
「きみに読む物語」は2004年に公開されたアメリカ映画です。
1996年にニコラス・スパークスが発表した小説を映画化したもので、監督は役者としても活動歴のある、ニック・カサヴェテスが務めました。
主演はライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムスで、本作品は泣ける要素たっぷりの恋愛映画です。
身分違いの男女が恋に落ち、一生をかけてその愛を貫いていく、涙なしでは観られない珠玉のラブストーリーとなっています。
今回は「きみに読む物語」から作品の考察・ネタバレ、あらすじや映画にまつわる小話をご紹介していきたいと思います!!
きみに読む物語(2004年)
物語は、とある老人ホームでデュークと名乗る初老の男性が、認知症を患う一人の老女に話の読み聞かせをする場面から始まる。
話の舞台は1940年代のアメリカ南部・シーブルック。
材木置き場で働く貧乏な青年・ノア(ライアン・ゴズリング)は天真爛漫で可愛らしい笑顔を持つアリー(レイチェル・マクアダムス)に一目惚れをする。
彼女は資産家の令嬢で、バカンスを楽しむ為に別荘のあるシーブルックを訪れていたのであった。
やがてアリーもノアの優しく温和な人柄に惹かれ、二人は恋に落ちる。
しかしアリーの両親は二人の交際に猛反対。
強引にバカンスを切り上げ、ノアとアリーは離ればなれになってしまうのであった…。
きみに読む物語(ネタバレ・考察)
感動の涙が止まらない映画「きみに読む物語」。
この映画にはどんな小話が隠されているのでしょう?作品にまつわるエピソードを幾つかご紹介していきたいと思います!
実話を元にした感動映画!!
何とこの映画“実話”なんだそうです!
原作者のニコラス・スパークスの奥さんの、祖父母にまつわる話に基づいて創作されたのがこの「きみに読む物語」なのだとか!!
映画の中の細かい一つ一つのエピソードもほとんどが実際にあった事で、63年間という長い歳月を二人は連れ添ったのだそうですよ。
物語が実話という事で、感動も更に深まる感じがしますね!
離れたり、近付いたりを繰り返すノアとアリーですが、こんなにも素晴らしい純愛が本当の話だという事で、物語に一層深みを与えている要素となっています。
一人の人を一生をかけて愛せるという事は、本当に素晴らしく幸せな事なんだと思えるエピソードですね。


ドラマ化の話もあった!?
2015年に「きみに読む物語」のドラマ化の話が持ち上がり、日本でも今作品のファンの間で話題になりました。
米CWテレビジョン・ネットワークがドラマ化の企画を立ち上げたそうですが、“脚本家が見つからない”という理由でなかなか話は進まず…。
それからだいぶ月日が経っているので、残念な事ですがドラマ化の話は流れてしまったようです。
もしドラマ化されていたら、ノアとアリーは誰が演じる事になっていたのか、気になるところですね!
この映画の共演を機に、実生活でも恋人同士だったというライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムス。
美男美女で、本当にお似合いのカップルです!!
ボートのシーンに隠された秘密!!
映画の中でノアとアリーが湖でボートを漕ぐシーンがあります。
このシーンはたくさんの鳥達に囲まれている描写が非常に美しい名シーンです。
実はこの鳥達は野生ではなく、スタッフが卵を購入して孵化させ、ボート追いかけるよう育て上げた鳥達なんだとか!
スタッフの方の相当な苦労があったシーンといえます。
しかし、湖に鳥たちがとどまるわけがないとこの映画のプロデューサーは思っていました。
ところが!孵化から育てた鳥達だった為、ボートを親だと思ったのでしょうか、鳥が湖を離れる事はありませんでした。
そのおかげで、カット寸前だったこのシーンは、映画を潤す要素を持った名シーンとなったのです。


カットされた幻のラヴシーン!!
大人になったノアとアリーが再会し、お互いを求め合うような激しいラヴシーンが作中において出てきます。
実はこのシーン、作品の中で描かれているよりも、もっと濃厚なシーンがあった為、レイティングを下げる為にカットされたのだとか。
より多くの人に観てもらう為に、幻のラヴシーンとなったわけです。
そしてライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムスはこの映画で2005年度の「MTV ベストキスアワード」を受賞しました。
それから6年後、「エンターテイメントウィークリー」より「映画史に残るベストキスシーン賞」も受賞し、多くのファンを湧かせた逸話もあります。
多くの人が共感し、感動を生んだ理由とは?
「きみに読む物語」は泣けるシーン満載の感動作品です。
この映画が多くの人々の心を掴んだ理由とはどこにあるのでしょう?
そこを考察していきます。
身分の違いという障害
ノアは材木置き場で働く貧乏な青年、一方のアリーは資産家の令嬢という全く正反対の環境で育ち、恋に落ちたというところがまず一つのポイントです。
いわば、ロミオとジュリエットのような境遇にある二人と呼んでもいいでしょう。
身分の違いという障害がこの二人の恋愛を盛り上げ、時に急接近させたり、離れさせたりと、観客をハラハラ・ドキドキさせる効果を担っているのです。
恋愛においての障害というものは、その恋を一気に燃え上がらせる要素を持っています。
ラストがどうなるのか、多少結末が読めたとしても、観客はそういった部分に共感し、心を掴まれ、それが感動の涙へと変わるのです。


