ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(ネタバレ・考察)熱狂的ゴジラ信者の監督による映画!?

映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は2019年にアメリカで公開されたSF怪獣映画です。

監督は「スーパーマン・リターンズ」などを手掛けたマイケル・ドハティ、主演は日本人俳優の渡辺謙、カイル・チャンドラーらが務めています。

この映画は前作「GODZILLA ゴジラ」から5年後の地球を舞台にした、ゴジラとギドラによる地球の王を決める戦いを描いた作品です。

前作からスケールアップした怪獣たちの戦いを、よりダイナミックに描いた映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」。

ゴジラやギドラのほかにモスラやラドンといった有名な怪獣、そしてモンスターバースオリジナルの怪獣たちが活躍する作品でもあります。

また、日本ではゴジラ65周年記念の作品として、海外でもモンスターバースシリーズの3作品目としてゴジラファンから大きな反響を呼びました。

そんな映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を、ネタバレや考察を交えて紹介していきます。

前作「GODZILLA ゴジラ」の記事はこちら!

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年)

ゴジラと怪獣ムートーの戦いから5年が経った地球。

南極に眠る太古の巨大生物、ギドラがテロリストの手によって長き眠りから目を覚ました。

それを察知したゴジラはギドラの暴れる南極に向かい、両者は激しい戦いを繰り広げる。

怪獣王として君臨して地球を守るゴジラと、王座を奪い地球を破壊するために動くギドラ。

そんな彼らの戦いに呼応するかのように世界中で怪獣たちが暴れだし、地球はかつてない危機に直面する。

一方怪獣の研究機関・モナークは、彼らの戦いによって引き起こされる被害を減らすために奮闘していく。

果たして王座を賭けたゴジラとギドラの戦いはどうなるのか?そして人類の命運はいかに…。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(ネタバレ・考察)

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」には映画の裏話や、さまざまなトリビアが秘められた作品です。

そんな映画を彩る魅力的な情報をいくつか紹介していきます。

膨大な制作費!しかし収益は低迷?

本映画の製作費はなんと約180億円

この金額は2020年5月までに公開された全映画の中で133番目に高い製作費が掛かっている作品です。

さらに広告費も合わせると約300億円という大金が投入されており、制作会社の本映画に対する気合の入れ具合がみられます。

初めて劇場で公開された2019年5月の週末には多くの人々が映画館を訪れ、多くの国で初週興行収入ランキングの一位を獲得しました。

しかし本作は多くの人々から高い評価をもらったものの、最終的な興行収入は約400億円でストップ。

映画が黒字になるには製作費の3倍の収入が必要と言われているため、赤字という結果に終わります。

東宝の怪獣が勢ぞろいする予定だった?

本映画にはたくさんの怪獣が出てきており、名前だけが登場する物を含めると21体も登場しました。

しかし、それらの怪獣のほとんどは本映画のオリジナル怪獣たちです。

彼らも魅力にあふれる存在ではありますが、今までのゴジラ映画で活躍する怪獣たちがもっと出てきてほしかったという声もありました。

実は、ガイガン・アンギラス・ビオランテといった東宝で活躍した怪獣たちを登場させるという構想が映画の原案にあったのです。

しかし、東宝怪獣たちの使用権は非常に高額であり、既にゴジラ・モスラ・ギドラ・ラドンの権利を借りているため、予算が足りませんでした。

もし今以上に予算が潤沢であれば、本映画は有名な怪獣たちが一堂に会するさらに豪華な作品になっていたかもしれません。

ゴジラと主役級の三怪獣たち

本映画はゴジラとギドラの戦いや、彼らをサポートするモスラやラドンたちの戦いが大きなみどころの作品です。

そんな彼らについてを紹介していきます。

怪獣たちはどのような活躍をみせてくれるのでしょうか?
より映画を楽しめるために、ここで彼らについてを知っておきましょう!

