映画「ホーム・アローン」は1990年にアメリカで上映されたコメディ映画です。
監督は映画「ハリー・ポッターシリーズ」1~2作目の監督を務めたクリス・コロンバス、主演は当時10歳の天才子役、マコーレー・カルキンが務めました。
本作は家族旅行の時に一人だけ家に置き去りにされた少年が、我が家を泥棒から守るために知恵とアイディアを駆使した罠を張り巡らせて相手を翻弄していく映画となっています。
クリスマスに見る映画といえばコレ!と言えるほど、世間に深く浸透している作品です。
そんな映画「ホーム・アローン」についての魅力を撮影の裏話や泥棒を撃退するために使った凶悪な罠などを紹介・考察していきます。
ホーム・アローン(1990年)
大家族のマカリスター家は、前から楽しみにしていたクリスマス休暇で向かうパリ旅行の準備で、とても慌ただしくなっている。
そんな大家族の末っ子であるケビンは出発前夜に兄と揉めてトラブルを起こしてしまい、一人寂しく屋根裏部屋で寝ることに。
どうして兄が悪いのに自分だけが怒られたのかと不満に思ったケビンは「家族なんか全員消えてしまえ!」と願って眠りにつく。
出発当日、一家全員が寝坊をしてしまい、ギリギリで飛行機に乗るが、その時に幼いケビンを一人置いてきてしまったことに気づくのだった。
一方のケビンは朝起きたら家族がいなくなっていたため最初は喜び、一人の時間を堪能するも、次第に家族が居ないことによって寂しさを感じていく。
そんな中ケビンが一人で過ごす家には、ハリーとマーヴという二人の泥棒が迫っていた。
泥棒の存在に気付いたケビンは皆が帰る場所を守るために、泥棒達を撃退する準備を一人進めていく…。
ホーム・アローン(ネタバレ・考察)
映画「ホーム・アローン」にはさまざまな裏話が存在しています。
この映画を見たことがある人でも、見たことが無い人でも思わず観たくなる様な裏話を用意しましたので、是非ご覧になってください!
マコーレー・カルキンが主役に決定するまでに…。
「ホーム・アローン」の主人公、ケビン役を演じたマコーレー・カルキンは、撮影当初10歳の子役でした。
彼は1989年に出演した映画「おじさんに気をつけろ!」での愛らしい演技を監督に見出され、前から構想を練っていた「ホーム・アローン」の演者としてスカウトされています。
主演はカルキンにほぼ決まっていましたが、監督は彼以外にも100人以上の少年でオーディションを行い、映画の主演を誰にするかは最後まで迷っていました。
しかし、最終的に主演を勝ち取ったのはやはりカルキンであり、彼を超える名演技を見せる少年は大人数のオーディションを行っても見つからなかったそうです。
そんな名演を見せた彼を主役に据えて上映されたこの映画は全米で大ヒット!
カルキンは一躍有名子役として世界的な注目を集める様になりました。
クリスマスシーズンに見たくなる映画
1990年に上映された映画「ホーム・アローン」は、クリスマスに見る映画の代名詞と言われるほど、非常に人気の高い作品です。
クリスマスに人気が集中するのは、映画の舞台がクリスマスシーズンであり、アメリカで12月にかけて上映された映画である事、そしてクリスマスに関する楽曲が沢山使われている等が理由に挙げられます。
日本でもクリスマスシーズンになると「ホーム・アローン」シリーズがよくロードショーで放送される等、世界中で高い人気を保ち続けている傑作映画です。
余談ですが、この映画が特に人気な国は、初めて映画が上映されたアメリカではなく、ポーランドだと言われています。
その人気の高さはポーランドのテレビ局が「夏にこの映画を放送したばかりだから、冬には放送しない」と告知した所、放送を求める大規模な抗議運動が起きた程です。
降り積もる雪を再現する為に…?
クリスマスである事を演出するのに欠かせない物と言えば、降り積もる雪です。
今ではCGを使えば簡単に雪を降らせることが出来ますが、1990年代ではCGを使った映画の撮影は殆どなかったため、冬以外で雪を用意するためには何か別の手段が必要でした。
そこで降ってくる雪を再現するために使われた物は、マッシュポテトを簡単に作れる原料である「ポテトフレーク」だったのです。
大量のポテトフレークを扇風機で吹き上げることによって、雪の降る光景の再現に成功しました。
映画を見ても、降っている雪がポテトフレークであるなんて誰も気づかないほど、上手く演出された雪の表現方法です。
ただし、撮影後にはそこら中がポテトまみれになってしまい、掃除が大変だったと言われています。
10歳の主人公を30歳の男性が演じた!?
