「宇宙戦争」は2005年に公開されたアメリカ映画です。
H・G・ウェルズによる同名SF小説「宇宙戦争」を原作とした映画で、監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演をトム・クルーズが務めました。
地球侵略を目論む異星人と、愛する者を守ろうとする人類の闘いを描いたSF超大作です。
映画「宇宙戦争」よりネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわる裏話を徹底紹介してきたいと思います!!
宇宙戦争(2005年)
貨物港でクレーンのオペレーターとして働くレイ・フェリエ(トム・クルーズ)は別居中の妻メリー・アン(ミランダ・オットー)から頼み事を受ける。
その頼みとは、実家のボストンを訪ねる間、息子のロビー(ジャスティン・チャットウィン)と娘のレイチェル(ダコタ・ファニング)を預かってほしいとの事であった。
その日の午後、異常なほどの激しい落雷が街を襲う。
そして突然、落雷のあった場所からトライポッドと呼ばれる、巨大で奇妙なマシーンが現われ、街の人々を襲い始める。
命の危険を感じたレイは、ロビーとレイチェルを連れて車に乗り、メリーのいるボストンへと向かうが…。
宇宙戦争(ネタバレ・考察)
最新のVFXを用い、壮大なスケールで異星人と地球人の闘いを描いた映画「宇宙戦争」。
この映画にはどんな裏話が隠されているのでしょうか?
「宇宙戦争」に関する裏話や小話、トリビアをご紹介していきたいと思います!!
トム・クルーズがダメ親父に!?
今作品で主人公を演じた、世界的有名俳優のトム・クルーズ。
彼の印象を一言で表すと、“二枚目俳優”という印象が強いように感じます。
しかしこの作品では一転、別居中の二人の子供達からも嫌われている、ダメダメな父親を演じています。
子供達がお腹が空いたといえば、デリバリーを利用しろと冷たく言い放ったり、挙句の果てには娘のピーナッツアレルギーを知らないという子供への無関心さとダメダメぶり。
女性関係もだらしない感覚を受けます。
トム・クルーズの代表作「ミッション:インポッシブル」などでは物凄く格好いい凄腕スパイを演じているのに、今作品のだめっぷりは相当なものです。
そのギャップが逆に珍しく、彼の演技の幅広さにも繋がっているものがあります。
風化させてはいけないテロ事件
この「宇宙戦争」という映画は2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件を反映している部分があります。
墜落したジャンボ旅客機や、掲示板に貼られた無数の人探しの貼り紙など当時の状況を連想させるシーンが多々出てくるのです。
これはスティーヴン・スピルバーグ監督が9.11のテロを連想させる為にあえて描いたものとなっています。
9.11のあの痛ましい日の事を忘れてはならない、スピルバーグ監督は観客にそう訴えているのです。
いわば異星人はテロリストを現したもので、多くの人が犠牲になったテロ事件は何年経とうが風化させてはいけない事といえます。
ナレーターはあの世界的名俳優!!
この映画のナレーターを務めるのは何と!あの有名俳優、モーガン・フリーマンです。
物語の冒頭とラストのシーンだけ、と出番は少ない方ですが、ナレーターにモーガン・フリーマンを起用するとは何とも豪華!!
彼のファンの方なら「この声は!」と気付いた方も多いのではないでしょうか。
モーガン・フリーマンの渋い声が今作品に一層厚みをもたらし、映画を奥深くさせている事は間違いなしです!
スティーヴン・スピルバーグ監督が撮影現場を初公開!!
この作品まで、スティーヴン・スピルバーグ監督は映画の撮影シーンを公開するという事は一切しませんでした。
しかしこの「宇宙戦争」ではあえて撮影シーンを公開する事に踏みきったのです。
映画を作るという仕事がどれだけ大変で、それぞれのショットを作り上げる事がどれだけ複雑で、映画作りにどれだけのエネルギーが投入されているのかを知ってほしかった、との事が公開の理由です。
このシーンはどういう風にとったのだろう?というシーンが幾つも出てくるので、撮影シーンを観られた人はラッキー!ですね!!
ジョン・ウィリアムズが音楽を担当!!
ジョン・ウィリアムズはアメリカ合衆国ニューヨーク出身の作曲家、指揮者、ピアニストです。
これまでに「スター・ウォーズ」、「シンドラーのリスト」、「スーパーマン」、「インディ・ジョーンズ」、「ジョーズ」、「ハリー・ポッター」などの数々のヒット映画の音楽を手掛けています。
スティーヴン・スピルバーグ監督とも縁深く、「未知との遭遇」、「E.T.」、「ジュラシック・パーク」の音楽は全て彼が作曲したものです。
いわば、映画音楽界の巨匠とも呼べるジョン・ウィリアムズが今作品の音楽を担当しており、監督から役者陣、そして音楽と何とも豪華なメンバー!!
