3月のライオン【前編】ネタバレ・考察

「3月のライオン」は人気漫画家・羽海野チカ原作の実写映画で、前編は2017年3月18日に公開されました。

主演は神木隆之介で、映画「るろうに剣心」シリーズ等で知られる大友啓史が監督を務めた事でも注目を集めた映画です。

将棋を軸に、17歳の孤独な高校生プロ棋士の成長を描いた、感動のヒューマンドラマとなっています。

映画「3月のライオン【前編】」から物語のネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわるトリビアを一気にご紹介していきたいと思います!!

3月のライオン【前編】(2017年)

幼い頃に交通事故で両親と妹を亡くした主人公・桐山零(神木龍之介)。

零は亡くなった父親の友人で、プロ棋士である幸田柾近(豊川悦司)の家庭に引き取られ、将棋の才能を見出される。

しかし、義理の姉である幸田香子(有村架純)やその弟の歩は、中学生でプロ棋士となった零の存在を快くは思っていなかった。

高校生になった零は幸田家を出て、川沿いのアパートで一人暮らしを始める。

孤独と闘いながら将棋と向き合う零であったが、ある時近所に住む川本家の三姉妹と出会い、零は徐々に自分の居場所を見出していくのであった…。

3月のライオン【前編】(ネタバレ・考察)

「闘いの前編」と称される「3月のライオン【前編】」。

この映画にはどんなトリビアが詰まっているのでしょう?早速見ていきましょう。

タイトルの由来とは!?

“3月はライオンのように荒々しい天気と共におとずれ、穏やかな子羊のように去る”というイギリスの気候に関することわざがあります。

原作者である羽海野チカさんは、おそらくこのことわざを意識してタイトルを決めたのではないでしょうか。

由来が明確にされているわけではありませんが、将棋の世界でも3月という月はプロ棋士達にとって特別な意味を持っているのです。

6月に順位戦が始まり、棋士達は月一局ずつ3月までかけて将棋を指し続けます。

そして3月の最終局に昇級(降級)をかけた闘いが待っているのです。

つまりプロ棋士達にとって3月は、ライオンのように荒々しく燃え上がる月だといえます。

原作の漫画にも「March comes in like a lion」というサブタイトルが小さく添えられている事もあり、ここにタイトルの由来が詰まっているのは濃厚です。

あの有名監督の娘が出演!!

孤独な零の心の拠り所となる川本家の三姉妹の存在。

そんな中でも際立った可愛さを醸し出しているのが新津ちせ演じる三女のモモです

まだ保育園児という事もあり、天真爛漫で川本家のアイドル的存在となっています。

そんなモモを演じた新津ちせは何と!「君の名は。」「天気の子」などで一躍有名となった新海誠監督の娘さんなのだそうです!!

きよら(卵)のCMの声や、子供達の間で爆発的に流行した「パプリカ」を歌う、Foorinのメンバーとしても活躍している新津ちせさん

今後の活躍も楽しみですね!!

新海誠監督の娘さんなのですね!びっくりです!!
とても愛らしい、注目の子役といえますね。

豪華な俳優陣に注目!!

漫画の実写化となると、原作ファンは作品のイメージが壊れないか、どの役者さんが演じるのかなど気になるところはたくさんありますよね。

しかし、この「3月のライオン」の実写映画化は成功といえるでしょう。

まず、主役の神木隆之介は本当にはまり役といえます

小さな頃から将棋しかなかった零の孤独な生き様を、見事に体現している演技が素晴らしいです。

そしてこの映画内で強烈なインパクトをはなっているのは、何といっても有村架純でしょう。

清純なイメージの彼女ですが、それを覆すかのごとくこの作品内では見事な悪女ぶりを披露しています

他にも佐々木蔵之介、伊藤英明、豊川悦司、加瀬亮、染谷将太、 高橋一生、 倉科カナ、 清原果耶など名前を挙げただけでも凄すぎる顔ぶれです!

まだブレイクする前の中村倫也も出演しているので、そこもチェックしてみてください!

零が将棋を指す意味とは?

両親と妹を亡くした零は幸田家に引き取られ、将棋漬けの日々をおくります。

零が将棋を指し続ける意味とは何なのでしょう?