ゴジラ【怪獣王】

本映画のゴジラは前作「GODZILLA ゴジラ」と同一の個体です。

前作で起きたムートーとの戦い以降は姿を見せていませんでしたが、ギドラ復活に呼応するかのように地上へ姿を現しました。

5年ぶりに姿を見せたゴジラは以前よりも大きく成長しており、さらなる進化を遂げています。

映画では敵対するギドラたちと激戦を繰り広げ、最後には「怪獣王」という名にふさわしい姿を見せ、人々やほかの怪獣から尊敬を集めるのです。

またゴジラは古代文明で神様として祀られていたことが分かっており、各地の古代遺跡ではゴジラ信仰の面影がみられます。

実際にゴジラを始めとした怪獣たちは、ギドラを除いて地球環境の調和する役割を持っているため、神様と言われても違和感はないでしょう。

モスラ【怪獣の女王】

モスラは1961年の映画「モスラ」に出演以降、さまざまなゴジラシリーズに登場を果たしている怪獣です。

初登場から一貫して人類に友好的な性格を持ちますが、ハチやカマキリの要素を取り入れて見た目や生態は大きく変化を遂げました。

今までの映画でモスラはゴジラと敵対関係にあるか、共通の敵と戦うために一時共闘するといった関係で、ゴジラとは明確なつながりを持ちません。

しかし本映画でモスラはゴジラと明確に共生関係を持つ怪獣として描かれています。

この生態から、モスラは多くの怪獣たちの中でゴジラや人間の唯一の味方として活躍しました。

また、モスラのゴジラに対する献身は王を助ける女王といえる存在で、モナークの研究員からは「怪獣の女王」と呼ばれています。

ラドン【炎の悪魔】

ラドンは1956年の映画「空の大怪獣 ラドン」でデビューを果たした後、多くのゴジラシリーズで活躍を見せた怪獣です。

2004年の映画「ゴジラ FINAL WARS」から15年ぶりに登場するラドンは従来と比べ見た目や生態が大きく変化しました。

翼はより巨大化し、火口を根城にしたことで体は超高熱に、そして熱を生かして素早く空を飛び、攻撃に利用するようになります。

また、炎をまとった姿は人々から凶悪な怪獣として知られており、現地の人からは「炎の悪魔」と恐れられていました。

そして仲間思いであった従来のラドンの性格から、現れたギドラに対して積極的に戦いを挑む、好戦的な性格に変化しています。

余談ですが、従来の怪獣映画は着ぐるみを使った撮影であるため、空を飛びながら回転するといった複雑な動きができませんでした。

しかし2019年のCG技術は十分に進化していたため、今まで見ることが出来なかったラドンの姿を見られるようになります。

ギドラ【偽りの王】

ギドラは1964年の映画「三大怪獣 地球最大の決戦」でデビューし、ゴジラのライバルとして活躍してきた怪獣です。

今まではキングギドラと呼ばれる怪獣でしたが、本映画では「ギドラ」や「モンスター・ゼロ」という名前で呼ばれています。

ギドラははるか昔からゴジラと敵対関係にある怪獣で、今回もゴジラをさまざまな方法で苦しめるのです。

また、ギドラはゴジラも吹き飛ばす強力な光線を放ち、ありえない程の再生力を持つといった異質な生物として描かれていました。

生態の異質さは作中でも触れられており、ギドラはなんと宇宙からやって来た怪獣であることが語られます。

ギドラはゴジラと同等の強さを持ちますが、宇宙から来た侵略者のような怪獣であるため芹沢博士からと呼ばれました。

総勢21体!地球に集う怪獣たち!

この映画には名前だけの出演を含めると21体という多くの怪獣が登場しました。

そんな怪獣が見せた活躍を紹介していきます。

ムートー【前作からの刺客】

本映画では前作の敵怪獣として活躍したムートーも少しだけ登場しています。

前作では雄と雌のつがいで活躍するムートーでしたが、両方ともゴジラに倒されていたため、雌の別個体が登場しました。

そんなムートーはギドラの呼び声で目覚め、アメリカで暴れた怪獣の一体ですが、最後はゴジラの前にひざまずいて従う様子をみせています。

余談ですがムートーはもともと「Massive Unidentified Terrestrial Organism」の略称であり、怪獣全体を表わす言葉として使われていました。

