新海誠作品に登場する時をかける少女がカメラを持ってる

細田守監督は、日本を代表するアニメ監督の一人です。

「時をかける少女」「サマーウォーズ」で一般層への認知を高め、その後の家族ドラマを中心とした作品群で大きく成長し海外でも評価されるようになりました。

人間の成長や活躍を独特の視点で描く細田守監督の作品は、幅広い層に訴えかける繊細なシーンの描写が特徴になるのです。

細田守監督の成長とともに進化してきた作品群を、足取りを追いつつ紹介していきましょう。

劇場版デジモンアドベンチャー(1999年)

あらすじ

TVシリーズの4年前を描いた前日譚。パソコンの中から突如誕生した謎のタマゴから、奇妙なモンスターが誕生した。成長し、自分をコロモンと紹介するモンスターだったが、さらに成長し自我を失い、街に訪れた別のモンスターと対決することになる…。

おすすめポイント

TVアニメシリーズ「デジモンアドベンチャー」の地上波初放送の前日に全国公開された「東映アニメフェア」の中の1本です。

TVシリーズの設定の数年前を描き、太一が初めてデジモンと遭遇したある日のことを描いています。

デジモン進化時のボディサイズはTVシリーズよりも大きく、怪獣映画の風格を漂わせているのが特徴です。

実際、怪獣映画のプロデューサーにも絶賛されたといいますから、若い頃から才気溢れていたのは間違いないでしょう。

ラヴェルの作曲したクラシック音楽「ボレロ」が作中に流れるのですが、独特の旋律が画面に安心感と緊張感を同時に与えていて効果的です。

細田守監督の映画キャリアの出発点として、ぜひ観ておきましょう。

動画配信サービス(VOD)

おすすめVOD 作品有無 無料体験期間 月額料金
U-NEXT 31日間 2,189円(税込)
Hulu 14日間 1,026円(税込)
Netflix × 880円(税込)
amazon Prime Video × 30日間 500円(税込)
※一部有料作品の場合がございます。

劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!(2000年)

あらすじ

ネット上に新たなデジモンが誕生した。データを餌にし、成長していくディアボロモンはNTTやアメリカの回線に潜り込み、バグを起こしていく。果てには核ミサイルを発射したディアボロモンを止めるべく、太一たちはウォーグレイモンと共に電脳世界へダイブする…。

おすすめポイント

TV版「デジモンアドベンチャー」の直後に起きた、新種のデジモンについてのトラブルが描かれています。

ネット世界の描き方や現実世界に及ぼす影響などがすでにこの時期で登場しており、そのイマジネーションは後に「サマーウォーズ」の電脳世界”OZ”のベースになっているのです。

デジタルなカラーリングの電脳世界はそれだけでワクワクさせられ、観るもののイマジネーションをかきたてるでしょう。

自宅から一歩も出ずに太一が世界を救う様と、リアルタイムで進行する終盤の10分間は見ものです。

「ぼくらのウォーゲーム」と「サマーウォーズ」を両方見ると、細田守監督の脳内の進化が手にとるように分かり、楽しめます。

デジモン映画2作を作ったことで、細田守監督の評価はアニメ業界で盤石となり、長編アニメ映画への進出が決まるのです。

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ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島(2005年)

あらすじ

ルフィ率いる麦わらの一味は”オマツリ島”と呼ばれるリゾートアイランドにたどり着くが、そこでは地獄の試練と称してアトラクションを開催していた。仲違いをしながらもアトラクションをクリアしてく一行。だがロビンとチョッパーは、島の秘密に気づきはじめる…。

おすすめポイント

”仲間との絆”をテーマに話が進むのですが、ルフィ以外のメンバーがさほど活躍する描写がなく、「ONE PIECE」のキャラクターを魅力的に描けているとはいえません。

ですがときに明るく、ときにホラーなテイストは細田守監督の持ち味が存分に生きており、映画化された「ONE PIECE」シリーズの中でも特別な作品になっているのです。

本作は細田監督がスタジオジブリで「ハウルの動く城」を監督し、結局降板させられたときの心痛を映画にしたという原体験を反映させた映画になります。

作品を世に出す機会を失い、打ちひしがれていた細田守監督を救ったのは仲間たちでした。

すしお、山下高明、久保田誓といった名うてのクリエイターたちが集い、独特のビジュアルと世界観を確立して作品を盛り上げています。

細田一味が繰り出す、彼らなりの「ONE PIECE」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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時をかける少女(2006年)

あらすじ

ふとしたことで、自分を過去に戻せるタイムリープの能力を手にした女子高生・真琴は、能力を駆使して日常を楽しんでいた。ある日自分の自転車を友人に貸してあげるがブレーキが壊れており、そのせいで列車との接触事故を起こしてしまう。時間を戻したい真琴だったが…。

おすすめポイント

細田守監督と長くタッグを組むことになる、奥寺佐渡子が最初に脚本として参加したのがこの「時をかける少女」です。

筒井康隆の原作をそのまま描くのではなく、”正当な続編”として作られた本作は、筒井康隆からも評価されるに至りました。

SFでありながら、日常の中での不思議な出来事と、そこにまつわる人間関係の機微をとらえた練度の高い作品として国内外で評価され、細田守監督の名を一躍有名にしたのです。

主人公の真琴はタイムリープ能力を手にしますが、基本的には日常の中で利用しており、世界の破滅というような大きなトラブルには繋がりません。

だからこそ、人間関係と身の回りの事件に情報が集中し、濃密な作品になっているのです。

初めて細田監督作品を観てみたい、という人に特におすすめしたい1作といえます。

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サマーウォーズ(2009年)

