ホラー・パニック | cinemaxina https://cinemaxina.com 観たいが見つかる!お家シネマの総合情報サイト Mon, 14 Jun 2021 06:03:16 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.1 https://cinemaxina.com/wp-content/uploads/cropped-vf-32x32.png ホラー・パニック | cinemaxina https://cinemaxina.com 32 32 180547246 グリーン・インフェルノ(ネタバレ・考察)食人文化は実在した!?いまだに猿を食べるって本当!?ホラーファン必見の問題作を徹底解説 https://cinemaxina.com/thegreeninferno/ https://cinemaxina.com/thegreeninferno/#respond Mon, 14 Jun 2021 05:34:05 +0000 https://cinemaxina.com/?p=25750 「グリーン・インフェルノ」は2013年に公開された、人食い人種をモチーフにしたホラー映画です。 性的描写を売りに観客を集める”セクスプロイテーション映画”の流れを組む、イタリアのホラー映画「食人族」(1981年)のリブート作品になります。 「食人族」は上映当時ドキュメンタリーとして宣伝されたせいか、怖いもの見たさに観客

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「グリーン・インフェルノ」は2013年に公開された、人食い人種をモチーフにしたホラー映画です。

性的描写を売りに観客を集める”セクスプロイテーション映画”の流れを組む、イタリアのホラー映画「食人族」(1981年)のリブート作品になります。

「食人族」は上映当時ドキュメンタリーとして宣伝されたせいか、怖いもの見たさに観客が押し寄せ残酷な表現とエッチなシーンで話題になりました。

作中で人食い人種が住んでいるジャングルの名称が”グリーン・インフェルノ”であり、その名を冠した本作は、原作に対してのリスペクトを感じさせます。

性的描写は抑えられていますが、人肉の解体や調理など食人要素は格段にパワーアップしており、スプラッターでは無いものの人体損壊が多くホラーファンを満足させるでしょう。

イーライ・ロス監督が愛してやまない「人食い人種映画」を自分の手で復活させ、現代の社会が抱える問題へのメッセージも詰め込んだ本作はただのホラーでは納まりません。

監督の熱量の高さゆえに完成までは苦労も多く、キャストやスタッフは大変な目に遭ったようですが、映画祭で公開された時に観客が気絶するなど怖さのレベルは保証済みです。

ホラーを得意としてきたイーライ・ロス監督の手腕や本作に至るまでの成長を含め、恐怖映画としての面白さなどを考察していきます。

グリーン・インフェルノ(2013年)

見どころ
「ホステル」のイーライ・ロス監督が、1981年の「食人族」をモチーフに描いた食人エンターテイメント。主演は「アフターショック」のロレンツォ・イッツァ。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
過激な慈善活動を行う学生グループは、企業の森林伐採により危機に瀕しているヤハ族を救おうとペルーのジャングルへ乗り込む。だが、彼らの乗った飛行機は熱帯雨林に墜落。生き残った学生たちは助けを求めるが、そこで出会ったヤハ族は食人族だった…。
出典 : video.unext.jp

グリーン・インフェルノ(ネタバレ・考察)

ペルーのジャングルをロケ地とした本作は、出演者もスタッフも想像を絶する環境での撮影を余儀なくされました。

原住民の協力もあり撮影は無事完了したかに見えましたが、撮影前から帰国するまでの間には未開の地ならではの耐えがたい苦労だけでなく、ちょっと背筋が冷たくなるエピソードもいくつかあるのです。

映画を楽しむスパイスとして、「グリーン・インフェルノ」に関するトリビアをお伝えしていきます。

“危険”な撮影現場

本作のオーディションに参加した俳優や撮影に関わるスタッフたちは、全員が以下の事項を了承し、サインした者だけが選ばれました。

クルーに加わるための確認事項

  • 黄熱病の予防接種を受けなければ参加できない
  • 接触すると死亡する危険のある生物がいる場所のロケであることを理解
  • 衣食住を含めてまともなアメニティは一切期待できない
  • ジャングルの奥地で一定期間拘束される

などなど、「ジャングルで何が起きても一切文句を言わない」という条件で契約したため、普通の映画の何倍も過酷だったようです。

ペルーの密林には危険な生物が多く、巨大蜘蛛や鋭い牙と爪を持つ大型動物、水中には血の匂いを嗅ぎつけ襲いくるピラニアや猛毒を持つエイなどが生息しています。

そして肉食の猿も生息しており、集団で獲物を襲い食い殺す気性の荒さから警戒対象となっているのです。

しかしペルーの原住民たちはこの猿を捕らえて食べてしまいます。焼き肉やスープで食べるそうですが、スープには猿の頭が入っており、まるで赤子のように見えるとのこと。

人間に近い生き物として知られている猿を食べてしまう彼らの食文化は、もしかしたら食人をしていたころのルーツが残っているのかもしれません。

撮影に参加したメンバーは大事に至らず帰ってこられましたが、死者が出てもおかしくない環境で本作は作られ、現地の習慣を目にしたためかリアルな異文化を描けています。

実際、人食い人種に襲われても文句が言えない契約ですからね!
受けてくれた俳優とスタッフ、原住民がいたからこそ迫真の映像になっているよ。

エキストラの先住民は食人経験者!?

ペルーの奥地にロケハンをしに向かったイーライ・ロス監督とスタッフは、現地住民であるカラナヤク族に接触して、映画のエキストラとして出演してもらえないかと交渉しました。

ですが前提として、彼らは”映画”を知らなかったため、理解してもらうべくテレビを持ち込んで村人に映画を観せたのです。

そこで上映されたのは「グリーン・インフェルノ」の原典となった「食人族」でしたが、何故か村人は大喜びして映画を気に入り、出演してくれることになりました。

村人たちは「食人族」の内容をコメディとして観ており、恐怖を感じなかったようです。

先住民たちは映画という経験のない文化を純粋に楽しんだのか、はたまた食人を当たり前の文化とし、ホームドラマを観るような感覚で映画を楽しんだのか…。

真実はわかりませんが、身の毛もよだつ想像だけが膨らんでしまいます。

リアルすぎて食人族の存在を疑われた

ペルーのジャングルで撮影しているときに、収録現場となっている村に宣教師が訪れる”ハプニング”がありました。

宣教師はキリストの教えを布教するべく、なぜか歌いながら船で移動してきたのですが、村にある杭に刺さった血みどろの死体や骸骨の小道具を見て恐怖を感じたそうです。

損壊した死体や人間だったもののパーツが散らばっているその現場は、あまりに制作スタッフが優秀だったために本物にしか見えなかったのでしょう。

撮影班が声をかけ説明するまで、宣教師たちは恐怖を和らげるために大声で歌っていたとのことで、どれだけ恐ろしかったかが解るのです。

ただし本当に人食い人種がいるとしたら、自分の存在をアピールするだけになるので、大声で歌うのは逆効果では?と考えてしまいます。

「グリーン・インフェルノ」をオススメする理由

ホラーの名手であるイーライ・ロス監督が作った食人族の映画、という時点でホラー映画が好きな方なら是非観てみたいという欲求に駆られるでしょう。

また人が人を食べるというカニバリズムは古くからタブーとされてきたからこそ、観客の興味を惹くテーマとして使われています。

本作は映画祭で上映されたときに観客が失神し、救急車で運ばれる騒ぎになったにも関わらず、一切カットすることなく公開され、監督が描くそのままの映像を観られるのです。

多くの監督が様々な「食人」を描くなかで、過去の名作に敬意を払いながら、上回る力量を見せてくれた本作は一見の価値がある映画作品になります。

人肉食の描かれ方、じっさいの食人による人体影響なども学びつつ、このホラー映画をなぜおすすめするのかをお伝えしていきましょう。

恐ろしい習性である”食人”を観賞できる

原住民であるヤハ族を守るために、違法な森林伐採を妨害しますが、強制的に退去させられた主人公たちは飛行機が墜落したことでジャングルに放り出されるのです。

そこに現れたヤハ族は食人文化を持ち、最も太っていた男性が生きたまま目をえぐられ、舌を抜かれ、活造りのように食べられてしまいます。

生食だけでなく、窯に入れて蒸し焼きにするなど人肉グルメはバリエーション豊かで、ヤハ族にとって訪れた人間はごちそうでありお祝いすべき存在なのが分かるのです。

これだけ文化が違っても、同じ人類というカテゴリー分けされるので、未知の文化は面白いという印象を覚えるのも、本作ならではでしょう。

実在する食人文化を持つ人たちは、親類や敵対した相手の力を受け継ぐために人肉を食べる習慣があるそうですね!
食人者特有の病気”クールー病”は脳を食べると起きるそうなので、人を食べる機会があったら注意してください。

希望があると見せかけて上回る絶望が待っている

囚われた人間たちの中で、墜落地点まで走って助けを呼んでくると提案した女性が、こっそり脱獄します。

その後、檻の中の人間たちに、肉の入ったスープが食事として配られました。

ですがそのスープの肉には、脱獄した女性が入れていたタトゥーが見えました。女性は捕まって、囚人たちの食料にされたのです。

仲間を食べてしまったことに気がついた女性は陶器でできたお椀を叩き割り、その破片で自分の首を切り裂いて自殺します。

囚人たちにも食人という習慣を共有させ、”原住民の文化”が”一般社会の文化”を打ちのめすシーンになっており、文化の違いを思い知らされるのです。

それと同時に、全く違う文化どうしがそれぞれの文化を押し付ける行為はお互いにとって幸せではないことも伝えています。

悪党の死を願うメンバーと観客の一体感

序盤で自然保護活動のために南米を訪れたはずなのに、リーダーのアレハンドロが現地ガイドのカルロスからマリファナを受け取っているシーンがあります。

これはカルロスとアレハンドロは裏でつながっており、自然保護活動も表向きの活動でしかなく、実際は別の企業からジャングル利権獲得のために派遣された工作員だからです。

活動に命をかけるわけでもなく、現地でマリファナでも吸いながら楽しく稼ぐつもりでいたのでしょう。

アレハンドロはこのことを自白し、数日経てばアレハンドロと繋がっている企業がヤハ族を全滅させるから助かると仲間たちに告げると、他の囚人は激怒します。

この時点で”誰が生き残るのか”に加えて”アレハンドロの最期はなるべく残酷にして欲しい”という共通認識を囚人たちと観客が共有するのです。

囚人たちの脱出作戦とアレハンドロの抵抗

囚人たちは自殺した女性の死体にマリファナを詰め込み、加熱調理すると燃えるようにしてヤハ族をトリップさせる作戦を思いつくのです。

死体は無事に窯へと運ばれ、火にくべられたため、体内にあるマリファナが熱されて村中に煙が立ち込め、ヤハ族は朦朧となります。

脱出を開始しますがアレハンドロは見捨てられそうになります。残されると食われてしまうため、アレハンドロは1人を襲い気絶させて逃亡しました。

気絶した者はトリップしたヤハ族に襲われ、生きたまま全身を食われるという想像を絶する死に方を迎えます。

殺してくれたほうがまだまし、というシーンになっており、「グリーン・インフェルノ」でもっとも残酷なシーンといえるでしょう。

計画的に仲間を利用し、自分の利益のために誘導して、意地汚く生き残るアレハンドロを描くことで、観客は更に無残な死を彼に求めるようになります。

スッキリ終わったと見せかけてどんでん返しが待っている

新たに利権を獲得した企業は傭兵を使ってヤハ族を襲撃しますが、主人公が虐殺シーンをストリーミングで流していると脅したため、戦闘は停止します。

現地を脱出する主人公は、アレハンドロの懇願を無視して現地に置き去りにし、自然保護活動を発表する場でヤハ族は食人族ではなく平和的であると発言しました。

そのままエンディングになり”直接表現は無いけどアレハンドロは食われただろう”と観客に思わせながらスタッフロールが流れます。

ですがそこで映画は終わりではありません。スタッフロール中に着信音が流れ、アレハンドロの妹から主人公に電話がかかってくるのです。

そこには死んだはずのアレハンドロが衛星写真に写っており、その姿はヤハ族の村で男性をまとめているリーダー格の男にそっくりでした。

傭兵たちによって数が減ったヤハ族に対して自分を売り込み、彼らの文化を受け入れながら利用して、食人族の男性リーダーとなり生き延びたと推測できます。

アレハンドロの妹と主人公が、この件で話し合うために会いましょう、という通話を最後に映画は終わり、その後は描かれません。

食人族の存在を秘匿した主人公、企業とグルになって利権を貪っていた家族の妹、人には明かせない秘密を持った二人は殺し合うのかお互いに口をつぐむのか、想像は尽きません。

上映後からこのエンディングが話題になり、続編の要望が集まり企画されることもあるのですが、クランクインが始まらないということはしばらく待つ必要があるのでしょう。

自説ですが、続編が出るとすればアレハンドロが率いる食人族と、自然破壊をする企業や自然保護に励む保護団体が命を奪い合うトライバルホラーになるのではないでしょうか。

なんで主人公はヤハ族の食人風習を隠したのですか?
村の現実を体験し、村人の中の少年と通じ合うことで”文化の尊重”が生まれ、悪い評判で迫害されるのを恐れたのでしょう。

本作が語りたかったメッセージの意味

自分たちが住んでいるジャングルを追われ、追い詰められているヤハ族以外の人間は、エゴか利益目的かで動いています。

自然保護団体を名乗るメンバーは文明人として原住民や自然を守ろうと活動しますが、彼らは保護活動している自分に酔いたいだけです。

それどころかカリスマのあるリーダーは自然破壊を進める企業の手先であり、損得勘定でメンバーたちを利用しています。

博愛精神を持っている人々も、実際は環境破壊で利権を得る企業の手先にいいように使われているだけかもよ、と監督に忠告されているのです。

またSNSでの拡散などで保護活動やエコなどに参加している人たちへ、自分で動いて現実を見極め体験しろとも伝えています。

残虐な犠牲シーンは、単純に死を楽しむだけでなく、メッセージを伝えるためのくさびとして観客の脳裏に突き刺さるのです。

過去作に登場しているゲストが示す”人食い人種映画”誕生の予告

イーライ・ロス監督はホラー映画に関して造詣が深く、影響を受けた監督を称えるだけでなく自身の作品にカメオ出演してもらうこともあります。

「グリーン・インフェルノ」を制作する前に撮影した2部作のホラー映画である「ホステル」(2005年)「ホステル2」(2007年)では、著名なホラー監督を招いているのです。

「ホステル」では快楽殺人サークルに関わっている裏社会の日本人として三池崇史監督が出演し、三池監督が作ったスプラッターアクション「殺し屋1」(2001年)に敬意を評しています。

「ホステル2」では競り落とした人間の足を食べる食人愛好家として、「食人族」を監督したルッジェロ・デオダートが登場しているのです。

この作品の後に「グリーン・インフェルノ」が撮影されたことを考えると、デオダート監督に出演オファーをした段階で構想はまとまっていたように思えます。

ホラー映画愛好家たちにデオダート監督が人肉を食べるシーンを見せることで、「食人族」愛好家たちに”次回作にも期待しててね”と目配せをしているのではないでしょうか。

まとめ

生きながら解体され、原住民に料理されるなど残酷表現が強いため、社会に対してのメッセージがありつつもR18+(18歳以下視聴禁止)という厳しい制限を設けられた本作。

残酷なシーンの見応えは他のホラー映画と比べても抜きん出ており、ファンを満足させるでしょう。

それと同時に”ジャングルの緑”と”原住民の赤”というコントラストが印象に残る映像美も素晴らしく、現地ロケの苦労が報われている仕上がりです。

気軽にホラー映画を見るつもりの観客に「本当にお前は大丈夫なのか」と問題を突きつけてくるイーライ・ロス監督ならではの語り口が存分に楽しめます。

啓蒙映画として観るもよし、人食い人種の大活躍を観るもよしと、成人している人たちには幅広い楽しみ方を提供してくれるので、ぜひご覧になってください。

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ミッドサマー(ネタバレ・考察)監督が目指したものはホラーではなかった?通常版・ディレクターズ・カット版の違いを徹底考察 https://cinemaxina.com/midsommar/ https://cinemaxina.com/midsommar/#respond Mon, 07 Jun 2021 04:12:22 +0000 https://cinemaxina.com/?p=25279 「ミッドサマー」は2019年に公開された、非常に独特なテイストを持つホラー映画です。 監督は本作が長編2作目となる新鋭のアリ・アスターで、脚本も手掛けています。 白夜が続く夏至の北欧を舞台にしているため、ホラー映画にありがちな暗い夜の殺害シーンがほとんどありませんが、陽光のもとに恐怖ははっきり映されるのです。 全てのシ

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「ミッドサマー」は2019年に公開された、非常に独特なテイストを持つホラー映画です。

監督は本作が長編2作目となる新鋭のアリ・アスターで、脚本も手掛けています。

白夜が続く夏至の北欧を舞台にしているため、ホラー映画にありがちな暗い夜の殺害シーンがほとんどありませんが、陽光のもとに恐怖ははっきり映されるのです。

全てのシーンが伏線になっており見返すことで解釈が深まるものの、理解度が上がることで内容の重さが心に負荷をかけるため、複数回観るときは間隔を空けて欲しい本作。

豊富なトリビアや知られていない情報、通常版とディレクターズ・カット版の差異にも触れながら、祝祭に潜む狂気の正体を考察していきましょう。

ミッドサマー(2019年)

見どころ
『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督の第2作。白夜の太陽と色とりどりの花々に彩られた美しい祝祭が、想像を絶する悪夢へと変貌していく物語はトラウマもの。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
家族を不慮の事故で失ったダニーは、恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる“90年に1度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に踊る楽園のように思われた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め…。
出典 : video.unext.jp

ミッドサマー(ネタバレ・考察)

現世から隔離された集落であるホルガ村はまるで地上に現れた理想郷のようですが、その美しさからは想像もつかない恐怖を秘めています。

恐ろしさについて触れる前に、本作のトリビアなどを学ぶことで少しでも作品に対して耐性がつけば幸いです。

すでに鑑賞済みの人も、これから体験する人も楽しめるトリビアの数々をご覧ください。

デビュー作が公開される前に2作目の制作が決定

アリ・アスター監督のデビュー作「へレディタリー/継承」(2018年)の全米公開は2018年の6月でしたが、この映画が話題になる前に「ミッドサマー」は制作が決定していました。

時間軸で追うと2018年5月18日に「ミッドサマー」の制作が決定し、同年6月8日にホラー映画「へレディタリー/継承」が全米で上映されています。

「へレディタリー/継承」は大ヒットし絶賛されますが、この評価は制作陣にとって予想の範疇だったので、次の作品の準備を進めていたのでしょう。

それを証明するかのように「へレディタリー/継承」大ヒットのニュースで監督たちが取り上げられる際には「ミッドサマー」を製作中であることをアピールしています。

注目を浴びることを先んじて分かっていたかのような宣伝戦略を考え、コストをかけずにメディアに取り上げてもらうことで、本作は観客の期待を集め盛り上がっていきました。

制作スピードが異常に早い

撮影準備の段階で必要なシーンや織り込む伏線、設定などが出来上がっていたせいか、「ミッドサマー」は複雑な構造をした映画にも関わらず短時間で造られています。

2018年の春には北欧で準備を開始し、素早く撮影と編集を終え、2019年の6月18日にはプレミア上映、同年7月3日には全米公開となりました。

ハリウッドで大作を作ろうとすれば構想を含めて5年から10年をかける物もある中で、舞台となる村をを2ヶ月で作成、撮影も短い期間で終えるなど非常に手早く進めています。

編集作業を含めて1年1ヶ月で完成させたことになり、大規模な映画作品と思えないほどの速さで完成しているのです。

ものすごい作り込みを感じるので、そんなに短いとは思いませんでした!
スピードとクオリティを両立させる非凡な才能として、アリ・アスター監督は今後も注目していきたいクリエイターです。

スウェーデンでの評価は「地元あるある映画」?