そこを考察していきます。

生きる術だった

両親と妹のお葬式の日、零は幸田に「君は将棋は好きか?」と聞かれます。

間をおいて「はい」と答える零でしたが、それは究極的にいえばでした。

この人についていかなければ、自分は厄介者として誰に引き取られるのかもわからない。

子供ながらに、父親の友人であった幸田にすがりつくように嘘をついたのです

それが零にできる精一杯の生きる術だったといえます。

最初は幸田家の子供である、香子やその弟の歩に「全然相手にならない」と言われる零でしたが、必死で努力を重ね将棋を学んでいくのです。

そしてその努力は報われ、零は将棋で徐々に自分の才能を開花していくのでした。

幸田にもその才能を買われ、内弟子となりますが、皮肉にもその才能は香子や歩との溝を深めるものとなってしまうのです。

孤独を埋めてくれる存在

零にとって将棋とは、自分の友達のような、或いは家族のような孤独を埋めてくれる唯一の存在でした。

将棋を指している時、零は唯一「一人ではない」と感じる事ができたのです。

そして“将棋は自分を裏切らない”とも感じていたのでしょう。

普段はあまり感情を表に出すタイプでない零ですが、「将棋しかねぇんだよお!!」という言葉を吐き、泣きながら自分の感情を爆発させるシーンがあります。

そのシーンが零の全てを表しているといえます

家族を亡くし、幸田家の子供達とも仲良くなれず、高校生活においても話し相手は先生だけ。

孤独だった零を救ってくれたのがただ一つ“将棋”というものだったのです

零の感情爆発シーンは、胸打たれるものがありました。
淡々と将棋を打ち続ける零のひたむきさには、孤独と涙が入り混じっていましたね。

世界と自分を繋いでくれる

将棋は、零にとって周りの世界と自分を繋いでくれるただ一つのツールです

コミュニケーションツールといってもいいでしょう。

将棋の盤面のように、零の世界は将棋を通じて出来上がっているのです。

零の見る世界や人間関係は、全部といっていいほど将棋なしでは語れません。

零を慕う人も、悪く思う人も、全て将棋がもたらしてくれた縁なのです。

零自身がその事に気付けば、もっと零自身の世界も広まっていくといえます。

将棋は零の人生において、なしでは生きていけないというほど、彼の血となり肉となっているものなのです

零を取り巻く人間模様

この「3月のライオン」という作品は零を取り巻く人間模様なしでは語れません

そこを考察していきたいと思います。

義理の姉・香子の存在

香子と零の関係はとても複雑な関係といえます。

零は香子に一種の罪悪感を持っています

自分が将棋で頭角を表してしまった為に、香子や歩が将棋をやめる事になってしまったからです。

つかず離れずの関係で、零はその罪悪感から香子を強く突き放せないといえます。

香子にとって零は申し訳ないと同時に、多少の恋愛感情も持っているといえるでしょう。

将棋界の先輩である後藤と香子の不倫を零が咎めるのは、道徳心と同時に嫉妬も混ざったものがあるのです。

零は香子に恋愛感情を持っているのですか…?
難しいところですが、零は香子には“幸せになってほしい”と感じているのではないでしょうか。

クラス担任・林田先生の存在

何かと零の存在を気にかけ、零が昼食をとる際必ずといっていい程現れるクラス担任の林田先生。

零の良き理解者で、かけがえのない人生の先輩でもあります

林田先生は、零の心の闇をとても身近で知っている存在といえるでしょう。

先生は零の孤独な心を溶かしたいのです。

林田先生が零の事を気にかけるのは、心配と同時に、“人生はそんなに悪いものではない”という事を零に気付かせたいから、といえます。

先生は零にとって大切な人生の先輩であり、恩師とも呼べるのです。

林田先生はいい味出していましたね!
そうですね。零の心強い味方と呼べますね。

川本家の存在

孤独な零の心の拠り所となっているのが、川本家の三姉妹の存在です

幸せな家族の形を失った零にとって、川本家は“家族”の温かみを思い出させてくれる貴重な場所となっています

皆で楽しく食卓を囲む、そんな些細な事でも零にとっては幸せなのです。

零は川本家の人達に救われました。

亡くなった母親の事で泣く、次女のひなたを慰めるシーンで「ちゃんと泣いてあげるのはいいことだと思う」という言葉を零はひなたにかけます。

それは両親と妹が亡くなった時に、ちゃんと泣けなかった自分自身にも言い聞かせての零の台詞なのです。

川本家の食卓、美味しそうな料理で溢れていますよね。
零の心の支えであり、憩いの場所となっているのは明確ですね。

将棋仲間の存在

零の周りにはたくさんの将棋仲間がいます。

その中でも異彩を放っているのが染谷将太演じる二階堂です

彼は零の事を“心友”と呼び、いつか大きな闘いの舞台で零と対戦する事を目標としています。

そんな二階堂は棋士、山崎との対戦中に持病の為に倒れ病院へ運ばれます。

その後、零が山崎と闘い勝てたのは「自分の将棋を、自分自身を大切にしろ!」という二階堂の言葉が頭の中で響いたからです。

格好良く、二階堂の仇を討つつもりで勝負に挑んだ零はこの言葉にハッとさせられるのでした。

大切なのは仇討ちなどではなく、“自分自身の為に将棋を打つこと”だと零は気付かせられたといえます。

将棋を打つ人々の背景にはたくさんのドラマがあります。

それは対戦相手の山崎にも通じるものがありました。

その事を悟った零は、自分自身のおごりに気付き、自分を恥じたのです。

零と宗谷の関係

宗谷は将棋界で“神の子”と呼ばれ長い間、名人の座を誰にも渡す事なく勝ち続けています。

将棋界の面々にとって、宗谷はいつか倒したい相手として描かれており、零にとってもそれは同じです。

宗谷は寡黙で冷静沈着、本当に“神の子”という表現がぴったりの棋士といえます。

宗谷は、実は、自分の事を倒してくれる相手が出てくるのを待っているのではないでしょうか。

そして最後のシーンで宗谷と零の目が合いますが、宗谷を倒すのは零である可能性があります

零が宗谷を意識しているように、宗谷も零の事をいつか自分を倒す相手として期待しているのでしょう。

まとめ

以上「3月のライオン【前編】」のネタバレ・考察、あらすじや作品にまつわるトリビアを紹介してきましたが、如何でしたでしょうか!?

「愛の後編」と称され同年4月22日に後編が公開されているので、前編・後編と合わせてぜひ映画を楽しんで下さい

前編は将棋の事が中心でしたが、後編は零の周りの人間模様が前編よりも、より深く描かれているのでそこが見どころです!!

「3月のライオン」は原作を含め、とても味わい深い作品なので、チェックをお忘れなく!!

感動の映画としてあなたの心に残る事間違いなしです

3月のライオン【後編】(ネタバレ・考察)はこちら

関連記事