実写版アラジンネタバレ・考察

「アラジン」は2019年に公開されたディズニーのミュージカル映画です。

1992年公開の同名のディズニー・アニメーションの名作を実写映画化しました。

監督は「スナッチ」「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチーで、メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミスなど、豪華キャストが集結しています。

「アラビアン・ナイト」の中の物語を基に、魔法のランプを手に入れた若者が魔神ジーニーと共に繰り広げる冒険と、王女との身分を越えた愛を描いた本作。

全ての世代の人に贈るエンターテインメント作品になっています。

映画のロケ地、「語り手」の正体など、「アラジン」の小話やネタバレ・考察などをご紹介していきましょう。

アラジン(2019年)

見どころ
ランプの魔神・ジーニーを演じるのは最強のエンターテイナー、ウィル・スミス。摩訶不思議な世界観と魅力的なキャラクターが空前のスケールで描かれ、感動を呼び起こす。
出典 : video.unext.jp

あらすじ
貧しくも清らかな心を持ち、人生を変えたいと願う青年・アラジンは、王宮の外の世界での自由を求める王女・ジャスミンと巡り会う。冒険の末、3つの願いをかなえることのできるランプを手に入れたアラジンは、ランプの魔神・ジーニーと運命の出会いを果たす。
出典 : video.unext.jp

アラジン(ネタバレ・考察)

自分の居場所を探す貧しい青年アラジンと、自由を求める王女ジャスミン、そしてアラジンを助ける魔神ジーニー、そんな3人がアニメを飛び出し大活躍する実写版「アラジン」。

この作品にまつわる小話をご紹介しましょう。

多国籍な俳優陣

この作品はハリウッド映画にしては珍しく中東が舞台となっているので、キャストの出身地や国籍は、中東、南アジア、ヨーロッパ、アメリカと国際色豊かな俳優陣となっています。

  • メナ・マスード(アラジン):エジプト系カナダ人
  • ナオミ・スコット(ジャスミン):インド系イギリス人
  • ウィル・スミス(ジーニー):アフリカ系アメリカ人
  • マワーン・ケンザリ(ジャファー):チュニジア系オランダ人
  • ナシム・ペドラド(ダリア):イラン系アメリカ人
  • ナビド・ネガーバン(スルタン):イラン系アメリカ人
  • ヌーマン・エイカー(ハキーム):トルコ系ドイツ人
色々な国の人が出演しているのですね。
アラジン役のメナ・マスードは「僕はこの映画でキャストの人種が多様性に富んでいる事をとても誇りに思っている」と語っています。

砂漠のロケはあの有名な場所

砂漠のシーンは名作「アラビアのロレンス」(1962年)のロケ地として有名なヨルダンのワディ・ラム砂漠(世界遺産)で撮影されたそうです。

SF映画「オデッセイ」(2015年)や「スター・ウォーズ・エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」(2019年)もここで撮影されました。

ラクダが歩く中東の典型的な「砂漠」のイメージにぴったりの場所でした。

また、監督はアグラバーの街のシーンを当初モロッコで撮影するつもりだったそうです。

しかし、作品の舞台となる街並みを、特定の場所にこだわらずもっとファンタジックでカオスなものにしたいと考え、セットを作る事にしました。

それはイギリスの南東部ロングクロス撮影所のサッカー場2面分の大きさの敷地に15週間かけて作られました。

モロッコやペルシア、トルコの文化など様々なところからインスピレーションを得て、活気に満ちたエキゾチックな街を作ったのです。

こんな街が本当にあったら旅行してみたくなるような、素敵な街並みでした。
色彩豊かで狭い路地や塔があり、まさに「アラジン」の世界観にぴったりの街でしたね。

絢爛豪華なパレード

ロングクロス撮影所のセットでは、アラジンが魔神・ジーニーに貧しい青年から王子の姿に変えてもらい、パレードを仕立てて宮殿に向かうシーンが撮影されました。

撮影は250人のダンサーと200人以上のエキストラによって5日間もかかりました。

派手な音楽を奏でる楽隊、陽気に踊るダンサーたち、きらびやかな金銀財宝を担ぐ召使いたち、象やダチョウ、孔雀がパレードに連なります。

アラジンがパレードで乗っている巨大な乗り物は、15人のスタッフが3週間かけて作成した3万7,000個の花で飾られたそうです。

ディズニーランドが劇中に登場!!

