した役者がカメオ出演

過去にディズニー映画に登場していた声優や俳優が多数カメオ出演しているのも本作の特徴です。

ナレーターが「メリー・ポピンズ」を演じたジュリー・アンドリュースですし、ロバートの弁護士事務所にいる秘書のサムは「リトル・マーメイド」のアリエル「トイ・ストーリー」シリーズのバービーなどを演じた声優ジョディ・ベンソンが演じています。

エドワード王子がホテルで観ているドラマに出演している女優は、「美女と野獣」のベルを担当したペイジ・オハラです。

エドワード王子がアパートのドアを次々ノックするシーンで最初に登場する妊婦役はジュディ・クーンで、彼女は「ポカホンタス」の歌唱を担当しているシンガーになります。

このようにディズニーファンには嬉しい隠し要素が用意されているのも「魔法にかけられて」の魅力の1つなのです。

後年公開されたディズニー作品のヒントがある

本作以降に公開されるディズニー作品に関連するシーンが登場しているのも特徴です。

2009年に公開された「プリンセスと魔法のキス」に関連するシーンでは冒頭にアニメーションでジゼルの家に入ってくるカエルのアップに、王冠のように石鹸の泡が乗ります。

これは「プリンセスと魔法のキス」は、グリム童話「かえるの王さま」をにちなんだお話なので、カエルが登場するのです。

エンディングのスタッフロールの背景に「かえるの王さま」のシルエットが映るのも、あとから分かってみるとニヤリとできます。

またジゼルが公園で歌っているとき、野外劇場で上演されている劇が「ラプンツェル」なのは、2010年に公開された「塔の上のラプンツェル」の伏線です。

昔なじみのアニメ制作会社に依頼してセルアニメを作った

当時はディズニー系列のピクサー社が1995年の「トイ・ストーリー」を皮切りに、「バグズ・ライフ」(1998年)、「トイ・ストーリー2」(1999年)、「モンスターズ・インク」(2001年)、「ファインディング・ニモ」(2003年)、「Mr.インクレディブル」(2004年)などの3Dアニメでヒットを飛ばしていた時期でした。

そんな中、「昔ながらのディズニーを感じさせるアニメーションを」ということでアニメパートは異例のセルアニメを使って制作されているのです。

アニメーションの製作はジェームズ・バクスター・アニメーションで、創業者のジェームズ・バクスターは過去にディズニーやドリームワークスに在籍していました。

この映画のために呼び戻されるって、すごいですね!
「美女と野獣」、「ライオン・キング」、「ノートルダムの鐘」といった作品を手掛けていますし、技術を買われたと思われます。

ジゼル役のエイミー・アダムスは売れてないから選ばれた?

監督のケヴィン・リマはプリンセスとなるジゼルを引き立たせるため、会社の「有名な女優に頼みたい」という意向を抑え、実力があり知名度の低い女優を探しました。

その結果、エイミー・アダムスがジゼルに決まり、撮影が開始されたのです。

エイミーは期待に応えるような見事な歌とアニメーションを思わせる細やかな動きを再現し、ディズニー世界を現実に持ってくるという大役を果たしました。

エイミー・アダムスは2005年に「JUNEBUG」という映画で各方面から評価され、アカデミー賞にノミネートされるなど注目の女優でしたが、本作で評価を盤石にしたのです。