この映画は主人公のケビンを当時10歳のカルキンが演じていましたが、小さな子供に危険が伴うシーンの撮影をさせる訳にはいきません。
そこで活躍をしたのが当時30歳のスタントマン、ラリー・ニコラスでした。
ニコラスはなんと10歳のカルキンと同じ位の身長の人物で、ケビンが階段をソリで滑り降りるシーンや、ツリーハウスに突っ込むといった危険なシーンは彼が演じています。
ただし、ケビンが車に轢かれそうになるワンシーンのみは彼の顔がアップで映るため、スタントマンを使うことが出来ませんでした。
そのために使われた撮影方法が「逆回し」であり、車がバックする映像を逆再生することによって、子供が轢かれそうになるシーンを安全に気をつけながら撮影できたのです。
魅力的な登場人物
映画「ホーム・アローン」をより魅力的にしているのは、個性豊かな登場人物たちの活躍があるのです。
そんな物語を作り上げていくのに重要な人物たちの紹介をしていきます。
ケビン・マカリスター
ケビンはマカリスター家の末っ子で、非常にいたずら好きで、兄弟とよく喧嘩を起こすトラブルメーカーでもある8歳の少年です。
彼はとても優れた知能や洞察力を持っている少年で、大人顔負けの非常に手の込んだ罠を作り出せる能力を持っていたり、外の泥棒に対して大人が居る風に見せるといった小細工を一人で行っています。
一方で隣人のおじいさんを噂話から強く怖がっていたり、ギャング映画を見るも銃撃シーンからは目を逸らしてしまう、寝る時には家族が恋しくなる等、年相応の部分もある少年です。
泥棒たちが家に侵入してきた時はそのいたずら心や知識を生かした、大人顔負けの凶悪な罠で迎撃を行い、最終的に家を守りきりました。
そして泥棒を撃退しておきながら、家族には何も問題はなかったと装う等、とても10歳とは思えないカッコよさも持ち合わせています。
おとぼけ泥棒チーム ハリー&マーヴ
彼らはずる賢いが短気なハリーと、運動神経は良いがちょっとおバカなマーヴの二人組の泥棒です。
この映画の見どころは、ずばり彼らがケビンの仕掛けた罠に引っかかる場面だと言えます。
彼らは警察のフリをして、クリスマスシーズンを留守にして旅行する家を聞き出して泥棒を実行しようとするという、用意周到な作戦を立てて犯行に臨みました。
しかし、ケビンによって仕掛けられた凶悪な罠によって、とても痛い目に遭いながら最後まで翻弄され続けてしまいます。
最終的にはケビンを捕まえることが出来ましたが、騒ぎを聞きつけたおじいさんによって頭を叩かれ気絶して、そのまま逮捕されてしまいました。
また、彼らは続編の「ホーム・アローン2」でも刑務所から脱獄を果たして再登場しますが、またもえげつないケビンの罠の餌食になっており、ちょっと可哀想に思えてくる人たちです。
そのため、大人になってからこの映画を見ると、泥棒側を少しだけ応援したくなってしまうかもしれません。
マーリーおじいさん
マカリスター家の隣に住む無口なおじいさんで、恐ろしそうな見た目と兄の嘘によってケビンは最初、彼のことを殺人鬼だと誤解して怖がっていました。
そのためケビンはマーリーおじいさんを見かけるだけで逃げてしまうほどの怖がりかたをしており、2人が仲良くなれるとは誰も思わないでしょう。
しかし教会で会話を交わしたことで、ケビンはこのおじいさんが優しい人だと認識して誤解を解いて、次第に仲良くなっています。
映画の終盤でケビンを泥棒から助けたおじいさんというのは実は彼のことであり、ケビンの家で騒ぎが起きているのを聞きつけて、ケビンを助けに来てくれました。
もし彼が来て居なかったら、ケビンは泥棒たちによって殺されていたかもしれないので、非常に素晴らしい活躍を見せた人物と言えるでしょう。
また、ケビンがマーリーに対して息子家族に対して面と向かって謝るようアドバイスをしたことで、エンディングでは息子家族と和解しており、彼らが仲良くする場面を見れました。
マカリスター家
マカリスター家は、ケビンや伯父の家族などを含めた15人で構成されている、とても賑やかな大家族です。
ケビンに嫌がらせをする兄や伯父がいたり、ケビンをぞんざいに扱っていたりとあまり良好な関係には見えないかもしれません。
しかし彼らは伯父を除いてとても家族思いであり、ケビンを家に置いてきたと知った母のケイトは気が動転してしまい、自分の身につけている宝石を売ってでも家に帰ろうとしていました。
そして他の家族もケビンのために旅行を堪能せず急いで家に帰ってきており、本当は大切に思っていることが伺えます。
ただし、伯父だけは居候している身分であるにも関わらずケビンに対して辛辣な態度を終始取っており、ケビンに悪影響を与えている印象を受けました。
ガス・ポリンスキー
ガスはあまり売れていないバンドグループ「ポルカ・キング」のリーダーを務めている男性です。