”スウェーデンの集落で夏至に行なわれる恐ろしい祝祭”という設定の作品にも関わらず、スウェーデンでの公開が夏至を過ぎたため、現地のホラーファンはやきもきしたそうです。

アメリカ公開の数週間後にようやく公開された「ミッドサマー」は、スウェーデン人からは「うちの地元がこんな風に解釈されてる!」という笑いに転換されたとのこと。

現地の映画評論家は、ホラーではなくブラック・コメディとして「ミッドサマー」を評価しました。

舞台となったスウェーデンの人々は、「ミッドサマー」に対しておおらかな気持ちで接しており、国民性が伺えるエピソードは味わい深いものがあります。

日本で話題になった”本物の夏至祭”

日本では強烈なホラーとして認識され話題になったころ、ツイッターで、”スウェーデン大使館観光情報サイト”のアカウントが実際の夏至祭を紹介したのです。

ツイートを見た多くの人たちは映画の印象が強く、恐ろしい祭りというイメージしかなかったため、夏至祭ツイートに対してのリプライは映画の話題で盛り上がります。

それに対して大使館は「映画の影響は大きいね。がんばって忘れて」という反応で、映画の内容を知りつつユーモラスに日本のフォロワーたちを励ましていました。

「ミッドサマー」から受ける印象は、国によってかなり違うことがはっきりしており、温度差を楽しむのも一興です。

実はハンガリーで撮影されている

「ミッドサマー」は北欧の伝承などを取り込んだ儀式を、スウェーデンのホルガという集落で展開していますが、実際の撮影はハンガリーのブタペストで行なわれました。

これはスウェーデンの物価が非常に高いうえに同国での撮影現場における労働基準法が特段に厳しく、スタッフを雇える環境になかったことが原因です。

ブタペスト郊外の土地を借り、2ヶ月かけてホルガ村を作り出した監督は、「これがスウェーデンだったら家が1つできるぐらいだよ」と物価の高さを嘆いていました。

経緯はどうあれ、地上の楽園のような美しさを持つ村と自然の風景は非常に印象的で、脳裏に残るビジュアルになっています。

昔の映画から受けている影響とは?

日本公開に合わせて宣伝のために来日したアリ・アスター監督は、今村昌平監督の「神々の深き欲望」(1968年)と「楢山節考」(1983年)を参考にしたと発言しました。

「神々の深き欲望」は離島に住む伝統的な信仰を重んじるコミューンを、「楢山節考」は閉鎖的な寒村で行なわれる老人の口減らしなどを描いているのです。

特に「楢山節考」はカンヌ映画祭でパルム・ドール(最高作品賞)を獲るなど世界中で高く評価されており、村の掟を守らせる住人たちの表現などに影響を見て取れます。

「ミッドサマー」を鑑賞する前後で、今村監督の2作品を併せて観ておけば、アリ監督が描きたかったカルトの村がどうやって生まれたかの理解が深まるのです。

前提として、舞台となる北欧の昔から伝わる文化や祭事などを徹底的に調べた上で制作されているので、ベースとなっているのはキリスト教伝来以前の自然信仰などになります。

そこへ日本映画から伝わった「村社会特有の因習とプライベートの無さ」を見いだせれば、国内外の映画好きは楽しい時間が過ごせるでしょう。

ホルガ村で飛び降りるダンは「ベニスに死す」(1971年)の美少年だったビョルン・アンドレセンですよ!
スウェーデン代表として登場したのかな?妖艶だった若い頃の面影がなくてビックリです。

たった5日間で起きる奇祭の惨劇

  • 祝祭一日目:勧誘と招待
  • 祝祭二日目:献身と転生
  • 祝祭三日目:儀式と消失
  • 祝祭四日目:舞踏と交配
  • 祝祭五日目:生贄と業火

北欧やヨーロッパではクリスマスと並ぶほどの季節イベントであるミッドサマー(夏至祭)は、キリスト教伝来以降から開催されてきました。

クリスマスがキリストの誕生日であるように、夏至祭は聖ヨハネがキリストの半年前に生まれたことに由来しており、夏休みの始まりと併せて祝うものになっています。

ホルガ村で開催される夏至祭はキリスト教伝来以前から信仰されている北欧の文化を多く取り入れており、9日間開かれるはずの夏至祭は5日めにして大詰めを迎えるのです。

現実に行なわれていた祭典や俗習をベースに作られた、どこかリアリティーのある祝祭の恐怖を、5日間に分けて解説していきましょう。

祝祭一日目:勧誘と招待

スウェーデンでの夏至祭は毎年6月19日から26日の間の、夏至に最も近い土日を選んで開催され、夏の到来を盛大に祝うものになっています。

若者たちをホルガ出身の留学生が勧誘して連れてきますが、彼らは特別なイベントに招待されたことに興奮し、綺麗な景色に目を奪われていて、不穏な空気に気が付きません。

祝祭二日目:献身と転生

次世代の村人へ転生するために、一定の年齢を迎えた老人が飛び降り自殺する儀式がありますが、これは北欧に伝わる口減らしのために自分から死を選んだ風習から来ています。

墜落死に失敗した老人がハンマーで頭を潰される描写もただの恐怖シーンではなく、スウェーデンに古くからある親殺しの伝統を示しているのです。

祝祭三日目:儀式と継承

村の娘がクリスチャンに対してケーキや飲み物に自分の体液を混ぜるのは、儀式として交わる相手を決め村の外の血脈を得るためです。

実際には結婚を願う女性が草花を集め枕の下に置くことで恋が叶うなどロマンチックなおまじないですが、この村では近親交配を避け一族を継承するための大切な手順となります。

祝祭四日目:舞踏と交配

メイポールと呼ばれる飾り付けられた柱の周りを踊る風習は、ヨーロッパ各地でキリスト教以前から伝わっており、選ばれたメイクイーンは豊穣の象徴として祀られます。

また婚姻にも繋がる風習であることから、村の外の人間であるクリスチャンを誘惑し、交配させるシーンに繋がっているのです。

祝祭五日目:生贄と業火

火をつけて生贄を燃やす儀式は”ウィッカーマン”と呼ばれる、巨大な人形の中に人間や家畜を詰めて火を放つ人身御供の風習から着想を得ています。

この儀式は紀元前から伝わっているとされ、過去にヨーロッパ内で互いに影響があったケルト文化と北欧の伝承を掛け合わせて「ミッドサマー」では描かれているのです。

死生観と数字の関連性

ホルガ村の若者であり、村の外から友人を連れてきたペレが、ここでは人生が4つの季節に分けて考えられると告げるのです。

春である0歳〜18歳は子供の季節として無事に育つことを重要視されます。

夏である18歳〜36歳は巡礼の旅をする季節として、村の外へと出ていき、交流を深め、時が来れば村へと戻るのです。

秋になぞらえている36歳〜54歳は労働の季節として、村で働き存続させるための維持が中心になります。

冬となる54歳〜72歳は人々の師となる季節として、子どもたちを指導し、72歳を迎えるとアッテストゥパンという儀式で自ら命を断つのです。

72歳で迎える死のその後を描いていないのは、死んでからの18年が何らかの時期として用意されており、生後90年の時点で生まれ変わるのではないでしょうか。

この仮定は、ホルガ村の様々な伝統や儀式が、一定のルールの元に開催されていることから導き出せます。

説明した数字はすべて9の倍数になっており、祝祭も90年ごと、祭りの期間も9日、生贄も9人、映画のタイトルの英文「midsommar」も9文字になっているのです。

この共通性は、ホルガ村の信仰している教えの根底に、北欧神話の伝承などをモチーフにしたものがあるからでしょう。

世界を9つのエリアに分けて構築しているという思想は、北欧神話では基本的な概念として共有されているため、9の数字が様々な事象で使われている理由の根拠になります。

また北欧神話の主神であるオーディンが、世界樹に自らを吊るして身体を槍で貫き、9日間自身を捧げることでルーン文字などの知恵を授かることも着想の元となっているのです。

村の中に多くルーン文字でメッセージが描かれていることからも、多神教かつ北欧文化の影響を受けた村の教えにおいて、9が聖なる数字となっていることは間違いないでしょう。

メイクイーンは祭の6日目以降に死ぬ?

ダニーはドラッグの入った飲み物を摂取してダンスし、違う言語を話しているため会話が通じなかった村の女性達とコミュニケーションが取れるような感覚を得ます。

集団が同じ環境でドラッグを使用することで体験を共有できている感覚を受けるのは多くの研究で知られており、ダニーはこの体験で今までにない高揚感を味わうのです。

結果的に最後までダンスを踊り続けたダニーは、この年のメイクイーン(5月の女王)に選ばれ、特別な者として扱われます。

色鮮やかな花で飾られたメイクイーンの仕事とは、生贄に捧げる最後の1人を、村の者かクリスチャンか、どちらか選ぶことです。

村の娘と交わっていたクリスチャンを目撃し、悲しみの頂点に達したときにホルガ村の人々と心を通わせたことで、ダニーは個の感情を放棄しました。

自分を支えてくれず、厄介な存在と思われているという負の感情から開放されたダニーは失った家族をホルガ村で得ることになり、ホルガに取り込まれてしまうのです。

クリスチャンを生贄に選んだダニーは完全に狂気に飲み込まれており、自分の彼氏が生きながら燃やされる様を見て笑顔になるのです。

見方によっては、家族を得てダメダメな彼氏と縁を切ったダニーが究極のハッピーエンドを迎えたようにも受け取れます。

しかし祝祭は9日間行なわれるとされ、祭壇を燃やしたのは5日目です。加えて過去にメイクイーンとなった女性がその後どうなったかについては全く触れられていません。

このことを考えると、描かれなかった祝祭の残り4日間はもちろん、その後もダニーが家族として生き延びられる保証はないのです。

ダニーに思いを寄せていたペレの妻になるのか、それとも祝祭の最後にダニーも供物として捧げられるのか、あえて考える余地を残して映画は幕を閉じます。

”キリスト教徒”という意味にも取れる名前のクリスチャンが生贄で死ぬことには意味がありますか?
 ホルガ村の土着信仰と生贄が外部から連れ込まれる仕組みを考えると、関係ないとは言えませんね。

祝祭の生贄と処刑方法

ペレはアメリカからダニー、マーク、ジョシュ、クリスチャンを招き、ペレの兄弟分であるイングマールはイギリスからサイモンとコニーを連れてきました。

ダニーを除いてペレ以外の全員が死亡し生贄として捧げられますが、彼らが殺害された理由は劇中で告げられています。

殺害された理由と殺害方法を示しつつ、その処刑にどういう意味があったのかを考察していきます。

マーク

・犯した罪:村の神木に小便をかけた
・殺害方法:不明
・遺体の処置:顔面と下半身の皮を剥がれる

セックスとドラッグのことしか頭にないマークは、ホルガ村で若い女性に声をかけられて、のこのこと付いていった先で殺されます。

それだけではなく顔面と下半身の皮膚を剥がされ、村人が身につけているのです。

顔面に他人の皮膚をかぶるホラー作品と言えば「悪魔のいけにえ」(1974年)に登場するレザーフェイスを想起させます。

下半身の皮を剥いで身につけているのは、北欧に伝わる「死のパンツ」と呼ばれる民間伝承で、陰嚢にコインを入れておくと富を呼ぶと言われているのです。

記録によるとパンツにするためには剥がされる者の了承を得る必要があるらしく、マークはただ殺されただけではなく拷問を受けて了承させられたことが伺えます。

ホルガ村に入った時に、歌われていた曲が「愚か者の皮剥ぎ」でしたね。
マークは神木の有無に関わらず、皮を剥がれることが決まっていたのかも…。

ジョシュ

・犯した罪:村に伝わる神聖な本を盗撮した
・殺害方法:撲殺による脳内出血
・遺体の処置:花壇に埋められる

ジョシュはホルガ村に伝わるルビ・ラダーと呼ばれる聖典を見せてもらいますが、より詳細に情報を集めるために夜中に侵入し、スマートフォンで撮影します。

するとそこに現れたのはマーク。ジョシュはマークがふざけていると思い注意しますが、それはマークの顔面の皮を付けた別人だったのです。

それに気づく前に頭を強打されたジョシュは倒れ、いびきをかき始めますが、これは典型的な脳内出血の症状で、非常に危険な状態といえます。

ジョシュがいびきをかいているシーンは、意図的に音響でいびきを明確に聞こえるように加工してあるため、気分が悪くなる観客も多く出ました。

マークの皮を貼り付けた男のアップと相まって、観るものの不快指数を上げてくる場面です。

コニー

・犯した罪:アッテストゥパンを否定した
・殺害方法:川の女神に生贄として捧げられ溺死
・遺体の処置:祭壇を焼く儀式の供物として燃やされる

サイモンは村の儀式を理解できず、その場を婚約者のコニーと立ち去ろうとします。

ですがコニーが気付かないうちに、サイモンの姿が消えているのです。

ホルガ村の人に聞くと「1人で先に駅に向かうトラックに乗せてもらって去った」と言われますが、コニーは信じることができず探し回ります。

ダニーが村の人からパイ作りに誘われて料理をしているとき、遠くの方で女性の悲鳴が聞こえますが、これがコニーの断末魔です。

通常版では祭壇を燃やす儀式に使うため、びしょ濡れで飾り付けをされたコニーが手押し車で運ばれているシーンで死体を確認できます。

サイモン

・犯した罪:アッテストゥパンを非難し冒涜した
・殺害方法:生きたまま背中から肺を引きずり出され吊るされた
・遺体の処置:カカシのように整えられて儀式の供物にされる

サイモンは老人が高所から飛び降り自ら命を断つだけでなく、生き残ってしまった老人の頭をハンマーで砕く村の奇習に激昂し、ホルガ村を否定します。

その結果、生きながら解体され苦しみを与え続ける「血のワシ」と呼ばれる処刑方法で吊るされるのです。

古代北欧でヴァイキングなどによって実際に執行されており、背中から肋骨を剥ぎ取り、肺を背中側に引き出して翼のように広げることからこの名前が付きました。

村を逃げ回っていたクリスチャンが鶏小屋で発見するのですが、広げられたサイモンの肺は呼吸で収縮しているので、かろうじて生きていることが解ります。

監督が目指したものはホラーではなかった?

アリ・アスター監督は本作をホラー映画とは定義せず、失恋と家族の物語だと表明しています。

確かにグロテスクなシーンはありますが、表向きは恐怖を煽っているシーンはありません。

ですが脚本を自ら担当し、画面の中に多すぎるほどの情報が詰め込まれている本作は、理解度が上がるほど監督の意地悪なクリエイターとしての手腕に驚くことになるのです。

「ミッドサマー」を見て考察できる”ホラーとは断定できない要素”について考察していきましょう。

失恋と家族がテーマ

アスター監督は、この物語の原案を持ちかけられたときに、ちょうど失恋をしてしまったそうです。

それを聞くと、この作品にあふれかえる負のエネルギーをひしひしと感じます。

精神的に不安定で、恋人は理解がなく、支えてくれる存在がいないダニーは家族まで失ってしまい心の負担は限界です。

そんな彼女が現代社会のしがらみから解き放たれ、自分を肯定してくれて、悲喜こもごもを共有してくれるホルガ村で、不満だらけの恋人と別れ家族を得るのです。

この部分だけ切り取ると、監督が受けた失恋のダメージを癒やしてくれるセラピーのようにも感じられます。

ダニーの不幸が積み重なっていき、最後に問題が全部解決して開放されると考えると、カタルシスを得られる人も多いでしょう。

鑑賞後の感想が人によって違うのも、誰に共感して鑑賞したかという、観客の多様性に応じられる作品になっているからです。

明るい色彩

「ミッドサマー」は白夜の時期に開催されている北欧が舞台なので、夜のシーンが極端に少ないです。

アッテストゥパンの儀式も、サイモンが吊るされているシーンも、日中の出来事として描かれており、ホラー特有の暗闇から怪物が!といった展開にはなりません。

花は咲き乱れ、緑が地を覆い、飾り付けられた夏至祭の風景は美しい北欧のイメージを目一杯織り込んで観る者の心を揺さぶります。

ですがその風光明媚な場面で訪れる”人の死”を描き、従来では夜や闇などで底上げしてきた怖さとは違う純粋な恐怖が提供されるのです。

美しい世界にこそ狂気が潜んでいる、と言われているように感じる人は、日常の中で違うものが見えてきてしまうかもしれません。

感情の共有と群体としての生き方

アッテストゥパンで足を折った老人の苦しむ場面や、クリスチャンが村の女性と性交しているとき、ダニーが号泣しているシーンなどで、村人は一緒に声をあげ感情を共有します。

実際にホルガ村の人たちはシンクロしているわけではなく、村で起きた喜怒哀楽に関して同調することで、この地の住人たちに”個”が無いことを示しているのです。

この村は集落自体が1つの生き物であり、そこに加わっている人々は個人と言う概念がなく、村が存続するために必要であれば人数の増減も当たり前に受け入れます。

小さい単位で言えば家族や会社など、大きな単位でいえば自治体や国などで1つの単位になり、その視点では、個という意味は非常に薄くなるのです。

登場人物の多様性を描きながらも、グループ全員が共同で力を合わせている世の中の仕組みには多様性が無いのでは?という監督からの皮肉かもしれません。

通常版とディレクターズ・カット版の違い

「ミッドサマー」は劇場公開時、レーティングを下げて多くの人が観られるように、裸の人物にぼかしを入れるなどの編集が入りました。

その結果R15+で公開されていたのですが、上映中にR18+区分の「ディレクターズ・カット版」が併せて上映されることになったのです。

ホラーテイストな部分は殆ど変わらず、性交シーンの男女にあったモザイクが消え、23分に渡るカットテイクが復元された状態で公開されました。

結果的に、エンディングで主人公であるダニーがどういう経緯で最後の選択をし、笑顔でエンディングを迎えたのかがより詳細に描かれています。

VODでも通常版とディレクターズ・カット版に分かれているので、初見の人はいきなりディレクターズ・カット版を観るほうがオススメです。

ここではディレクターズ・カット版で追加されたシーンと、その意味について指摘しながら考察をしていきます。

同じ映画のディレクターズ・カットが上映期間中に並行して公開するなんて珍しいですね!
18禁でチケット代も高めの設定にもかかわらず多くの人が鑑賞しています。

旅行の計画がダニーにバレて口論

クリスチャンたちは男だけの旅行を計画しており、その事がクリスチャンの彼女であるダニーにバレて口論になります。

通常版よりも口論のシーンが長く、ダニーは言いすぎたかもしれないと弱気になり、クリスチャンに謝るのです。

クリスチャンはダニーの機嫌を取るために「サプライズで言うつもりだった」と取り繕うのですが、ジョシュやマークはクリスチャンに早く別れろと思っているフシが観られます。

