ギャンブルの世界へと誘う蛇喰夢子

「映画 賭ケグルイ」は2019年5月3日に公開されました。

「賭ケグルイ」は河本ほむら(原作)、尚村透(作画)コンビが描く人気漫画で、シリーズ累計発行部数は620万部を突破している大人気漫画です。

主演は映画「君の膵臓をたべたい」(2017年)で一躍注目を浴びた浜辺美波で、監督は「ハンサム★スーツ」(2008年)、「ヒロイン失格」(2015年)などの代表作を持つ英勉が務めました。

ギャンブルによって生徒同士の階級が決まる、名門・私立百花王学園。

そこに転校生としてやってきた主人公の蛇喰夢子(じゃばみゆめこ)が天才的なギャンブルの才能で次々と強敵を打ち破っていく姿を描いた、痛快エンターテインメントムービーです。

原作やアニメ版、ドラマシリーズにはない、完全オリジナルストーリーである「映画 賭ケグルイ」から一筋縄ではいかないキャストの魅力、夢子がギャンブルで負けた理由などに迫っていきます!!

映画  賭ケグルイ(2019年)

見どころ
高杉真宙らテレビ版の主要メンバーに加え、宮沢氷魚、福原遥ら若手演技派キャストが競演。原作の河本ほむらがシナリオ原案・監修を務めた完全オリジナルストーリー。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
2年華組・蛇喰夢子は、生徒会長・桃喰綺羅莉とのギャンブルを心待ちにしていた。2人の勝負への期待が高まるなか、“非ギャンブル、生徒会への不服従”を掲げる白装束集団・ヴィレッジが生徒会と対立。生徒会は、ヴィレッジ解体並びに夢子潰しを企み…。
出典 : video.unext.jp

映画 賭ケグルイ(ネタバレ・考察)

主演の浜辺美波を筆頭に、演技力もビジュアルも最高!といえるキャスト陣が集結した「映画 賭ケグルイ」。

ここではキャストの魅力や、本作品の独特な世界観に迫っていきたいと思います!!

個性派揃いのキャストに注目!!

登場人物達の吹っ切れた演技が魅力的なこの作品。

主役の浜辺美波を始めとし、この映画に登場する人々は曲者揃いです。

まず、浜辺美波演じる蛇喰夢子は、普段は上品でおっとりとしている性格ですが、ギャンブルが絡む事になると一変します。

ピンチに陥っている状況でも「たぎってしまいますわあ~!」という言葉が飛び出すなど、ギャンブルが好きで好きでたまらないといった面を持っているのです。

そして「さあ、賭け狂いましょう!」という夢子のお馴染みの台詞は映画版でもしっかりと出てくるので、お見逃しなきよう!

その他にも夢子の相棒役として高杉真宙や、カメレオン女優として存在感を放つ森川葵もドラマシリーズから変わらず出演しています。

そして、乃木坂46の松村沙友理や元・乃木坂メンバーであった伊藤万理華も出演しているので、ファンの方は見逃せません!

人気コスプレイヤーのえなこや、モデルの池田エライザも生徒会長役で特別出演として登場します。

これだけの豪華メンバーを集めた映画ですから、面白くないわけがありません!

登場人物の顔芸&迫真の演技がスゴイ!!

「賭ケグルイ」というこの映画の中で印象に残るのは、何といっても登場人物達の顔芸とも呼べる“顔”の演技と鳥肌の立つような迫真の演技です。

特に終盤の“デュアルクラッシュ・ポーカー”と呼ばれるゲームでは、福原遥演じる歩火樹絵里(あるきびじゅえり)と、浜辺美波演じる夢子の演技に圧倒されます。

歩火樹絵里は学園内のヴィレッジと呼ばれる非・ギャンブル団体の幹部ですが、それは表向きの顔で生徒会長に気に入られたいが故に、夢子達にわざと負ける事でヴィレッジの解散を目論んでいました。

この時の福原遥の泣きの演技が、異彩を放っており、とにかくすごいです。

髪の毛で片目が隠れ、まるで「ゲゲゲの鬼太郎」のようになっており、「私が足手まといになっている…。」とその形相で涙を見せます。

彼女の計画に唯一気付いていた夢子はその様子をしらけた様子で見て、「いい加減、不愉快です。そろそろ正体を出したらどうですか?」と言い放ちます。

そしてついに歩火の本性が明かされるのです。

この時の彼女の演技はとにかく素晴らしい!主役の浜辺美波の演技を食うほどの存在力を放っています。

皆が皆、とても個性的で、ギャンブルというものを通じて迫真の演技を見せているのです。

ギャンブルを知らない人でも楽しめる映画

この映画の肝となっている、ギャンブルという要素。

一見難しく感じられますが、この映画の最大の良点は“ギャンブルを知らなくても楽しめる”というところにあります。

その理由として、ギャンブルを通じて多彩な人間ドラマが観られるからです。

シナリオ監修と原案にこの作品の原作者である河本ほむらが関わっている事が最大の武器ともいえます。

ギャンブルの中身やルールがわからなくても勝負の行方がどちらに傾いたのか、それさえ理解できれば、この映画は充分満足して観られる事のできる映画と呼べるでしょう。

この「賭ケグルイ」という映画は、ギャンブルに大きな視点を置いているわけではなく、ギャンブルを通じての登場人物の心理描写や表情、一つ一つの台詞が面白さを醸し出しているのです。

