映画ジョーズ

「ジョーズ」は、1975年にアメリカで公開されたサメが題材のパニック・ホラー映画です。

監督は「E.T.」などを手掛けた監督のスティーヴン・スピルバーグ。主演はロイ・シャイダーが務めました。

ジョーズは平和なビーチを襲う巨大な人食いサメの脅威と、それに立ち向う人々の戦いと街を巡る話を併せて描いた映画です。

そんな映画「ジョーズ」についての魅力を様々なネタバレ・考察と併せて紹介していきます。

ジョーズ(1975年)

アメリカ東海岸に位置する海辺の田舎町・アミティの浜辺に若い女性の遺体が打ち上げられた。

警察署長・ブロディは、事件があった海水浴場を閉鎖するべきと市に提案するが、市長を含む街の有力者らに街の利益のことを挙げられ拒否される。

事件の対応に追われる一方、死体に怪しい噛み跡があるのを見たブロディは海洋学者であるフーパーに協力を仰ぎ事件を調査し、二人はこの事件がサメによるものだと確信する。

しかし証拠となる物品が無いことからサメの仕業では無いとされ、海開きは市長らによって強行されてしまう。

その結果、海開き当日に多くの観光客が集まる中に現れたサメが観光客を食い殺すという最悪の事態が発生!

ブロディは事態を重く見た市長の要請で地元の漁師・クイントを雇い、フーパーも含めた3人でサメ退治のため大海原へと乗り出す…。

ジョーズ(ネタバレ・考察)

アカデミー賞を始めとした様々な賞を獲得した名映画「ジョーズ」ですが、完成するまでには様々な苦労がありました。

そんな気になるトリビアをいくつか用意しましたのでそれらをお届けしていきます。

サメとの戦いはよりダイナミックに!?

映画「ジョーズ」にはピーター・ベンチリーによって書かれた原作小説が存在しています。

しかし原作ではサメとの戦闘シーンが地味であった為、映画になる際に大きな変更を加えられました。

サメとの戦いでは、全体的に恐怖をその身で感じることのできる迫力ある内容に変化し、飽きもこないド派手な物になっています。

特にクライマックスの場面では主人公が酸素ボンベをサメに噛ませて、ボンベを銃で打ち抜くことでサメが大爆発!

ド派手で観客が盛り上がるシーンに変更され、とても見ごたえのあるハリウッド映画らしい内容になりました。

戦闘シーン以外にも原作から変わった点とかはないのかな?
原作だと相棒のフーパーはサメに食べられたけど、映画では無事生き残った点などがあげられるよ。

脚本が未完成で撮影開始をされた映画

実は映画「ジョーズ」は脚本が未完成の状態のまま、映画の撮影が始められています。

ジョーズの脚本は原作者のベンチリーや、監督のスピルバーグが作成をしましたが、どちらも会社からは不評で没にされてしまいました。

最終的には監督の友人である脚本家のカール・ゴットリーブに依頼をしましたが、彼の脚本が完成する前に撮影予定日が来てしまい、撮影が開始されることに…。

そのため撮影の終わった夜、ホテルに監督や出演者達が集まり、映画の続きを考えていくといったこともありました。

監督がこだわり過ぎて撮影費用が激増!!

「ジョーズ」は、監督のリアリティをより突き詰めた映像を撮るため、少しでも問題があったらリテイクするといった強いこだわりで作られた映画です。

その結果、リテイク数は重なっていき、撮影の費用はどんどん膨れ上がっていき、予定の期日もオーバーしてしまいました。

本来であれば約4億円の予算で撮影が完了するはずが、なんと二倍以上の約10億円という膨大な予算が掛かることに…

あまりにも予算の増加やスケジュールの変化が大きかった為、製作会社が撮影中止も検討をしたほどです。

ただ、そのこだわりもあってかジョーズの映画は全米で大ヒット!当時のレートで約700億円という巨額の興行収入を得ることに成功しました。

実は原作者や監督が出演している!?