このシーンが長く描かれたことで、ダニーがクリスチャンに依存していても、クリスチャンからは面倒な女と思われていることがより深く伺えて、展開が解りやすくなるのです。

ドライブ中に登場人物を詳しく紹介

ペレが友人たちを連れてスウェーデンをドライブしているシーンが長めに撮られており、下品なマークと退屈で寝てしまうダニーの姿が見られます。

また文化人類学を修めているジョシュが、ナチスが傾倒していたルーン文字についての書物を持っており、北欧に由来する文化体系に興味があることもここで解るのです。

マークは北欧の女性が性に対して寛容であることを期待して、セックスとドラッグを目的に参加するのですが、ジョシュは学術目的で参加しています。

おそらくジョシュは自身の研究にプラスになる未知の文化を体験ができるという誘いを受けていますが、未開の地に行くのが怖くてマークたちを誘ったのでしょう。

クリスチャンは文化的な興味と、ダニーから離れて羽根を伸ばしたいという両方の理由から、男性だけの旅行に賛成しています。

ダニーの誕生日をペレから聞かされる

村の外部から呼ばれたゲストたちを泊める宿舎で、ペレがクリスチャンに対して、ダニーの誕生日を忘れていることを伝えるシーンが追加されました。

これによって通常版ではよく分からなかった、ダニーに贈られたクリスチャンからのお祝いの言葉とケーキは、ペレのサポートがあったからということが解ります。

クリスチャンがダニーに対して思い入れが無いことを明らかにしており、クリスチャンが迎える最期に対しての伏線になっているのです。

クリスチャンへの非難と儀式の謎

儀式として老人が自ら死を選ぶ”アッテストゥパン”を観たことで、外から来た若者たちはこの村が普通ではないと感じます。

その後にジョシュに対してクリスチャンが「ホルガの論文を俺も書く」と言い出して口論になるのですが、通常版と比べるとジョシュの非難がより明確になっているのです。

クリスチャンはたまたま目にしたホルガ村の風習に色めき立ち、特に知識もないのに脚光を浴びて目立つチャンスと考えていることをジョシュに看破されます。

ジョシュは「電子図書館の使い方も知らないモラトリアムが俺の論文を横取りするな」と大学院にいるくせに明確な目標も行動も無いクリスチャンを罵倒するのです。

さらに追加シーンとして、痛いところを突かれてしまったクリスチャンは村から離れたいと考えている他のメンバーを尻目に、村の女性たちに話を聞きに行きます。

自己弁護として本気で研究しているというポーズを取り繕うためですが、ここで村の娘から重要なヒントが告げられるのです。

クリスチャンは今まで何回のアッテストゥパンを見たのか尋ねると、娘は村の老人が72歳になるたびに見ているので、たくさん見たと返しています。

通常版には無かったこのシーンで、90年ごとに開催されている祭とアッテストゥパンの儀式は別のものということが明らかになるのです。

なぜコニーは溺死したのかが明らかに

通常版で最も長くカットされたシーンが、白夜では珍しい夜のエピソードになります。

川で行なわれる儀式では、飾り付けをした木を川の女神に対しての捧げものとして投げ込みますが、それだけではまだ女神は満足できないというのです。

そして投げ込まれた木と同じ飾り付けをした少年が、自ら贈り物になると名乗りを上げ、大人たちは重石を少年に抱かせて川に投げ込もうとします。

それを見ていたダニーは止めようとしますが、ホルガ村の女性が「少年は勇気を見せたから」と儀式を終わらせ、誰も死ぬことはありませんでした。

このシーンは、通常版で儀式の供物に捧げられたコニーの死体がなぜ濡れていたかを教えてくれます。

コニーは少年と同じ飾り付けをされており、川の女神に対しての生贄として、少年とは違って本当に沈められ、溺死していたのです。

ダニーの弱さと依存の解決

ダニーは村の儀式を体験するうちに、この村はおかしいという感覚を覚えます。

恋人であるクリスチャンに立ち去るべきと伝えますが、彼はホルガ村についての論文を書くから出ていかないと主張するのです。

ダニーは、村の風習からしても論文を書かせてくれるはずはないと正論を告げますが、ジョシュに論破され意固地になっているクリスチャンは逆上して判断力を失っています。

さらにダニーが花をくれたのは、自分がダニーの誕生日を忘れていたことに対してのあてつけだと言い出すなど、クリスチャンの矮小さを描いているのです。

これによってダニーはクリスチャンに見捨てられるのではという強迫観念から、置いてきぼりにされる悪夢を見ることになり、通常版で描かれた悪夢の原因が解ります。

そして翌日、ダニーは自分が悪くないにも関わらず、自分からクリスチャンに謝ってしまうのです。

ヒロインとしてのダニーが精神的に不安定なせいで、ダメ人間であるクリスチャンに依存するしかないという事実をディレクターズ・カット版では明確にしました。

序盤で家族を失い、ストーリーの最期でホルガ村の住人という新しい家族を得たダニーは、自分が依存していたものを断ち切り笑顔になるのです。

まとめ

民俗を扱ったフォークホラーとして、ドルイド教の儀式などを取り入れていることからも、「ウィッカーマン」(1973年)の系譜を感じさせる「ミッドサマー」。

映画で使われている絵やルーン文字など微細なところまでこだわって作り込まれているので、北欧の文化や風習を学ぶとより深い階層で映画を楽しめるでしょう。

最初の鑑賞は作品に登場する人々の心情が変化するさまと村の恐ろしさを堪能し、興味が湧く方はアリ・アスター監督が仕込んだ全ての伏線を追ってみるのも一興です。

ただのホラーで終わらせない仕上がりの「ミッドサマー」を鑑賞して、押し寄せる恐怖と絶景の組み合わせを堪能してください。

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SAW(ソウ)(ネタバレ・考察)世界で一番成功したホラー映画?大監督になったジェームズ・ワンが送る伝説の長編デビュー作 https://cinemaxina.com/saw/ https://cinemaxina.com/saw/#respond Thu, 27 May 2021 05:39:46 +0000 https://cinemaxina.com/?p=23381 「SAW(ソウ)」は2004年に公開されたシチュエーション・ホラー映画です。 1億3千万円という低予算の制作費にもかかわらず、緊張感が持続する展開と二転三転する犯人探し、そして衝撃のクライマックスを迎えるラストと完璧な構成になっています。 話題の発端はインディペンデント映画を扱うことで有名なサンダンス映画祭での上映から

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「SAW(ソウ)」は2004年に公開されたシチュエーション・ホラー映画です。

1億3千万円という低予算の制作費にもかかわらず、緊張感が持続する展開と二転三転する犯人探し、そして衝撃のクライマックスを迎えるラストと完璧な構成になっています。

話題の発端はインディペンデント映画を扱うことで有名なサンダンス映画祭での上映から始まり、映画ファンのみならず、良作を探しているバイヤーにも衝撃を与えました。

そのクオリティの高さからカンヌ映画祭でも公開され、結果として「すごい映画が出てきた」という情報が世界中を駆け巡ったのです。

あらゆる配給会社がこぞって交渉し、最終的にホラー映画やコメディに強いライオンズゲート社が配給権を獲得しました。

全世界で公開されると興行収入の合計が113億円を突破し、制作費の100倍以上を稼ぎ出す人気作品となり、シリーズが立て続けに作られる1大フランチャイズとなったのです。

伝説の始まりとなる第一作目の「ソウ」について、トリビアや考察を交えながら語っていきますので、最後までお楽しみください。

いまやジェームズ・ワン監督はヒットメーカーとしていろんな作品に関わっていますね!
「ワイルド・スピード SKY MISSION」(2015年)や「アクアマン」(2018年)などホラー以外も上手です。

ソウ(2004年)

見どころ
大学時代の映画製作仲間であるジェームズ・ワン監督とアダム役リー・ワネルのオリジナル作品。低予算ながら、密室劇を利用した巧みなストーリー展開が高く評価された。
出典 : video.unext.jp

ストーリー
薄汚れた広い浴室で目覚め、戸惑う若者アダムと医師のゴードン。やがて、「時間内に相手を殺して逃げろ」というメッセージを受け取り、離れた場所に鎖でつながれて身動きできないふたりは、知恵を絞りながらも、エゴまみれの醜いサバイバルゲームを開始する。
出典 : video.unext.jp

ソウ(ネタバレ・解説)

1つの部屋で展開できるシチュエーションホラーの設定と、生の大切さを痛みと死で語る伝道師”ジグソウ”を生み出したことで歴史に名を残す作品となった「ソウ」。

全く新しい作品でありながら、過去の映画に対してリスペクトを込めたオマージュが入っていたりと、映画好きなら好印象を覚えるシーンもあります。

ジェームズ・ワン監督と盟友であるリー・ワネルが作り出した作品がより好きになる素晴らしいトリビアたちを紹介していきましょう。

世界で一番売れたホラーシリーズ?

2004年に公開となった1作目から、6年連続でその後の物語を上映した「ソウ」シリーズは、6作目の「ソウ6」(2009年)の時点で興行収入の合算が約641億円を超えました。

これによって一時、「最も成功したホラー映画シリーズ」としてギネスブックに掲載されたのです。

「ソウ」以前の有名なホラー映画フランチャイズは「スクリーム」(1996年)、「13日の金曜日」(1980年)、「エルム街の悪夢」(1984年)があります。

  • 「スクリーム」:443億円(3作品)
  • 「13日の金曜日」:406億円(12作品)
  • 「エルム街の悪夢」:391億円(9作品)

シリーズのラストとなる「ソウ・ザ・ファイナル」(2010年)、さらにその後を描いた「ジグソウ:ソウ・レガシー」(2017年)を加えることで、合算は1,000億円を超えるのです。

この記録を超えるホラー映画は現れないと思われましたが、ジェームズ・ワンが別作品「死霊館」(2013年)を監督しヒットさせたことで、自ら記録を塗り替えます。

「死霊館」はメインストーリー2本、サイドストーリー4本、スピンオフ1本が公開され、合計で2,000億円の興行収入を稼ぎ出す大人気フランチャイズとなりました。

「ソウ」と「死霊館」はそれぞれ続編の撮影が進められているので、これからも記録を伸ばし続けていくでしょう。

「死霊館」は制作費が約12億円ですから、比較対象として強力すぎです!
企画開始時の制作費を考えれば、今でも「ソウ」は ”世界一成功したホラー映画シリーズ”と言っていいでしょう。

ダリオ・アルジェント作品や「トレインスポッティング」への敬意

「ソウ」に登場する人形はビリーと呼ばれ、死のゲームに参加する者への解説や、ゲームをクリアした者への祝福に現れます。

ビリーは「自分の生を大切にしないもの」に対する象徴として作られましたが、モチーフとなった作品はダリオ・アルジェント監督の「サスペリアパート2」(1975年)です。

この作品では主人公を襲う人形として登場しますが、ジェームズ・ワン監督はダリオ・アルジェントに敬意を評して自身のスリラー/ホラー映画に人形を登場させました。

人形だけでなく、ゲームの参加者が拐われるシーンで襲撃犯が黒い手袋をして犯行に及ぶのはダリオ作品では定番の演出になっており、意図的な引用を感じさせます。

またDVDやBlu-rayで確認できるコメントによると、アダムが汚れたトイレに手を突っ込んで物を探すシーンは、ダニー・ボイル監督の「トレインスポッティング」(1996年)のオマージュとのこと。

「トレインスポッティング」の主人公レントンが、”スコットランドで一番汚いトイレ”に落としてしまった薬を拾うために頭から便器に入るシーンは有名です。

ちなみにレントンが便器に入るシーンも、実はホラー映画「エルム街の悪夢」でフレディが風呂に入って眠っている犠牲者を襲う場面の引用になっています。

このように「ソウ」の演出などに、過去の名作映画に対してのリスペクトを見つけると、映画好きとしてはより深く楽しめるのです。

上映規制を軽減するために消されたカットとは

映画祭で高評価を得た本作ですが、「生と死」を明確に描きすぎたため、世界各国で最も厳しいレーティングであるNC-17(17歳以下視聴禁止)に指定されました。

このレーティングの映画を観る際は、入場時に身分証明書の提出が必要になるなど細かいチェックが設けられるため、映画館側の負担が大きくなるため忌避されるのです。

このままでは映画を公開したとしても、観てくれる観客の層が絞られてしまい、なおかつ上映する映画館の数も限られてしまうため、興行収入が危うくなります。

そこでジェームズ・ワン監督はR指定(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)のレーティングまで下げるため、問題のシーンをカットしていきました。

アマンダが麻酔で眠らされている男の腸をふるいにかけて鍵を探す場面や、カミソリ有刺鉄線から脱出しようとする男の奮闘シーンなどが削除されたのです。

上映版でも充分に痛みを感じるシーンだったので、これ以上残酷だったとしたら上映できないのもうなずけます。

NC-17を一度でも受けて修正された映画一例

  • サウスパーク/無修正映画版(1999年)
  • 悪魔のはらわた(1973年)
  • オーディション(2000年)
  • 処刑人(PG-12)(1999年)
  • レクイエム・フォー・ドリーム(2000年)
  • ミッドサマー(2019年)

低予算で作られた「ソウ」が表す功罪とは

余裕のない予算、限られた時間、少数のキャストという制限がありながらも、圧倒的な世界観を構築してみせた「ソウ」はインディペンデント映画のお手本のようです。

発端となったアイデアとキャラ設定、オチを思いついた時点で名作になることがほぼ決まったといえます。

その上でいかに少ない予算で欲しいシーンを作り出したかの経緯を掘り下げつつ、節約したことによるメリットと、発生したデメリットについて注目していきましょう。

驚異的な早撮りで予算を大幅に節約!

スタッフやキャストを集めたり、撮影場所を下見したりといった映画製作の事前準備をプリプロダクションと言いますが、この映画のプリプロダクションはわずか5日です。

バスルームのシーンは俳優にリアルな時間経過を感じさせるために時系列で撮影し、アダムとローレンスのやり取りは6日間で撮影を終えます。

早撮りの結果、開始から18日間で全部の撮影を終了させるという荒業をジェームズ・ワン監督は成し遂げたのです。

その早撮りのポイントになったのがリハーサル無しでの演技。正確にはリハーサルを撮影すると告げておいて、リハーサルの場面をそのまま本編で使用しています。

リハーサルで失敗した場合は改めて撮影しているのでしょうが、出来が良かったシーンであればそのまま使うことで時間とフィルムを節約しているのです。

コストダウンを徹底しつつも、カメラの構図や撮りたいシーンをおろそかにしないところも含めて、制作スタッフは素晴らしい仕事をしました。

カメラワークのせいか、アダムとローレンスの写り方が違いませんか?
ローレンスは固定カメラ、アダムは手持ちカメラで撮影して、心理状態の違いを表現したそうだよ。

早撮りの結果、後で埋め合わせが必要になった

撮影が早く終えることは制作費を下げるためにも必要でしたが、それによって弊害も発生しました。

ポストプロダクションという撮影後の編集作業中に、ほとんどの場面で補完しなければいけない抜けのシーンが多くあることに気づいてしまったのです。

ジェームズ・ワン監督は編集を担当していたケヴィン・グルタートとともに、監視カメラで撮影されたように見えるいくつかのカットを追加で作成し、繋いでいきました。

この作業は映画を完成まで持っていっただけでなく、監視カメラの映像を使うことでジグソウが進めている生き残りゲームの目撃者視点を作り出し観客を没入させたのです。

埋め合わせの結果、間違い探しを楽しめる

他にも取り漏らしたシーンはいくつかありましたが、撮影が終わった俳優たちを確保できなかったため、ジェームズ・ワン監督とリー・ワネルが2人で代役になり撮影しました。

リーはアマンダを演じるシーンでも代役をこなし、時にはカツラを付けて女性らしい動きを見せています。

再撮の結果としていくつかのエラーが分かりますが、1回観ただけでは分からないところが多いので、何回も観たくなる本作の+αな楽しみとして堪能してください。

  • ゼップがカーチェイスをした後、倉庫に到着すると走行中に運転していたものとは別の車になっている
  • アダムの白いTシャツについたトイレのシミは劇中で消えたり現れたりしている
  • アダムの回想シーンで、アパートの廊下にいる時と部屋に入るときで持っているカメラが変わる
  • アダムが便器の中を探したときに手が汚れるが、その後に貯水槽の蓋を外したときは汚れが落ちている
  • シン刑事が倉庫に入るときにはショットガンを左手で持つが、次のシーンでは右手に持ち替えている
  • アマンダが殺人を犯しているシーンのクローズアップで、リー・ワネルの手が映されている

「ジグソウは誰」という答えはラストを観なくても理解できる

ジグソウはゲームを最前列で観る、というヒントが示されながらも、ジグソウの正体はラストまで明かされません。

クライマックスでジグソウの正体を知ったときに、「やられた!」と思った人も多いでしょう。

ですがいくつかのカットで、真犯人を示唆してくれるヒントが潜んでいるのです。

ジェームズ・ワン監督が映像の中に仕込んだネタバレを、シーンごとに説明していきましょう。

序盤にジグソウのトラップが写っている

序盤で回想シーンに登場するゼップが、病院内でローレンスに対し「彼は面白い人だよ」とジョン・クレイマーの名前と人となりを説明する場面があります。

このときジョンのベッドサイドテーブルには、アマンダに仕掛けられていた頭部を破壊する装置「リバース・ベアトラップ」のイラストが確認できるのです。

初見ではまず気付くことのないシーンですが、シリーズを通して登場する象徴的なデザインなので、再度鑑賞される際は注目してみてください。

死体のリボルバーにあるはずのモノがない

ローレンスがアダムを撃つために、自分の頭を撃ち抜いて死んだ男の持っているリボルバーを取り上げ、弾を込めるためシリンダーを開けます。

そのままリロードをするのですが、銃に詳しい人であれば、ここで違和感を感じるのです。

リボルバー銃は回転弾倉に弾を込めて使用しますが、撃ち終わると空薬莢が残るため、次の弾を込めるためには空薬莢を捨てる動作が必要になります。

ですがローレンスが死体から奪った銃は、自殺したにもかかわらず空薬莢が入っていないのです。

これは監督からの「この死体は自殺してないよ」というヒントになっており、勘のいい人は「この死体は本当に死んでいるのか?」という疑問を持つことになります。

ローレンスのペンライトを持っているシーンがある

ジグソウことジョン・クレイマーが病院のベッドで横たわっているシーンでは、ジョンの手にペンライトがあるのが分かります。

これはローレンスから盗んだペンライトで、放火魔であるマークに課せられたゲームの現場に置かれたため、ローレンスがジグソウとして疑われる原因になるのです。

このシーンも初見では気付かない場面ですが、全てを知った後に注目して観ると、この時点でジョンはローレンスをゲームに参加させるつもりでいたことが分かります。

あなたもジグソウのゲームに参加させられる?

