映画3月のライオン【後編】ネタバレ・考察

「3月のライオン【後編】」は2017年4月22日に公開されました

人気漫画家・羽海野チカ原作の実写映画で、前編と同じく主演は神木隆之介、監督は大友啓史が務めました。

将棋で強くなるしかなかった主人公の零が、様々な人との触れ合いの中で大切なものを見い出し、プロ棋士としても人間としても成長していく感動のヒューマンドラマです

“愛の後編”と称される「3月のライオン【後編】」から物語のネタバレ・考察、あらすじや作品のロケ地をご紹介していきたいと思います!!

3月のライオン【後編】(2017年)

18歳になった主人公のプロ棋士・桐山零(神木隆之介)。

川本3姉妹との出会いからも一年が過ぎ、零は三姉妹との交流の中で温かなものを感じていた。

将棋の世界では獅子王戦トーナメントが始まり、零も将棋仲間達とその対策を練ったりと、忙しい日々を送るのであった。

そんな中、川本家の三姉妹の次女・ひなた(清原果耶)が学校でいじめに遭ってしまう。

そして、いじめの問題が解決に向かう頃、三姉妹の前に家を捨て出て行った父親・甘麻井戸誠二郎(伊勢谷友介)が突然現れ…。

3月のライオン【後編】(ネタバレ・考察)

前編よりも、より濃く描かれている零と川本家の関係。

そこを掘り下げて考察していきましょう。

ひなたのいじめ問題に零はどう関わった?

苛められている子を庇った事から、川本家三姉妹の次女・ひなたは、学校でいじめの標的となってしまいます。

ここでは零とひなたの見えない絆がより鮮明に描かれているといえるでしょう。

いじめの問題を通じて零はひなたの言葉に、そしてひなたは零の言葉に救われたのです。

そして、ここで重要なのはいじめに真っ向から立ち向かうひなたの心の強さといえます。

ひなたの心の強さは零にも大きく影響を与えました

今まで何事にも受け身であった零の心を「このままではいけない」と奮い立たせたのです

いじめの問題は、零が直接関わる事なく解決を迎えました。

「何もできなかった」とひなたに謝る零ですが、そんな事は決してないのです。

ひなたがいじめに立ち向かおうと勇気を持てたのは、辛い時に心に寄り添ってくれた零の存在と、温かい言葉があったからといえます。

いじめに立ち向かうひなたの強さには心打たれるものがありました!!
自分の力でいじめを解決の方向へ持っていけたのは、本当に素晴らしい勇気ですね!

実父現れる!!

ひなたのいじめ問題が解決したのも束の間、川本家にはまた新たなる試練がやってきます

妻子を捨て、他の女性と子供を作り出て行った実父が、突然三姉妹の前に現れたのです。

そして、「一緒に暮らそう」という無理難題を突きつけてきます。

実父が戻ってきた理由はただ単にお金と住む所を失いそうだからという自分勝手な理由からでした。

この、父親が戻ってくるというエピソードは、原作の漫画ではひなたが高校生になってからのエピソードとなっています。

しかし、映画ではひなたがまだ中学生の時のエピソードとして描かれているのです

このストーリーを敢えて映画に入れた意味は、ずばり大友監督率いる脚本陣の狙いといえるでしょう。

いじめの問題が解決後、実の父親が戻ってくるというこの怒涛の展開は、零と川本家の繋がりというものをより色濃く見せる為の演出といえます。

実の父親に対して強い態度をとれない川本家の三姉妹に代わって、零が強気な態度をとる、というのがこのエピソードのポイントです。

零の独りよがりな態度と言葉は、川本家三姉妹と距離を置いてしまう事になります

しかし、ここが結果「力になりたいなんて偉そうなことを言ってたけど、力をもらってたのは僕のほうでした」という零の映画終盤での台詞に繋がってくるのです。

実の父親を平手打ちした長女のあかりも、ひなたと同じく心の強い人物ですよね!
母親を亡くして、親代わりになってきたあかりの芯の強さが反映されている場面でしたね!