ジゼルがディズニープリンセスでなくなってしまった経緯

本作に登場するジゼルは「ムーラン」以来9年ぶりのプリンセスで、同時に実写でスクリーンに登場する初のプリンセスとなると告知されていました。

ですが、ジゼル役のエイミー・アダムスに生涯報酬を払わなくてはならないことが判明し、ディズニーはジゼルをディズニープリンセスに含めないことを発表したのです。

実写のプリンセスという試みは新しかったのですが、ディズニーの顔になるというのはビジネスとして一筋縄では行かないのでしょう。

ジゼルが美しく魅力的な理由

ジゼルを演じたエイミー・アダムスはすでに31歳を迎えており、情報だけで観るとプリンセスとしては年齢層が高いように感じます。

ですが画面で観るジゼルはまごうことなきディズニーのプリンセスとして輝いているのです。

どうしてここまでジゼルが魅力的に感じられるのか、考察していきましょう。

所作が美しい

実写でありながら、ディズニーアニメのプリンセスのようにジゼルの所作は優雅で美しいです。

体の動かし方はもちろん、指先に至るまで神経が行き届いており、アニメーションのようにちょっと大げさで振り付けのような動きをみせます。

躍動感に溢れ、全身で感情を表現するその姿は役者の力もさることながら、ディズニー・アニメと実写を経験している監督の、演技指導の賜物といえるのです。

またミュージカルパートでの溌剌とした歌声とダンスはディズニーらしさをふんだんに発揮しており、観るものを魅了します。

芯が強いだけでなく感受性が高い

ジゼルは初めてのことばかりで戸惑いますが、ニューヨークの生活を柔軟に受け入れつつも芯は変わりません。

「真実の愛」「幸せは訪れる」ということを信じ、出会ったロバートに影響を与えていきます。

その一方で自分の中にロバートへの真実の愛があると気づくなど、アンダレーシアでは分からなかったことを柔軟に受け入れていくさまは好感が持てるのです。

ニューヨークでショッピングを楽しみ、舞踏会で現代風にビジュアルを整えたジゼルはそれまでの印象に加えて、さらに美しく見えます。

現代でのギャップを見せながら、過剰にならない程度で完成されているプリンセスの演技は完璧です。

ニューヨークとおとぎ話の化学反応は何を生んだか

現代のニューヨークはおとぎの国のアンダレーシアの対比として描かれます。

決して夢の否定としてではなく、あり方の1つとして提示されているのです。

ジゼルを受け入れるニューヨークと、ニューヨークを変えていくジゼルの活躍を見ていきましょう。

現代的な運命の出会いの形

ロバートはジゼルと出会いますが、最初は親切な人というイメージしか持っていません。アンダレーシアでは王子と出会った瞬間に一目惚れになっていたのとは好対照です。

ですがお互いを知り、会話を重ねることで理解を深め、お互いを大切に思うようになります。

ジゼルはおとぎの国のあり方だけではなく、現実社会での出会いの形を学び、運命の人というのはお互いをもっと知ってからでも良い、ということをニューヨークで学びました。

ロバートとの対話で冷徹な彼に憤り、初めて”怒る”という感情を知って喜ぶジゼルのシーンを含めて、ニューヨークは世間知らずだったジゼルを変えていくのです。

ジゼルが信じる「真実の愛」の力

離婚弁護士をしているロバートの顧客が離婚しようとしているのを知り、こんなに素敵な人と分かれるのは不幸だと告げるジゼル。

これがニューヨークのあり方なのだと告げるロバートでしたが、次の接見では夫婦は仲直りしています。

お互いの良いところを見直すことができた夫婦は離婚の危機を乗り越え、元の鞘に収まることができたのです。

またセントラル・パークでは歌の力で皆を幸せにできることをジゼルは証明してみせます。

ここのミュージカルは最も長く、力の入ったシーンになっており、愛の力の偉大さを知ることができるのです。

まさにニューヨークが「魔法にかけられて」しまっているシーンといえます。

モチーフになったディズニー作品たち

様々なディズニープリンセスの要素を内包したジゼル以外にも、ディズニー映画の集大成と思わせる仕掛けがいくつも用意されています。

すべてを網羅するのは難しいですが、代表的な引用やパロディをお伝えしていきますので、興味を持ったら映画をご覧になってください。

白雪姫

  • ニューヨークに来たジゼルが、小さな男性と会話したときに「おこりんぼさん」と呼ぶのは七人の小人の一人を指している。
  • ロバートの弁護士事務所内の看板にある「チャーチル、ハーライン&スミス」は「白雪姫」の作曲家であるフランク・チャーチル、リー・ハーライン、ポール・J・スミスの組み合わせ。
  • エドワード王子がテレビを「魔法の鏡」と呼ぶ。
  • 毒リンゴを使って眠らせようとする。

シンデレラ

  • 結婚式当日にジゼルを城まで乗せた馬車。
  • ロバートが意識の無いジゼルにキスをする瞬間に12時の鐘が鳴る。
  • ジゼルが靴を片方落として行き、後にエドワード王子がその靴をナンシーに履かせるシーン。