ジグソウが言うところの”ゲーム”には、自分や他人の命を粗末にし、生へと真摯に向き合っていないとみなされた人が招かれます。

ジグソウは結果的に殺人鬼のような存在として認識されていますが、本質は参加者が”死”に直面することで生の大切さを知り生き延びる道を提示しているのです。

今作で登場した”ゲーム”の参加者たちと、招かれた理由について考察していきますので、ジグソウから招待されないためにも参考にして正しく生きてください。

ジグソウの考え方を知ると、自分の生き方を見つめなおすきっかけになりそうです!
単純な殺人鬼の凶行を描いている作品ならこんなに人気は出ないでしょう。

ポール・リーヒー

・参加理由:健康であることに感謝していない
・ゲーム内容:時間切れまでに檻から脱出する

精神病にかかっていないにもかかわらずカミソリで自分を傷つけ、その行為自体に喜びを感じているのがポールです。

ジグソウはポールの自傷行為が精神的な助けを求めているものではなく、自己快楽のために繰り返していることを見抜いていました。

それゆえに彼をゲームに誘い、本当に死にたいならそのままでいればいい、ただし生き延びたいなら自分を傷つける必要があるとカミソリ付きの鉄条網で覆われた檻の中に閉じ込めるのです。

一定時間内に脱出しないとドアが締まり、窒息死することを告げられたポールは、必死になって鉄条網をくぐろうとしますが、身体が傷つく痛みで外に出られません。

結果としてゲームに失敗したポールは死亡し、皮膚の一部をパズルのピース状に切り取られてジグソウが関わっているという印を付けられます。

マーク・ウィリソン

・参加理由:放火魔として活動していた
・ゲーム内容:金庫の暗証番号探し

盗癖があり、さらには人の住んでいる建物に火を付ける放火の常習犯であるマークは、その行いによりジグソウのゲームに選ばれます。

目覚めたマークはガラスの破片が敷き詰められた部屋で、遅効性の毒を撃たれた状態で目覚めるのです。

生き残るためには、暗闇の中でロウソクの火を頼りに、解毒剤の入っている金庫の暗証番号を探し当てる必要があります。

ただし壁に書かれている暗証番号は無数にあり、裸足でガラスの痛みに耐えながら、身体に塗られている着火剤に引火しないように動かなければなりません。

マークは自らが犯してきた放火の犠牲者と同じように、火だるまになって死亡します。

アマンダ・ヤング

・参加理由:薬物中毒で自分の体を害していた
・ゲーム内容:逆さトラバサミの解除

薬物中毒のアマンダは、自分の健康を麻薬で害しています。そのことを理由にジグソウのゲームに選ばれるのです。

拉致され、目が覚めたアマンダはジグソウからのメッセージとデモンストレーションで、顔面に付けられている装置を外さなければ死ぬことを理解します。

鍵は部屋にある死体の胃袋にあると言われて調べますが、死体ではなく薬物を投与されて眠っているだけの人間でした。

覚悟を決めたアマンダは男性の腹部にナイフを突き立て、内臓から鍵を取り出して装置を外します。

間一髪でアマンダはゲームをクリアし、それを称えるように人形が現れて祝福するのです。

この後のアマンダは麻薬に頼ることもなくなり、自分の命に対して真摯に生きるようになりました。

ローレンス・ゴードン

・参加理由:患者の命を軽んじていたため
・ゲーム内容:時間内にアダムを殺害しないと家族ごと死ぬ

ローレンスは外科医ですが、傲慢な上に患者への配慮も足りず、死の宣告をするときも相手の気持ちを考えることはありません。

患者の名前も覚えず、脳腫瘍で余命わずかと事務的に告知されたジョン・クレイマー(ジグソウ)は、ローレンスの生き方が不誠実と判断し、ゲームに招きます。

まずはマークのゲームを進める時に、現場へローレンスのペンライトを残すことで、ジグソウの遺留品と思わせ、警察にローレンスをマークさせるのです。

自分のアリバイを証明するためにローレンスは愛人と会っていたことを公開することになり、容疑は晴れますが人格を避難されます。

ですがジグソウの事件捜査に関わっていたタップ刑事はローレンスが犯人だと思い込み、情報屋のアダムを使ってローレンスを追い続けるのです。

中盤にこの人間関係が明らかになっていくことで、廃墟の中でゲームに参加させられている2人の「片方だけ相手を知っている」というアンバランスが緊迫感を生みます。

クライマックスでは自分の足を切断し、外に助けを呼びに行きますが、その生死は明らかにされていません。

アダム・フォークナー

・参加理由:他人の生活を覗き見し金に代える人生は価値がない
・ゲーム内容:時間内に地下室から脱出すること

アダムは普段から自分で何かをなすわけでもなく、他人の生活を隠し撮りして金を得る寄生虫のような生活をしています。

ゲームのターゲットであるローレンスを嗅ぎ回っているアダムの姿を見たジグソウは、アダムを参加させることでどういう変化が起きるか楽しみにしていたのでしょう。

ローレンスはゲームの中盤で、着信しかできない電話からかかってきた妻の言葉により、アダムが自分のことを知っていると理解します。

協力して脱出するはずだった2人の間に緊張感が走るさまは、ジグソウと観客のテンションを上げるのです。

アダムとローレンスのゲームは対になっており、アダムを殺さなければいけないローレンスが脱出した代わりに、脱出というゲームに失敗したアダムは閉じ込められてしまいます。

ゼップ・ヒンドル

・参加理由:”ジグソウ”の思想を理解するため自ら参加した
・ゲーム内容:指定時間になったらローレンス一家を全員殺害する

ローレンスの病院で雑役夫をしているゼップは、ジョン・クレイマーにも親切で誠実に生きており、ゲームに招かれる理由が一見無いように思えます。

ですがゼップはジョン・クレイマーであるジグソウの思想に共感して、自らゲームに参加している「共犯者」なのです。

遅効性の毒を打たれたゼップはローレンスの妻子を人質にとり、時間切れまでにローレンスが脱出できなかった場合は一家もろとも殺すことを命じられます。

ゲームを体感することでジグソウの考え方を理解しようとしましたが、ローレンスとアダムのゲームを監視しているときは自分の役割を楽しんでいるように見えるのです。

ローレンスの家を見張っていたタップの介入により人質には逃げられ、解毒剤を手に入れるためにローレンスを殺そうとしますが、アダムに撲殺され死亡しました。

タイトルに込められた複数の意味とは

「SAW」というタイトルは”ノコギリ”や「見る」の過去形である”見た”という2つの意味を内包しています。

また犯人に付けられた”ジグソウ”(Jigsaw)という名前は、ゲームの参加者が失敗した時に、死体からジグソーパズル状に皮膚を剥がして持ち帰った形跡があるためです。

ジグソウは元来”糸ノコ”を意味し、糸ノコで切ったパーツを組み合わせて完成させることから「ジグソーパズル」という娯楽が生まれました。

登場人物であるローレンスは外科医(sawbones)であり、彼の職業はタイトルが決まった時点で確定していたのでしょう。

さらに動詞として激しい変動を意味し、立場が逆転することを意味するシーソー(seesaw)という言葉も取り込んでいます。

これだけの意味を1つの単語に込めた上で、タイトルが意味するすべての要素を描いている「ソウ」は、映画史の中で傑作として語られるでしょう。

まとめ

ジェームズ・ワン監督とリー・ワネルが、住んでいたワンルームのアパートで、「ここで映画を撮るとしたらどうするか?」というアイデアから生まれた本作。

脚本も担当したリーはハリウッドに売り込むべくアイデアをまとめ、インパクトを与えるであろう「顔面トラバサミ」のシーンを収めたムービーを手に営業をかけて回ります。

その結果プロデューサーに恵まれ、作品を完成させることができ、監督と脚本家は大きく羽ばたいていったのです。

初めて見るときはスピード感に身を委ねて楽しみ、2回目以降は細かい描写を確認しながら掘り下げていくと楽しい「ソウ」は何回観ても満足できます。

”ソリッド・シチュエーション・ホラー”の金字塔となる本作を改めて堪能するために、この記事で予習復習を万全にしてから堪能してください。

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犬鳴村(ネタバレ・考察)犬鳴村にまつわる恐ろしい都市伝説を紹介!登場人物達の死因が〇〇だったのは何故!? https://cinemaxina.com/inunakimura/ https://cinemaxina.com/inunakimura/#respond Tue, 11 May 2021 00:54:48 +0000 https://cinemaxina.com/?p=21494 映画「犬鳴村」は2020年2月7日に公開されました。 主演は「ダンスウィズミー」(2019年)などの代表作を持つ期待の若手女優・三吉彩花で、監督は「呪怨」「呪怨2」(2003年)「樹海村」(2021年)などのホラー映画を手掛けた清水崇が務めました。 日本最凶の心霊スポットと呼ばれる福岡県の旧犬鳴トンネルと、都市伝説とし

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映画「犬鳴村」は2020年2月7日に公開されました。

主演は「ダンスウィズミー」(2019年)などの代表作を持つ期待の若手女優・三吉彩花で、監督は「呪怨」「呪怨2」(2003年)「樹海村」(2021年)などのホラー映画を手掛けた清水崇が務めました。

日本最凶の心霊スポットと呼ばれる福岡県の旧犬鳴トンネルと、都市伝説として話題を集める「犬鳴村伝説」の謎を追う女性達の恐怖体験を描いた、ジャパニーズ・ホラーです。

今回は映画「犬鳴村」から犬鳴村にまつわる都市伝説を挙げながら、奇妙なわらべ唄の秘密や、犬鳴村にまつわる過去をご紹介していきたいと思います。

犬鳴村(2020年)

臨床心理士として病院で働く森田奏(三吉彩花)の周りで、ある日突然奇妙な出来事が起こり始める。

不思議なわらべ歌を口ずさみながら突然死した兄の恋人、行方不明になった兄弟、次々と起こる変死事件。

「トンネルを抜けた先の村で××を見た…。」という兄の恋人の最期の言葉を元に奏は、真相を突きとめるため、犬鳴トンネルへと向かう事となる。

しかし、そこには想像を絶する恐怖が彼女を待ち受けていた。

奏の運命は!?果たして彼女は無事に生きて帰れるのか…!?

犬鳴村(ネタバレ・考察)

犬鳴トンネル出典 : nishinippon.co.jp

福岡県民の中で、知らない人はいないと言っても過言ではない旧犬鳴トンネル。さて、どんな都市伝説が噂されているのでしょうか?

福岡県に実在する旧犬鳴トンネルはその昔、犬鳴谷村というある集落に続いていました。

今はトンネルは封鎖され、通る事はできませんが、ここには様々な都市伝説が存在しています。

そのうちのいくつかをご紹介していきます。

トンネルの前に“白のセダンは迂回して下さい”という看板がある

なぜ白のセダンなのか?それも謎ですが、昔、若いカップルが面白半分で犬鳴村に入り、惨殺されたという話があります。

この白いセダンに乗っていたのが、そのカップルだったのではないか?という噂がまことしやかに囁かれているのです。

要するに、これはこの村に入ると、そのカップルのように殺されます、という警告文だといえます。

誰が、何の目的でこの若い二人を殺したのかは謎ですが、肝試し感覚でそういう場所には行かないというのがベストな選択です。

村の入り口に「コノ先 日本国憲法 通用セズ」という看板がある

現在、トンネルの入り口は封鎖されているので、通る事は出来ませんが、トンネルの出口にこういった看板が掲げられているのだとか。

日本国憲法が通用しないという事は、これもまた自分の身に何が起こっても保障しません、という忠告だといえます。

村人は存在するのか、それも全くの謎ですが、恐怖を煽るような文言です。

また、犬鳴村は日本の行政記録や地図から完全に抹消されているという話もあります。

全ての携帯電話やスマホが圏外になる

何故、圏外になってしまうのか、これもです。

山奥だから、という説もありますが、外部との連絡手段が一切遮断されてしまうというのは、想像を絶する恐怖といえます。

自分に何が起こっても誰の助けもないのです。

トンネル付近にある公衆電話に女の幽霊が出る

この公衆電話は今は撤去されてしまったとの事ですが、この場所で女性の幽霊を見たという情報がたくさんあるのだそうです。

また、電話から女の声が聞こえたりと、不気味な話が盛りだくさんとなっています。

そしてこの公衆電話の近くにコンビニがあるとの事なのですが、そこからは普通に電話はかけられるものの、警察には何故か、電話が繋がらないのだそうです。

謎が謎を呼ぶ、不思議な現象といえます。

ここでご紹介した事は、全て都市伝説です。なので事実ではありません。信じるか信じないかは、あなた次第です!!

旧犬鳴トンネルでは実際に痛ましい事件や事故が起こっているのだとか…?
男性がリンチされたうえ、焼死させられたり、この付近では交通事故も絶えないのだそうです。そういったものが、都市伝説を本物のように煽っているという事実もあるのでしょうね。

奇妙なわらべ唄の意味

恐怖を感じさせる日本人形
「くさかろ わるかろ
こめこもできなきゃ ふたしちゃろ ふたしちゃろ
わんこがねぇやにふたしちゃろ
あかごはみずにながしちゃろ」

犬鳴村に足を踏み入れ、恐怖を体験しながらも奇跡的に村を脱出した奏の兄・悠真とその恋人・明菜。

しかし明菜は完全に精神に異常をきたし、このわらべ唄を歌いながら最終的には鉄塔から身を投げ亡くなります。

「わんこがねぇやにふたしちゃろ」の、ねぇやの部分は“寝屋”か“姉や”のどちらか、もしくは両方の意味を持ち、犬と人間の交わりを示しているのです。

そして、「あかごはみずにながしちゃろ」の、みずにの部分は“見ずに”もしくは“水に”の意味を持ち堕胎の事を指しています。

明菜は悠真の子供を身籠っていました。

明菜が亡くなったのは犬鳴村の祟りで、明菜が死ぬ=お腹の子も死ぬという事なので、ここは遠回しに明菜が堕胎したという意味を含んだ表現といえます。

一度聞いたら頭から離れなくなるような、この奇妙なわらべ唄は清水崇監督が自ら作詞したものなのだとか。

犬鳴村の人々は臭いものに蓋をする、というこの村の風潮を自虐的に歌う事で、自らの出自への恨みや日常生活の苦しみ悲しみを慰めあっていたのです。

死因が〇〇だった理由とは!?

溺れる女性
犬鳴村に近付いたのを機に、奏やその兄弟は人が犬の形相と化した“イヌビト”に追いかけられます。

しかし、襲われて死に至った人々の死因は噛み殺されたわけではなく、何故か皆溺死でした。

その理由について考察していきましょう。

犬鳴村はダムに沈んだ村だったから

犬鳴村はダム建設で村人の反対意見も聞かずに、無理矢理ダムの底に沈められた村でした。

とある企業の人々が、最初は良い人を装って村人に近付き、村人を信用させた後ダム建設を強引に進めていったのです。

要は村人たちは騙されたといえます。

その怒りは何年経っても消える事はありませんでした。

村人に殺された人々が溺死だったのは、自分達が愛し、慕っていた村を無きものにされてしまった無念さを晴らしたかったからではないかといえます。

一方的に企業が決めた事で、自分達の愛する故郷を守れなかった事を村人達は心から後悔し、また憤慨もしました。

自分達に近付いてくるものは皆、信用できず排除の対象とみなしたのです。

自分達の思いも水に流されてしまったから

ダム建設により、村人達が失ったものは、自分達の愛する故郷だけではありませんでした。

それは自分達の“想いや心”もです。

犬と人間が交配している、などと嘘をでっち上げ、犬鳴村に関する悪評を流し、企業の人々は犬鳴村の人達を他の地域から孤立させていきました。

そういった嘘は村人の心をひどく傷つけたといえます。

そういった経緯で村人達は姿を変え“イヌビト”となったのです。

自分達の想いがダム建設によって藻屑の泡となって消えたように、村人は人を信じる事も忘れたのです。

公衆電話からゴポゴポと水の音が聞こえるのも、ダム建設によって行き場所を失った村人達の無念さを表す伏線となっています。

ラストシーンが意味するものとは?

口から血が滴るバンパイア
この「犬鳴村」という映画のラストは、奏の口元から犬の牙のようなものが見えるところで幕を閉じます。

このラストシーンが意味するものとは“呪われた血筋からは逃れられない”という意味を持っているのです。

奏の母方の祖母は実は犬鳴村出身の人間でした。

血筋には逆らえず、奏もまた人間という仮面を被った“イヌビト”として生きていくのだといえます。

そして、このラストシーンのもう一つの意味とは、この映画をただの感動ムービーで終わらせないというところにあります。

「あ!この映画ホラーだった!」と観客に最後の最後で思い出させる仕組みとなっているのです。

奏が今後イヌビトとしてどんな風に生きていくのか、ラストのその後を想像させる展開となっています。

観客にラストのその後を想像させる事で、映画に奥行きや深みを持たせているのです。

エンドロールに女性の顔が!?

怖い女性
ブロック塀で閉鎖された旧犬鳴トンネルが、エンドロールで映し出される描写があります。

そのブロック塀の隙間に女性の顔が映っているとの情報が!!

確認してみると、確かに女性の顔らしきものが映っています。

ホラー映画に霊の姿が映り込む事は稀にあるようなので、エンドロールまで見逃せません!!

霊の姿が映り込んでいる…これは怖い!
ジャパニーズホラーの代表作ともいえる、「リング」にも霊の姿が映り込んでいると一時期噂になったりもしました。「犬鳴村」も例外ではないのですね。

「犬鳴村」恐怖回避バージョンとは?

「犬鳴村」恐怖回避バージョン出典 : amazon.co.jp
「犬鳴村」の公開前に、本編の冒頭8分間に可愛い犬が登場したりと加工を施した映像が一週間限定でSNSで流されました。

するとこれが、ホラーが苦手な人でも観られる!発想が面白い!と大反響を呼び、これがきっかけで「犬鳴村 恐怖回避バージョン」の制作が行われる事となったのです。

本作の128分間全編にわたって、可愛い犬達が登場、効果音が付け足される、恐怖シーンをカウントダウンで伝えるなどの加工が施され、何とも斬新な発想となっています。

これまでホラーを敬遠していた人でもこれなら本作を違った視点で観られる事間違いなしです!

また、ホラーを好んで観る人にもぜひ観てほしい一本となっています。

「犬鳴村」「犬鳴村 恐怖回避バージョン」両方を観てその違いを楽しむのも有りといえるでしょう。

宮若市民の人たちの反応は!?

宮若市
映画「犬鳴村」の公開によって、福岡県宮若市民に住む人達の反応は様々だったようです。

宮若市の有吉哲信市長は、心霊スポットが注目され、少し複雑な気持ちになったとの胸中を初日舞台挨拶の時に明かしました。

宮若市はたくさんの自然で溢れ、家族で遊べるスポットや、温泉もあったりと素晴らしい場所です!

心霊スポットだけでなく、他のものに目を向けて街の活性化の為に宮若市を訪れるのも一つの案です。

日本各地に心霊スポットと呼ばれる場所はありますが、騒音やゴミ問題などで近隣の住民の方に迷惑をかけるといった話もちらほら耳にする事があります。

ホラー体験は映画内にとどめておくのがまさにベストと言えるでしょう。

まとめ

以上、映画「犬鳴村」から都市伝説を交えながら、本作で重要な意味を持つわらべ唄の謎や、登場人物達の死因等について書いてきましたが如何でしたでしょうか!?

本作はただ怖いだけでなく、家族の血筋を描いた深いテーマを持つ映画です。

ただのホラーにとどまらず、ほろりと泣ける部分もあります。

友達や恋人同士で観るのも有りですが、大切な家族とお家シネマで楽しんでみる、というのも一つの意見として参考にしてみて下さい。

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エスター(ネタバレ・考察)エスターという少女を徹底考察!危険な少女は現実にも存在した!? https://cinemaxina.com/esther/ https://cinemaxina.com/esther/#respond Wed, 05 May 2021 05:13:20 +0000 https://cinemaxina.com/?p=13951 「エスター」は2009年に公開されたサスペンス・ホラーです。 家族のために養子として迎え入れた孤児の少女が、里親にとって理想の子供を装いながら少しずつ家庭を侵食し、恐怖に陥れる展開は背筋が凍ります。 当時12歳だったイザベル・ファーマンが聡明かつ残虐な怪物エスターを演じているのです。 9歳の外見でありながら実年齢は33

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「エスター」は2009年に公開されたサスペンス・ホラーです。

家族のために養子として迎え入れた孤児の少女が、里親にとって理想の子供を装いながら少しずつ家庭を侵食し、恐怖に陥れる展開は背筋が凍ります。

当時12歳だったイザベル・ファーマンが聡明かつ残虐な怪物エスターを演じているのです。

9歳の外見でありながら実年齢は33歳という難しいキャラクターをこなしてみせたイザベル・ファーマンは本作で知名度を上げました。

自分の目的のために手段を選ばず、障害となる人間を日常の中で排除していく彼女の姿を観ていると、日常に潜む悪意が怖くなるかもしれません。

全世界の興行収入が84億円を超えた名作ホラーに描かれている少女の秘密や謎、観客が気になる疑問点、映画がより楽しめるトリビアなどを織り交ぜて考察していきます。

エスター(2009年)

3人目の子供を死産で失い、心に傷をもったケイト(ヴェラ・ファーミガ)とその夫ジョンは、苦しみを癒すために孤児院に向かい、養子を迎え入れることにする。

そこで出会ったエスター(イザベル・ファーマン)は9歳にしては落ち着いており、大人びた振る舞いや芸術への才能を見せたことから、ケイトたちに気に入られ家族に加わる。

だが彼女が家に来てから、異変が起こり始める。エスターの本性を怪しむケイトだったが、彼女は大人の前では天使のように振る舞い、その裏で子供達を恐怖で支配していく。

エスターの持ち物から、精神病院との関係を見つけたケイトは、彼女の恐ろしい正体を知ることになる…。

エスター(ネタバレ・考察)

緊張感あふれる映画の内容とはうらはらに、興味深いエピソードが数多くある制作現場は、和気あいあいと進んでいたようです。

一方、撮影したものの編集上ではカットされてしまったシーンも有り、そのことに出演者が怒るなどネタが豊富で、ファンの興味は尽きません。

映画を観るだけでは分からない、映画好きが楽しめるようなトリビアや裏話をお伝えしていきましょう。

孤児を扱う本作に立ちはだかった問題

アメリカ上映時の原題である「Orphen」は”孤児”を意味しており、エスターがロシアからアメリカへと渡り、孤児として過ごしていることからこのタイトルになったのです。

