
本作品は三部作で「第1章 終わりの始まり」は2008年8月30日、第2章「最後の希望」は2009年1月31日、最終章「ぼくらの旗」は2009年8月29日に公開されました。
漫画家・浦沢直樹のヒット作「本格科学冒険映画 20世紀少年」の実写映画で、主人公のケンヂ役に唐沢寿明を起用するなど、豪華な俳優陣が集結した事でも話題を集めた映画です。
監督は「ケイゾク」「池袋ウエストゲートパーク」「TRICK」「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜」シリーズなどの演出を担当した堤幸彦が務めました。
世界滅亡の危機を救うべく“ともだち”と呼ばれる謎の存在に立ち向かう、かつての仲間達の姿を描いた、近未来SFアクション映画です。
今回は映画「20世紀少年」からネタバレや考察、あらすじや映画の小話などを交えながら今作品の魅力をご紹介していきたいと思います!!
本格科学冒険映画 20世紀少年(2008年~2009年)
時は20世紀末、主人公のケンヂこと遠藤健児(唐沢寿明)は突如失踪した姉・キリコ(黒木瞳)の娘であるカンナの面倒を見ながら、母親と共にコンビニを営んでいた。
世間では“ともだち”と呼ばれる謎の人物を教祖とした新興宗教が勢力を拡大しており、また世界では全身から血を噴き出して死亡する伝染病が広がり人々を不安に陥れているのであった。
ある日、小学校の同窓会に出席したケンヂは友人達から、“ともだち”が昔自分達が考えた“よげんの書”に書かれた事と似た話をしている事実を知る。
“よげんの書”の内容とは悪の組織が世界征服を企み、人類滅亡計画を立て、それに対して世界の危機を救うべく9人の戦士達が立ち上がるというものであった。
やがて“よげんの書”に書かれた事は次々に現実となり、テロや謎の細菌兵器によって世界中の平和が壊されていく。
それに対してケンヂを始めとする小学生時代の仲間達は、人類の危機を救う為に立ち上がる。
果たしてケンヂ達は人類滅亡の危機を救えるのか!?そして“ともだち”の正体とは…!?
本格科学冒険映画 20世紀少年(ネタバレ・考察)
「20世紀少年」は第1章から第3章まである大作映画です。
映画「20世紀少年」にはどんな小話があるのでしょう?いくつかご紹介していきます。
豪華すぎる俳優陣!!
映画「20世紀少年」の注目ポイントは主演の唐沢寿明に続いて、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦、宮迫博之、宇梶剛士、生瀬勝久、小日向文世、佐々木蔵之介、黒木瞳、石橋蓮司など名前を挙げただけでも早々たるメンバーが集結しているところです。
そして、それぞれの配役が期待通りだと原作ファンの間でも話題になりました。
総制作費60億円、総キャスト数300名を動員して作られたというこの映画。
超豪華俳優達の名前を見ただけでもワクワクする展開の作品となっています!!
端役も豪華な出演者で固められた映画!!
数々の名の知れた俳優やお笑い芸人が端役で出演しているところもこの映画における注目ポイントです。
第1章では“ともだち”の指示で造られた、大型ロボットが撒く細菌兵器によって殺される役として、お笑い芸人のオリエンタルラジオが出演しています。
第1章、第2章では豊川悦司演じるオッチョと共に脱獄する漫画家役で森山未來、第3章では“ともだち”によって作られた組織・地球防衛軍の隊員として俳優の高嶋政伸、芸人の田村淳なども出演していてびっくりです!
その他豪華俳優陣
- 池脇千鶴
- 及川光博
- 遠藤憲一
- 佐藤二朗
- 西村雅彦
- 徳光和夫
- 吉田羊
- 羽鳥慎一
- バナナマン
- 斎藤工
- 竹中直人
- 井浦新
- 木南晴夏
- 藤木直人
- 小池栄子
- 古田新太
名前のない出演者や、台詞もほんの少しの出演者もいますので、「こんなところにこの人が!」と宝探しのような気分で探してみて下さい!!