不思議の国のアリス

  • 井戸に落とされたジゼルが、上下逆さまの状態でマンホールに辿り着く。

眠れる森の美女

  • まだ見ぬ王子の夢を語るジゼル。
  • 竜に変身するナリッサ女王はディズニーヴィランのマレフィセントがモデル。

リトル・マーメイド

  • 「想いを伝えて」のシーンで、川を渡るボートに向かい合って座るジゼルとロバート。
  • 「想いを伝えて」のシーンで、岩に腰掛けて歌うジゼルとそれを見つめるロバート。

美女と野獣

  • エドワード王子が剣を鏡にして歯のチェックをするのは、「美女と野獣」に登場する英雄のガストンの仕草。
  • 舞踏会でのジゼルとロバートのダンスシーン全般。

その他のディズニー作品

  • ニューヨークのタイムズスクエアにミュージカル版「ターザン」の看板(ターザン)。
  • エドワード王子がホテルで見ているテレビから「Pink Elephants on Parade」が流れる(ダンボ)。
  • ハンガーに張り付けられたピップが、ハンガーにぶら下がりながら電線を伝うシーン(トイ・ストーリーシリーズ)。
  • ロバートとジゼルが食事したレストランの名称が「ベラ・ノッテ」(わんわん物語)。
  • ジゼルとモーガンが買い物する店の名が「カリプソ」(パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ)。
  • バスの女性運転手のアフロヘアの形と、舞踏会のダンスシーンでスポットライトと床の模様がミッキー・シルエットに(ミッキー・マウス)。
  • ラストで竜がビルの塔から落下した後、ジゼルとロバートが塔から滑り落ちそうになるシーン(ノートルダムの鐘)。

まとめ

原題の「Enchanted」とは魅了される、魔法にかけられるという意味です。

真実の愛やキス、夢が叶うことを信じているジゼルを現代に送り込むことによって、おとぎ話と過去のディズニー作品を落とし込みました。

そのうえで真実の愛の力を信じるジゼルが、現代とロバートを「魅了する」という心憎い仕掛けになっているのです。

本作でしか楽しめない「現在に現れたディズニープリンセス」と、ふんだんにオマージュされた過去作品の数々は思わず見返したくなります。

ディズニーファンならより深く楽しみがありますが、単体として充分に楽しめる作品なので、ぜひ魔法を体験してください。

The post 魔法にかけられて(ネタバレ・考察)実写でもプリンセスが魅力的なのはなぜ?作中に盛り込まれているディズニーのパロディを厳選紹介 first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/enchanted/feed/ 0 15507
【押井守特集】作家の圧が強すぎる!癖になりそうな独自の作風が魅力な押井守アニメ作品7選! https://cinemaxina.com/oshiimamoru/ https://cinemaxina.com/oshiimamoru/#respond Tue, 29 Sep 2020 02:47:01 +0000 https://cinemaxina.com/?p=14492 押井守は80年代から日本のアニメシーンを牽引してきた監督です。 「攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」「うる星やつら」といった数々の名作を手掛けており、巨匠といってもいいでしょう。 独特のセリフ回しや作家性が特徴的で、クセが強く観る人を選びますが、ハマる人はとことんハマる魅力を持っています。 実写もアニメも撮影する押井

The post 【押井守特集】作家の圧が強すぎる!癖になりそうな独自の作風が魅力な押井守アニメ作品7選! first appeared on cinemaxina.]]>
押井守は80年代から日本のアニメシーンを牽引してきた監督です。

「攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」「うる星やつら」といった数々の名作を手掛けており、巨匠といってもいいでしょう。

独特のセリフ回しや作家性が特徴的で、クセが強く観る人を選びますが、ハマる人はとことんハマる魅力を持っています。

実写もアニメも撮影する押井守監督ですが、今回はアニメ作品をピックアップしてご紹介するので、特集を読んでみて作品が気になった方はおうちシネマでご鑑賞ください。

うる星やつら オンリー・ユー(1983年)

あらすじ

ある日、あたるやラムのクラスメイトのところへ結婚式の招待状が送られ、あたるにはエルという婚約者がいることが判明するが、あたるに心当たりがない。だがエルが美人と聞いたあたるはいつもの浮気心を出して、結婚式の誘いに乗ってしまう…。