これだけの豪華なメンバーを揃えた映画「宇宙戦争」。
スピルバーグ監督の本気度が垣間見えますね!!
作品のテーマやメッセージとは?
この「宇宙戦争」という映画は異星人と地球人の闘いが主ですが、他にも外せないポイントが多くあります。
今作品から伝わるテーマやメッセージを考察していきましょう。
レイが父親らしさを取り戻していく作品
この映画の主役・レイは全くもってのダメな父親です。
しかし、異性人との闘いの中で子供達を守っていくうちに、段々と父親らしさを取り戻していきます。
「宇宙戦争」というこの作品はレイが父親として、一人の人間として、大切な人を守る過程での成長の物語なのです。
この作品は、異性人が攻めてきて地球が混乱するという描写の中に、数々の人間ドラマが隠されています。
レイという一人の人物が子供達を守りぬく中で、いかに自分がダメな父親であったかを思い知る物語なのです。
そこにこの映画のテーマやメッセージ性が詰め込まれています。
根本的な部分に家族愛が練りこまれている
この作品の土台はずばり“家族愛”です。
子供達からも嫌われているレイですが、最終的に異性人との長い闘いが終わった後、レイチェルとロビン、二人の子供からの信頼を取り戻します。
この作品が訴えたい事とは、異性人との死闘は二の次で、極限状態でいかに大切な人を守れるか、という家族間の愛情が根本にあるのです。
ロビンが異星人を倒したいと、軍隊のところに行こうとするシーンがあります。
レイは必死でロビンの事を止めますが、最終的にはロビンの手を離すのです。
これは、ロビンの強い正義感と、ロビンの事を“心から信じている”というレイの家族としての愛情・信頼があったからではないでしょうか。
奇跡的にロビンも無事で、笑顔で皆が再会するラスト、そしてレイとハグをする子供達の姿には胸打たれるものがあります。
何よりも怖いのは人間
異性人の襲来で街はパニックになり、逃げ惑う人々で世界中が混乱状態に陥ります。
レイと子供達は車で安全な場所へと避難しようとしますが、パニックになった人々に車のガラスを割られたり、最終的に車から引きずり出されてしまうのです。
このシーンから見える事は“極限状態に陥った時の人間の怖さ”といえます。
この「宇宙戦争」という映画が描きたい事は、異性人の襲来の怖さもありますが、パニックになった時の人間の心の闇、集団心理など人間のもろさ、怖さも描きたいのです。
そして平和に暮らせる毎日がいかに幸せで感謝すべき事か、という事もこの作品の欠かせないテーマであり、メッセージだといえます。
「宇宙戦争」おすすめポイント
映画「宇宙戦争」の一番のおすすめポイントは、やはり最新のVFXを使っているところにあります。
“トライポッド”と呼ばれる、異星人が作り上げた巨大な三脚歩行機械の迫力は相当なものです。
ちなみに、トライポッドが映画内で「グオーン」という何とも奇妙な“雄たけび”をあげるのですが、これは「未知との遭遇」での宇宙船の効果音を使用しています。
そして終盤で死に絶えた異性人がトライポッドから出てくるのですが、その見た目は何ともいえない恐怖を感じる形相です。
映画「宇宙戦争」はスティーヴン・スピルバーグ監督がこだわった、最新VFXが所狭しと詰まった映画となっています。
まとめ
以上、映画「宇宙戦争」から作品のネタバレ・考察、あらすじや小話を紹介してきましたが、如何でしたでしょうか!?
「未知との遭遇」、「E.T.」ではスピルバーグ監督は異性人との交流を温かく描きました。
しかし「宇宙戦争」では異星人を“地球を乗っ取ろうとする悪魔”のような存在として描いています。
そこに“異星人は敵”として描いたスティーヴン・スピルバーグ監督の新しいチャレンジ精神が垣間見えます。
そして、今作品は他作品でトム・クルーズが見せる格好いい姿ではなく、逆に格好悪い役の彼を観られる貴重な作品です。
監督を始め、役者陣やスタッフの“本気度”が詰まった映画「宇宙戦争」。
観た事のある人はもう一度、未観賞の人はぜひ家族、恋人、友達などと“お家シネマ”として楽しんでみて下さい!!