映画シックス・センス

「シックス・センス」は1999年に公開されたブルース・ウィリス主演のヒューマン・ミステリー映画です。

観客をあっと驚かせるどんでん返しのクライマックスを支える映像トリックと、家族や夫婦の絆を感じさせる感動的なストーリーラインを両立させた名作になります。

M・ナイト・シャマラン監督はこの作品で一流監督の仲間入りをし、興行的にも成功したことで数々の作品を世に出していくのです。

そんな彼の転機となった「シックス・センス」の魅力を、考察とトリビアを織り交ぜながらお伝えしていきます。

シックス・センス(1999年)

小児精神科医マルコム・クロウは長い間、子供たちの心の病を解決するべく貢献し、第一人者として活躍してきた。

だが10年前に治療したヴィンセントという少年が完全に治療できておらず、マルコムは銃で撃たれヴィンセントは自殺する。

1年後、復帰したマルコムはコール・シアーという少年の治療にあたっていた。彼の症例は、自殺したヴィンセントの症状に酷似していた。

情緒不安定でなにかに怯え、母親にさえ何も話せず、1人苦しむコールを説得し、明かされた事実は、「死んだ人が見える」というものだった。

コールを救うため全霊で寄り添うマルコムの前に、科学では説明がつかない”何か”の存在が次第に明らかになっていく…。

シックス・センス(ネタバレ・考察)

「シックス・センス」は映画の内容にちなんだものからオーディションに関わるものまで多彩なトリビアに彩られています。

映画を観たことがない人が知ったら思わず観たくなるような豆知識をご用意しましたので、ご覧になってください。

コール役のハーレイは3回台本を読んでオーディションを受けた

コール役をオーディションで射止めたハーレイ・ジョエル・オスメントは、子役の参加者でただ1人ネクタイをしており、シャマラン監督はそれに感激したそうです。

またオーディションにあたって夜通し台本を3回読んできた彼の取り組みにも感心し、晴れてコール役を手にすることができました。

天才子役としての評価を揺るがぬものにするほど優れたその演技力は「シックス・センス」を観ていただければ一目瞭然です。

ドニー・ウォールバーグは体重を20kg落としてヴィンセントを演じた

ヴィンセントを演じたドニー・ウォールバーグは俳優としては駆け出しで、所属していたアイドルグループ「ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック」のイメージがまだ抜けていませんでした。