ですが”孤児”を受け入れることで悪いことが起きる映画の内容から、孤児の面倒を見ている養父母や里親団体からの批判も浴びることになりました。

その背景にはソ連崩壊により旧ソ連諸国から多くの子供達が、アメリカやカナダに受け入れられていたという経緯があります。

旧ソ連の孤児院は資金不足と人手不足に悩まされており、良い環境とはいえず、北米の里親たちは率先して旧ソ連の子どもたちを迎え入れました。

そんな中で、「エスター」は生い立ちがロシア孤児で残虐性があるというキャラメイキングをされているため、悪い意味でのステレオタイプとして観られる可能性があったのです。

配給のワーナー・ブラザーズは予告編に入っていた、エスターが「養子を自分の子と同じように愛するのは難しいに違いない」と発言するシーンをカットして対応しました。

ですが映画本編にはそのシーンが残っており、批判を受けた結果DVDやBlu-rayでのリリース時に、「エスター」はフィクションであり現実は穏やかである、と強調されたのです。

「タイタニック」との意外なつながり

「エスター」はクライマックスで、ケイトとエスターの戦いが凍った池の上で展開されます。ケイトの蹴りによって首を折られたエスターは池に沈んでいくのです。

このエスターが水に沈むシーンは、映画「タイタニック」(1997年)で主人公ジャックが力尽き、海中に沈むシーンと同じ手法で撮影されています。

このシーンのシンクロニシティは、「エスター」のプロデューサーにジャックを演じたレオナルド・ディカプリオが参加していることから生まれているのです。

本作はいわゆる大作映画ではありませんが、他のプロデューサーもジョエル・シルバーやスーザン・ダウニーなど大物が並んでおり、期待値の高さを伺わせます。

エスターが生き残る別エンディングが存在する

VOD版では見られませんが、販売/レンタルされているDVD版やBlu-ray版には、別エンディングが収録されています。

興味のある方は、youtubeに上がっているこちらの動画から別エンディングをお楽しみください。

観られないかたに説明しますと、闘いの終わったエスターは、化粧台の前で鼻歌交じりにメイクをしています。

化粧台の鏡はひび割れており、そこから垣間見える彼女の顔には無数のガラス片が突き刺さっているのです。

生きているものはエスターしか残っていない家に警察が到着し、暗闇のなかで警察官が懐中電灯を照らすと、階段からエスターが降りてきます。

傷だらけの顔をした彼女は警察官にお辞儀をして「こんばんは、私の名前はエスター」と自己紹介をして終わるというものです。

このエンディングではマックスとケイトの生死も不明で、エスターがこの後に逮捕されるのかどうかも分からない、後味の悪いものになっています。

前日譚の制作が決定

続編ではありませんが、エスターことリーナ・クラマーが、孤児院に入る前にいた家庭での惨劇を描く前日譚「Orphan: First Kill」の制作が発表されています。

あらすじとして判明しているのは、収監されていたエストニアの精神病院「サールン・インスティチュート」から脱走し、アメリカへ渡るリーナ。

そこで行方不明になっていた富豪の娘であるエスターという少女になりすまし、家庭に入り込みます。

ですがエスターが別人であると疑っている母親と対立し、リーナが一家を惨殺するというものです。

映画「エスター」では前の家族は火事で死亡しており、孤児院に引き取られているためリーナの勝利は確定していますが、どのように盛り上げてくれるのでしょうか。

なおリーナ役はイザベル・ファーマンが続投することに決定しています。

特殊メイクやカメラワークを駆使して、幼い頃のリーナを演じるらしいですね!
前日譚が出る前に、U-NEXTで「エスター」をおさらいしてはいかがでしょうか。

ピアノシーン削除で大激怒

ケイトはピアノの講師をしており、マックスや死産してしまったジェシカのために作曲だけでなく演奏をするシーンもあります。

演じているヴェラ・ファーミガはもともとピアノ演奏を趣味にしているほどの腕前を持ち、演奏シーンはもっと長かったのですが、監督が編集の段階で大幅にカットしたのです。

ヴェラはこのことに激怒し、DVDリリースの際はフルシーンを収録してほしいと嘆願したのですが、実際には収録されませんでした。

エスターがチャイコフスキーを完璧に演奏するシーンは隠された能力の片鱗を見せる恐ろしさがありますが、ケイトの演奏シーンは特にインパクトはないので、仕方ないでしょう。

エスターという少女の正体を考察

エスターは恐るべき殺人者で、自分の邪魔をするものに容赦しません。

実年齢が33歳という彼女がどういう人生を歩んできたかが終盤で明らかになりますが、開示されていない若年時の情報などもあり、謎に包まれています。

初期設定時に描かれていたエスターのルーツを紐解きながら、劇中に登場したキャラクターたちの反応や行動の意味を探っていきましょう。

初期の脚本に見られる幼少期

映像としては記録されていませんが、エスターはどのような生い立ちであったかが脚本の初期設定として、海外サイトなどで閲覧できます。

エスターは幼い頃から実の父親に性的虐待を受け、子供を作れない身体になってしまいました。

父親は別に愛人を作り、エスターに対して「お前は本当の女にはなれない」と侮辱するのです。

エスターは父親と愛人を殺害し、サールン・インスティチュートに送られます。病院を脱走した彼女はエストニアで違法な売春婦として働きますが、逮捕されました。

ですが逮捕時に子供を装ったため刑務所入りを免れ、孤児院に送られたというものです。

この他にエスターが、なぜ受け入れられた家庭で父親を誘惑するかについての記述もあります。

エスターは自分が大人の体になれないことに嫌悪感を抱いており、病気がトラウマになっているのです。

大人として恋人になり、妻になり、母になりたい彼女は、かつて子供のころに「愛されていた」と感じていた性行為を通じて、新しい父親と愛を育みたいと考えています。

それがかなわない時に、内に秘めた破壊衝動が解き放たれ、犠牲者を生んでいるのです。

このキャラクター設定は完成した「エスター」に活かされ、しっかりと描かれています。

なぜエストニアの精神病院に入っていたか

下垂体性機能不全によって子供の姿のまま成長しないエスターの出自は不明ですが、どのようにアメリカに渡り歩いてきたかは確認できます。

まずエスターはエストニアである家庭の養子として入り込み、家長である父を誘惑しようとして失敗し、結果的に家族を皆殺しにし、放火したのです。

凶行に及んだエスターですが、人格障害を認められ、刑務所ではなく精神病院である「サールン・インスティチュート」へ収容されました。

この病院を脱出してアメリカに渡り、行方不明になっていた娘になりすまして富豪の家庭に入り込むのですが、火事が発生し一家は全滅したため、孤児院へ入っています。

一見事故のように記録されていますが、おそらくエスターが家族を殺害したうえで火を放ち証拠を隠滅したと思われるのです。

詳しくは前述した「Orphan: First Kill」で描かれる予定ですが、設定が微妙に変わるかもしれませんね。

エスターの狂気を知っている人がいる?

自分の容姿を利用し、か弱い少女を装ってコミュニティや家庭に入り込んでいくエスターは、一見ちょっと変わっているところがあるものの、社交性のある知的な印象を与えます。

ですがその本質は、拘束具を着けられるほど凶暴で、拘束されても暴れるため首と手首に傷が残るほどです。

シスター・アビゲイルが管理していた孤児院ではある程度の期間をして過ごしていたようですが、いい子を演じていたため暴力衝動はある程度制御できています。

ただし少年がハサミで怪我をしたり、事故が発生した時に、必ずエスターがいたという記録もあり、気に入らない相手には牙を剥いていたようです。

気になるのは、シスター・アビゲイルがコールマン家にエスターを送り出すときの態度です。手を振って見送るアビゲイルは後ろ手で見えないように指をクロスさせています。

これはキリスト教徒に共通するサインで、「嘘をついていることを神に対して謝罪」しているのです。

このことから、アビゲイルはエスターが「いい子ではない」と分かっていてコールマン家に押し付けた可能性が充分にあります。

劇中では終始優しそうで、相談にも乗っていたシスターですが、彼女と孤児院が真相を知っているかどうかは明らかにならないままエスターに殺されてしまうのです。

エスターが危害を加えた被害者リスト

エスターはエストニアとアメリカで里親の家族を殺害した上に火を放ち、皆殺しにしています。

精神病院での記録では7人以上を殺害しているとありますが、孤児院に入る前にはそれ以上の数を殺しているはずです。

コールマン家に来てからも、学校でファッションをからかったクラスメートのブレンダを滑り台から突き落として骨折させています。

また彼女は、自分の正体を知るシスター・アビゲイルが運転する車の前にコールマン夫妻の娘マックスを突き飛ばして事故を起こさせ、アビゲイルをハンマーで撲殺するのです。

全てを目撃していたマックスですが、エスターに「バラしたら家族を殺す」と口止めされてしまいます。

隠していた証拠の品が夫妻の息子であるダニエルに見つかった際は、ツリーハウスに閉じ込めて火を付け、嬉しそうに火事を見つめるのです。

命からがら飛び降りたダニエルは病院に運び込まれますが、気を失っているダニエルに対しエスターは枕を押し付け窒息死させようとします。

コールマン夫妻の間に疑念を植え付け引き裂いたエスターは、ターゲットであるジョンに色仕掛けで迫りますが拒否され、ナイフで滅多刺しにするのです。

これだけの傷害、殺人を犯しても良心の呵責などが一切ないので、身体的な発育障害だけでなく、先天的にサイコパスである可能性を感じます。

なぜエスターの正体はバレなかったのか

エスターの実年齢は33歳で、入れ歯を使っており、首と手首に傷を隠すためのリボンを付けています。

正体が明かされるまで、ほとんどの人がエスターを子供と思っていましたが、なぜ今までバレなかったのでしょうか。

作中にあったシーンに注目しながら、その謎について考察していきます。

歯医者を嫌がるのは子供だからではない

コールマン家に加わったエスターは歯医者に行こう、と言われると父親のジョンに甘えるように行きたくないという意思表示をします。

一見、子供特有の歯医者嫌いに見せかけていますが、エスターは医者に歯の状態を見られれば子供でないことが明らかになるため、拒否しているのです。

彼女の歯は乳歯など1本もなく、それどころか健康状態の悪さやストレスが原因でボロボロになっており、日常的に入れ歯を使うレベルの生活を送っています。

細かく切らないと食べられない描写がありますね。
実年齢通りとしても歯の状態は非常に悪く、食事を摂るのも苦労するでしょう。

エスターがお風呂に鍵をかける理由

ケイトがエスターに対し、お風呂で事故が起きないようにとドアを開けておくように指示しますが、エスターは頑なに拒否します。

これは着衣の時にリボンで隠している、手首と頸部の傷を見られないためです。

傷が見つかれば、過去の虐待などを疑われ、警察などの調べを受けることになり、不都合な真実に辿り着かれる可能性があるため、徹底的に隠します。

自分の過去が明らかになってしまうことを恐れるエスターは、誰にも自分の傷を見せないのです。

骨折時に病院のチェックをすり抜けた真相とは?

エスターがコールマン夫妻の不和を呼び込むために、ケイトに握られた腕を万力で挟んで骨折させ、ケイトが暴力を振るったと思わせるシーンがあります。

エスターは病院で診察を受け、ギプスを付けて生活するようになるのですが、この治療のときに、医師の診察でエスターの年齢がバレなかったのが不思議で、調べてみました。

レントゲンから患者の年齢を推察するには一般的に左の手のひらを撮影し、構成している骨の成長具合で判断するとのこと。

エスターが折ったのは尺骨と呼ばれる前腕部を構成する骨なので、レントゲンでは手のひらを撮影されず、年齢はバレずに済んだようです。

ただし治療の際に手首のリボンは外すはずなので、その時に拘束具で付いた傷を見られていると思います。

この傷について追求がなかったのは、エスターが医師に対して何らかの脅しを仕掛け、情報が漏れるのを封じたのではないでしょうか。

腕が折れてでもジョンを手に入れたいというエスターの執着心が分かる、恐ろしい場面になっているのです。

リアルエスターとも言える事件が起きている

「エスター」が全米で上映された後の2010年に、物語が現実になってしまったかのような事件が発生し、話題を呼びました。

映画ファンからは「リアルエスター」と呼ばれている実際の事件について、ここでは解説していきます。

迎え入れた養女が怪しい?

アメリカ・インディアナ州に住むバーネット夫妻が、ウクライナ出身の8歳児であるナタリアを養子として引きとりました。

ですが女児であるはずのナタリアにはおかしな点がいくつか見られたのです。

ウクライナ出身なのに母国語は喋れず、英語は自由に話すことができ、訛りもありませんでした。

また8歳児のはずなのに陰毛や月経があり、趣味嗜好も年齢とはかけ離れているなど、怪しい点がいくつも見られたため、バーネット夫妻はナタリアを病院で検査します。

骨密度や精神年齢チェックを受けたナタリアは、少なくとも14歳以上であることが判明したのです。

情を見せたことで奇行が悪化していく

検査の結果を受けたバーネット夫妻はびっくりはしたものの、14歳はまだ子供ということでナタリアを育てる決意を固めました。

ですが検査結果が出てから、ナタリアは態度が豹変します。

周囲の子供に危害を加えたり、バスルームに血文字で「殺す」と書いたり、果てはバーネット夫人のコーヒーに漂白剤を入れて殺害しようとしたのです。

ナタリアの行動を恐れたバーネット夫妻は離れることを決意しますが、法的には8歳の少女であるナタリアと離れて暮らすと扶養義務の放棄として訴えられます。

そこで、バーネット夫妻はナタリアが成人していることを証明するため、多くの医療機関にナタリアを徹底的に検査してもらいました。

その結果と裁判を経て、養子として迎え入れてから2年後の2012年に、ナタリアの実年齢が22歳であることが確定し、法的にも扶養義務がなくなりました。

バーネット夫妻はナタリアを置いてカナダへ移住するものの、ナタリアが1人で生活できるように援助をし、家賃を払ったりとサポートしていたようです。

ですがこの話はここで終わりません。

一体誰が正しいのか分からない幕切れ

アパートに残されたナタリアは、2013年に警察へ行き、里親が扶養義務を怠っていると訴えたのです。

ナタリアが2010年に約8歳、2012年に11歳であったことを示す医師の報告書を提出し、バーネット夫妻は彼女の実年齢を偽っていると発言、夫妻は逮捕されました。

これを受けてバーネット夫妻は反訴に踏み切り、夫マイケルの弁護士は、「マイケルはナタリアが子どもであるとは知らなかった」と主張します。

妻のクリスティンさんはナタリアの告発を否定し、養子縁組が詐欺であったとSNSに投稿するなど反撃しました。

現在バーネット夫妻は保釈されていますが、夫婦は離婚し、肝心のナタリアは別の里親に育てられているという噂もありつつ、行方が分からなくなっています。

「エスター」ではエスターの死で決着がつきましたが、現実の事件は何も解決しておらず、映画よりも恐ろしく感じてしまうのです。

まとめ

子供の姿をした悪意が関わるものすべてに対し牙をむくという、日常に隠された恐怖を描いている「エスター」。

聴覚障害者であるマックスが使う手話で、エスターを示すハンドサインが「緊急事態」のサインと同じなど、随所にヒントはありますが、ケイトは気付かず追い詰められます。

ホラー・ヒロインとして名を上げ、前日譚の映画が作成されるほどの人気を得たエスターの可愛さと恐ろしさのギャップが魅力的な本作。

今一度鑑賞してみて、新作映画の公開に備えて復習しておきましょう。

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キューブ(徹底考察)レヴンは計算が苦手?立方体に刻まれた数字が示すヒントと解の矛盾 https://cinemaxina.com/cubequestion/ https://cinemaxina.com/cubequestion/#comments Tue, 27 Apr 2021 05:33:06 +0000 https://cinemaxina.com/?p=23654 「キューブ」は謎が多層構造になっており、物語が進むと解明される「ある法則」に従って組み立てられていることから、謎が明らかになる終盤でスッキリできます。 それと同時に、登場人物の緊迫感を重視したために、提示されている謎やキャラ設定にズレが発生し、作品の出来とは別に議論のタネになりました。 一定の法則を提示しながらも、最終

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「キューブ」は謎が多層構造になっており、物語が進むと解明される「ある法則」に従って組み立てられていることから、謎が明らかになる終盤でスッキリできます。

それと同時に、登場人物の緊迫感を重視したために、提示されている謎やキャラ設定にズレが発生し、作品の出来とは別に議論のタネになりました。

一定の法則を提示しながらも、最終的には雰囲気優先でルールを捻じ曲げた本作。

「キューブ」の中で案内人として数学の知識を担当しているレヴンのおかしな点や、数字による謎の仕組みと問題視されている矛盾についてお伝えしていきます。

初見では矛盾に全然気づきませんでした!
本作の見どころである人間関係の歪みが強調されていることで、観客を煙に巻いているともいえるね。

キューブ(1997年)

レヴンは数学を専攻する女子学生で退屈な毎日を送っていたが、ある日突然、見たこともない立方体の中で目を覚ます。

周囲には同じく、閉じ込められた際の記憶があやふやな男女が。

脱獄のプロだと語る男が脱出を試みるも、罠にかかって死んでしまう。

全員が持ち物をすべて没収されているにも関わらず、レヴンの眼鏡だけが残されていた事実によって彼女が謎を解くカギを握っていることが解る!

立方体を繋ぐ通路に刻まれた、3つの3桁の数字に気づいたレヴンは、この数字に一定の法則がありルールに従えば脱出できると考える…。

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素数の判断が遅すぎる

レヴンが立てた第1の考察は「素数がある立方体にはトラップがある」というものです。

ですがレヴンは3桁の数字を確認するとき、2と5で終わる3桁の数字を1つずつ確認し、時間をかけて「これは素数じゃない」と判断します。

2桁以上で2で終わるなら必ず2の倍数、5と0で終わる数字は必ず5の倍数になるので、1の桁に2と5があった瞬間「素数じゃない」と判断できるはずなのです。

しかしレヴンは最後の数字を確認するまでに相当な秒数をかけているため、素数を理解していない人のように見えてしまいます。

すべての桁の数字を足し算して(例:801なら8+0+1で9)、出た数字が3で割り切れればその数字が何桁であろうとも3の倍数という判別法もあるのですが、レヴンは使いません。

そもそも1桁~3桁まで使われているとしても、3桁までの素数は全部で168個しかないため、数学を専攻していればこのあたりの基礎知識はあるでしょう。

数字を解読する描写は必要なのですが、参照している数字が明らかに素数でないため、レヴンの頭の良さをアピールするシーンで反対のイメージを抱かせてしまっています。

3桁の因数の計算は天文学的ではない

レヴンが立てた第2の考察は、「因数が1種類の数字があったらトラップがある」というものです。

因数とは数字を分解した時に掛け算などで表される、小さい数字のことを指します。

たとえば121という数字があったら11×11のため、因数は1種類(11のみ)になり、トラップがあることになるのです。

レヴンが最初に考察した「素数がある場合罠がある」は「因数が1種類の場合罠がある」という考察を内包するので、謎の構造としては良く出来ています。

ですがハロウェイに「答えは出た?」と聞かれてレヴンは「天文学的数字よ!」といって逆上してしまうのです。

実は3桁の因数分解はパターン化できるため、数学を専攻していない人でも意外と簡単にできます。

まず31より上の素数を掛け合わせると合計が4桁になるため31以下の素数を使い、対象となる数字を31以下の素数(2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31)で割っていけば、因数を出せます。

多少時間がかかりますが、決して天文学的数字ではありませんし、そう表現するにはいささか難度が低いです。

数字の因数を瞬時に計算できるカザンは才能がありますが、困難な状況を描くためのセリフが過剰なため、数学好きの観客から文句を言われるようになりました。

レヴンは服のボタンを外して、立方体の金属部に式を書いて解いていましたね。
プラスチックと思われるボタンで金属に文字が書けるか?というところもツッコミポイントです。

立方体は17,576個もない

キューブの外殻を設計したワースの告白と数字の法則により、4メートル四方の立方体が26×26×26、つまり17,576個あると計算して絶望する一行。

レブンはキューブに刻まれた3つある3桁の数字をそれぞれ足すことで、立方体の座標となることを解明しますが、立方体が移動していることにも気づきます。

全部の空間に立方体があると移動が物理的に不可能なので、ある程度の空き空間が必要です。

つまり、移動できる立方体の数はそんなに多くないため、絶望する必要はないのです。

レヴンの「急いで!」という言葉に意味はない?