登場人物達がこれから行われるギャンブルについて、ルールを説明するシーンもありますよね。
そうですね。そこはこの映画の親切なところといえます。

主題歌が見事に映画とマッチ!!

映画のオープニング曲はドラマシリーズと同じく、PassCodeの「一か八か」が使われています。

本作品の狂ったような世界観を見事に体現しており、「賭ケグルイ」のイメージにぴったりの楽曲です。

主題歌はそらるの「アイフェイクミー」という曲が使われており、映画と音楽がぴったりと映画の雰囲気にマッチしています。

どちらもとても魅力的な楽曲で、「賭ケグルイ」の世界にどっぷりとハマってしまいそうな音楽です。

ギャンブルの勝敗によって決まる学園生活!?

百花王学園は生徒同士のギャンブルの勝敗によって、学園内でのカースト制度が決まってきます。

一番下位に属する生徒は“家畜”としてみなされ、ポチ、ミケという名前を与えられるのです。

そして、上位に属する生徒の言う事を何でも聞かなければいけません。

こんな学園生活アリなの!?と思ってしまう人が多数でしょう。

この作品は一種のエンターテインメント映画です。

“存在しない学園”というレッテルがあるからこそ、観客は逆に安心して観ていられるという部分もあるでしょう。

現実には存在しないけれども、こんな学園があったら面白そう!という人間の究極の心理をついているのが、この「賭ケグルイ」という作品だといえます。

原作の、現実では有り得ないような世界観を実写映画でも丁寧に壊さず表現しているところが、この作品をより魅力的に、面白くしているのです。

高杉真宙演じる鈴井涼太も、夢子が学園に現れるまでは家畜として扱われていたのですよね。
そうですね。夢子は涼太の救世主といってもいいのではないでしょうか。

夢子は何故勝負に負けたのか?

歩火樹絵里と、そのパートナーである宮沢氷魚演じる村雨天音。

村雨は過去に姉をギャンブルが絡んだ事件で亡くしており、百花王学園の生徒会長に唯一ギャンブルで勝った天才的な人物でもあります。

何故、夢子は歩火と村雨ペアに敗北したのでしょう?そこを考察していきます。

自分を見下されたと感じた

村雨は、もうギャンブルはしないと心に決めていたものの、ヴィレッジの危機を救う為に立ち上がります。

歩火の裏切りを知り、ショックを受けながらも闘うことを決めたのです。

一方、歩火の本性を見て夢子は自分のギャンブルの腕を、もしくは自分そのものを見下されたと感じたのでしょう。

夢子はどんな相手にも全力で挑みます。

歩火がヴィッレジ解体の為に卑怯な手を使ってわざとギャンブルに負けようとしている。その姿勢が夢子には許せなかったのです。

歩火の行動は自分への冒涜、そしてギャンブルへの冒涜だと感じたといえます。

自分のギャンブルへのプライドをかけて、歩火が負けようとするなら、自分も負ける道を選ぶ事が歩火に対する勝利であると考えたのです。

村雨を助けようとした!?

歩火の本来の目的を知って、夢子は完全に歩火を軽蔑しました。

そして、このギャンブルが自分にとって有意義ではないと悟ったのです。

夢子は完全にギャンブル狂なので、村雨に同情したなど、そんな慈悲の心を持っているわけではありません。

完全に、流れで勝敗が決まったのです。

歩火がわざと負けようとしている→夢子もやる気を失くす→結果的に夢子達が負けるという流れになっただけといえます。

「ハラハラ・ドキドキしてこそギャンブル」それが夢子の思い描くギャンブルです。

村雨は、自分の力で勝利を勝ち取ったといえます。

なるほど~!夢子は村雨に同情したわけではないのですね。
夢子のギャンブルの鉄則として、「勝利は自分の手で勝ち取るもの!」といった理念があるのではないでしょうか。

夢子の正体とは!?