何故、零は後藤に勝てたのか?

宗谷名人との闘いをかけた、獅子王戦トーナメントの決勝、零は因縁の相手とも呼べる後藤との対局を迎えます

川本家の面々から突き放されたと思い込んだ零は、後藤を目の前にして苦戦するのでした。

何故、零は後藤に勝てたのでしょう?そこを考察していきます。

プロ棋士は皆、何かを犠牲にして生きている事に気付いた

後藤は、準決勝の対局中、植物状態でずっと病院に入院していた妻が亡くなった事を知らされます。

顔色も変えずに将棋を指す後藤でしたが、途中で病院へと急行し、妻の最期を看取れなかった後悔からトイレで一人泣くのでした

そして、後藤は何事も無かったかのように舞い戻り、将棋を指し続け決勝へと駒を進めます。

零の義理の姉である香子との不倫関係を清算して、後藤は奥さんの無念を晴らすように将棋を指していたのです。

そして何年も名人の座にいる宗谷も、ストレスからの難聴を抱えている事を零は知るのでした。

零はこの時、皆何かを犠牲にして、しかし決して心を折らずに盤面に向かっている事に気付いたのです

そして自分を不幸にしているのは何よりも自分自身である事を悟りました。

これは零のプロ棋士として、そして人間としての成長といえるのです。

自分は一人ではないことに気付けた

零は後藤との対局中、ぱっと視野が開けたようにある事に気付くのです

零のこれまでの人生はずっと真っ暗闇の中を歩いてきたような人生でした。

けれど、周りを拒んでいたのは自分で、如何に将棋を通じてたくさんの人に恵まれていたかという事にハッとするのです

それは将棋仲間や、将棋の師匠である義父、零の高校生活においてのクラスの先生、そして何よりも零の存在を認めてくれた川本家の人々でした。

零が涙を見せたのは、後藤とのわだかまりが対局を通して消えた事、そして幸せになる権利は自分にもあるのだ、という事に気付いての涙だったのです。

零が後藤に勝ったのは、“一人で闘っているわけではない”という事に零が自分の力で気付けたからなのではないでしょうか

「強烈だった」という後藤の台詞は、零を認めるという最大の誉め言葉だといえるでしょう。

負けても晴れやかな顔をしている後藤が、とても印象的なシーンでしたよね。
零も、後藤もそれぞれ背負っていたものがなくなり、安堵したのでしょうね。

ラストのその後は?

映画版のオリジナルストーリーとなっている零と宗谷名人の闘い。

気になるラストのその後はどうなっていくのでしょう?そこを考察していきます。

宗谷名人を倒すのは零!?

獅子王戦への切符を手に入れた零は、とうとう宗谷名人と対局する事になりました。

二人が将棋盤に向かい、お辞儀をするところで物語は終わりを迎えます

ラストのその後、気になる勝敗の行方ですが、零は現段階の実力では宗谷名人に負けたといえます。

しかし将棋の世界というのは一度負けたからといってそこで終わりではないのです。

何度転んでも、また起き上がって、零はいつの日か必ず宗谷名人を負かすのではないでしょうか。

前編の考察記事で書いたように、宗谷名人は自分を倒してくれる相手をずっと待っているのです

零と同じように15歳でプロ棋士となり、史上最年少で名人位、7代タイトル独占という偉業を成し遂げた宗谷名人。

宗谷名人もまた、穏やかな姿勢の裏に過度のストレスで難聴を抱えたりと、公にはしていない秘密を持っています。

零が孤独であったように、宗谷名人の闇は零よりも、もっともっと深いところにあるのではないでしょうか。

自分を将棋で負かして、この闇と重圧から自分を救い出してほしいと宗谷名人は考えているのです。

宗谷名人を将棋で倒すのは、同じような体験をしてきた零こそが、ずばりふさわしいといえます。

一人ではない事に気付いた零には、もう怖いものはないのです。

宗谷名人を零が倒す…考えただけでもドキドキワクワクしますね!
そうですね。将棋を通して零は人間としても強くなっていくのです。

原作のラストはどうなるの!?