さらにレヴンの計算によると、ある法則に従って立方体は移動しており、3回移動することで立方体は元の座標に戻るといいます。

この移動の法則はかなりアバウトな計算で行われていて、3つある3桁の数字は、中央の数値を無視して計算しているのです。

このルールに従うと、別の座標にある2つの立方体が同じ座標に配置される式が成立するため、理論が崩壊します。

それを黙認した上でも、クライマックスでカザンを連れ戻すためにワースが移動しているとき、「次の移動で出口につながるから急いで!」と言うのは変です。

目標とする立方体が3回の移動で出口に繋がるのであれば、隣接している立方体も同じように移動するので、次のタイミングを待てば脱出できます。

逼迫したシーンを描くために、理論を投げ捨ててしまっているのはもったいないのではないでしょうか。

まとめ

「キューブ」は本当によくできている映画で、シネフィルとしては絶対に1回は見たほうがいい名作であることは間違いありません。

それを理解した上で、視聴していて違和感を覚えるため、追求すべく徹底解析するに至りました。

数学の専門家を呼んで制作に参加してもらったという噂もありますが、脚本家のせいなのか監督のせいなのか、シーンの絵作りを優先したため矛盾が発生したのです。

ですがミスしているところを差し引いても魅力的な映画なので、気になる方はぜひツッコミを入れつつ楽しんでください。

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キューブ(ネタバレ・考察)シチュエーション・ホラーの先駆け!後の世に影響を与えた作品の構造を知る https://cinemaxina.com/cube/ https://cinemaxina.com/cube/#comments Tue, 27 Apr 2021 04:56:32 +0000 https://cinemaxina.com/?p=22929 「キューブ」は1997年にカナダで制作されたシチュエーション・ホラーです。 1つの部屋と7人の役者のみを使うという超低予算映画でありながら、舞台を活かす設定と脚本がよく練られていたため高い評価を得ています。 約4,000万円の制作費に対し、全世界で約10億円もの興行収入を獲得し、観客と批評家たちに絶賛されシチュエーショ

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「キューブ」は1997年にカナダで制作されたシチュエーション・ホラーです。

1つの部屋と7人の役者のみを使うという超低予算映画でありながら、舞台を活かす設定と脚本がよく練られていたため高い評価を得ています。

約4,000万円の制作費に対し、全世界で約10億円もの興行収入を獲得し、観客と批評家たちに絶賛されシチュエーション・ホラーの金字塔として認識されたのです。

その結果、日本では配給会社が「キューブ」に似た名前を関係ない映画に付けてリリースしたため、本家の作品性と遠く離れたトンデモ映画が大量生産されました。

正当な続編である「キューブ2」「キューブ ゼロ」も監督が代わったせいか一作目に遠く及ばないクオリティになってしまったのも悲しい出来事です。

アイデアと見せ方で多くのファンに愛され、さまざまなジャンルのクリエイターたちに影響を与えた本作。

登場人物たちに付けられた名前や、2021年にリメイクされる日本版「キューブ」の話などを、トリビアや考察を交えつつ語っていきましょう。

「キューブ」のニセモノってどれくらい発生したんですか?
1997年から2014年までに8本と豊富に出ていますよ。詳しくは下のリストをどうぞ。

  • 「デス・キューブ」(1997年)
  • 「CUBE IQ」(1998年)
  • 「CUBE IQ/ハザード」(1999年)
  • 「キューブ・ネクスト」(2006年)
  • 「キューブ■レッド」(2007年)
  • 「キューブ・ホスピタル」(2008年)
  • 「CUBE ハザードX」(2009年)
  • 「ザ・キューブ ファイナル・トラップ」(2014年)

キューブ(1997年)

男は見知らぬ部屋で目を覚ます。

次々と扉を開き、脱出を試みるが仕掛けられていたトラップによりサイコロ状に切り刻まれ、命を落としてしまう。

謎の立方体の部屋に閉じ込められた5人の男女。お互い見知らぬ顔で、なぜここに連れて来られたのかも分からなかったが、同じ制服に同じ靴、胸のワッペンで名前は分かった。

脱獄のプロを自称する男が建物の危険性を察知し、攻略に乗り出すが、いともたやすく罠にかかり死亡する。

壮絶な状況、そして未知なる空間。

謎多き建造物の規則性や法則を解き明かしながら、脱出を試みるのだが…。

キューブ(ネタバレ・考察)

1つのセットに7人の役者を集め、20日間で撮影された本作はアイデアと撮り方次第で映画内の世界を拡張できると知らしめた画期的な作品です。

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督自身がベースとなる短編映画を作成し、脚本を書き加えて長編映画に仕上げました。

そんな作品の気になるトリビアをピックアップしていくので、ご覧になってください。

監督と役者が同じ高校に通ってた!

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督は、ワースを演じた俳優のデヴィッド・ヒューレットと同級生で、「キューブ」以降ナタリ監督の作品には全部出演しているほど仲良しです。

そんなヒューレットが一緒に劇をやっていたのがカザンを演じたアンドリュー・ミラーで、ナタリ監督へカザン役に推薦し、出演が決まりました。

限られた予算の中で良い人材を集めるのに、友達の輪を頼るのはどこの業界でも同じ現象に思えます。

続編は全く別物?

本作のヒットを受けて続編となる「キューブ2」(2002年)「キューブ ゼロ」(2004年)が撮影されましたが、オリジナルであるナタリ監督はどちらも参加していません。

「キューブ2」では単純な立体構造ではなく、隣り合ったキューブは別次元へと繋がっているなどSF要素が強くなり、オリジナルが持っていた閉鎖空間でのドラマが無いのです。

「キューブ ゼロ」では施設を監視している外側の人間を描いた前日譚的なストーリーになっていますが、ラストシーンがオリジナルに繋がっている以外は別物になります。

どちらも観た人によって評価が分かれる内容ですが、「キューブ」という作品を違うコンセプトで再生産するとこうなるのか、という気付きにはなるでしょう。

両方観たほうが良いですか?
「キューブ ゼロ」はオリジナルで謎だった部分が明らかになるから、観ても良いかもしれません。

トロントと「キューブ」のつながり

カナダのトロントはオンタリオ州にあり、カナダで最も大きな都市として知られています。また別の顔として、ハリウッド作品などのロケ地としてよく選ばれている場所なのです。

風景がニューヨークなどの都市に似ていて、撮影許可が取りやすく、撮影地の使用料が安いことなどがあり、映画関係者の中では重要な都市になっています。

「キューブ」が上映されたトロント国際映画祭は北米で最大規模の映画フェスで、上映された本作を観た観客は熱狂的に支持し、世界的なヒットに繋がりました。

また不思議な縁の1つとして、トロントに拠点を置く特殊効果会社のC.O.R.E.が「キューブ」のデジタル効果を無料で行ったことが挙げられます(会社はすでに解散)。

この行動はトロントの映画産業へのサポートを示すためだったのですが、カナダ産の映画を盛り上げたいという気持ちがあったのでしょう。

なおカナダ産の映画はジョークとしてよく使われるほど制作費を回収できないことが多い中、「キューブ」は世界中でヒットし制作費を回収できています。

カナダ産の映画で一番売れた作品てなんですか?
アメリカとの合作になるけれど、青春コメディ映画の「ポーキーズ」(1982年)が147億円を売り上げています。

登場人物の名前は世界中の刑務所がモチーフ

「キューブ」の登場人物たちは、それぞれ世界中の刑務所をモチーフに名前を設定されています。

それぞれモチーフになった刑務所の特徴がキャラクターの性格に織り込まれており、誰もが明かしていない「なぜこのメンバーが閉じ込められたのか」のヒントになっているのです。

登場するキャラクターの性質と、モデルとなった刑務所の特徴を併せて紹介しつつ、キューブにいる理由について考察していきましょう。

オルダーソン

映画の冒頭で登場し、キューブ内に仕掛けてあるトラップの存在をアピールするためにサイコロステーキ状にされてしまうオルダーソンですが、彼の由来はちょっと不思議です。

モデルとなっているのは、カナダとアメリカをまたぐアパラチア山脈のアメリカ側に位置するオルダーソン刑務所ですが、実はこの施設は女性専用なのです。

なぜ殺されてしまった男性であるオルダーソンに女性刑務所の名前が付いたのかは不思議ですが、最初に選ばれた理由は刑務所の中にありました。

比較的警備がゆるく、自由に過ごせるオルダーソン刑務所ですが、囚人たちは眠る時に1.5m×2.7mのサイズで作られた立方体の中にあるベッドで休むそうです。

オルダーソンという刑務所の名前を持つ人物が立方体の中で死ぬオープニングは、眠るときも安心できません、というある種のネタバレヒントだと思われます。

クエンティン

警察官であるクエンティンは、アメリカのカルフォルニア州にあるサン・クエンティン州立刑務所が名前の由来です。

カルフォルニアで最も古い歴史を持ち、全米でも札付きの凶悪犯罪者ばかりが集められるという恐ろしい場所でありながら、他の刑務所と比べて治安が良いことでも知られています。

またプログラムが充実しており、受刑者によっては刑務所内でも外部と連絡をとってビジネススキルを磨き、社会復帰をスムーズにしていることも特徴です。

作品内のクエンティンは警察官としてリーダーシップを取り、少ないヒントから可能性を見出して脱出のために他のメンバーを励まします。

ですがうまくいかないことがあれば感情的になり、攻撃的な面を見せるのです。

治安を守る一方で、ためらいなく人を殺してしまうという2面性が、名前の由来になっている刑務所の性質を表しているのではないでしょうか。

クエンティンがキューブに入れられた理由は、メンバーを牽引させるためだけでなく、内面の凶暴性を知られていてサンプルに選ばれた可能性が高いです。

レン

脱獄囚として有名で、「アッティカの鳥」の異名を持つレンは、フランスにあるレンヌ中央監獄から名前を採用されています。

この監獄は19世紀に最先端のデザインとして設計されており、少ない人数で全方位の囚人を監視できるシステム「パノプティコン」を取り入れられたのです。

デザインだけでなく、規律も厳しかったようで、レンヌ中央監獄は後の刑務所の模範として知られています。

獄房に収監された囚人が、見られているかいないかを知るすべもなく、すべての方向から監視されているという監獄建築は、まさに「キューブ」の極限状態のようです。

レンは序盤、脱出のプロとして皆を引っ張り、喉が渇かないようにボタンを口に含んで舐めろ、といった実用的なアドバイスをしてくれます。

立方体にセンサーやトラップがあることを感じており、頼もしい存在ですが、安全だと思った立方体に入ったレンはトラップにより亡くなるのです。

希望を提示しておいてあっさりと殺してしまうというこのシーンは、終盤に向けての伏線でありつつも、観客に対して集中力を切らせてはいけないと伝えているのでしょう。

ちなみにレンは劇中で「7つの刑務所から脱獄してきた」と言っていますが、これは登場する7人の名前の由来を説明するために仕込まれたセリフだと思われます。

レンがキューブに入れられた理由は、脱獄のプロにキューブは突破できるのかの実験だったのでしょう。

ハロウェイ

精神科医で陰謀論者の女性であるハロウェイは、イギリスにある女性専門の刑務所であるハロウェイ(ホロウェイとも表記)刑務所から取られています。

ハロウェイ刑務所の最大の特徴は、イギリスの女性参政権を求める運動をしていた「サフラジェット」と呼ばれる女性団体が主に収監されていたことです。

彼女たちは女性の人権が軽んじられていると主張し、収監されるとそれに対抗すべくハンガーストライキを決行します。

殉死を恐れた刑務所側はストライキをする女性たちを釈放し、健康になったらまた逮捕するという不思議なサイクルが生まれていました。

1959年ごろに女性向け刑務所としての改革が起こり、長期に収監されている囚人には自分の食器や写真、カーテンを持てるなど待遇が改善されています。

また一部の囚人は支援の一貫として、囚人と精神科医で家族グループを作る集団療法を取り入れるなどしてるのです。

ハロウェイは、自己主張が激しいところは過去の刑務所を、カザンの面倒を家族のように見るところは近年の刑務所を取り上げてキャラをデザインしたのでしょう。

彼女がキューブに入れられた理由は、精神科医ということから他の人間たちのメンタルを支えるために加えられたと思われます。

カザン

立方体を移動している最中に、上の立方体から落ちてきて仲間に加わるカザンは、精神を病んでいます。

彼の名前とキャラクターモチーフは、旧ソ連にあったカザン刑務所と呼ばれる精神の疾病を持つ囚人たちを集めた特殊な施設から付けられているのです。

彼の最大の特徴は驚異的な暗算能力で、3ケタの数字を素因数分解するスピードが圧倒的に速く、カザンの能力で一同は脱出の道を見出します。

このように発達障害などがあっても、特定の分野で常人にはない才能を発揮する症状を”サヴァン症候群”と呼ぶのです。

ちなみにカザンと名付けられていますが、おそらく彼の本名はエリック・ウィンで、サヴァン症候群を発症しているのではなく、もともと天才であった可能性があります。

気になる方は「キューブ ゼロ」をご覧になってくだされば、カザンがなぜキューブにいるのか説明されているので楽しめるかもしれません。

レヴンとワース

計算が得意な女学生レヴンと、キューブの外郭設計に関わっていながらキューブの中に閉じ込められているワースは、重要人物として注目を集めます。

この2人に関してはアメリカのカンザス州にあるレブンワース刑務所という名称を持つ2つの施設をヒントに、2人に分けて設定されているのです。

数学が得意で、キューブのルールに従って行動を決めるレヴンは、軍事刑務所であるレブンワース刑務所をモチーフにしており、厳格な規律に従うことを意味しています。

ワースは民間が経営しているレブンワース連邦刑務所から連想されており、キューブの存在が国家陰謀ではなく民間の誰かに依るものではないかと示唆しているのです。

レブンがキューブに入れられたのは、キューブの謎である数字の意味を理解できる人材がいないと実験が成立しないためでしょう。

ワースはキューブの秘密を知っていたため、おそらく口封じでキューブへ入れられたのです。

数字に強いレヴンはキューブの通路に刻まれた数字のルールを見つけ出し、法則や構造の謎を解いていきます。

ですがパニック描写を重視しているため、レヴンの能力と計算の難度が釣り合わないシーンがいくつか見られます。

詳しくは以下の記事を御覧ください。

「キューブ」で提示された謎について知りたい方はこちら

集められた登場人物が都合良すぎ?

オルダーソンを除く6人の登場キャラクターは、役割や性格を熟考したうえで選ばれたように感じますが、真相はどうでしょうか。

なぜこうなったのかを考察すると、監督が人間ドラマを掘り下げて撮影するために、この人選に落ち着いたのでしょう。

実は初期段階では、登場人物は全員が公認会計士になる予定だったそうです。会計士は会社のお金を管理したり、コンサルタント業務をしたりする職業です。

初期設定を聞くだけだと、全員すぐ死にそうな気がします。

制作陣も同じ結論に至ったのか、登場人物は一新された結果として適材適所の働きをみせ、緊張感の中で精神が壊れていきます。

本作がホラーであると同時にサスペンス・ミステリーの分類がされているのはこの人選がうまく機能し、極限状態で変化する心理を描けているからです。

キューブであらわになる隠された人間性

特定のシーンに限定して、物語が展開していくジャンルはソリッド・シチュエーション・スリラーと呼ばれています。

限られた環境での精神状態の変化による人間関係の悪化がウリで、この系列の元祖として名を馳せた本作は、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督を一躍スターダムに押し上げました。

理由もなく立方体の中に人を閉じ込める謎の存在を明らかにせず、極限状態の人間たちが追い詰められ、本性が暴かれる緊張感を90分で描ききった手腕は見事です。

明らかにされてないことで観客のイマジネーションを掻き立てた「キューブ」が発信しているメッセージと、登場人物の変化を考察していきましょう。

トラップで死ぬのは2人だけ

オープニングでオルダーソンがワイヤートラップで死亡するのは、「この立方体は危険である」という観客への説明です。

そしてそれを補足するように、センサーの存在や種類を把握しているはずのレンが酸を浴びて死亡し、脱出のプロでもルールが分からなければ死ぬことを提示しています。

普通のホラーと「キューブ」が違うのは、やみくもに登場人物を殺していく物理的な怖さではなく、危険度を提示した段階でトラップによる死者は出さないところです。

危険なシチュエーションを突破していき、明らかになる謎とあらわになる人間の本性を描くことで、ドラマとしての深みを出すことに成功しています。

クエンティンの反転

クエンティンは警官をしていた経歴を活かしてリーダーシップを取り、メンバーを鼓舞しキューブからの脱出を果たそうと奮闘します。

ですが自分の言いなりにならないカザンや、ハロウェイとワースのように反対意見を出してくる存在が現れると、クエンティンは苛立ちを隠せません。

外壁を調べていたハロウェイを助けられたのにわざと落としてからは、死の恐怖はキューブではなくクエンティンによるものとなるのです。

最終的にクエンティンはレヴンを刺殺し、ワースにも致命傷を与えるものの、脱出しようとしたところでワースに動きを止められ、キューブの移動によって圧死します。

クエンティンはリーダーでありながら脱出の役に立つ行動は何もできず、他のメンバーの能力や知識に頼るばかりでした。

悪者が悲惨な最期を遂げる、因果応報を感じる展開は、監督から観客への「こういうシーン好きでしょう?」という目配せを感じます。

カザンは悪意がないから生き残れた?

途中からメンバーに加わったカザンはサヴァン症候群の持ち主で、他者とのコミュニケーションがうまく取れない代わりに、驚異的な暗算能力を持っています。

最初に発見されたときも、他の立方体に移動することに怯えを見せていたことから、彼なりの安全な法則があるのでしょう。

メンバーたちはカザンを見て一様に「面倒な人が加わったな」と考えています。精神に障害があり、コミュニケーションができない彼は脱出の邪魔になると判断したからです。

初対面のときにはカザンが能力を持っていることが明らかにされていないため、精神科医のハロウェイだけがカザンの味方となり、博愛精神を見せるようになります。

結果的に、カザンは唯一キューブから脱出できた人間でした。光の中に向かって進むカザンを見せて物語は終わるのです。

他の人物たちは大なり小なり他のメンバーに対して憎しみや怒りといった悪意を感じていましたが、カザンはそういう感情を持っていなかったため生き残ったのでしょう。

ちなみにナタリ監督が編集作業で最初に手を入れたのが、ラストでキューブの外が写っているシーンのカットだったそうです。

このことからも、光は希望や未来を観客に連想させつつキューブの正体は謎のまま残し、観客それぞれのイメージをかきたて語り合える余地を残したのでしょう。

「キューブ ゼロ」を観ると、この余韻を残すラストシーンが別の感情に変わります。

キューブの色とメッセージの連動

立方体はそれぞれ色が異なっており、白や赤、青、緑などカラフルです。

立方体の色分けは、罠の有無や位置などの情報と関係しませんが、色と連動してドラマが動くなど、共通する部分があります。

映画「キューブ」が撮影されたときの事情と、立方体の色によって伝えられているメッセージを解説していましょう。

映画の撮影時は時系列ではない

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督は、撮影を開始するときに時系列で進めていきたいと考えていました。

ですがキューブのドアがうまく作動しなかったことと、キューブの色を変えるのにとても時間がかかることから、キューブの色ごとに撮影して後から時系列に編集しています。

最初は赤の立方体のシーンをまとめて撮影したのですが、この撮影の中に、ワースが他のメンバーに謎の建造物を設計したことを告白するシーンも含まれていました。

ワースを演じたヒューレットは核心に迫る場面に緊張したそうですが、告白が終わったときに言う「すっきりした」というセリフは本音に近かったそうです。

出演者は撮影当初、ずっと赤のキューブの中で演じていたので、赤いキューブの撮影がどんどん嫌いになっていったとのこと。

一番好評だったのが白のキューブとのことで、事情を知った上で再度鑑賞してみると気づきがあるかもしれません。

立方体の色が示す状況の変化とは?