ノアの一途さ
ノアは遠く離れてもいつでもアリーの事を想っていました。
一日一通手紙を書き、それは365通という膨大な量の手紙となります。
しかし、その手紙は二人の交際を良く思わないアリーの母親により、アリーの手元に渡る事は一度もなかったのです。
ノアとアリーの想いの深さは、おそらくノアの方が深いといえるでしょう。
その証拠に、アリーはロンという一人の軍人と恋に落ち、婚約までに至りますが、ノアのほうは恋人もつくらず結婚もせず、ひたすらアリーの事を想っていました。
このノアの一途さが観ている人の心に非常に響くのです。
7年も同じ人を想い続けるという事はなかなかできる事ではありません。
ノアにとってのアリーという存在は、ただ一人長い生涯の中で忘れられない人だったのです。
このノアの姿が観ている人の胸を打ち、感動するポイントとなっています。
ノアを選んだアリー
最終的にアリーは全てを捨て、ノアの元へとやってきます。
ここの二人のラヴシーンは、本当に美しく素敵です。
一人の人を想い続けたノア、そしてノアの存在の大切さに気付いたアリー。
最後にはアリーはノアを選ぶのだろうなと頭の片隅で気付いてはいても、感動の涙が止まらないシーンとなっています。
やはりアリーはノアといる時の自分が一番ありのままでいられる事に気付いたのです。
アリーの母親も実は昔、自分とは身分違いの人と恋に落ちた過去がありました。
最終的にアリーの母親はその人とは一緒にならない道を選んだのです。
アリーは自分の母のような後悔だけはしたくなかったのでしょう。
この時、アリーは初めて自分の意志で物事を選び決断したのです。
二人の想いが痛いほど通じ合う名シーンで、二人は“初恋”を実らせたといえます。


気になるラストシーンの意味とは?
今作品はラストシーンが一番の見どころといってもいい程、“人を愛する”という事がどういう事なのか、教えてくれる名シーンとなっています。
デュークと名乗る初老の男性と、認知症を患う一人の老女が二人で寄り添い、同じベッドで眠りにつくという場面で物語は幕を閉じるのです。
実はこの二人は年老いたノアとアリーだったという展開なのですが、二人は眠ったのではなく、一緒に亡くなったという何とも切ないシーンとなっています。
このラストシーンの意味とは“人を愛する事の尊さ”を意味しているのではないでしょうか。
ノアとアリーは長い時を経て結婚し、子供や孫にも恵まれました。
二人は本当に幸せで、ソウルメイトのような存在だったのです。
そしてノアとアリーは人生の中で何度も近付いたり離れたりを繰り返しながら、一つの“奇跡”のような愛情を育んできました。
この世に輪廻転生というものが存在するのであれば、二人はまた生まれ変わっても出会い、恋に落ちるのではないでしょうか。
そんな事を感じさせてくれる素晴らしいラストシーンです。
「きみに読む物語」おすすめポイント
この映画の一番のおすすめポイントは、年老いたノアが認知症を患うアリーに、二人のこれまでの事を読み聞かせる部分で起こります。
認知症のアリーが話の読み聞かせを真剣に聞いているシーンで、「それ、私だわ」と本来の記憶を一瞬だけ取り戻すのです。
認知症を患う人には稀に、我に返ったように自分が何者であるか等々思い出すという話があります。
「きみに読む物語」でもそういった奇跡のような出来事が起きるのです。
数分後には元のアリーに戻ってしまい、激しくアリーはノアの事を拒絶しますが、この奇跡のような出来事が、涙を誘うおすすめポイントとなっています。
アリーに拒絶をされても、ひたすら真っ直ぐにアリーだけを愛し続けるノア。
これこそまさに“純愛”といえるのではないでしょうか。
しかもこの話がフィクションではなく、実話だというところが涙に拍車をかける重要なポイントとなっているのです。


まとめ
以上、映画「きみに読む物語」から作品の考察・ネタバレ、あらすじや映画にまつわる小話を紹介してきましたが如何でしたでしょうか!?
こんなにも命懸けで愛情を育んだノアとアリーの姿には、拍手喝采を贈りたくなるほどです。
友達や家族と観るのもいいですが、この作品はぜひ、恋人同士や夫婦で観る事をおすすめします!!
こんなにも純粋な愛情があるのかと、心が洗われるような映画です。
そして、とにかく“泣ける”映画なので、ハンカチやティッシュの準備もお忘れなく。
人を愛する事の純粋性を教えてくれる、何度でも観たい映画となっています。