平愛梨の出世作となった作品
平愛梨といえば、プロサッカー選手の長友佑都の奥さんとして有名ですが、彼女はれっきとした女優でもあります。
オーディションで約3千人の応募者の中から見事カンナ役に大抜擢されたという、すごいエピソードを持つ人物なのです。
カンナ役のオーディションに受からなかったら、芸能界を引退しようと考えていたという平愛梨。
映画「20世紀少年」は彼女の大きな転機ともなった作品なのです!
第1章は高校生になったカンナが姿を表すところでラストを迎えます。
第2章、第3章では今作品の一番のキーパソンであるカンナが大活躍を見せるので、結末まで見逃せません!!
また、カンナの別名である「運命の子」「神の子」「氷の女王」という呼び名は、SF作家・平井和正と漫画家・石森章太郎の共同制作である長編SF作品の「新幻魔大戦」からつけた呼び名なのだそうです。
海外でも大人気の作品!!
浦沢直樹による原作は海外でも人気が高く、累計発行部数2500万部を超え、世界12ヶ国で翻訳出版されています。
「20世紀少年」は特にフランスでの人気が高く、パリでは第1章日本公開に先駆けて「20世紀少年」ワールドプレミアが開催されるなどの人気ぶりを博しました。
2004年には“漫画界におけるカンヌ”と呼ばれるアングレーム国際漫画祭で最優秀長編賞を受賞するなど、偉大な功績を残しています。
日本の漫画やアニメは世界に誇れる宝です。
「20世紀少年」も漫画・実写映画の双方で世界に多大なる影響を与えた作品となっています。
ともだちの正体とは?


今作品で一番の目玉となるのは、やはり“ともだち”と呼ばれる怪しい新興宗教の教祖で、後に世界まで牛耳る人物が一体誰なのか?というところです。
ケンヂ達の小学校の同級生というところまではわかっていますが、最後の最後までその正体は明かされません。
数々の説がある“ともだち”の正体を考察していきます。
サダキヨ説
いつもナショナルキッドのお面を被り、ケンヂ達が遊ぶのを羨ましそうに見ているサダキヨ。
本名は佐田清志といい、大人になった彼はユースケ・サンタマリアが演じました。
典型的ないじめられっ子で、いつもお面を被っている事から、小学生の頃は常にからかわれる対象だったという悲しい過去を持っている人物です。
大人になり、教師になったサダキヨはカンナが通う高校に新任の英語教師としてやってきます。
ともだち博物館でカンナや、カンナの同級生である小泉響子を守り、自らは灯油を撒いて焼身自殺をしました。
原作ではケンヂたちと再会し、“ともだち”の正体を知る為に一緒に闘うという設定になっていますが、映画では第2章の段階で亡くなってしまうのです。
第2章で亡くなってしまう事から、サダキヨは“ともだち”ではありません。
しかし、“ともだち”の正体を知っている可能性は大です。
ヤン坊・マー坊説
ヤン坊・マー坊はケンヂ達の小学生時代の同級生で、いじめっ子の双子であり、その体格の良さからケンヂ達が敵う相手ではありませんでした。
大人になったヤン坊・マー坊は佐野史郎が一人二役で演じています。
会社を起こして成功するなど、いじめっ子であった子供時代の面影はなく、最終章ではオッチョ達の味方になる事から、彼らも“ともだち”の正体ではありません。
二人が“ともだち”の正体として疑われる理由は“ともだち”には替え玉がいるのではないか?という推理からきたものです。
しかし結果的にケンヂ達仲間に協力した事から、この二人が“ともだち”の正体であるという説は消えました。
フクベエ説
フクベエもまたケンヂ達の同級生です。
大人になったフクベエは佐々木蔵之介が演じています。
第1章で描かれた2000年血の大みそかで細菌をばら撒くロボットを操る人物ともみ合いになり、屋上から転落死しました。
しかし、皆の記憶があやふやで、物語の終盤に差し掛かる頃、フクベエが実は小学5年生の時に交通事故か何かが原因で亡くなっているという事実をケンヂは思い出すのです!
小学校の同窓会にも出席している姿が確認されており、フクベエを名乗るこの人物の正体が、物語の進行と共に次第に謎のベールで包まれていきます。
フクベエを名乗るこの男の正体とは…。
彼こそが“ともだち”の正体なのでしょうか!?