立方体の色はルールではなく、登場人物たちの心情や状況を表しています。

赤の立方体では対立や死、苦痛を描いています。前述したワースの告白による内部対立や、クエンティンが暴走しての殺人などは赤いキューブで発生するのです。

白は発見を表しており、閉じ込められたキャラクターたちが何かを発見するときは白いキューブになります。

レヴンが長い移動の果てに自分の眼鏡の割れたレンズを拾うシーンも白いキューブで見られ、立方体はループして元の位置に戻っていることを発見するのです。

日本版「キューブ」の発表

2021年の10月22日に公開される日本映画「キューブ」は、初めてヴィンチェンゾ・ナタリが公認したリメイク作品です。

登場するトラップや立方体、男女6人が集まり脱出を目指す設定はオリジナルを踏襲しつつも、閉じ込められた人間たちのキャラクターに変化を持たせて独自性を出しています。

またリメイク版では立方体の中にいる人間が殺意を抱くと照明が赤くなるらしく、誰が殺意を持っているのか?というデスゲーム内での読み合いが楽しめそうです。

日本で「キューブ」がリメイクされたのは唐突な話ではなく、コロナウィルスのパンデミックに前後した上映映画の興行収入が関係しています。

「ミッドサマー」(2019年)「犬鳴村」(2020年)「事故物件 恐い間取り」(2020年)などが公開され、軒並みヒットしたため日本でホラーが流行ると感じたのかもしれません。

出演は菅田将暉、杏、岡田将生、田代輝、斎藤工、吉田鋼太郎が決定しており、ナタリ版「キューブ」を超えることができるのか楽しみです。

幅広い世代から才能ある俳優たちを集めていますね!
女性が一人だけになったので、女性をめぐるドラマ展開とかありそうで楽しみです。

まとめ

1997年の公開から多くの人の心を掴んで離さない、密室系シチュエーションスリラーの先駆けとなる「キューブ」は、多くのホラー映画が誕生するアイデアの素として評価されています。

トラップが人を殺すのではなく、環境によって人が人を殺すという描写は一時期人気を博したデスゲーム系の源流になっているのです。

また、後に低予算映画として登場し大人気シリーズとなった「SAW」(2004年)などに多大な影響を与えている本作は、優秀なアイデアを上手に映像化しているためいつ観ても古さを感じません。

ぜひ日本版「キューブ」を鑑賞する前後に、オリジナルであるこちらの「キューブ」を楽しんでみてください。

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タイタニック(ネタバレ・考察)ディカプリオが主役に選ばれた理由!緊迫感のある映像の秘密とは? https://cinemaxina.com/titanic/ https://cinemaxina.com/titanic/#respond Wed, 21 Apr 2021 01:52:44 +0000 https://cinemaxina.com/?p=21020 「タイタニック」は、1997年に公開されたラブロマンス・パニック映画です。 公開当時、世界での興行収入が25億ドル(2,625億円)で、「アバター」(2009年)に抜かれるまで世界歴代映画興行収入が12年間第1位を記録しました。 1912年に実際に起きた英国客船タイタニック号沈没事故を基に、貧しい青年と上流階級の娘の悲

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「タイタニック」は、1997年に公開されたラブロマンス・パニック映画です。

公開当時、世界での興行収入が25億ドル(2,625億円)で、「アバター」(2009年)に抜かれるまで世界歴代映画興行収入が12年間第1位を記録しました。

1912年に実際に起きた英国客船タイタニック号沈没事故を基に、貧しい青年と上流階級の娘の悲恋を描いて世界中の人々の涙を誘い、不朽の名作として長く語り継がれる作品です。

監督はジェームズ・キャメロンで、当時まだ世界に知られていなかった主演レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの二人を一気にスターダムへと押し上げました。

そんな「タイタニック」についての魅力を様々なトリビアや考察・ネタバレと併せて紹介していきます。

タイタニック(1997年)

1912年、若き画家ジャック・ドーソンは幸運にもポーカーで勝利し、超豪華客船タイタニック号のチケットを手に入れる。

売れない画家としてその日暮らしの生活をしていたジャックは、タイタニック号と共に夢と希望を抱きアメリカへと向かうのであった。

上流階級の美しい女性ローズは政略結婚を苦にし自殺を図るが、偶然にもジャックによって命を救われる。

次第に惹かれ合う二人、しかしローズには婚約者が、そして二人には身分の差という大きな障害があった。

ひとときのスリリングな恋を楽しむ二人であったが、氷山へと衝突したタイタニック号は海へと沈み始め、船内はパニックと化す。

沈みゆくタイタニック号の中、二人の命運は、そして恋の行方とは…。

タイタニック(ネタバレ・考察)

映画「タイタニック」は様々なトリビアが存在する映画です。

これらを知る事で、もっとこの映画を楽しむ事ができます。

ジャック役は当初マシュー・マコノヒーだった!!

ジャック役として製作会社が推薦したのが、実はマシュー・マコノヒー。

他にもクリスチャン・ベール、ジョニー・デップ、ブラッド・ピット、マコーレー・カルキンらの名前が挙がっていたそうです。

しかし、キャメロン監督はディカプリオを主役にしたいと主張し続けたといいます。

映画の冒頭で、ディカプリオ演じるジャックが、ポーカーに勝ってタイタニック号のチケットを入手し、船首で「世界は俺のものだ!!」と叫ぶシーンがありました。

その時のディカプリオのなんと初々しく希望に満ちている事か!!

当時のディカプリオほど美しく光り輝く俳優が他にいたでしょうか?

キャメロン監督の選択は正しかったといえます。

ローズ役はグウィネス・パルトロウになるはずだった?

ローズ役にも複数の女優が候補に挙がっていて、その中の1人はグウィネス・パルトロウでした。

それ以外にもジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、クレア・デインズ、アンジェリーナ・ジョリー、ニコール・キッドマンなど、美人女優が候補にひしめいていたそうです。

なぜ、ローズ役はケイト・ウィンスレットだったのでしょうか。

監督が、ローズ役の人物設定をインタビューでこう説明していました。

「陶器のように美しいが、上流階級に属し自由に生きられない」

監督は、手を触れてはいけない陶器のような高貴さをローズ役の女優に表現して欲しかったと思われます。

だからこそ身分違いの恋が際立ち悲劇となるのです。

確かにスクリーンの中のケイト・ウィンスレットは美しく、白い陶器のようでした。

監督の選択はここでも間違っていなかったという事ですね。

ラストシーンの時計が指す2時20分は?

映画の最後、年老いたローズが目を閉じた後、タイタニックの大階段でローズがジャックと再会するシーンで、時計が2時20分を指しています。

これはタイタニックが沈没した時刻だそうです。

また、この映画の上映時間は、2時間40分間です。

この上映時間は、タイタニックが氷山にぶつかってから沈没するまでの時間と同じといわれています。

そして、映画では、見張りの船員が氷山に気付いてから船がぶつかるまでに37秒かかっていますが、実際の秒数も37秒だったそうです。

スタッフのこだわりが感じられますね。

ジョセフィーンとは誰?

ローズが船首でジャックに支えられて手を開き「私、飛んでるわ!!」と言う有名なシーンで、ジャックが「ジョセフィーン」の歌をささやくように歌います。

ジョセフィーンって誰?と思われた方が多いのではないでしょうか。

この歌は、1910年にアメリカで大ヒットした歌「カム・ジョセフィーン・イン・マイ・フライングマシーン」で、「おいでジョセフィーン、僕の空飛ぶマシーンに乗って」とジャックが歌うのです。

この歌はタイタニック沈没後、二人が海に投げ出され、ローズが浮いた板切れに乗って救命船を待っていた時、彼女によってもう一度歌われます。

これは、ローズがタイタニックから救出された後、ジャックとの約束により「貴族の身分を捨て思いのままに広い世界に飛んで行く」事を象徴しているのです。

主題歌を作らない予定だった!!

「タイタニック」製作時、キャメロン監督の構想では主題歌は作らない方針でした。

しかし、音楽担当のジェームズ・ホーナーと作詞家のウィル・ジェニングスは秘密裏に歌姫セリーヌ・ディオンに接触し「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」の曲を完成させたのです。

デモテープを聴いたキャメロン監督が絶賛し、主題歌として正式採用される事になりました。

当初セリーヌ・ディオンの歌が無かったなんて驚きですね。
今ではあの名曲無しには「タイタニック」をイメージできないですよね。

上流階級マナー指導を徹底されたエキストラたち

通常エキストラは重要な役どころではありません。

しかし、キャメロン監督はエキストラ150人以上と話し、彼らに役名とその役の生い立ちを伝え徹底した演技指導をしました。

さらに一等客や船員を演じるエキストラたちには「上流階級マナー指導」を受けさせました。

どんな小さな役にも妥協を許さない姿勢がうかがえます。

そして、あの優雅な雰囲気作りに成功したのです。

客室やレストランなどの調度品類はタイタニックで実際に使用されたものをカーペットからスプーン・フォークに至るまで完璧に再現したといいます。
監督はインタビューで「沈没する前が美しく優雅だからこそ沈没してからの悲劇が際立つ」と語っていました。

コルセットに象徴される上流階級の縛り

ローズが船内の部屋で、母にコルセットの紐を締めてもらう場面がありました。

母はローズに言います。「もううちにはお金が無いのはわかっているわよね?家名を残すにはあなたがお金持ちのキャルドンさんと結婚するしかないのよ。私を路頭に迷わせたいの?」

この母親のセリフで、ローズの婚約はお金のためでローズの意思によるものではない事がわかります。

彼女は家名のために好きでもない人と結婚しなくてはならなかったのです。

文字通りコルセットで腰を縛り付けられているかのように家名に縛られ、ローズに自由はありませんでした。

「碧洋のハート」のペンダントは実在した?

ローズの婚約者・キャルドンは、青いダイヤモンドのペンダント「碧洋のハート」をローズに贈りました。

ローズが「このペンダントのみ」を身に着けてジャックに絵を描いてもらうドキドキするシーンがありましたが、このペンダントは、実在するジュエリーではないようです。

ただし、アイディアの基になったのは、生存者の一人ケイト・フローレンス・フィリップスが所有していた青いサファイアのペンダントだといわれています。

このサファイアは彼女と一緒にタイタニック号に乗船していた恋人からプレゼントされたもので、二人は不倫の末にフランスからアメリカへ向かう途中であの事故に遭遇したとの事。

女性は一命をとりとめたものの、相手の男性はその時死んでしまったそうです。

ジャックとローズは架空の人物ですが、モデルはこの二人だといわれています。

主役二人にはモデルがいたのですね!
約100年前の恋人たちに思いを馳せると切なくなってきますね!!

緊迫感あふれる映像の秘密

この作品は、アカデミー賞11部門(作品賞、監督賞、視覚効果賞、撮影賞など)を受賞し「ベン・ハー(1959年)」「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年)」に並ぶ偉業を達成しました。

特に、船内に水が入ってきてから沈没するまでの映像は迫力がありましたね。

当時は、まだCGの技術が発達していなかったので、かなりの部分がセットやミニチュアでの実写で撮影されたといいます。

撮影時の苦労をみてみましょう。

1日で約5,400万円の費用を費やした撮影

本作品の撮影のために、300mのプールにタイタニック号のほぼ実物大の大きさのレプリカが浮かべられました。

このレプリカは、経費削減ために船の右側だけしか建造されていませんでした。

史実では船が左側を接岸したためにサウサンプトン港を出航する時のシーンは、出演者の衣装や看板の文字を左右逆にして撮影し、フィルムを反転したそうです。

このシーンは1日で約5,400万円の費用を費やしたといいます。

ケイト・ウィンスレットは体当たりの演技で肺炎に

船全体を上から撮っているシーンでは、船のミニチュアを撮影して乗船客のCGを入れ込んでいきました。

CGの技術が進んだ現在なら、全てCGで10分の1以下の経費で作れるといいます。

そして、船内の廊下に、どっと海水が入っていく様子は、船内の廊下のミニチュアを作りポンプで水を注入しました。

また、主役二人が船内を逃げ惑うシーンでは、プールにセットを沈めての撮影です。

ケイト・ウィンスレットは、ドレスを着ていたので服の下にウェットスーツが着られず、あまりの水の冷たさに肺炎になりました。

沈没シーンは史実通り

人々が海に投げ出されるシーンでは、船のミニチュアとほぼ実物大のレプリカを使いプールで撮影しました。

監督は水の勢いが十分ではないとして何度も撮り直したそうです。

撮った後、水中に沈んだ船体のセットを油圧ジャッキで浮上させ、濡れた甲板をスタッフがガスバーナーで乾かして再度撮影をし直しました。

また、沈没のため振り落とされる人影はCGでした。

しかし、海面に対してほぼ垂直になった船の甲板を人が滑り落ちる様子は実写で、スタントマンたちがキャスターの付いたソリを身体に括りつけて落下しました。

さらに、晩冬の北大西洋の真夜中の冷気を表現するために、人々の白い吐息をCGで追加したそうです。

これらは、歴史家の立会いの下、ほぼ史実通りに再現されました。

莫大な製作費のために監督は家を売却

映像に徹底的にこだわったため、製作費は膨れ上がり、2億9千万ドル(303億円)までになりました。

製作費としては2009年まで映画製作費歴代1位でした。

監督は自分の給料を返上し、さらに自宅を売却して製作費に当てたという事です。

そういう苦労が実って数々の輝かしい賞を受賞したのですね。
緊迫感のある映像を作るその熱意に感動しますね。

海中に沈みゆくジャックのなきがら

やがてタイタニックは沈没し、ジャックとローズは極寒の海へ投げ出されます。

当時、海へ投げ出された乗船客たちは、10分~20分程度で低体温症により命を落としました。

ジャックは、浮いている板切れにローズを載せて、自身は板切れに手を掛けて海水に身を晒します。そしてローズを励ますのです。

「約束してくれ。こんなところで君は死ぬんじゃない。この先、子供をたくさん産んで、最後は温かいベットで死ぬんだ。いいね」

そう言ってジャックは、ついに力尽きるのです。

ローズは泣きながら震える手でジャックの手を板切れから引き剥がし、海中に沈めます。

海中に沈めたというより、「海底を墓に見立てて彼のなきがらを埋葬した」というのが彼女の本当の気持ちに近いのではないでしょうか。

そしてそれはジャックとの約束通り自分の力で強く生きていくと決意した証なのです。

ローズは、ホイッスルを吹いて救命ボートに助けを求め、救助されるのでした。

ジャックの苗字を名乗った理由

ローズは救助されて客船カルパチア号に乗ります。船員に名前を聞かれた時、こう名乗ります。

「私はローズ・ドーソンよ」

「ドーソン」はジャックの苗字です。

ローズがこう名乗ったのは、もう二度と貴族のような自由の無い身分にはならず自分の意思で生きる決意をした事を意味しています。

本当の家名を言ってしまうと、生き残った母親や婚約者に探されて見つかってしまい、また家へと戻されてしまうからです。

そして、「自分をあらゆる意味で救ってくれたジャックとの約束を胸に生きていく」という強い思いが、「ドーソン」と名乗った事に表れています。

折しもカルパチア号は「自由の女神像」を通り過ぎます。

ジャックが目指していた自由を象徴する新天地ニューヨークに着いたのです。

ローズは彼の分まで生きていくと決意したのでしょう。

84年越しの結婚式

1996年、タイタニックの思い出を語り終えた年老いたローズは、ペンダント「碧洋のハート」を海へ投げ入れます。

なぜ思い出のジュエリーを投げ入れたのでしょうか。

死を間近に控えたローズが「ジャックと一緒になる」ために海へ投げたのでしょう。

そしてジャックとの約束通りに過ごした、充実した自分の人生を写した写真に囲まれて、静かに目を閉じます。

すると、映像は、突然タイタニックの大階段になるのです。

時計の前でジャックが振り向くと、ローズがやって来て二人はキスをします。

乗船客たちが祝福の拍手をして映画は幕となります。

この時、ローズが着ていたドレスが白いドレスだったのがいいですね。

つまり、彼女が着ているのはウェディングドレスなのです。

実現しなかったジャックとローズの結婚式は、この時ローズの心の中で実現しました。

まとめ

ジャックとローズのドラマだけでなく、登場人物の様々な人生のドラマが紡がれる「タイタニック」。

ラブロマンスとパニック要素、歴史的背景が観られる一級のエンターテインメント作品となっています。

アカデミー賞11冠を達成するだけの事はあるこの映画をぜひご覧ください!!

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スマホを落としただけなのに(ネタバレ・考察)恐怖を感じる理由を徹底考察!何故、加賀谷は犯人の居場所がわかった?ラストシーンの意味とは? https://cinemaxina.com/sumahowootositadakenanoni/ https://cinemaxina.com/sumahowootositadakenanoni/#respond Wed, 27 Jan 2021 03:15:48 +0000 https://cinemaxina.com/?p=19396 映画「スマホを落としただけなのに」は2018年11月2日に公開されました。 主演に北川景子を迎え、監督は「リング」「仄暗い水の底から」などのホラー作品を手掛けた中田秀夫です。 恋人がスマホを落とした事をきっかけに、平穏だった日常が狂い、とある殺人事件にまで巻き込まれていく主人公の姿を描いたサスペンス・ムービーとなってい

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映画「スマホを落としただけなのに」は2018年11月2日に公開されました

主演に北川景子を迎え、監督は「リング」「仄暗い水の底から」などのホラー作品を手掛けた中田秀夫です。

恋人がスマホを落とした事をきっかけに、平穏だった日常が狂い、とある殺人事件にまで巻き込まれていく主人公の姿を描いたサスペンス・ムービーとなっています。

今回は「スマホを落としただけなのに」から映画のネタバレ・考察、あらすじや作品の小話をご紹介していきたいと思います!!

スマホを落としただけなのに(2018年)

主人公の稲葉麻美(北川景子)は仕事にも恋愛にも恵まれ順調な毎日を過ごしていた。

そんなある日、麻美の恋人である富田誠(田中圭)がタクシーの中にスマホを置き忘れてしまう。

その事を知らない麻美が誠のスマホに電話をかけると、そこからは知らない男の声が。

びっくりする麻美であったが、「落とし物としてカフェに届けておく」という男の言葉に安堵し、その後スマホは無事、誠の元に戻ってくるのであった。

しかし、その日を境に麻美と誠の周りでは不可解な出来事が起き始める。

同じ頃、丹沢の山中で若い女性の遺体が次々と発見されるという事件が起きる。

遺体にはどれも黒髪の一部分を切り取られ、腹部をメッタ刺しにされているという共通点があった。

刑事の毒島徹(原田泰造)と加賀谷学(千葉雄大)は早速捜査開始に踏み出すが…。

スマホを落としただけなのに(ネタバレ・考察)

映画には必ずといっていいほど、興味深い裏話や小話、トリビアが存在するものです。

「スマホを落としただけなのに」にはどんな小話が存在するのでしょうか

原作は傑作ミステリー小説!!

映画「スマホを落としただけなのに」の原作は、志駕晃のミステリー小説です

志駕晃は何とも異色な経歴の持ち主で、ニッポン放送でラジオディレクターを務めた後、50歳を越えて作家デビューを果たしたのだとか!

小説「スマホを落としただけなのに」は2016年の第15回“このミステリーがすごい!”大賞で最終選考まで残りました。

惜しくも大賞は逃しましたが、その面白さが評価され、編集部推薦で出版に至ったのだそうです。

ちなみに、選考時のタイトルは「パスワード」というものでした。

映画と小説では異なる点もありますが、小説を読んでから映画を観たり、映画鑑賞後に小説を読むと、もっと楽しめる作品だといえます

小説は第3弾まであって「スマホを落としただけなのに ~戦慄するメガロポリス~」という題名となっています!!

セルフパロディ満載の映画!?