俳優としての本気度を見せるためか、役作りとしてドニーは20kg近い減量を行い、精神的に追い詰められているシックス・センスの持ち主を演じたのです。

焦燥感を感じる病的な演技は、立派な俳優として認められ評価されており、以降は順調にキャリアを積んでいます。

ディズニーの取締役が権利を買っていた

「シックス・センス」はシャマランがハリウッドの各映画会社に送り付けて最低100万ドルで競りに掛けました。条件はシャマラン自身が監督すること。

結局ディズニーいた取締役のデイビット・ヴォーゲル氏が「映画業界にいて一生に一度会えるか会えないかのシナリオ」と評して300万ドルで落札しました。

ただ、会社に相談することなく勝手に「シックス・センス」の権利を個人で買っていたのです。

これを知ったディズニーの他の幹部は、デイビットにディズニーへ権利を譲渡するよう指示し、権利を放棄させました。

結局デイビットは追い込まれ、ディズニーをクビになる結末を迎えたのです。

「シックス・センス」の公開日はシャマラン監督の誕生日だった

「シックス・センス」の公開日は1999年8月6日でしたが、この日は偶然にもシャラマン監督の29歳の誕生日でした。

シャラマン監督はこの因果関係を「本作は自分にもたらしたサインで、何らかの導きではないか」と言っています。

名監督としてとの仲間入りを果たしたことを考えると、運命的なものを感じるのです。

シャマラン監督はドクター役でもカメオ出演していますね!
演技に納得が行かなかった監督は自分の出番を大幅に編集でカットしたそうですよ。

赤は死へとつながるサイン

「シックス・センス」では赤色が死者との繋がりを示すサインとして効果的に使われています。

死者との繋がりがあるときは画面に赤が自然に入ってくるので、気づいてから観るとシーンのメッセージがより深く伝わってくるでしょう。

特徴的な「赤」のシーンをピックアップし、解説していきます。

教会の赤い扉

マルコムとコールが最初に出会う教会では、扉が赤く塗られています。

霊であるマルコムが現れるサインとしての伏線となっており、注意して観ていると必然性がよく分かるのです。

マルコムと出会うシーンの、コールが着ているカーディガンの赤いボタン

コールの自宅でマルコムと対話するシーンで、コールが着ているカーディガンのボタンは特徴的に赤いです。

マルコムという死後の世界の住人とつながるサインとして、赤をあしらっています。

コールがメモした死者の言葉

コールの部屋にあるなぐり書きのメモは、赤いペンで書かれています。

このメモは霊からのメッセージを記しており、つながりを示すために赤が使われているのです。

マルコムの書斎の赤いドアノブ

マルコムが調べ物をする書斎のドアノブは不自然に赤く、マルコムが霊であることを示すサインになっています。

マルコムは鍵がかかっているはずのドアを鍵で開けているシーンがないのは、マルコムが”開けた”と想像して、実際は霊体が直接書斎へ移動しているのでしょう。

赤い風船とコールのセーター

お誕生日会に呼ばれたコールは赤いセーターを着ています。

また会場では赤い風船が天井に向かって飛んでいくシーンも入っているのです。

ここに死者の霊がいてコールと出会うというメッセージで、閉じ込められるコールは霊と遭遇しパニックになります。

キラの母親が着ている赤いドレス

コールにメッセージを伝えに来た少女キラの家では故人を偲ぶ会が行なわれていました。

このとき、遺族にふさわしくない真っ赤なドレスを着ているのがキラの母親です。

キラの死に深く関わっているというメッセージとして、赤い服を着ています。

赤い服といえば、アンナはよく赤い服を身につけて登場しますね。
色んなシーンで赤が効果的に使われているので、鑑賞時は赤色をチェックしてみてください。

霊についてのルール

霊が見えるヴィンセントやコールはその存在を確認できるがゆえに精神的に追い込まれていきます。

コールが伝えてくれた霊のルールを整理し、物語を読み解いていきましょう。

霊はお互いには見えない

霊はお互いを認識することができません。

また霊とコミュニケーションできるのは”シックス・センス”の持ち主だけです。

霊が出るときは寒くなる

霊が出現するときは気温が下がり、息が白くなります。

ですがこれには細かいルールが有り、感情的になっている霊がいるときだけ気温が下がるようです。

マルコムがコールと出会っているときはマルコムが感情的になっていないので、息が白くなりません。

ラストにアンナが白い息を吐いているときはマルコムが自分が霊である事に気づいて動揺しているので、気温が下がり息が白くなるのです。

霊は自分が死んでいることを知らない

コールの口から出た言葉で、オチを知っているとマルコムへ向けて伝えているメッセージにもなっているのが分かります。

コールはマルコムがすでに霊であることを遠回しに伝えているのですが、マルコムは気づいていません。

霊は強い心残りがあり、”シックス・センス”の持ち主にに助けを求めている

霊は自分の声が聞こえる”シックス・センス”の持ち主にメッセージを伝えようとしています。

これは声が届くのが彼らしかおらず、心残りになっていることを解決したいがために訴えかけているのです。

ときにはコールに危害を加える霊もいるようですが、そのあたりは明確には語られていません。

コールの体に傷がついているのは自傷行為なのでしょうか?
コールの手の届かない位置にも傷があるので、医者からは虐待を疑われますが、おそらく霊の仕業でしょう。

霊は”シックス・センス”の持ち主や物に触って動かせる

コールの祖母のネックレスが移動していたのはこのせいだと思われます。

またアンナの勤め先でショーンとアンナがキスしそうになったときに、窓ガラスが割れたのはマルコムが割ったからです。

このように霊は現実のモノに干渉できるのですが、アンナとの結婚記念日のシーンは椅子が最初から引かれており動かすことなく座っています。

また伝票もタイミングよくアンナが取ることで、ポルターガイスト現象が起きない展開になっているので、マルコムが死んでいるという描写は隠されているのです。

霊は死んだ時の姿で現れる

マルコムは死んだときの服装で登場します。

トレーナーは、死ぬ直前に寒いからとアンナが渡してくれて着ていたものなので、それが霊体になっても残っているのでしょう。

微妙に着替えながら登場しているので気づきにくいですが、マルコムはこのルールを守っているので、死んでいるということが分かります。

霊は自分の見たいものだけが見える

マルコムを例に取ると、自分が霊ではないかと思うまで、書斎の扉の前にあった机でドアが塞がれているのが見えませんでした。

このように霊は自分が意識しないもの、見たくないものは見えないというルールが有るようです。

コールのその後

コールは霊の求めに応えることで自分の能力に意味を見出し、成長します。

心霊のアドバイザーとして自分の価値を見出したコールの成長と、その後を考察していきましょう。

キラの妹を救うことができた

亡くなってすぐのキラは自分が死んだことに気がついていませんが、自分の声を聞こえるコールに助けを求めます。

コールを信じたマルコムはキラの家への案内に沿って向かうと、そこではキラのお別れ会が開催されていました。

キラの導きに従って、キラの父親にビデオテープを渡すと、そこにはキラの食事に床洗剤を混ぜている母親の姿が写っているのです。

キラの妹も同じように、代理ミュンヒハウゼン症候群の母親に自分を可哀想と思ってもらうために病気にさせられてると考えたキラは、コールにこのことを明かしてほしかったのでしょう。

怯えずにキラの頼みを聞いたことで霊は怖がるものではなく、助けてあげるべき存在と知ったコールは成長し、霊との付き合い方を覚えます。

祖母の霊の話で母と和解する

母親に”シックス・センス”の話をできなかったコールは、自動車の中で祖母と母のエピソードを語ります。

それは母がコールに伝えておらず、コールが知る由もない内容でした。

それをきっかけに、コールは母の信頼を得て和解するのです。

家族の理解を得て、自分に自信もついたコールは成長し、人付き合いもうまくいくようになりました。

この続きは「シックス・センス」の小説による続編に描かれています。

まとめ

コールを中心に進む霊の物語が終盤30分で伏線回収され、見るものを驚きの結末に導く演出は見事です。

この記事を読んだあとでもう一度観ると、随所に仕掛けられたサインに気づくでしょう。

赤い色や白い息、マルコムの所作や会話シーンに注目してみると、ヒントが多く散りばめられていることが分かります。

少なくとも2回は楽しめる「シックス・センス」をぜひ鑑賞してみてください。

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