3月のライオンの原作漫画は、映画が公開された時点ではまだ完結していません

実は、映画のラストは作者である羽海野チカさんが「原作はこういう風に終わらそう」と練っていた構想と非常に近いものであったのだそうです。

その為、羽海野さんは映画とはまた違うラストを、原作で用意するという形になりました。

どんなラストかは、まだ羽海野さんのみぞ知る、という形なのでしょうが、どんなラストを迎えるのか楽しみですね

この作品は、原作やアニメも本当に素晴らしいので、実写映画と合わせて観てみる事をお勧めします!!

3月のライオン【後編】おすすめポイント

“愛の後編”というだけあって、前編と比べ零と周りの人達との絆が後編ではより深く描かれています

そして、何といっても主役の零を演じる神木隆之介の演技力には脱帽です。

はまり役という言葉では足りないほどの迫真の演技は、観ていて心震わされる事間違いありません

生きる為の術だった将棋が、映画が進むにつれ、零の中で次第に明確に”好きなもの”に変わっていくところも見逃せないポイントです。

義理の父親であり将棋の師匠である幸田に、「将棋が好きです」というシーンでの零の迷いの無い真っ直ぐな瞳がその全てを物語っています

零の口から初めて将棋への本当の想いが聞けた、貴重なシーンといえますね。
そうですね。皆がハッピーエンドというラストは、非常に清々しいものがありましたね。

「3月のライオン」気になるロケ地は!?

映画といえば、その映画がどこで撮影されたのか気になるのがファン心理というものです

ここでは「3月のライオン」のロケ地をいくつか紹介していきます!!

せんべえ三代目満作

川本家三姉妹とその祖父が切り盛りする和菓子店“三日月堂”

ここは京浜東北線浦和駅西口から徒歩で約5分の場所の裏門通り沿いにある“せんべえ三代目満作”がロケ地となりました。

“せんべえ三代目満作”は昭和28年から手焼きでせんべいを焼いている老舗なんだとか!

川本家の三姉妹と祖父の笑い声が今にも聞こえてきそうな、暖かな雰囲気のお店です

将棋会館

総武線千駄ヶ谷駅から徒歩で約10分の場所にあるのが将棋界の聖地とも呼べる“将棋会館”です。

零が足繁く通う場所として、この場所なくしては「3月のライオン」という作品は語れません

今にも将棋を指す音が聞こえてきそうなこの“将棋会館”。

「3月のライオン」ファンなら一度は行ってみたい場所ですね

佃小橋

零が川本家にお邪魔する時、必ず通る赤い橋は“佃小橋”という橋です。

地下鉄月島駅から約5分の場所にある佃公園に架かる橋なのだとか

こじんまりとしていて、とても可愛らしい橋です。

インスタ映えしそうな橋でもありますので、一度行かれる事をお勧めします!

立石寺(山寺)

山形県の仙山線山寺駅から徒歩数分の所にあるのがこの“立石寺”と呼ばれるお寺です。

絶景スポットとしても有名で、通称“山寺”とも呼ばれています

1000段以上もある石段を登りきったところにある、山寺行啓記念殿という所で零と宗谷名人の対局シーンが撮影されました。

ラストシーンで使われているだけあって、とても豪華なロケーションの土地となっています

山形を訪れる際にはぜひ行ってみたい、貴重なロケ地です!!

どこも魅力的なロケ地ですね!
お友達などと賑やかに聖地巡礼というのも楽しそうですね!

まとめ

以上、「3月のライオン【後編】」から物語の考察・ネタバレ、あらすじや気になるロケ地等をご紹介してきましたが如何でしたでしょうか!?

映画「3月のライオン」の良いところは、“将棋を知らなくても楽しめる映画”というところにあります。

観れば観るほどその世界観にどっぷり浸れる映画なので、1度と言わず何度も観てみて下さい!!

人生に迷う全ての人に贈りたい、味わい深い感動の映画となっています。

3月のライオン 【前編】を観返すならこちら

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