しかし、ムートーという呼称はあまり定着せず、次第に忘れ去られていきます。

そして本映画から怪獣たちをタイタンと呼ぶようになり、ムートーはこの怪獣をしめす言葉に変化したのです。

ベヒモス|スキュラ|メトシェラ【本作オリジナル怪獣】

この3体の怪獣は映画で活躍したモンスターバースオリジナルの怪獣になっています。

「キング・オブ・モンスターズ」で新たに誕生した怪獣はこの3体のみであり、新しい怪獣である彼らの活躍は見どころです。

ベヒモスとメトシェラは旧約聖書の怪物がモチーフの怪獣でありベヒモスはマンモス、メトシェラは岩山のような怪獣として描かれています。

またスキュラはギリシャ神話に登場する、昆虫のクモがモチーフの怪獣です。

彼らは他の怪獣たちと共にギドラの声で目を覚まして地上で暴れますが、最後はギドラに勝利したゴジラにひれ伏し、従う姿をみせました。

惜しくも出られなかった怪獣たち

今まで紹介した怪獣のほかに、映画に映像として出演できなかったものの、地球で暴れ回った怪獣たちが存在します。

実は映画で登場したこれらの怪獣の多くは伝説や神話の怪物、神様や女神などがモチーフです。

そんな怪獣たちの名前と、元となった由来を紹介していきます。

  • モケーレ・ムベンベ(アフリカのUMA)
  • バフォメット(聖書に登場する悪魔)
  • ティアマト(メソポタミア神話の女神)
  • タイフォン(ギリシャ神話の巨人)
  • アバドン(ヨハネの黙示録に伝わる奈落の王)
  • レヴィアタン(旧約聖書の巨大な海蛇)
  • バニップ(オーストラリアのUMA)
  • セクメト(エジプト神話の女神)
  • ヤマタノオロチ(日本神話の龍)
  • ケツァルコアトル(アステカ神話の神様)
  • アムルック(アメリカの先住民族に伝わる龍)
  • サルゴン(古代メソポタミアの王)

キングコング【続編の伏線?】

映画で登場する21体目、つまり最後に登場する怪獣とはキングコングでした。

コングは「髑髏島」と呼ばれる場所で、生態系の頂点に君臨する類人猿型の怪獣です。

そんなコングは本映画と同一の世界観であるモンスターバースの作品「キングコング 髑髏島の巨神」の主役として活躍します。

そしてエンドロールでゴジラと戦う様子を描いた壁画で登場し、続編「ゴジラVSコング」とのつながりを匂わせる演出でした。

この映画からどのように続編の内容へとつながっていくか、楽しみになりますね。

ゴジラ愛あふれるマイケル・ドハティ監督による会心の作品!