彼は息子の為にどうにかシカゴに帰ろうとしているケビンの母、ケイトの姿を見て、助け舟を出してくれるとてもやさしい人でした。
なんとケイトをシカゴまで乗せて行ってくれると言い、ケイトの身の上を聞いてジョークで励ましながら家の近くまで届けてくれます。
そのおかげで、ケイトはケビンの元にいち早く駆け付けることが出来ました。
余談ですが、ガスを演じた俳優ジョン・キャンディは映画「おじさんに気をつけろ」でカルキンと共演していたため、友情出演でこの映画に出演したそうです。
更にガスが登場するシーンの撮影には、23時間に及ぶ長い撮影が行われており、その間ずっと高いテンションを保ちながら役を演じたと言われています。
ケビンの仕掛けた凶悪な罠の数々
ケビンが泥棒であるハリーとマーヴを撃退するために作った罠は沢山の種類がありました。
そんな独創的で凶悪なトラップたちを一部ではありますが紹介します。
ツルツル凍結床トラップ
家の周りに施された氷の床は、冬の寒い日に外に水を撒くだけで簡単に作れてしまう、寒い地域の国ならではのトラップです。
この罠に引っかかったのは、ハリーとマーヴの両方と、泥棒とは関係ないですがピザの配達員の人が引っかかっています。
真冬の夜につるつると滑る床を対策をせずに進もうとした場合、非常に危険です。
子供が1人しか居ないと侮っていた泥棒たちは、この様な危険な罠が仕掛けられているとは思っておらず、玄関前や地下室への階段でつるつると何回も転んでしまいました。
ドア連動火炎放射器トラップ
この罠は、ドアを開けるとドアノブに付けられた紐によって火炎放射器のスイッチが入り、入ろうとした人の頭を燃やしてしまいます。
そんな危険なトラップにはハリーが犠牲になりました。
ハリーは燃え上がった頭を見て慌てて雪に頭を突っ込みますが、頭頂部の髪の毛が燃えてしまい、大きな禿が出来てしまいます。
彼は続編のホーム・アローン2ではずっと帽子を被ったままだったため、もしかしたら焼け落ちた髪の毛が戻っていないかもしれませんね。
バズが飼ってる「アイツ」
こちらはケビンの兄、バズがペットとして飼っていたタランチュラです。
バズの部屋に忍び込んだケビンがタランチュラの入ったカゴを落としてから脱走し、その後は屋敷をうろうろしていました。
ケビンの足を掴んで捕まえようとしたマーヴの前にひょっこり現れ、それをケビンが摘まんでマーヴの顔に乗せることで彼を絶叫させています。
ケビンの罠には肉体的にダメージを与える物だけでなく、精神的なダメージを負わせる罠まで用意されており、子供ながらの発想に思わず恐怖してしまうでしょう。
ちなみにこの場面の撮影には、CG技術も普及していなかった為本物のタランチュラが使われています。
演者とタランチュラへの負担を考えて撮影は一度きりで、尚且つ叫び声は別撮りで録音をすることで、この場面はなんとか撮影されました。
撮影に使われたタランチュラも弱いとはいえ毒を持っているため、撮影の時には現場全体に緊張が走ったことでしょう。
ペンキ缶振り子
ペンキの詰まった缶を紐の端に結び付けて、振り子のように相手にぶつける罠です。
この罠はハリーとマーヴの両方が犠牲になりました。
ペンキ缶振り子は階段に用意された二段構えの罠になっており、ハリーは何とか一度目を回避しますが、追撃の2回目を避けきれず顔面にもろに受けてします。
たっぷりとペンキの詰まった缶を、かなりの勢いでぶつけられるため、もろに食らった場合たまったものではありません。
単純な仕組みながら非常に効果的な罠であり、泥棒達の迎撃に一役買っています。
ハリーとマーヴが頑丈過ぎる!?
作中で何度もケビンの作った凶悪な罠の餌食になったハリーとマーヴですが、実は頑丈過ぎるのではないかという疑惑が上がっています。
実は映画に登場する罠について医学の面から考察したファンがおり、それぞれの罠の殺傷力がとても恐ろしい物に仕上がっていることが分かりました。
なんと医学的に見ると、ハリーとマーヴの2人はそれぞれ、死んでいてもおかしくない大けがをケビンの罠によって負わされていることになります。
彼らが映画で五体満足で警察に捕まったのがもはや奇跡としか言いようがありません。
しかし彼らは懲りずに続編の「ホーム・アローン2」でも悪事を働こうとするのですが、その時には今回以上に酷い目に合わされることに…。
まとめ
「ホーム・アローン」はケビンがたった一人で泥棒達を様々な罠にかけて翻弄していく痛快なコメディ映画です。
ケビンの作った身近にあるものを使った罠の高いクオリティや、それらにことごとく引っかかっていくおマヌケな泥棒たちの様子は、見どころが沢山ある映画と言えるでしょう。
また、冬になるとロードショー等でも放送されることも多くなる、クリスマスシーズンに家族で見るべきな映画でもあります。
笑える要素や心温まる物語もたくさん入っている映画「ホーム・アローン」。
一度は家族で揃ってみてほしい映画です!