ともだちの正体は〇〇君!!
“ともだち”の正体はずばりカツマタ君です!!
ここで「カツマタ君って誰!?」と、いきなりの名前登場に疑問を感じる方もいるでしょう。
カツマタ君はケンヂたちの同級生で勝俣忠信という名前です。
今作品の中では「理科の実験が大好きで、フナの解剖の前日に亡くなった」とされています。
夜の理科室にカツマタ君の幽霊が出る、とも噂される存在の人物です。
しかし、実はカツマタ君は亡くなってはいません。
最終章で自分の被っている布をとった“ともだち”の姿はフクベエではなく、フクベエの姿を借りたカツマタ君だったのです。
同窓会でも、血の大みそかでも、フクベエである事を装い、自分がカツマタであるという事を隠していました。

“ともだち”の真の目的とは?
“ともだち”の真の目的は、ケンヂへの復讐といえます。
そして今作品の要所要所に出てくる“ともだち”の「ケーンヂくん、遊びましょ」という台詞はケンヂへの固執ともとれる台詞です。
小学生時代に、ケンヂは駄菓子屋から地球防衛軍のバッジを些細な出来心から万引きします。
しかし、お面を被ったカツマタ君も地球防衛軍のバッジを持っていた為、カツマタ君がケンヂの代わりに犯人扱いされて、後々も苛められる事となります。
大人になったケンヂは自分達の小学生時代、“ともだち”が作ったバーチャルリアリティの世界に行き、子供時代の自分に犯人は自分だと謝罪させるのです。
“ともだち”はただ、ケンヂに本当の事を話して、犯人が自分ではない事を証明してほしかったといえます。
“ともだち”の正体であるカツマタ君はいじめが原因で不登校にもなってしまいます。
机に「死」と書かれたり、不登校が重なった事で存在を無き者にされてしまうのです。
カツマタ君はただ自分の存在証明がほしかったといえます。
復讐というと重く聞こえますが、ケンヂやいじめっ子達のした事は決して許される事ではないのです。
そして小学生時代のカツマタ君は、常に学校で中心人物であったケンヂに憧れを抱いていた、ともいえます。
カツマタ君もお面など被らず、堂々と皆と遊びたかったのです。
原作とは異なるラストから見えるメッセージとは何?
原作はケンヂがお面を被ったカツマタ君に「お前、カツマタ君だろ?」と声をかけるところで終わります。
とてもふわっとした表現で終わるのです。
しかし、映画では結末をとても丁寧に描いている事で、この作品の言いたい事やメッセージがわかりやすく観客に伝わってきます。
映画の結末は、ケンヂとカツマタ君が友達となり、「この日、僕に初めて友達ができた」というカツマタ君のナレーションで幕を閉じるのです。
もし、ケンヂが幼少時代、万引きをしたのは自分であるとちゃんと謝罪をしていれば。
もし、ケンヂとカツマタ君がもっと早く友達になっていれば。
カツマタ君は“ともだち”となる事もなく、悪夢のような出来事も起きなかったといえます。
「20世紀少年」から見えるメッセージとはずばり“いじめ”がもたらす悲劇です。
周りの無関心さが人にもたらす孤独や悲しみを描いています。
いじめという犯罪が、人をこんなにも恐ろしい悪魔に変えてしまうのだという事を、この映画は伝えているのです。
因みに、お面をとった中学生時代のカツマタ君は、売れっ子俳優・神木隆之介が演じているので、最後の最後までお見逃しなく!
まとめ
以上、「本格科学冒険映画 20世紀少年」から映画のネタバレ・考察、あらすじや小話を紹介してきましたが如何でしたでしょうか!?
この作品は原作の漫画も非常に面白いので、読んだことのない方は一度読んでみる事を強くおすすめします!
映画「20世紀少年」は三部作の非常に長い映画ですが、物語の面白さ、魅力的な登場人物と見逃せないポイントがたくさんです。
何度でも観たくなるような、ワクワクとドキドキが詰まった映画となっています!!