「アリ王子」はジーニーの魔法で「アバブワ国」の出身という事になりましたが、アバブワという国は架空の国なので地図には載っていません。

ジャスミンにアバブワの場所を地図で示してと言われ、アラジンが地図を広げると、ジーニーの魔法で地図にアバブワの国名が書き入れられるシーンがあります。

なんとその地図にはシンデレラ城らしき建物の絵と「ファンタジーランド」という文字が掲載されていました。

それは、アメリカ・フロリダ州にあるディズニーワールドのマジック・キングダムの事です。

このシーンでは、ディズニーファンが喜びに沸きましたね。
劇中の地図にディズニーワールドが表示されるなんて心憎い演出ですね。

女性同士の友情

実写版には、王女ジャスミンの侍女としてダリアが登場人物に加わりました。

ダリアは親友のようにジャスミンに寄り添います。

アニメ版ではトラのラジャーがジャスミンの親友でしたが、映画では代わりに人間の女性が友人という設定になっているのです。

ダリアは、ジャスミンに恋のアドバイスをしていました。

ダリアとの会話によってジャスミンの気持ちが視聴者にも把握でき、実写版の方がよりストーリーがわかりやすくなっているようです。

また、「アナと雪の女王」(2013年)で描かれたテーマ「女同士の絆」が引き継がれています。

オープニングの「語り手」の正体は…

アニメ版で、冒頭に「語り手」が登場したのを憶えているでしょうか。

実はこの人には「アラジンによって自由にされたジーニーがストーリーの語り手になっている」という裏設定があったのです。

アニメ版の制作当初には、正体を明かすシーンがあったのですがカットされました。

その裏設定が実写版に採用されて、ウィル・スミス扮するジーニーが「語り手」として登場し、ストーリーを回想するという形で映画が始まります。

洋上で船に乗っているジーニーの傍らにいたのは結婚したダリアと子どもたちでした。

ジャスミンの母親は亡くなった?

実写版では、ジャスミンの母親についての情報に触れていました。

自分の住み家にジャスミンを連れて行った時のアラジンの「王女はもっと国民の前に姿を見せるべきだ」とのセリフに答えて、ジャスミンは自分が侍女のふりをして言います。

“They won’t let her. Ever since my… The Queen was killed, the Sultan’s been afraid. So she’s kept locked away.”

(王女は外出を国王から禁じられている。王妃が殺されてから、国王は王女まで失うのではと恐れ王女を部屋から出したがらない)

ジャスミンの母親は何者かに殺されてしまった事がわかります。

実は現在、「アラジン」実写版の続編が制作中との事です。

続編でジャスミンの母親の死の真相がわかるかもしれませんね。

プロデューサーには、本作品に続いてダン・リンとジョナサン・アイリヒが担当します。

脚本は、SF映画「リアル・スティール」のジョン・ゲイティンズと、音楽映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」のアンドレア・バーロフが起用されるそうです。

手に汗握るアクション・シーン

映画は市場で衛兵たちに追いかけられるアラジンのシーンから始まります。

迫力あるアクション・シーンになっているのは、ガイ・リッチー監督の手腕でしょう。

アラジン役のメナ・マスードもパルクールばりのアクションを巧みにこなしています。

さらに注目したいのは、アラジンだけでなくジャスミンもアクションをしている点です。

宮殿の奥で大切に守られて生活しているプリンセスが、宮殿では絶対に味わえない逃亡劇をアラジンのリードで成し遂げ、自分の新しい可能性を見つけるという設定になっています。