あらすじ

インターネットの拡張世界”OZ”は世界中のユーザーから利用され、その影響力は計り知れないものとなっていた。ある日、インターネットを跋扈するAI”ラブマシーン”がOZを混乱させ、現実世界にも被害が出る。これを防ぐためにある陣内家が力を合わせて立ち上がる…。

おすすめポイント

”人のつながり”をテーマに描かれた本作は、細田守監督が結婚して親戚づきあいをするようになったことから物語が着想されたそうです。

「劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」の設定を一部引き継いでおり、電脳世界OZが世界中につながっている様や、トラブルが地球規模で発生するなど共通点も多くあります。

電脳シーンと長野の自然に囲まれたシーンがどちらも異なる美しさを持っており、対比構造が見事に映えるのです。

花札を使ったこいこいのシーンでは電脳世界と和の融合がみられ、デザイン的にも美しくクライマックスに華を添えます。

キングカズマのバトルシーンもアクションが描き込まれており、ラブマシーンとの対決は手に汗握るのです。

星雲賞メディア部門を始め、国内外で数多くの賞を獲り評価された本作は、夏になると見たくなる細田守監督作品第一位としておすすめします。

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おおかみこどもの雨と雪(2012年)

あらすじ

”おおかみおとこ”と子供を作った花は、子供に雪と雨と名付ける。シングルマザーになった花は田舎に子どもたちを連れていき、自然の中で暮らすようになる。大自然の人間のの中で育った2人は、人間として生きるか、狼として生きるか、選ぶ日がやってくるのだった…。

おすすめポイント

「サマーウォーズ」では親戚づきあいをヒントに描いた世界が、今度は家族の成長物語として描かれるようになり、作品の濃度が一回り増したのが本作です。

美しい自然表現の中、活き活きと育ちながらも「おおかみこども」である自分がどう生きていけば良いのか、母はどう育てていけばいいのかという葛藤が描かれます。

これまでは娯楽作を多く提供してきた細田守監督でしたが、本作から一層メッセージ性の高い社会派エンターテインメントを描くようになるのです。

大人も子供も気づきを得られる作品として、家族でぜひ観て欲しいファンタジーになります。

シングルマザー、差別、貧困という重いテーマを内包しながらも、着地点を美しくまとめ上げた手腕は明らかにレベルアップを感じさせるのです。

細田守監督が表現者として一回り成長した姿を見せた、転機となる作品といえるでしょう。

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バケモノの子(2015年)

あらすじ

両親の離婚と母の死を機に家を飛び出した蓮は、人間界とつながっている渋天街に迷い込んでしまい、そこで武術に長けたバケモノである熊徹の養子になる。いがみ合っているものの、似た者同士の2人は段々と絆を深めていき、本当の親子のようになる。ある日蓮は人間界に戻ったことをきっかけに楓という女子高生から勉強を教わるようになり…。

おすすめポイント

熊徹(役所広司)と九太と呼ばれることになる蓮(染谷将太)の成長物語であり、二人が力を合わせて戦う冒険活劇でもあります。

一見、九太の成長を描いているように見えますが、実は一人で強くなってしまい、それを分かち合うことが出来なかった熊徹の成長を主眼に描いているのです。

渋天街(バケモノの世界)と渋谷(人間の世界)を行き来する物語は、伏線回収も見事で脚本も手掛けた細田監督の手腕が光ります。

渋谷を始めとした都市の表現も美しく、バケモノの街である渋天街の対比として描かれている渋谷はとてもリアルです。

ビジュアルとストーリーの両方で成長を感じる出来は、ファンとして観ても嬉しく感じられました。

冒険活劇として、熊徹と九太の成長として、また家族の物語としても見られる細田守監督の得意な要素が詰まった作品といえます。

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未来のミライ(2018年 )

あらすじ

4歳の男児くんちゃんは、最近生まれたばかりの妹ミライに両親がかかりきりになっているのが気に食わず、かまってほしくて暴れる。そんなある日、くんちゃんは庭でしっぽの生えた男と会う。そこからくんちゃんは過去と未来を行き来する不思議な冒険の旅に出ることになる…。

おすすめポイント

家族の話であると同時に、幼児の成長過程を描いたファンタジー・ヒューマンドラマです。

4才児であるくんちゃんの視点を中心に、過去と未来の時系列を飛び越して自己を確立していく成長ストーリーがメインになります。

犬と会話したり過去に跳んでいったりと様々なシチュエーションから成長の気づきを得るくんちゃんへの共感で胸が一杯になります。

また成長だけでなく、人がいかにして繋がっているかという大きなテーマにも立ち向かっているのです。

登場するキャラクターが可愛いだけでなく、過去と未来を行き来するドラマの出来もよく、海外ではアカデミー賞にノミネートされるなど高く評価された本作。

子供はもちろんのこと、大人も深いテーマを汲み取って楽しめるので、一度は見ておきたい作品です。

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まとめ

過去作から列挙していきましたが、細田守監督の進化と成長を知る結果になりました。

個人的にベスト作品は「サマーウォーズ」と「おおかみこどもの雨と雪」が同率一位ですが、皆さんのベストはなんでしょうか?

毎年見るたびに受け取り方が変わる気がする細田守監督作品は、見直すたびに発見があります。

ぜひ一通り観ていただいて、新たな感動を得てみてください。

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