映画「ジョーズ」には実は原作者のベンチリー監督のスピルバーグらが少しだけ出演をしています。

原作者のベンチリーは海でサメの脅威を伝えるTVレポーターとして、監督は漁師のクイントの無線の通信相手の声として登場しました。

更には監督の飼っていた愛犬のエルマーも、主人公のペットとして映画にこっそり出ていたのです。

スピルバーグ監督の作品は、このような形で本人や親しい仲の人を映画に出演させることがあります。

映画の元となった事件について

「ジョーズ」は、ベンチリーの書いた小説を原作として作られた映画で、そのモデルには実際に起きた事件が使われています。

モデルになったサメの起こした事件は1916年にアメリカのニュージャージー州で起きたニュージャージーサメ襲撃事件です。

この人喰いサメが引き起こした事件は、漁師によって捕獲をされるまでの間の数日間で4人の犠牲者と1人の重傷者を出した、非常に大きな事件でした。

人喰いサメによる襲撃事件が大々的に報道されたことによって、当時の海に関わる観光業には大きな打撃を与えることに…

ジョーズも観光地で起きたサメによる襲撃事件を取り扱った映画であり、元となった事件を色濃く反映したものになっています。

人喰いサメがもたらす恐怖

現実のホホジロザメをモチーフとして描かれた今映画の捕食者は、この映画の大きな見どころの一つです。

人喰いサメが居なくてはジョーズの映画は成立し得ません。

人喰いサメのあり得ない大きさ

ジョーズに登場する人喰いサメは体長約8m・体重約3tの超巨大な個体とされています。

現在確認をされているホホジロザメが最大でも約6mで、体長8mというジョーズに登場する大きさのホホジロザメは未だに発見をされていない程です!

8mもある体長はホホジロザメではなく、太古の地球に生息をしていたサメの一種「メガロドン」ではないかと作中で言及されるほどの大きさになっています。

ジョーズのサメよりも大きいサメは、今では存在しないのかな?
見た目はかなり違うけど、大きく育ったジンベイザメであれば、ジョーズのサメより大きい10m以上の個体も存在するよ。

異常なまでの凶暴性

映画「ジョーズ」に出てきた人喰いサメは現実に存在するサメたちよりも遥かに凶暴で、獰猛な個体です。

劇中では要因がある訳でもないのに執拗に人を喰らう行動を取ったり、船底を食い破ってでも主人公たちを喰らおうとするなどの一面を見せていました。

過去に人を食べており、人間の味を覚えていたから執拗に狙っていたのかもしれません。

もちろん、現実のサメはこのような行動を取ることが殆どないため、ジョーズに登場した人喰いサメの異常な凶暴性を垣間見ることができます。

たった一匹だけで街を恐怖に陥れる

「ジョーズ」に出てきた人喰いサメは舞台となった街、アミティの人々や視聴している観客達もたった一匹で恐怖のどん底に突き落としています。

ラストで主人公たちに討伐をされるまで、その存在感を遺憾なく発揮していました。

いつ、どこで襲われるか分からない恐怖に観客はドキドキしながら見守ることしかできません。

また、映画前半ではサメが姿を一切表していないにも関わらず、ジョーズの有名な曲や映像の構成によって恐怖による緊張感が常に演出されていました。

ただ実は、姿を現さなかったのには撮影時にトラブルががあったためであり、撮影で使うサメのロボットが前半部分の撮影前に壊れてしまったからです。

そのためサメの全体を映画の前半では映せなかったですが、サメが姿を現さないことが逆に観客の恐怖を煽り、結果的に映画のヒットに貢献することになります。

ジョーズのテーマ曲が恐怖を感じさせる理由

「デーデン!」で始まるとても多くの人が知っているジョーズのメインテーマである人喰いサメが襲ってくる時の曲ですが、あれはどうして恐怖を感じるのでしょう。

その理由は低音域の音で短いフレーズで構成された、同じ音の繰り返しで作られた曲にあります。

このような構成をした曲は人の不安感を増幅させる効果があるからです。

そんな人が不安に感じる要素を取り入れて、サメが現れるという印象的なシーンと組み合わせて使うことで、聞くだけで恐怖を感じさせる音楽へとこの曲は仕上がりました。

余談ですが、ビーチの人がサメがいると勘違いしてパニックを起こすシーンや、捕まえたサメが人食いサメではなかったシーンなどの、人喰いサメが出てきていない時はあの曲は流れてきません