アラジンとジャスミンが一緒にアクションシーンを演じる事で二人の親密度が増しているのです。

アラジンはジャスミンにとって信頼できる存在になり恋に発展しますが、よりそれが説得力を持つ事にもなりました。

スピーディーなアクション映画が得意なガイ・リッチー監督ですが、「恋の描写」という点でも上手です。

名曲紹介:アニメ版と実写版との違い

「アラジン」の映画を彩る要素として外せないのは、やはり数多くの素晴らしい歌ではないでしょうか。

その中の2曲「フレンド・ライク・ミー」「ホール・ニュー・ワールド」についてご紹介しましょう。

「フレンド・ライク・ミー」

「フレンド・ライク・ミー」はアニメ版でも楽しい歌でしたが、実写版ではより楽しくスタイリッシュに変わりました。

これは魔法の力を疑うアラジンに対して、ジーニーが「魔法を使って願いを叶えてくれる、こんな頼もしくてサイコーな友だちが他にいるわけない!」と、自己紹介するナンバーです。

この歌はジーニー扮するウィル・スミスに合わせてヒップホップ調に変えられました。

歌詞もラップテイストにして、より速いテンポで観客を楽しませます。

ラッパーとしても活躍するウィル・スミスの魅力全開です。

作詞はなんと「グレイティスト・ショーマン」や「ラ・ラ・ランド」の劇中歌も手がけたベンジ・パセックとジャスティン・ポールが担当しています。

彼らがディズニー音楽ではお馴染みのアラン・メンケンと組んで、曲に新たな命を吹き込んだ事で話題になりました。

また、エンドクレジットで流れたバージョンは、アメリカの有名なミュージシャン・DJキャレドが手掛けたものです。

ジーニーについてはアニメ版のロビン・ウィリアムズのイメージが浸透しているため、ウィル・スミスはジーニー役のオファーを受けるか躊躇したそうですよ。
いやいや、ウィル・スミスはこの作品でコメディアンとしてのセンスを遺憾なく発揮していましたよ!!

「ホール・ニュー・ワールド」

アラジンとジャスミンとの魔法の絨毯でのデートで歌われる名曲「ホール・ニュー・ワールド」は実写版にも使用されています。

アニメ版では歌手のブラッド・ケインとリア・サロンガが、甘くしっとりと歌い、二人の恋の盛り上がりを表現して好評でした。

実写版では、歌手ではなく演者、メナ・マスードとナオミ・スコット自身が歌っています。

初々しく爽やかな歌声が、まだ恋の初めという感じで、アニメ版とはまた違った魅力で好感が持てました。

また、エンドクレジットではワン・ダイレクションの元メンバーである歌手のゼイン・マリクと、若き歌姫ジャヴァイア・ワードが「ホール・ニュー・ワールド」をデュエットしています。

女性が活躍する時代のプリンセス・ジャスミン

アニメ版「アラジン」では、ジャスミンといえばディズニー史上初の白人ではないプリンセスで、それまでのひたすら王子様を待つタイプのプリンセス像とは一線を画した存在です。

さらに今回の実写版を制作するにあたってディズニーは、この作品により現代的なメッセージを込めました。

「男女の平等」「社会的身分の平等」という概念です。

ジャスミンが体現する新たなディズニーのプリンセス像について見ていきましょう。

「プリンセス像」を現代に合わせてアップデート

アニメ版ではジャスミンは、政略結婚ではなく恋愛した相手と結婚したいと望むだけでしたが、実写版では、彼女は国民の事を第一に考えていて、国王になり自ら国を統治する事を望んでいます。

しかし父王やジャファーに「女性の国王は今までいなかった」「女性は見られる存在でいい、意見なんて聞いていない」と一蹴されてしまうのです。

「女性は国王にはなれない」という伝統にめげずに努力し続け、ラストシーンで父王に認められて実際に王になってしまう王女ジャスミンの姿に、現代のファンは感情移入できるのではないでしょうか。