おすすめポイント

押井守の初監督作品になる、TVアニメ「うる星やつら」の劇場版1作めにあたります。

メインキャラと脚本だけが出来ていて、他の監督が降板したものを押井守が引き受け、お話が破綻しないように完成させたという壮絶な逸話が残っているのです。

結果的に押井守の作家性はあまり顔を出さず、原作のカラーが色濃く出ていたこともあり、監督本人は不満な出来だったとのこと。

この経験が次の監督作で押井ワールドを全開にしてしまうきっかけになっているので、押井守の歴史を紐解く意味で観ておくのもアリでしょう。

ラブコメの金字塔である「うる星やつら」を楽しむ意味でも、本作はオススメです。

キャラクターを事前知識で知っている必要があるので、本作と「ビューティフル・ドリーマー」は原作漫画を読んでから映画鑑賞したほうが良いでしょう。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT × 31日間 2,189円(税込)
Hulu × 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年)

あらすじ

文化祭の前日で永久に繰り返すループに陥った友引高校の生徒たちは、世界が誰かの夢の中にあることを突き止めるが、夢の主がラムであることに気づいたものは次々と世界から消去される事態に。あたるは永久に繰り返す夢を終わらせるべく、現実への帰還を目指す…。

おすすめポイント

押井守監督作品の原点であり、本当の意味でのデビュー作といえるのが本作です。

原作である「うる星やつら」の終わりがない日常をメタとして描き、壮大な夢オチとして映画を作り出してしまいました。

結果として原作者の高橋留美子を激怒させるに至ったのです。

ですがファンの間では名作として語り継がれ、多方面から支持され派生作品が現れました。

特に国内での小説家やアニメ監督は本作に強い影響を受けることになり、作品に本作のオマージュを含んだものが多く誕生したのです。

「涼宮ハルヒシリーズ」やハリウッドで映画化された「All You Need Is Kill」などが、その影響について言及しています。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT × 31日間 2,189円(税込)
Hulu × 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

機動警察パトレイバー the Movie(1989年)

あらすじ

搭乗式ロボット”レイバー”が活躍する近未来。東京湾に浮かんだ”方舟”でとある技術者が自殺、それを機に都内でレイバーが暴走する事故が起こり始める。技術者が開発したレイバー用プログラムが怪しいと睨んだ特車二課のメンバーはプログラムを追いかけ始める…。

おすすめポイント

漫画家、デザイナー、脚本家などが集まって作られた集団”ヘッドギア”による警察用ロボット”パトレイバー”の物語が構築され、本作は劇場版の1作めになります。

80年代にコンピューターウィルスの存在に触れていたりと先進的な予言が多くなされており、それに加えて東京湾岸がまだ開発中なため発展してないところがリアルです。

また組織としての警察を描いたドラマは当時は非常に新鮮で、「踊る大捜査線」などはパトレイバーの影響を色濃く受けています。

この作品で押井守監督は再評価され、業界内での浮上のきっかけになりました。

押井守監督の先進性やこだわりと、エンターテインメントのバランスが取れており、非常に鑑賞しやすくなっています。

レイバー同士のバトルや戦闘シーンが多く、初めて観る人でもリアルなロボットものが好きなら楽しめる作品なのです。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT 31日間 2,189円(税込)
Hulu 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

機動警察パトレイバー 2 the Movie(1993年)

あらすじ

「方舟」の一件から3年後の2002年冬、かつての特車二課第2小隊の面々は、隊長の後藤と山崎を除いて新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日、横浜ベイブリッジで爆破事件が起こる。自衛隊によるミサイル攻撃と思しきこの一撃から、東京に”戦争”が始まる…。

おすすめポイント

前作とは一転してレイバー同士の戦いは極端に抑えられ、政治や警察機構の戦いなど人間ドラマに主眼が置かれているのが特徴です。

ロボットアニメと思ってみるとひどい目に合うので、ポリティカルな映画であると事前に理解して観賞しましょう。

逆にそこを飲み込めれば”虚構と現実”という押井守監督の得意な分野を思う存分堪能できるのです。

後藤隊長と南雲隊長という特車二課の「大人組」が繰り広げる恋愛模様と、戦争に際して日本はどう動くのかという”虚構の戦争”を思い切り描いています。

押井守監督の「戦争と平和論」をキャラクターが代弁していくさまは、監督の真骨頂といえる出来です。

何度か視聴してようやく理解できる難解さがありますが、それ故に何度も楽しめる作品ともいえるでしょう。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT 31日間 2,189円(税込)
Hulu 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995年)

あらすじ

義体と呼ばれるサイバネティックボディと、電脳と呼ばれる脳に直結したネットワーク接続が標準化した未来。”人形使い”と呼ばれるハッカーが政府御用達の義体メーカーにハックを仕掛け、義体を作り出して公安9課に亡命を表明するのだが…。