本映画は自他共に認める程の熱狂的なゴジラオタク、マイケル・ドハティ監督によって監修された作品です。

そのため、多くのゴジラ愛にあふれたオマージュやリスペクトが映画内に散りばめられました。

そんな映画の持つオマージュをいくつか紹介していきます。

本映画の芹沢博士はゴジラの命をつなぐ

ゴジラはギドラとの戦いの最中、軍によって撃ちこまれた兵器、オキシジェン・デストロイヤーによって瀕死になります。

しかしギドラには全く効果がなく、ゴジラというギドラを倒せる存在を失った人類は窮地に追い込まれました。

そこでモナークは瀕死になって休眠するゴジラに核兵器でエネルギーを供給することで復活させ、ギドラを倒してもらおうと考えるのです。

しかしトラブルで核の発射機構が壊れたため、芹沢博士は確実にゴジラに核を届けるために潜水艇ごと突撃し、命がけでゴジラを復活させます。

本映画の芹沢博士はオキシジェン・デストロイヤーで傷ついたゴジラを、命を懸けて核兵器で癒やすという行動を取りました。

これはシリーズの初代である映画「ゴジラ」(1954年)のオマージュになっています。

初代「ゴジラ」の芹沢博士は暴れるゴジラを倒すために、命をかけてオキシジェン・デストロイヤーを使いました。

つまり本映画の芹沢博士は、初代「ゴジラ」の芹沢博士と対になる行動理念を持っていたのです。

本映画の芹沢博士は、初代の芹沢博士から名前を貰ったと監督が語っているよ。

モスラの命がけの献身

本映画ではギドラの攻撃からゴジラをかばい、モスラは命を散らしてしまいます。

そんなゴジラはモスラのパワーを受け継ぎ、さらなる進化を遂げてギドラを倒すことに成功しました。

この場面は映画「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年)のオマージュです。

映画「大怪獣総攻撃」ではゴジラとギドラの立場が逆になっており、ゴジラが敵怪獣、ギドラとモスラは地球の守り神として登場していました。

そこでギドラにとどめを刺そうとするゴジラの攻撃をモスラがかばったことで、命を落としてしまいます。

ギドラは仲間の死を悲しみながらもモスラの力を受け継ぎ、不完全な状態から千年竜王と呼ばれる完全体にパワーアップを遂げました。

新たにパワーアップを遂げたゴジラは…?

赤く輝く姿に進化を遂げたゴジラは映画「ゴジラVSデストロイア」(1995年)のオマージュです。

「ゴジラVSデストロイア」では、ゴジラが核爆発によって大量の放射能を吸収して、体がメルトダウン寸前の状態になりました。

バーニングゴジラと言われる形態のゴジラは凄まじい戦闘力でしたが、怪獣デストロイアとの戦闘後に体が限界を迎えてしまいます。

最終的にゴジラの体は溶け落ちていき、命を落としてしまうのです。

しかし本作のゴジラは多量の放射能により暴走状態になりますが、モスラの力を受け継いだことでエネルギーを制御出来るようになります。

そのため戦いが終わった後も問題なく活動しており、「ゴジラVSデストロイア」とは大きく異なる結末を迎えました。

本当にさまざまなゴジラ映画からオマージュが行われているのですね。
ドハティ監督はゴジラ狂信者と言われる位コアなファンだからこそ、ここまで凝った映画になったと言われているよ。

おなじみの「ゴジラのテーマ」が再登場!!しかし…?

本映画ではゴジラ・モスラ・ラドン・ギドラの4怪獣にはそれぞれメインテーマが用意されています。

そしてゴジラのテーマは従来のゴジラの曲を忠実に再現して作られたアレンジ曲でした。

2019年に蘇ったあのテーマを聞いて、劇場で思わず胸を躍らせた方も多かったと思われます。

しかしこの曲が中盤に差し掛かるとよくも悪くも非常にインパクトのある曲へと変化しました。

日本語で「ソイヤッ!」や「ゴッ・ジッ・ラッ!」という合いの手が入り始め、今まで感傷に浸っていた人も思わず驚くことでしょう。

そんな唐突な変化から一部では令和のゴジラ音頭と言われるようになり、上映当初はちょっとした話題になりました。

エンドロールの首は一体何を示すのか?

映画の最後にギドラの首を回収するテロリストの姿がありますが、その行動にはどんな意味があるのでしょうか。

これは過去作に登場した怪獣「メカキングギドラ」が続編で登場することを示唆しているのです。

実はギドラと機械怪獣の関係はかなり深く、ギドラは過去に2回も機械へと改造されています。

一回目は「ゴジラVSキングギドラ」ではゴジラに負けたギドラの体を使い機械怪獣を作り出し、ゴジラとの再戦に挑みました。

二回目は「ゴジラVSメカゴジラ」で、この映画に登場した機械怪獣・メカゴジラにはギドラの首が組み込まれています。

どちらも高い科学力を持つ集団に回収され、機械怪獣として作り直されて活躍を見せました。

本作のテロリストたちも優れた科学力を持つため、ギドラを機械化する展開に繋がる可能性は十分にあります。

なによりゴジラを強くリスペクトしているドハティ監督があえてエンドロールに残した情報です。

次回作「ゴジラVSコング」でメカギドラが登場する可能性は非常に高いと言えるでしょう。

まとめ

本映画はゴジラを始めとした巨大な怪獣たちによる大迫力の戦いが見どころの作品です。

より進化した映像技術によって、彼らの戦いは今まで以上に美しく描かれており、思わず釘付けになってしまうかもしれません。

そんなハリウッドで新たに始動したゴジラ映画である「GODZILLA」の続編「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」。

SF物や怪獣が活躍する映画が好きな人たちに、ぜひ見てほしいおすすめの作品です。

関連記事