実写版にはジャスミンによって歌われる「スピーチレス(心の声)」という歌が新たに加わりました。

この歌では、「声を上げよう。身の程を知れと一喝された古い伝統は終わりつつある。たとえ檻に閉じ込められようとも羽ばたいてみせる」と、ジャスミンの固い信念が歌われます。

ジャスミン役のナオミ・スコットがこの歌を歌う動画はYouTubeで再生1億回を突破するほど大反響でした。

1992年のアニメ版公開から30年近く経った今では、政界進出や雇用面で女性の社会的な立場は少しずつ向上してきました。

ディズニーは現代の女性像をより意識し、それをジャスミンというキャラクターに投影する事で、プリンセス像を刷新しているのです。

二人の障害をクリアするエンディング

アラジンとジャスミンには、「女性は国王になれない」「王女は王子としか結婚できない」という2つの障害がありました。

ラストシーンで、アニメ版では国王が「王女は平民と結婚できる」と法律を変えて、アラジンとジャスミンの結婚を許可してアラジンを次期国王に据えました。

しかし実写版では、国王が「女性も国王になれる」とします。そして国王になったジャスミンが、法律を改正し王族が平民と結婚できるようにするのです。

ジャスミンは女王に即位し、アラジンと結婚しました。

実写版は「男女の平等」と「社会的身分の平等」の2つをクリアしたラストシーンになっています。

ラストシーン:ジャファーとの対決

新しいプリンセス像を示した実写版「アラジン」では、国王となって王国を乗っ取ろうとするジャファーとの対決が描かれます。

対決シーンを見ていきましょう。

「宇宙で最強」とは誰の事?

王国乗っ取りを画策したジャファーは国王の命により投獄されますが、脱獄を果たすとアラジンからランプを盗む事に成功します。

1つ目の願いでアグラバーの王となったジャファー。続いて2つ目の願いによって最強の魔法使いへと変貌を遂げました。

しかし、アラジンの「ジーニーは宇宙で一番強力なんだからお前がそれより強くなる事はできないぞ!」と言う言葉に煽られたジャファーは「宇宙最強の存在」になることを最後の願いとします。

では果たして「宇宙最強の存在」とは誰を指すのか!

始めは戸惑いをみせるジーニーでしたが、アラジンの策略を見抜き、宇宙最強のパワーを持つ「魔神」へとジャファーを変身させるのです!

結果魔神と化したジャファーは魔神のルールに則り、ランプの中に吸い込まれ閉じ込められてしまいました。

「自由のない魔神」へとジャファーを変身させたジーニーの行いは一見、ルール違反にもみえますが「宇宙最強」というグレーゾーンの多い願い事だったからこそ成功させる事ができたのです!

人間になるジーニー

アニメ版のラストシーンでは、アラジンの3つ目の願い事としてジーニーがランプから開放されました。

実写版では、さらにジーニーが人間になります。

魔法が使える魔神の力は宇宙で一番強力ですが、魔神にしてみれば、自由もなく常に誰かの願いを叶え続けなければならないのは辛いのでしょう。

「魔法が使えなくても人間がいいんだ、恋して結婚して自由に人生を楽しめる人間がいいんだ」というディズニーらしいポジティブなメッセージが感じられるラストシーンにほっこりしました。

拘束していたブレスレットが外れ人間になったジーニーはアラジンに感謝をすると、ダリアにプロポーズします。

ジーニーはダリアと生まれた子どもたちと一緒に船に乗って世界中を旅するのでした。

まとめ

恋と冒険と歌とジョークが満載の映画・実写版「アラジン」。

人生を変えたいと思っていたアラジンも、王になる事を望んでいたジャスミンも、願いが叶い全てが丸く収まって、観終わった後爽快で晴れやかな気持ちになる事請け合いです。

アニメ版とはまた違った魅力のある実写版。

実写版ならではのおもしろさもぜひご堪能ください!!

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