この曲が流れること自体が、人喰いサメがそこに居るという壮大なネタバレとなっている面白い仕掛けとなっています。

ホラー映画であっても魅力的な登場人物たち

映画「ジョーズ」はホラーパニック物の映画なのでサメが一番の見どころで魅力的な部分ですが、よく練られた人間ドラマも特徴となっている映画です。

当時のパニックホラー映画では軽視されがちであった人間の物語にも強くスポットを当てています。

  • 過去におぼれた経験から来るトラウマで水が大の苦手な本作の主人公、警察署長のマーティン・ブロディ
  • 知的好奇心と学術的な知識を併せ持ち、主人公と共に行動をする海洋科学者のマット・フーパー
  • 懸賞金を目的として強情にサメの討伐を目指す荒くれ物の漁師のサム・クイント

彼ら3人を中心とした濃厚な人間ドラマを見ることが出来る映画です。

その人間ドラマはパニック・ホラーの場面を除いても良くできた物語として作られており、決してサメだけが主役ではない映画に仕上がっています。

ジョーズが世界に与えた影響

映画「ジョーズ」はただ人気の出た映画というだけではなく、さまざまな影響を後世に与えていました。

この映画が世界に与えた影響を紹介していきます。

動物のパニックホラー映画の増加

ジョーズの映画は世界で非常に注目をされており、1978年に「スター・ウォーズ」が公開されるまで興行収入第一位の記録を持った映画になっていました。

その為、動物を主題に使ったパニック・ホラー物の映画が乱造されるようになります。

しかしこの時期に制作されたパニック映画は流行りに乗っただけの質が低い物が非常に多かったです。

そのため当時のパニック・ホラー映画の中でジョーズの作り上げたブームに乗れた作品はごく一部しかありませんでした。

ジョーズショック

この映画の上映以後、観光地でサメが目撃されたという情報で海水浴場の観光客が激減してしまう「ジョーズショック」が起きるようになりました。

ジョーズショックが起きた地域では海水浴場の代わりに川やプールに行く人が大幅に増えることに…!

映画の元となった事件では、その地域では観光客が大きく減少するということがありましたが、ジョーズではその現象が世界規模で起きたのでした。

ジョーズは海に関わる観光業に大きな影響を与えてしまった映画ということが分かります。

様々なサメの乱獲・保護

映画「ジョーズ」の影響で、上映後には多くの国でサメが狩猟・乱獲をされるといったことが起きました。

一部の種に至っては絶滅寸前にまで数を減らされてしまって保護指定をされているサメも出てくる程です。

人間を襲うことのない種類までもがサメという理由だけで乱獲されてしまっているので、人間の行動力は怖ろしいですね。

映画って色々な物事に影響を与えることがあるのですね!
非常に流行した映画だったからこそ、ここまで影響が大きくなってしまったのですよ。

知られざるサメの生態

今ではジョーズなどのサメ映画の影響で海の恐怖の象徴として良く知られているサメですが、実は人を好んで襲うという事例は殆どありません。

まず、サメの種類は現在500種類ほど存在していますが、稀に人を襲うことがあると言われている種類はその内の30種類程だと言われています。

ただし、年間を通して世界では少数ですがサメによる事件は起きているので、注意が必要なことに変わりはありません。

この映画のモチーフとして使われ、人を襲うことの多いとされるホホジロザメも意図して人を襲うことは殆どなく、オットセイといった自身の好物と勘違いをして襲う事故が多いです。

しかしジョーズに登場した人喰いサメは数日間で何人も喰らい、舞台となったアミティの街を恐怖の渦に陥れていました!

その後に登場した「ジョーズ」の続編

あまり知られていないですが、ジョーズには全3つの続編が存在しています。

しかしスピルバーグ監督が直接関わっていない点から、初代ジョーズの二番煎じの様な話になってしまいあまり人気は出ませんでした。

また、その他にもジョーズの名前を冠した映画が何本も作られましたが、いずれもB級映画といった微妙な評価をされる物が殆どです。

結果として初代ジョーズは他のサメ映画と比べてもより優れているという評価をされるように…!

初代ジョーズの人気は今でも非常に高く、2020年になってもテレビで放送をされることがあるほどです。

まとめ

「ジョーズ」は人喰いサメの作り出す恐怖と、熱い人間ドラマを同時に楽しむことができる映画です。

ホラー映画が好きな人にはとてもおススメできる作品となっています。

また、ジョーズの映画が持つ迫力や映像技術の高さは今現在でも十分通用するクオリティです。

後に続くさまざまなパニック・ホラー映画に影響を与えた映画であるため昔の映画だからと敬遠せずに一度見てみることをおすすめします!

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