おすすめポイント

押井守監督の名声を世界的に決定づけた作品で、国外にも多くのファンやフォロワーを持つアニメーション映画です。

圧倒的な情報量を持つセル作画と、情報量の多い会話で構成されているため、1回の視聴だけでは理解しきれません。

「生命と存在の証明」をテーマにしつつ、原作が持つうんちくを押井守監督のフィルターで変化させ、サイバーパンク色を強めて仕上げられています。

人間と融合したいAIである人形使い、能力を拡張して可能性を追いたいと願う草薙素子、素子を支えたいバトーの三角関係のお話でもあるのです。

1回目は映像表現と大まかな物語のディティールを、2回目以降は会話の深みと描き込みを楽しみながら鑑賞するとより深く味わえるでしょう。

Windows95が発売される直前の公開で、すでにネットワークの広大さについて言及している押井守監督と原作の士郎正宗が持つ”未来を見通す目”は素晴らしいです。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT 31日間 2,189円(税込)
Hulu × 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

イノセンス(2004年)

あらすじ

草薙素子が消息を絶ってから3年、バトーとトグサは愛玩用ガイノイドの暴走事件を追っていた。持ち主を殺したあと自分のゴーストを焼き切って自害するガイノイドを作っているロクス・ソルス社を調べるべく、2人は択捉経済特区へ向かう…。

おすすめポイント

人形になりたくない人間と、人間になりたくない人形の差はどこにあるか?という深遠なテーマで描かれる、「攻殻機動隊」の後日譚です。

バトーとトグサがメインキャラクターとなり、素子は後半で少し登場するだけですが、「攻殻機動隊」を観た後に観賞するとかなり深く楽しめます。

セル画であった前作と違い、CGを多用している本作ではイメージカラーもオレンジになって雰囲気が変わっているのです。

祭りのようなシーンでは、押井守監督作品で常に音楽を担当している川井憲次の壮大なサウンドトラックが観るものを惹きつけてやみません。

トグサが電脳迷宮に閉じ込められるシーンは悪夢を観ているようで、この作品でなければ味わえない体験で、何回か観ているうちに癖になるでしょう。

第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されドリームワークスにより世界配給されるなど、監督のさらなる飛躍につながった作品です。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT 31日間 2,189円(税込)
Hulu × 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年)

あらすじ

戦争がショーになり安全を確保されている時代。思春期以上の加齢が止まった”キルドレ”と呼ばれる人間は、空戦技術と自分がキルドレであることだけを覚えて生まれてくる。彼らにとっては、戦場だけが自分たちの存在を確認できる場所だった…。

おすすめポイント

ベストセラー作家である森博嗣の静謐なテキストをそのまま映像化したような、抑揚のない絵造りと会話シーンが、独特の雰囲気を漂わせています。

今まで雄弁だった押井節ではなく、情緒的で静かな時間を作り出しているのです。

その反面、キルドレたちが生を感じられる唯一の場面である空戦は画面いっぱいに踊る戦闘機が飛び交うシーンが感情の爆発のように感じられます。

キャラクターの特徴に応じて空戦シーンも個性が見えるので、そこに注目するとより楽しめるでしょう。

イタリアやスペインの映画祭で上映され、それぞれ賞を取るなど国際的な評価も高い本作。菊地凛子や加瀬亮、栗山千明といった豪華出演陣による声も注目ポイントになります。

ゲストでウルトラセブンのアンヌ隊員を務めたひし美ゆり子が参加しているのも年配の方には嬉しい要素ではないでしょうか。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT × 31日間 2,189円(税込)
Hulu × 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

まとめ

押井節と呼ばれる、静かな演出の中に熱量を秘めた絵造りはこの監督ならではです。

哲学やメッセージを多分に含んでおり、観るたびに発見があり、知識欲を満たしてくれる作品ばかりになります。

まだ体験していない方はパトレイバー1と2を順番に観て、その変化を楽しんでみるのが分かりやすいのではないでしょうか。

The post 【押井守特集】作家の圧が強すぎる!癖になりそうな独自の作風が魅力な押井守アニメ作品7選! first appeared on cinemaxina.]]>
https://cinemaxina.com/oshiimamoru/feed/ 0 14492