映画「スマホを落としただけなのに」の監督はジャパニーズ・ホラーの巨匠と呼べる中田秀夫監督です

中田秀夫監督といえば、映画「リング」の大ヒットで一躍脚光を浴びた監督といえるでしょう。

「リング」は日本だけでなく他国でも一種の社会現象を巻き起こした映画で、ハリウッド版も製作されました。

「リング」といえば一番に思いつくのはやはり“貞子”の存在です。

「スマホを落としただけなのに」の犯人は長い黒髪のカツラを被っており、白いサマードレスを着ています。

この描写は原作にはなく、中田監督が自身で考えたアイデアで、「リング」の貞子を連想させるセルフパロディの意味がこめられている描写なのです。

また「リング」の前身となる中田監督のホラー映画「女優霊」でも長い黒髪で白いワンピースを着た幽霊が登場します。

「スマホを落としただけなのに」には幽霊は登場しませんが、今作品は「リング」や「女優霊」を連想させる要素が詰まっている映画といえるでしょう。

“貞子”といえば長い黒髪の幽霊ですよね。あの作品は怖かったです!!
テレビから出てくるという発想が斬新で、あの作品を超えるジャパニーズ・ホラーはなかなか出てこないのではないでしょうか!?

この映画に恐怖を感じる理由とは?

本作品は、幽霊が出てくるようなホラー映画ではありません

しかしある種の“恐怖”を感じるのは何故なのでしょうか?

そこを考察していきます。

スマホという身近なものを題材としている

現代人にとってスマホは肌身離せない、貴重品と呼べます。

家にスマホを置き忘れたり、スマホが丸一日いじれない状況になったりすると、妙にそわそわと落ち着かない経験をした事はありませんか

それだけスマホは現代社会に浸透しています。

“スマホ依存症”という言葉があったり、電車やバスの中でもほとんどの人がスマホをいじっている姿は、もはや当たり前になっている光景です

そのスマホがある日突然、自分への凶器となってしまったら、「怖い」という言葉ではすまされない程、恐怖を感じるものとなります。

スマホの存在が当たり前となった現代、スマホは便利なツールであると同時に、それを悪用する人物の手に渡ってしまったら、厄介という言葉ではすまされないのです。

人間関係が崩れていく恐怖

この「スマホを落としただけなのに」という映画では、主人公の麻美とその恋人である誠に不可解な出来事が連続して起きます

身に覚えのないクレジットカードの高額な請求、見られたくない自分の過去の写真の流出、なりすましによるネットストーキングなど次々に麻美達に悲劇が起こるのです。

そして一連のそういった出来事によって、麻美と誠の関係、麻美を取り巻く周囲の人々との間に亀裂が生じ始めます

それが犯人の狙いなのです。

麻美を孤立させる事で、犯人は自分の不遇な過去と同じ想いを味あわせたいといえます。

長い黒髪だったが故に犯人に狙われてしまった麻美。

犯人は最後の最後までわかりませんが、スマホを落としただけで自分が今まで築いてきた人間関係が一瞬で壊れてしまうのです。

そういった怖さを描いているのがこの作品の一つの特徴といえます。

登場人物が皆、秘密を持って生きている

この映画に出てくる登場人物は、皆どこかに秘密を抱えて生きています

ラストシーンに向かうにつれ、その秘密は暴露されていく形となりますが、序盤から全員が犯人に見えるような異様な雰囲気を醸し出しているのです。

この映画が伝えたい事とは、結局この世で一番怖いのは、幽霊などではなく“人間”という事を言いたいのではないでしょうか。

信頼していた人が突如豹変したり、人には言えない過去を持っていたりと、この映画にはたくさんの“秘密”が溢れています。

この作品はサスペンスですが、一種のホラー感覚も秘めた映画です

それは“人の心の中に住むホラー”と呼べます。

今作品は人間の恐ろしさや醜さ、表の顔と裏の顔、過去のトラウマなど様々な要素を持った人間が織り成す上質のホラーなのです。

主役の麻美にも過去に隠された重大な秘密があるので、そこも要チェックですよ!!

何故、加賀谷は犯人の居場所がわかったのか?

加賀谷はIT関係の会社を辞め、刑事への道へと進んだ異色の経歴を持つ、新米刑事です。

パソコンを駆使して犯人へと辿り着きますが、何故、加賀谷は犯人の居場所がわかったのでしょう

似た境遇で育った加賀谷と浦野

麻美と誠を恐怖に陥れ、黒髪の女性だけを狙った殺人事件の犯人は浦野でした。

浦野は麻美の知り合いの部下であり、ITセキリュティのスペシャリストです。

しかし、それは表だけの顔で、麻美の知り合いの部下というのも全くのでたらめでした

浦野の正体はクラッカーだったのです。

クラッカーとはコンピューターやネットワークを悪用するコンピューター犯罪者の事で、誠のスマホを拾ったのをきっかけに、綺麗な黒髪ストレートの麻美を殺そうと企んでいました。

新米刑事の加賀谷と猟奇的な殺人犯・浦野には共通点があります。

それは幼い頃、実の母親から虐待を受けていた事です。

浦野の隠れ家が廃園となった遊園地であった事を勘で見抜いた加賀谷ですが、これは虐待を受けた彼だったからこそ、見抜けた事なのです。

遊園地は子供と親の象徴ともとれます。

メリーゴーランドに乗って楽しそうに笑う親子のシーンがありますが、このシーンは加賀谷や浦野が“こんな風に愛してほしかった”という理想のシーンなのです

犯人である浦野の居場所がわかったのは、加賀谷が浦野と同じ辛さを幼い頃味わっていたからといえます。

犯人であるとわかった後の成田凌演じる浦野の豹変ぶりは、怖すぎます!
まさに怪演という言葉がぴったりでしたね!

状況によっては加賀谷も犯人になりうる

似た家庭環境で育った加賀谷と浦野ですが、一方は正義を追い求める刑事に、そしてもう一方は残忍な猟奇殺人鬼へとなります。

逮捕され、取調べを受ける中で浦野は加賀谷に対して「あんたも俺と同じか」という台詞を吐きます。

浦野は加賀屋の幼少期を知っているわけではなく、直感的に加賀谷を見てそう思ったのです。

これは場合によっては刑事である加賀谷も道を踏み外し、浦野のような殺人鬼へとなりうる可能性がある事を示唆しているといえます。

加賀谷の癖として耳たぶを触る癖がありますが、これは母親の愛情を欲している加賀谷の無意識の行動です。

浦野が黒髪ストレートの女性ばかり狙ったのも、腹部を執拗に刺したのもこれには意味があります。

「あんたなんか産まなきゃ良かった」という言葉を浦野に浴びせた母親は黒髪のストレートでした。

そして腹部を刺したのはそこが赤ん坊という生命が宿る場所だからです。

浦野は冷酷な殺人鬼ですが、母親にただ愛してほしかっただけといえます。

しかし、それが人を殺していい理由とはなりません

そして加賀谷は刑事という職業に就きましたが、いつ自分も同じ状況になるかわからないという不安や葛藤を抱えて生きているのです

加賀谷と浦野の対比、これがこの映画を興味深くさせる一種のスパイスともなっているといえます。

ラストシーンの意味とは?

この映画のラストは学生と思われるカップルが、スマホを落とした事に気付かずその場を去るというシーンで幕を閉じます。

この演出は次はあなたが標的になるかもしれないという意味を含んだラストシーンなのです。

しかし、このラストシーンが意味するものはそれだけではありません

この映画の特徴として、サスペンス要素や一種のホラー感覚を描いているにも関わらず、ラストが本当に泣けます!

最後はハッピーエンドで終わるので、そこがこの映画の救いとも呼べるのです。

「スマホってね、宝箱にもなるんだよ」という映画終盤の麻美の台詞が全てを物語っているといえます。

スマホを落としただけで登場人物は様々な悲劇に見舞われますが、人と人との絆はどんなに文明が発展しようが簡単に壊す事はできないのです。

麻美達は一連の出来事を乗り越え、本当の心の繋がりを手に入れたといえます。

スマホの怖さと、人の温かさを表す二重の意味を持つラストシーンと呼べるのです。

ラストで登場するカップルの男子高校生役は、今や売れっ子となった北村拓海さんが演じています!
まだブレイクする前で、台詞も本当に少しですが、ファンの方は要チェックですね!!

まとめ

以上、映画「スマホを落としただけなのに」のネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわる小話を紹介してきましたが如何でしたでしょうか!?

この映画には加賀谷刑事を主役とした「スマホを落としただけなのに~囚われの殺人鬼~」という続編もありますので、そちらもチェック必須です!!

スマホという便利なツールの裏に隠された、現代ならではの恐怖を描いたこの映画

くれぐれも、スマホは落とさないように注意してください!!

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ジュラシック・パーク(ネタバレ・考察)映像革命が映画業界に衝撃を与えた!歴史に名を残す恐竜映画が伝えたかった事とは https://cinemaxina.com/jurassicpark/ https://cinemaxina.com/jurassicpark/#respond Fri, 25 Dec 2020 02:20:24 +0000 https://cinemaxina.com/?p=18199 「ジュラシック・パーク」は1993年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット作品です。 CG技術とアニマトロニクスと呼ばれるSFXをふんだんに使い、恐竜を現代に蘇らせた革命的な作品として知られています。 恐竜映画といえば「ジュラシック・パーク」と言われるほど、代名詞的な存在として語られる本作の魅力を、トリビ

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「ジュラシック・パーク」は1993年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット作品です。

CG技術アニマトロニクスと呼ばれるSFXをふんだんに使い、恐竜を現代に蘇らせた革命的な作品として知られています。

恐竜映画といえば「ジュラシック・パーク」と言われるほど、代名詞的な存在として語られる本作の魅力を、トリビアや考察を交えながらお伝えしていきます。

ジュラシック・パーク(1993年)

恐竜の研究家として名を馳せるグラント博士とサトラー博士は、研究のスポンサーであるハモンドから「新しいテーマパークを作るので視察して欲しい」と頼まれる。

そのテーマパークとは、恐竜のDNAを取り出して現代に恐竜を復活させた「ジュラシック・パーク」だった。

ハモンドの孫であるティムとレックスが到着すると、本格的にパークのツアーが開始され、全自動で動く電気自動車でパーク内を巡回する一行。

だが島のスタッフであるネドリーは、恐竜の胚を外部に持ち出す取引をしており、それを実行するために島のセキュリティーを解除してしまう。

電気自動車は動かなくなり、恐竜たちが閉じ込められているパドックに流れる高圧電流も停止。恐竜たちを制止するものは無くなってしまった。

恐竜が解き放たれたパークの中で、ティラノサウルスやヴェロキラプトルたちが人間を襲い始める…。

ジュラシック・パーク(ネタバレ・解説)

革命的なCG表現をしたことで、映画業界に衝撃を与えた「ジュラシック・パーク」はその後の作品に大きな影響を及ぼしました。

その後の映画の作り方の概念を変えてしまった本作のトリビアをお伝えしていきます。

ジョーズが画面に登場

スピルバーグ監督の代表作である「ジョーズ」が劇中でちょっとだけ登場するイースター・エッグがあります。

エンジニアのネドリーが給与を上げてもらうべく交渉しているシーンですが、モニターをよく見てみると「ジョーズ」が映し出されているのです。

動物の恐怖モノということで扱われたのかもしれませんが、ちょっと笑えるポイントといえます。

ティラノサウルスが窓ガラスを突き破るシーンはアクシデント

劇中でティラノサウルスが天井の窓ガラスを突き破って襲ってくるシーンがありますが、ここは本来ティラノサウルスが覗き込む程度の予定でした。

撮影中にティラノサウルスの模型が操作ミスで窓ガラスを突き破ってしまい、そのシーンを活用することでスリリングなシーンとなったのです。

スピルバーグ監督の子役の決め方が独特

ティムとレックスは恐竜に襲われるシーンで大声で叫び、パニックになります。

この感情表現が子役の決め手になるとスピルバーグ監督は考え、オーディションのビデオテープは叫び声を上げているシーンを送ってもらったそうです。

しかもそれを自宅のソファーで寝ていた妻であるケイト・キャプショーの横で、音量を下げつつも観ていたとのこと。

レックスを演じたアリアナ・リチャーズが役をゲットしたのは、彼女の叫び声が流れた瞬間、キャプショーが飛び起きて子供部屋に安否の確認を確認したほどリアルだったからだそうです。

いかに迫真の演技をしていたかを伺わせるエピソードですね。

映画「シャイニング」へのオマージュ

ティムとレックスがヴェロキラプトルに追われてキッチンに隠れるシーンは、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画「シャイニング」のオマージュです。

狂乱した父親から身を隠すため、息子がキッチンに入る「シャイニング」の展開を知っていると、クスリと笑えます。

ちなみにキューブリックはスピルバーグ監督と特に親交が深く、二人で協力して1本の作品を企画するほどでした。

「ジュラシック・パーク」でティムを演じたジョゼフ・マゼロを主演に映画を撮るべくカメラテストをしたこともあったのです。

このことからキューブリック監督は「ジュラシック・パーク」のオマージュシーンを知っている可能性が高いですが、どのような感想を持ったのか気になります。

大人になったジョゼフ・マゼロは映画「ボヘミアン・ラプソディ」でクイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンを演じているよ。

くそったれパーク

映画の終盤で生存者たちがパークから脱出する際に乗っているジープですが、「JURASSIC PARK」のロゴが泥で汚れて「UR ASS PARK」(お前はクソ公園だ)になっています。

パークに訪れたゲストの総意を代表したメッセージといえるでしょう。

映画のあり方を革命的に変えてしまった「ジュラシック・パーク」

それまでゴーモーションやアニマトロニクスで表現されていた「架空の生命」をコンピューター・グラフィックスで描き出し、多くの観客と映画関係者を驚かせた本作。

映画中で使われたCGのシーンはわずか6分間ですが、その効果は絶大でした。

今では当たり前のように使われているCGによるキャラクター描写を始めとした「ジュラシック・パーク」の偉業について触れていきます。

ジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」に復帰するきっかけに

「スター・ウォーズ」シリーズを監督しているジョージ・ルーカスは、エピソード1~3の構想を持っていましたが、90年代の映像技術では表現できないと考えシリーズから身を引いていました。

しかし親友のスピルバーグが作り上げた「ジュラシック・パーク」を観たルーカスはその映像技術に衝撃を受け、復帰を決意したのです。

1997年には「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」の技術的に断念せざるを得なかったシーンをCGで追加した「特別編」をリリースしており、1999年公開のエピソード1に先駆けて最新技術を使いこなしています。

CGによって絶滅したアニメーター?

「ジュラシック・パーク」では絶滅した恐竜を実際に動かすために、高度な視覚効果技術が求められたため、3人のプロフェッショナルが招聘されたのです。

そのうちの一人がストップモーション・アニメの第一人者であるフィル・ティペットで、彼は「スター・ウォーズ」などの特殊視覚効果を担当していました。

最初はティペットの技術で恐竜を動かす予定でしたが、ILM(ルーカス・フィルム配下の特殊撮影チーム)のデニス・ミューレンが作成したCGの出来栄えが素晴らしかったため、ティペットは降板となったのです。

このときティペットが呟いた「私は絶滅だ」というセリフは、映画内でも使われています。

しかし普通のCGでは恐竜の動作に個性を出せなかったため再び招聘され、恐竜の動きを監修しつつスタッフに動きを教えてまわりました。

結果的に、アカデミー賞で特殊視覚効果賞を受賞する運びとなったのです。

アニマトロニクスも健在

アニマトロニクスとは、動物を実在するかのようにロボットで作成し、操演させる技術のことで、この技術も「ジュラシック・パーク」で活用されています。

大小さまざまな恐竜のモデルが作られましたが、スピルバーグ監督が最もこだわったのがティラノサウルスの造形です。

SFXスタッフのスタン・ウィンストンは全長6メートル、重さ6トンの巨大なティラノサウルスのモデルを作成し、油圧式で動くように設計しました。

普通のスタジオの床では動作の反作用で床が壊れてしまうため、深さ1.8メートルのコンクリート床を持つ水中撮影用ステージにボルトで固定され、周囲にセットを組んで撮影が行われたのです。

雨の中で動くティラノサウルスは本当にリアルで、観るものに衝撃を与えました。

「ジュラシック・パーク」で絶大な効果があることが認められ、その後のSF映画などではアニマトロニクスが進歩し、リアルな生き物を感じさせる作品が増えたのです。

恐竜映画ならティラノサウルスは主役級の扱いになりますよね!
「ジョーズ」のときもアニマトロニクスを使っているけど、格段に苦労が減ったとスピルバーグも喜んだそうだよ。

CGは恐竜だけじゃない

クライマックスでレックスが天井にぶら下がって落ちそうになるシーンがありますが、ここはスタント・ダブルを使って撮影しています。

ぶら下がるシーンを撮影しておき、レックスを演じているアリアナ・リチャーズの顔をCGでスタントの顔と入れ替えるという技術を使っているのです。

映画関係者はこのシーンの効果をひと目で見抜き、その後よく使われる手法として定着しました。

リアルさを保ったままCGで補完するというスピルバーグ監督の功績は、その後の「ジュラシック・パーク」シリーズ以外にも大きな影響を与えたのです。

「ジュラシック・パーク」に込められたメッセージ

スピルバーグ監督は映画を構成する上で本作にいくつかのメッセージを込めています。

驚きや恐怖だけではない「ジュラシック・パーク」の伝えたかったことをピックアップしていきましょう。

人類が見たこともないものと触れ合える

パークを設立したハモンドは、まやかしではなく本物の「ジュラシック・パーク」を作って、多くの人に見てもらいたかったと語ります。

実際に恐竜を鑑賞できるパークがあれば、行きたいと思う人は多いでしょう。パークのコンセプトそのものは素晴らしいです。

このセリフはアニマトロニクスや特殊効果で映画を作ってきたスタッフの代弁でもあります。映画の中とはいえ、スピルバーグ監督は恐竜を本当に蘇らせてしまったのです。

ハモンドは科学を濫用して恐竜を復活させてしまいますが、その純粋な気持ちからか悪人としては描かれていません。

技術が進化しても触れてはいけないこともある

博士たちは実際に生きている恐竜を見て感動しますが、6500年前に生きていた生命を現代に復活させてよいのか、環境は適切なのかという疑問を提示します。

恐竜という大自然の生んだ未知の存在を管理できるという驕りに対して警告するのです。

雌しかいないはずのパークの中で、卵が孵化しているのを発見するシーンが描かれていることからも、生命を甘く見てはいけないというメッセージが織り込まれています。

スタッフは優遇したほうが良い?

島を丸ごとパークとして管理し、セキュリティを設定していますが、その管理を担当している技術者はネドリー1人でした。

エンジニアが1人で島のセキュリティを管理しているのは最新技術を持っている施設とはいえ運営の苦労は大変でしょう。

実際、ネドリーは待遇に不満を持ち、ライバル会社に恐竜の胚を売りつける産業スパイで大儲けしようとします。

人格に問題がありましたが、エンジニアとして評価してもらえればパークでの危機は防げたのかもしれません。

このことからは仕事仲間には人格が求められることと、待遇はケチってはいけないということを痛烈に感じます。

パークの運営はケチらなかったのに、ハモンドはなんでネドリーの給料をケチったんでしょう?
エンジニアとしては認めていたけど、人格的にハモンドと合わなかったんじゃないかな?

まとめ

夢の世界を映像で再現し、観るものを圧倒した「ジュラシック・パーク」は映像革命として、本作以前と本作以降に映像の作り方が分けられる作品となりました。

科学技術の濫用に対しての警告や自然への敬意を持つべきというメッセージも込められていますが、難しいことを考えずに楽しめる映画としておすすめできます。

主人公となるティラノサウルスの暴れっぷりや、狡猾なヴェロキラプトルのもたらす恐怖などがスリリングに描かれ、制作陣の徹底したリサーチと想像力の高さに感心するのです。

スピルバーグ映画のなかで一番売れたということもありますが、20年以上前にこのクオリティで映画を作ったという事実にびっくりする作品ですので、一度は観ておきましょう。

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