夢子は百花王学園に転入生としてやってきました。

現段階では原作がまだ連載中という事もあり、夢子が百花王学園に転入してきた目的やその正体は謎のベールに包まれています。

わかっている事は入院中の姉がいる事、夢子の姉はかつて百花王学園の生徒会長であり、現生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみきらり)とのギャンブルに負けた過去があるのでは、との見解があるのです。

原作は2021年6月現在、第14巻まで出ています。

夢子が生徒会長とのギャンブルにこだわるのはやはり姉のことが大きく関係しているのではないでしょうか。

そして夢子が左手の親指にしている指輪にも秘密が隠れているのだとか。

夢子の両親はすでに他界しているので、指輪は家族の形見なのではないか、とも賭ケグルイファンの間で噂されています。

「意志を貫く」という意味を持つ親指の指輪。

生徒会の面々が夢子の事をやたらと気にかけるのも、ギャンブルが強いという理由だけでなく、何か大きな陰謀を感じます。

夢子の正体が正義か悪なのか、はたまた天使か悪魔なのか、ファンの間では様々な憶測が飛び交っているのです。

映画をまだ観ていない方も、すでに鑑賞済みの方も、原作やTVアニメ、ドラマシリーズ未見の方は、ぜひ観てみて下さい!

「映画 賭ケグルイ」の世界を二度も三度も楽しめる事間違いなしです!!

夢子と生徒会長は同じ血筋の一族?

百喰一族と呼ばれる人々がこの作品には登場します。

この百喰一族には様々な分家があり、「○喰」と喰の付く名字の人々は全て同じ血筋といえます。

桃喰家から全てが始まっており、生徒会長の綺羅莉はその頂点に立っている人物なのです。

そして蛇喰という名字を持つ夢子と、桃喰という名字を持つ綺羅莉は辿っていくと階級の差はあれど、同じ血筋の一族なのです。

この「賭ケグルイ」という作品に出てくる登場人物は難しい名前の人物ばかりですが、作者が何故そのような名前を付けたのか?という意図は明るみにはなっていません。

夢子が綺羅莉とのギャンブルに勝ち、蛇喰家が一族の頂点に立つ日は来るのでしょうか!?

今後の展開も目が離せませんね!

「映画 賭ケグルイ」みどころポイント

ラストシーンで村雨が人生計画書を生徒会関係者に渡すシーンがあります。

そこには“食堂に美味しいスイーツを導入すること”と書かれていました。

これは映画内で夢子が村雨に「どうして食堂には美味しいスイーツがないのでしょう!?」と疑問を投げかけていた時の伏線回収となっているのです。

そして、歩火・村雨ペアに負け、2億の負債を抱える事となった夢子達ですがここでも粋な演出が見られます。

実は夢子はクラスメイトで仲の良い、早乙女芽亜里にお願いをして歩火・村雨ペアの勝利に2億のお金を賭けていました。

夢子は非常に頭のキレる人物なので、先々の展開を事前に察知していたのです。

夢子が美味しそうなスイーツを頬張るところで映画は終わります。

この伏線回収には思わず「上手い!」と言葉が出てしまうほど、面白い展開となっているのです。

生徒会長とギャンブルで闘う事を目標とする夢子。

その日が来るのも遠い未来ではないといえるのではないでしょうか。

まさか村雨が人生計画表にスイーツの事を書くとは思いませんでした!
この演出は粋でしたね!

そして物語は続編へ

「映画 賭ケグルイ」の続編、「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」で夢子達がまたスクリーンに帰ってきます!

キャストに変更はないので、夢子達にまた会えるのは嬉しいですね!

映画の第一弾で行われた“生徒代表指名選挙”を終えて、平穏を取り戻したかに思われる百花王学園。

しかし、生徒会の面々は日々圧倒的な存在感を放つ夢子の存在に危機感を感じていました。

更に、生徒の間では家畜の数が増え、その問題も生徒会を困らせる一つの要因となっていたのです。

そこに、2年前とある事件を起こして学園を追われた視鬼神真玄という男が舞い戻ってきます。

映画の第二弾ではこの男が夢子達のライバルとなり、新しいギャンブルが展開されるようです。

視鬼神真玄役は、ジャニーズWESTの藤井流星が演じているのでファンの方は要チェックですね!!

まとめ

「映画 賭ケグルイ」から豪華なキャスト陣、夢子が村雨にギャンブルで負けた理由、そして夢子の正体にも迫っていきましたが如何でしたでしょうか!?

続編ではどんなギャンブルが繰り広げられるのか、夢子が転入してきた真の目的とは一体何なのか、気になって気になってたまりません!!

その設定の面白さや、一癖も二癖もある登場人物の魅力から多くのファンを獲得してきた「賭ケグルイ」。

「映画 賭ケグルイ」でもその独特の世界観をどっぷりと堪能して下さい!!

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